2018/04/30 Mon
どうなる?大東市の介護保険 市民集会


「介護保険『卒業』がもたらす悲劇」(大東現地調査報告書)」出版記念報告会
要支援1、2 のホームヘルパーやデイサービスの利用が制限され、「卒業」を強制される大東市の介護保険・総合事業が始まって2年。昨年から私たちはその改善を求めて取り組みをすすめ、一定のことを大東市に約束させました。
ところが大東市は、今年度から介護保険料を9.6%も引き上げ、地域包括支援センターをひとまとめにしてしまおうとしています。
一方、国では介護保険制度が大きく変えられようとしています。大東市の介護保険はこれからどうなっていくのか、市民のみなさんとともに考えます。
日時/場所 5月13日(日) 午後2時~4時30分/大東市民会館2階ホール1
内容 ○報告:介護保険制度改定でどうなる大東市の介護保険~大東市の介護保険の実態と私たちの取組みを踏まえて~「介護保険『卒業』がもたらす悲劇」」出版報告
○大東市事業者アンケートの報告
○大東市第7期介護保険と地域包括支援センター再編
主催 大東社会保障推進協議会/大阪社会保障推進協議会
連絡先 大東社保協℡070-1807-3838fax072-872-5533 大阪社保協06-6354-8662/06-6357-0843
※資料準備の関係上、事前申し込みをfax06-6357-0846へお願いします。









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Category: 介護保険見直し
2018/04/28 Sat
「65歳になった障害者に障害福祉サービスを認めないのは違法・憲法違反だ」と広島県熊野町の中田輝義さん(本名:仲田輝美さん。70歳)が、今年2月に広島地裁に却下処分の取り消しを求める訴訟を起こし、4月23日に第1回目の裁判が行われたました。
中田さんは、重症筋無力症の1級の身体障害者で車椅子生活。障害者総合支援法に基づく無料の障害者福祉サービスを受けていたのに、六十五歳になったとたん「介護保険」に切り替えられ、月7000円~8000円以上の負担になり、介護保険料も年間約3万円負担させられることになりました。
2015年に障害福祉サービスの申請をしましたが、却下され、広島県に不服審査請求を行いましたが「棄却」されたため、裁判闘争に踏み切ったものです。
中田さんは、2016年から「介護保険料賦課決定処分」取り消しを求める裁判も闘っており、真正面から介護保険制度の不当性・違憲性を問う闘いとして大きな意味を持つ裁判です。
今年3月14日に岡山地裁で、65歳になった障害者に障害福祉サービス利用を認めなかった岡山市の処分を違法とする判決(原告:浅田逹雄さん)がだされています。
介護保険制度の不当性・違憲性を問う中田さんの裁判に多くの皆さんの支援を呼びかけます。

訴状
介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての却下処分取消請求事件                                                          
請 求 の 趣 旨
1 処分行政庁が原告に対し平成27年8月10日付で行なった介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての却下処分を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
請 求 の 原 因
第1 当事者
1 原告
1)原告は、広島県安芸郡熊野町内に居住する昭和22年7月16日生まれの男性であるが、およそ20数年前に重症筋無力症を患い、上肢、下肢の機能に障害があり、併せて呼吸器機能障害などにより身体障害者手帳1級1種が交付されている重度障害者である。
また、この他にも、全身性の変形性関節炎と神経障害疼痛とヘバーテン結節などの病気も抱えており、日中は車いす生活であり、月に一度は県立広島病院神経内科に通院している。
2)そして、居宅介護に関して、平成27年8月10日付けで介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての却下処分(以下「本件処分」という)を受けた者である(甲1)。
2 被告は、普通地方公共団体であり、その首長である熊野町長は、障害者自立支援法19条1項及び2項に基づき、熊野町内に居住する者に対し、介護給付費等の支給又は不支給を決定する権限を有する者であり、原告に対し本件処分を行なった者である。
第2 本件の概要
1 処分行政庁である熊野町長は、原告に対し、原告が65歳に達するまでは、障害者総合支援法に基づき、居宅介護や通院介助の障害福祉サービス(自立支援給付費)を全額支給していたにもかかわらず、65歳に達してからは介護保険法に基づく介護認定決定を行い、介護給付ととともに1割の自己負担を行うべきとした。
2 原告は、65歳になって、介護保険法による要介護2の認定を受け、しばらくは介護給付ととともに1割の自己負担をしていたが、後述のように、無年金で市町村税非課税世帯であることからそれらの負担が重く、また従前の障害福祉サービスと介護保険給付の違いを実感するようになった。
3 そこで、原告は、改めて介護保険給付ではなく、障害者総合支援法に基づ く障害福祉サービスの支給を求めるとともに、介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等を申請したところ、処分行政庁が介護給付費を支給しない旨の決定を行ったため、その取消しを求めるものである。
第3 本件処分にいたる経緯
1 原告は、上述の障害のために稼働収入がなく、また、障害年金も支給されていなかったので無収入であり、亡き父親の残した遺産で生活を維持していた(甲2)。
2 原告は、64歳までは障害者総合支援法による障害支援区分3の認定に基づき、障害福祉サービスの居宅介護(ホームヘルプ)を受けて生活を維持してきたが、前同法では市町村民税非課税世帯には自己負担はなかった。
3 ところが、65歳になった平成24年7月16日の後、原告が居住する熊野町は、一方的に障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替え、原告に対する事前の十分な説明もないまま要介護認定手続きを行い、要介護2と認定した。
そして、熊野町は原告に対し、熊野町介護保険条例第4条の規定に基づく介護保険料の賦課決定をしたので、原告はやむなく納付した。
4 原告は、介護保険に切り替わった後、障害福祉サービスでは自己負担のなかった居宅介護(ホームヘルプ)については月に7000円~8000円の自己負担が必要となり、通院介護は給付対象外とされ、自己負担を求められるようになった。
5 そこで、原告は、介護保険や障害福祉サービスの実情に詳しい知人らの支援を得て、平成27年7月29日、熊野町役場を訪れ、介護保険料や介護保険の利用料1割負担が重くて経済的に困難なうえ、高齢者というのではなく障害者であるために必要な障害福祉サービスを受けたいと申し入れ、介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての申請を行った。
6 これに対し、上記の通り、本件処分が出された。
第4 本件処分に対する審査請求
1 原告は、本件処分について、平成27年10月7日付け書面により、広島県知事に対し審査請求をした。
2 広島県知事は、平成29年8月21日付け裁決書により、原告の審査請求を棄却した(甲3)。
3 原告は、前記裁決書を平成29年8月24日に受領した。
第5 本件処分は、憲法14条1項及び憲法25条1項に反する
1 憲法判断の枠組み
(1) 憲法14条1項は、全ての国民が法の下に平等である旨を宣言し、同法25条1項は、全ての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する旨を定め、同条2項は、国が全ての生活部面について社会福祉の向上及び増進に努めなければならない旨を定める。
(2)障害者基本法、及び障害総合支援法等を中心とする障害者福祉制度は、憲法14条1項の平等原則と憲法13条の個人の尊重の理念に基づき、いわゆるノーマライゼイション、すなわち、障害者にとっての社会的障壁を可能な限り撤廃し、障害者と障害のない人とが共生する社会の実現を目的として、憲法25条2項に定める国の社会福祉施策充実義務における現在の到達点を示したものである。
またそれと同時に、憲法25条1項に定める生存権を具体化し、これら法令に基づいて給付を受ける権利を個々の国民の具体的権利として保障したものである。
(3)よって、障害者福祉制度は、憲法14条1項の平等原則に照らし、全ての障害者に対し、平等に開かれ保障されるものでなければならない。
2 障害者総合支援法など関係法令の構造
(1)障害者総合支援法7条は、障害者の受ける自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法の規定による介護給付であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるときは、その受けることができる相当な給付の限度において、行わない旨を定めている。
(2)また、障害者総合支援法29条3項2号により、当該障害者が地方税法上の非課税世帯であるなど一定の要件を満たす場合には、同法に基づく介護給付費の支給にあたっては、当該障害者本人には自己負担が生じないこととなっている。
(3)ところが、障害者が65歳に達すると、介護保険法9条1号の第1号被保険者に該当することから、介護保険法に基づく介護給付にあたっては、原則として1割の利用料の自己負担を生じることになる。
(4)したがって、障害者総合支援法7条の規定の通りにすると、65歳以上の障害者については一律に介護保険給付が優先されることになるため、同じ障害者であっても、65歳以上であるか否かによって、介護給付にかかる利用料の自己負担の有無につき異なる取扱いを受ける。
それだけでなく、障害者が65歳になったからといって、障害者ではなくなって「介護が必要な高齢者」になる訳ではないから、従前から受けていた障害福祉サービスと介護保険給付との間に差異が生まれて、十分な福祉サービスが受けられなくなる。
3 本件処分が違憲であること
(1)障害者総合支援法7条は、65歳以上の障害者に対して『一律に介護保険給付を優先する趣旨』であるとの解釈を前提とする限り(後述のとおりその趣旨ではないと解すべきであるが)、障害者が高齢者であるか否かによって異なる取扱いを設けている点で、憲法14条1項が規定する平等原則に違反し、さらには憲法25条に基づく障害者福祉制度によって具体化された国民の生存権を侵害したものとして、違憲である。
(2)なぜなら、障害者福祉制度及び高齢者福祉制度は、異なる目的のもとに異なる支給要件及び支給内容を定めた別個の制度であり、個別具体的な事情に応じて、国民が選択的に利用することが認められなければならないからである。
そして、65歳に達したからといって、常に高齢者福祉制度が優先するとの定めは、障害者が65歳以上か否かという単純な年齢によって利用者負担等の取り扱いを異にするという不合理な差別を行うものと言わざるを得ない。
(3)また、仮に障害者総合支援法7条が合憲であるとしても、処分行政庁  が一律に介護保険給付を優先して適用した場合は、その適用自体が前述と同様に違憲であるし、そのような運用が行われている場合はその運用自体を違憲と言わなければならない。
(4)以上のとおり、障害者である原告に対して、65歳に達していることを理由に一律に介護保険給付を優先することは、憲法14条1項及び25条1項に違反する。
第6 本件処分は「障害者の権利に関する条約」(権利条約)並びに「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)に反する
1 「障害者の権利に関する条約」(権利条約)について
(1)権利条約は、2006(平成18)年12月13日、第61回の国連総会で採択され、我が国は、2014(平成26)年1月20日に批准し、同年2月19日から効力を生ずることになった。
(2)権利条約のうち、本件処分に関わる内容は、以下のとおりである。
前文のうち、
(c)(前略)障害者が全ての人権及び基本的自由を差別なしに完全に享有することを保障することが必要であること
(h)いかなる者に対する障害に基づく差別も、人間の固有の尊厳及び価値を侵害するものであること
(j)全ての障害者(より多くの支援を必要とする障害者を含む。)の人権を促進し、及び保護することが必要であること
(n)障害者にとって、個人の自律及び自立(自ら選択する自由を含む。)が重要であること
(v)障害者が全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能にするに当たっては、物理的、社会的、経済的及び社会的な環境並びに健康及び教育を享受しやすいようにし、並びに情報及び通信を利用しやすいようにすることが重要であること
が該当する。
第1条の『目的』では、「この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする」と規定する。
第2条の『障害に基づく差別』とは、「障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう」とされ、さらにこれに加えて「障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む」と規定されている。
そして、第4条では、締結国の『一般的義務』として、
(a)この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること
(b)障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること
(c)全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること
(d)この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること、また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること
を定めている。
第5条の『平等及び無差別』では、
1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを確認する。
2 契約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する
3 契約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる
ことが定められている。
2 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)の立法について
我が国の政府は、「障害者の権利に関する条約」の締結に必要な国内法の整備に向けて、2009(平成21)年12月に内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置し、「障がい者制度改革推進会議」を開催して、2010(平成22)年6月に、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を閣議決定した。
そして、2010(平成22)年11月から、先の「推進会議」の下で「差別禁止部会」が開催され、その後、障害者政策委員会を発足させて、「推進会議」の議論を引き継いで意見をとりまとめた。政府は、その意見を踏まえて、障害者差別解消法案を作成し、同法案は2013(平成25)年4月26日に閣議決定され、第183回通常国会に提出、可決された。
2014(平成26)年6月26日に公布され、2016(平成28)年4月1日から施行されている。
3 障害者差別解消法について
その目的は、第1条に、「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする」と定められている。
そして、第2条には『国及び地方公共団体の責務』が定められ、「この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなくてはならない」と規定されている。
さらに、第7条の『行政機関等における障害を理由とする差別の禁止』においては、
*1項は、「行政機関等(第2条3項の定義により、地方公共団体を含む)は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」
*2項は、「その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障害の除去を必要としている旨の意思表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮をしなければならない」
と明記している。
4 本件処分―被告による合理的配慮義務違反について
(1)原告は、平成27年7月29日、被告に対して、それまで障害者として障害福祉サービスを低所得者には負担なし(無料)とするという措置を受けていたにもかかわらず、65歳を過ぎているからと介護保険の適用を優先され、利用料の1割負担を強いられることになっていたので、「社会的障害の除去」を求める意思の表明をした。
すなわち、従前の通り、障害福祉サービスを負担なし(無料)で受けさせてほしいという意思の表明である。
(2)被告が、この原告の「社会的障害の除去」を実施しようとすれば、居宅介護サービスに相当する利用料の自己負担分(月に6千円台から7千円台)を原告に負担させないことになる。
この措置の実施に伴う「負担が過重」か否かが問題になるが、熊野町の介護保険財政について客観的に見れば、原告について年額3万0759円の介護保険料と月額6~7千円の利用料を熊野町が負担することは決して「過重な負担」とは言えないものである。
(3)そして、この7条2項に定める合理的配慮義務は、行政機関等である被告にとっては、事業者の場合とは異なり、努力義務ではなく法的な義務である。
原告による「社会的障害の除去」を求める意思は、障害者差別解消法の公布の後であるから、同法の施行前であったとしても、被告による本件処分は明らかな合理的配慮義務違反に該当する。
5 結論
以上の通り、本件処分は、権利条約に違反し、障害者差別解消法に違反する違法、無効なものである。
第7 障害者総合支援法22条違反
1 裁量権の逸脱濫用の判断枠組み
(1) 一般に、行政庁に一定の行政裁量が認められる場合でも、裁量権の逸脱濫用があった場合には違法となる。
そして、裁量権の逸脱濫用の判断枠組みとして、最高裁は「考慮すべきでない事項を考慮し、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮しておらず、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠」く場合は裁量権の逸脱濫用に当たると判示している(最判平成18年2月7日民集60巻2号401頁、最判平成19年12月7日民集61巻9号3290頁等)。
(2)障害者総合支援法及び同法施行規則は、
ア 同法22条1項において、介護給付費等の支給要否決定を行うに際して、当該障害者の障害程度区分、当該障害者の介護を行う者の状況、当該障害者の置かれている環境、当該障害者の障害福祉サービスの利用に関する意向、その他厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給費等の支給の要否の決定をすることとし、
イ 同法22条2項において、市町村は、支給要否決定を行うにあたって必要があると認めるときは、法15条に基づき設置された市町村審査会等の意見を聴くことができる旨を定めて
いる。
(3)前述の通り、65歳に達した障害者に対して、一律に介護保険給付を優先することはそれ自体違憲であるが、障害者総合支援法7条は、むしろ、自立支援給付と介護保険給付との支給要件及び支給内容を総合的に比較し、自立支援給付と同等以上の介護保険給付が保障されている場合に限り、介護保険給付を優先する旨を定めたものと解される。
この点、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長及び同障害福祉課長の平成19年3月28日付け通知である「障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」(障企発第0328002号ないし障障発第0328002号)は、
「障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難であることから、障害福祉サービスの種類や利用者の状況に応じて当該サービスに相当する介護保険サービスを特定し、一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする」
としている。
従って、障害者が65歳に達して介護保険法上の被保険者である場合においては、これらの事項も勘案した上で自立支援給付の要否を判断すべきものである。
(4)さらに、障害者基本法においても
ア 第1条において、全ての国民が、法の下の平等及び個人の尊重の理念に基づき、障害のない人と分け隔てなく共生する社会を実現するため、地方公共団体の責務を明らかにするとともに、各種の施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする旨を宣言し、
イ 第14条第3項において、地方公共団体は、障害者が、その年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、介護その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない旨を定め、同法24条は、地方公共団体は、障害者の経済的負担の軽減を図るため必要な施策を講じなければならない旨を
定めている。
従って、障害者総合支援法22条1項に定める考慮事項も、これら障害者基本法の規定と整合的に解釈されなければならない。
2 本件処分には裁量権の逸脱濫用がある
(1) 本件処分は、原告が65歳に達していることを必要以上に考慮し、他方、介護保険給付において原告の自己負担が生じることを十分に考慮せずに行ったものである。
(2)そもそも、障害者を年齢で区別し、障害がある高齢者に対してより大きな経済的負担を課すことには合理性はないから、原告が65歳に達していることは、適切な給付を選択するにあたり積極的に考慮すべきではない事項である。
むしろ、原告の障害の程度、介護給付の必要性、介護給付の利用状況、経済状態、その他原告の心身の状態及び原告を取り巻く環境に変化がないこと、原告が自立支援給付を希望していることなどを十分に考慮すべきであったにもかかわらず、本件処分はこれを怠ったものである。
(3)さらには、本件処分は、前述の市町村審議会の意見を聴取する手続を経ていない疑念があり、この手続を経て慎重な判断を行ったとは考えられないものである。
(4)従って、原告の求めに対して、自立支援給付を拒否した本件処分は、障害者総合支援法22条1項を中心とする関係法令等に照らし、考慮すべきでない事項を考慮し、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮せず、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠く処分を行ったものであって、裁量権の逸脱濫用があると同時に同法22条1項に反するものとして違法である。
第8 結論
以上の通り、本件処分は、憲法14条1項及び憲法25条に違反するほか、「障害者の権利に関する条約」(権利条約)並びに障害者差別解消法に反するとともに、障害者総合支援法22条1項に違反するだけでなく、その裁量権の逸脱濫用により違法である。
よって、本件処分の取消を求めるため本訴提起に及んだ。
Category: 介護保険見直し
2018/04/12 Thu
中央社保協が、保険者機能強化推進交付金と評価指標問題で厚生労働省レクチャー
明らかになった「交付金」「評価指標」の危険な狙い
4月11日、中央社保協は、介護保険改定で今年度から制度化された「保険者機能強化推進交付金」(2018年度200億円)とその配分を決める「評価指標」について、厚生労働省からレクチャーを受けました。
厚生労働省からは、老健局介護保険計画課の芝課長補佐ら3人が説明され、中央社保協からは10人が参加。
「ソフト」で巧妙な説明に終始した厚労省でしたが、その内容を通じて保険者機能強化推進交付金の危険な狙いと問題点が明らかになりました。
最初に概要説明として、今年2月28日に出された事務連絡をもとに次のような説明を行いました。

【厚労省説明の概要】
制度趣旨
平成30年度から保険者機能強化推進交付金が制度化され200億円の交付金が新設された。これは、自立支援・重度化防止という介護保険の理念を保険者がしっかり実施すること推進していこうという趣旨での介護保険法改正により制度化されたものである。
保険者のインセンティブのために交付金で、保険者に協力していただきながらPDCAを回していただき、しっかり取り組めた市町村には交付金を多くし、やっていない市町村には低めに交付する。
交付金は市町村分と都道府県分とがあるが、都道府県には市町村への広域的指導をお願いするために都道府県も10億円程度の交付の対象とした。
スケジュール
市町村に対し、近いうちに指標に対してどのくらいやっているかという回答を依頼する。回答締め切りは10月までなので、この指標を見て、今からやって間に合うものはトライしていただきたい。去年の実績を問うものも数ヶ所あるがそれ以外はやっているかどうかなので、やっていただきたい。11月には評価結果、内示額を提示する。
評価指標の内容
市町村指標61項目は、3つのカテゴリーに分かれている。
「Ⅰ PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化に向けた体制等の構築」8項目(82点)は、PDCAサイクルを回す市町村の体制がどうなっているのかを評価する項目
「Ⅱ 自立支援、重度化防止等に資する施策の推進」46項目(460点)は実際にどんなことをどれだけやっているかというもので、重度化防止自立支援に実際に何をしているかを問う。
「Ⅲ 介護保険運営の安定化に資する施策の推進」7項目(70点)は介護保険の安定化に資する施策の推進 給付の適正化、人材確保等を問うもの。
【厚生労働省との主な質疑応答】
保険者機能強化推進交付金の仕組み等
○市町村交付金の使途は 保険給付にあててもいいのか。
A:特別会計に入れてその中であれば自由に使っていい。都道府県交付金とは全く違う。
市町村評価指標
○Ⅱ(8)①「要介護認定等基準時間の変化」だが具体的にはどう比較するのか。
A:同じ人の基準時間を足し上げて比較する(全体として)。一年後の変化(維持改善)した率がどうかを見る。①は基準時間なので、平成29年3月と平成30年3月の同じ人の基準時間を足し上げて変化を見る。時間の合計で変化を評価。この1年間の変化だけでなく(2)のその前の一年間の変化率の差も見る。②は要介護認定なので、同じ人で介護度が改善した人、維持した人、悪化した人の比率を見る。指標の細かい計算式などはQ&Aも出すことにする。
○統計データを出すことは厚労省が計算するのか。
A:今月次報告で厚労省の介護データベースに入っているのでそれを計算させていただく。
○新規認定を入れると水際作戦になるというが、要介護者の維持改善率を評価するとなると市町村は「要介護度を上げない」という意識が働き軽度認定になるおそれはないか。
A:新規の水際作戦は窓口で断るということで起きるが、要介護認定は調査員が違うところにチェックするということになり、そうことをやれば問題になる。また、評価指標は多職種での検討などプロセス指標の得点が高ければ、あまり不誠実なことでこの指標を下げるということにはならないと思う。
○Ⅰ④2025年の目標は留意点で「内容は評価しない」とあるので、目標・重点施策なるものがあれば内容は何でもよいか。
A:そこは自治体の状況で判断されることなので内容は問わない。
○Ⅱ(2)①「保険者としてのケアマネジメントに関する基本方針」とはどのようなものか
A:介護保険の理念は「自立支援・重度化防止に資する」なので、たとえば持てる能力を生かすためにどういうリハビリをいれるかとか、自立支援を達成するためにはどのようなケアマネジメントが必要かとかいうようなもの。個別のことはQ&Aで示す。
○Ⅱ(3)地域包括支援センター ⑩地域ケア会議は10月までにやっていないとだめか。個別事例は要支援だけでもよいか。
A:地域ケア会議で個別事例のどれをピックアップするのかは自治体の実情なので、要支援1を重点的に見るか、困難事例を見るのかなど何をピックアップするかはあまり縛りをかけるつもりはない。
○「自立支援・重度化防止に資する」とあるが、個別事例は虐待事例やゴミ屋敷事例だけでもよいか
A:そこは個別にお聞きしないとわからない。
○Ⅱ(3)⑪地域ケア会議での個別事例の検討件数は、保険者上位3割以内 10点、5割内5点とあるが、「受給者数」の中には、総合事業だけ利用者は「受給者」数に含むのか
A:基本的には含まないイメージだが、受給者数の計算方法はこれから計算方法をQ&Aを出すので今の時点では答えられない。4月中に回答依頼を出すのでそこに書く予定。
○厚労省として、上位3割以内とはどのくらいのパーセンテージやっているのか
A:今資料がないので答えられない
○Ⅱ(3)⑫生活援助プランの地域ケア会議検証の実施体制については、届出プランの件数見込みを出してそれをさばくだけの地域ケア会議の開催計画をしているかということか
A:この仕組みは10月からなので体制をとっているかどうかである。
○Ⅱ(3)⑩地域ケア会議での検討事例のフォローアップとは、短期目標がその後どうなっているかを検証するような仕組みのことか
A:フォローアップのルールを見るものでその内容を問うものでなく、フォローアップのルールの有無を問うものである。
○現在の会議の中には、一応多職種から意見を聞くがあくまでアドバイスだけで、あとはケアマネ任せという介護もあるが、このフォローアップはその後、どうなっているのかを確認するものなのか
A:コストをかけて地域ケア会議をやって、個別事例の検討をして、その結果がどういう帰結になっているのかを確認するという単純なことである。ケアプランが変わったかどうかでなくフォローアップのルールやその件数を聞くだけである。
○Ⅲ(1)給付の適正化②ケアプラン点検の件数は 全国平均〇%以上とかいうのは実施状況の報告を受けて今から決めるのか
A:平成29年度実績なので、規模によっては同じ条件で並べるのは難しいという意見もあったので、調べてみて差があれば同程度の規模で並べるということ。
○全国平均以下は評価無しか
A:平均以下であれば0点である。
○評価結果はどのように公表するのか。合計点数順に発表するのか。
A:公表方法はただいま検討中。
○課長会議では「順位は公表してほしくない」という意見があったがどうするのか
A:趣旨としては我々もランキングをするためにやっているわけではない。事務連絡の趣旨のとおりなので気持ちは自治体と一緒だと思う。あとは予算の話でもあるので、どれだけ結果がどうだったか、意見も聞きながら考えたい。
【レクチャーを通じて明らかになったこと】
厚生労働省は①従来の国庫負担25%に加え200億円のプラスであること ②評価指標は61のうちアウトカム評価(要介護認定改善)は2項目のみであること ③評価指標は一律10点で加点し、がんばれば交付金が多く配分される ことなどを強調しました。
しかし、今回のレクチャーをつうじて、いくつかの問題点が明らかになってきました。
市町村を「点数稼ぎ」競争に駆り立てる
第1は、市町村を61項目もの「採点基準」で評価し、回答期限までの今年10月までにクリアすれば交付金がより多くもらえ、逆にクリア項目が少なければ少なくなるというノルマを課したことです。市町村分190億円は65歳以上の第1号被保険者で均等に割れば、一人547円程度となります(19,000,000,000円÷34,724,954人)。言い換えれば一人あたり介護保険料が年間574円下げられる金額です。これを全市町村に61項目(612点満点)の評価点を付けて被保険者数を乗じた数で、190億円を割り返して配分するというのです。大半の評価指標が今年10月までにやっているかどうかを基準としているため、市町村は、交付金欲しさに国の評価指標に到達することを競い合わされることになります。
交付金交付額の算定方法
予算総額(190億円程度)×当該市町村の評価点数×当該市町村の第1号被保険者数 / (各市町村の評価点数×各市町村の第1号被保険者数)の全国総和
2018年度~2020年度の第7期介護保険事業計画を策定したばかりの市町村にひたすら国の評価指標の「点数稼ぎ」を強いるこの仕組みは市町村の主体性も自治もないがしろにするものです。
ケアマネジャーへの締め付けを競う合う結果に
第2に、評価指標は61項目のうち、露骨なアウトカム指標(要介護認定の抑制)は二つですが、「介護予防・重度化防止」の名のもとに市町村をして、ケアマネジャーへの締め付けである「自立支援型地域ケア会議」や「ケアプラン点検」、要支援者のサービスを住民ボランティア等に多様なサービスへと移し替えていくことにつながる指標が3分の1以上を占めています。また、その内いくつかは、「全保険者の上位5割」とか、「上位3割」に入らないと加点されず、「全国平均以下」は得点なしという項目もあります。厚生労働省は、どの程度の水準が得点圏内に入るかも明らかにしていません。こうした相対評価は市町村を無内容な競争に追い込むことになります。それは、ケアマネジャーや関係者の意向を無視した強権的な「自立支援型地域ケア会議」の設置運営やケアマネジメントの管理統制などの事態を各地で引き起こしていくことになります。2018年度から居宅介護支援事業所の指定・指導監督権限が市町村に移譲されたことも併せて考えると、市町村によるケアマネジャー締め付けは一挙に強まり、「利用者本位」やケアマネジャーの専門的裁量は否定されていくことになります。「生活援助プラン」(厚生労働省の定める回数以上の訪問回数のケアプラン)の市町村届出義務化と地域ケア会議での検証と是正促しの手法はこれにとどまらず、市町村の自立支援型地域ケア会議を通じて他のサービスへと拡大していく危険性があります。
今後の市町村機能の変質への第一歩
第3に、今後の交付金による市町村機能変質です。制度導入時であることから、厚生労働省は「プラス」面を強調し、評価指標についても「アウトカムは二つだけ」、「広範な指標」で「一律10点」で公正な評価がされ、“ふつうにやっていればそれなりの交付金がもらえる”かのように説明しています。しかし、「200億円の国費を充てる以上は結果説明が必要」と強調し、今後「国庫負担(25%)の削減・傾斜配分」も議論に上る可能性も否定していません。評価指標も来年度以降見直すことも表明しています。最初の一歩は「ソフト」に踏み出しながら、「評価指標-市町村努力-採点・交付金配分」というサイクルがいったん回り始めると、国のさじ加減一つで全国の市町村の「保険者機能」がどんどん変質し、介護保険運営が激変していく危険性があります。
【今後の運動の課題と方向性】
国への交付金撤廃・予算公平配分要求
「保険者機能強化推進交付金」は改定介護保険法の最も重要な内容です。2018年度政府予算では、介護報酬改定(0.54%プラスと公称)分の137億円を大きく上回る200億円規模であることからもこの交付金の重要性は明らかです。
私たちは、この200億円については、このような不当な手段で配分せず、高齢者の負担軽減や介護サービス充実に充てるよう国に求め、保険者機能強化推進交付金の制度撤廃を改めて要求していくことが重要です。
財務省は介護給付費の5パーセントにあたる調整交付金(5000億円規模)をこの保険者機能強化の「評価指標」で傾斜配分する案に固執しています。そうした企みを許さないためにも、その第一歩である、この交付金について撤廃・予算の公平配分を改めて政府と国会へ求めていくことが必要です。
地方自治体に対する課題
保険者機能強化推進交付金制度が動き出した中で、自治体に対する要求運動はきわめて重要です。全市町村が4月から10月までに「評価指標」に対する回答を出さなければなりません。
評価指標については、61項目すべてを否定するわけではありませんが、この指標の中心は、自立支援・重度化防止のために保険者機能を変質させる項目です。
とくに重大な評価指標は次の項目です。
Ⅰ①地域包括ケア「見える化」システムを活用して他の保険者と比較する等、地域の介護保険事業の特徴を把握しているか等
Ⅰ④介護保険事業に関する現状や将来推計に基づき、2025年度に向けて、自立支援、重度化防止等に資する施策について目標及び目標を実現するための重点施策を決定しているか
Ⅰ⑤自立支援・介護予防に資する施策など、保険者としての取組を勘案した要介護者数及び要支援者数の推計を行っているか
Ⅱ(2)①保険者として、ケアマネジメントに関する保険者の基本方針を、ケアマネジャーに対して伝えているか等
Ⅱ(3)⑩地域ケア会議において多職種が連携し、自立支援・重度化防止等に資する観点から個別事例の検討を行い、対応策を講じているか
Ⅱ(3)⑪地域ケア会議における個別事例の検討件数割合はどの程度か等
Ⅱ(6)②介護保険事業計画において介護予防・生活支援サービス事業に多様なサービスの量の見込みを立てその見込み量確保に向けた具体策を記載しているか
Ⅱ(6)⑤介護予防に資する住民主体の通いの場への65歳以上の方の参加者数はどの程度か等
Ⅱ(6)⑦介護予防の場にリハビリ専門職が関与する仕組みを設けているか
Ⅱ(8)①②要介護認定者の要介護認定の変化率はどの程度か
Ⅲ(1)②ケアプラン点検をどの程度実施しているか
Ⅲ(1)④⑤福祉用具や住宅改修の利用に際してリハビリ専門職等が関与する仕組みを設けているか等
これらの評価指標は、612点のうち、140点程度になります。前年実績で評価されるⅡ(6)⑤(通いの場への参加状況)や、厚生労働省が統計データで算出するⅡ(8)①②要介護認定者の要介護認定の変化率などは除き、今年度も可能とされた評価指標について、点数欲しさに市町村が追随しないよう求める必要があります。大阪市などを除き大多数の市町村は第7期の介護保険料を決めるにあたってこの調整交付金は計算に入れていません。また、市町村としてやるべき地域包括支援センターの体制強化や在宅医療介護連携事業、認知症総合支援などをしっかりやっていればある程度の評価点は得られることになります。関係者やケアマネジャーの意見も聞かずに評価指標に合わせるような無謀なことをしないよう要求していくことが重要です。
また、各都道府県にも申入れを行い、保険者機能強化推進交付金への具体的対応策と市町村支援の内容について明らかにさせ、国に追随した市町村指導を行わないよう求めていく必要があります。
Category: 介護保険見直し
2018/04/11 Wed
「介護保険卒業がもたらす悲劇~あなたのまちが大東市と同じ失敗をしないために」を発刊した。
以下、私が第1章で書いた冒頭部分
大東市で何がおこっているか
~介護保険改定と大東市介護保険の問題点
はじめに  ~なぜ「大東市方式」が問題なのか
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)が全自治体でスタートし、2018年度からの介護保険制度改定が進められているさなかに、私たちは、大東市(だいとうし)の介護保険・総合事業の実態を徹底して調査し、市当局とも話し合いを重ねてきました。 2017年11月17日の「大東市介護保険総合事業現地調査団」を中心とする調査活動や大東市当局とのやり取りの中で、私たちは大東市の介護保険問題が、大阪府の一地方都市の問題にとどまらない問題だと認識するに至りました。
それは、2018年度から本格実施される改定介護保険制度の下での自治体の機能変質を象徴しているからです。
大東市の異常な介護保険運営が全国的な意味を持つのは次のような点です。
第一に、総合事業において、現行相当サービス利用者を徹底して削減し、「卒業」を強制し「通いの場」へ移し替え、あるいは住民主体サービスへ移行させ、要介護認定申請をさせないことで、給付を削減し、認定者を減少させるという「突出」したモデルを作りだしたことです。
第二に、大東市自らがこの「方式」を、介護給付費を削減した「成功例」として全国に普及させようとしていることです。大東市は市が100%出資する「大東まちづくり会社」の主要事業に「地域健康プロフェッショナルスクール」を打ち出し、全国の自治体職員・リハビリ専門職に「大東市の地域ケアマネジメント手法を伝授する」として全国展開し、自治体向けのコンサルティングまで行っています。
第三に、介護保険制度改定によって、全国の市町村に「介護予防・重度化防止」のための保険者機能を強化することが義務付けられたことです。2017年5月に成立した「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(以下「地域包括ケアシステム強化法」)で打ち出された「介護予防・重度化防止のための保険者機能強化」では、国が示す評価指標に基づいて市町村が目標を設定し、その成果に応じて財政的インセンティブの付与(合計200億円規模の新たな交付金の交付)を行うとされました。大東市が行ってきた「地域の通いの場への高齢者の参加」「保険者によるケアマネジメントの基本方針の周知」「地域ケア会議での『自立支援型ケアマネジメント』の徹底」などいくつかの手法が、そのまま国の評価指標に取り入れらており、全市町村にとって行うべき「目標」とされる危険性があります。
第四に、介護保険制度における「自立支援」が捻じ曲げられようとしていることです。2016年10月安倍首相は未来投資会議で「介護のパラダイムシフト」を宣言し、「『お世話型介護』でない『自立を目指す介護』」、「科学的介護」への転換をはかるとしました。2018年度介護報酬改定では部分的にしか導入されていないものの、「回復」「機能改善」を一面的に強調し、「介護サービスからの卒業」を行政と事業者が一緒になって迫るような制度への変質が狙われています。大東市でこの間起きている、「卒業」の強制などの実態はこうした現政権の「自立支援型介護」が何をもたらすのかを「先駆」的に示すものです。介護保険制度変質を許さないためにも、現にその「先進自治体」で起こっている弊害を明らかにすることは全国的にも意義があると考えるからです。
Category: 介護保険見直し
2018/03/16 Fri
大阪市の不当な要介護認定処分に対し、不服審査請求をしていた事件で、大阪府介護保険審査会の「裁決書」が送られてきた。結果は、「認定処分の取り消し」=私たちの勝利だった。

昨年(2017年)6月9日に不服審査請求を行い、審査会の裁決は今年(2018年)の3月8日。実に9カ月に及ぶ審査請求であった。
問題となったのは、入院中の要介護認定の調査で、大阪市の調査員は、本人にまったく質問せず、たまたま廊下にいた看護師に適当に質問し、ケアマネジャー(私)の言葉も無視したずさん調査の結果、不当に低く認定された大阪市の要介護認定処分である。
もともと脳出血後遺症で右半身麻痺があり、大腸がんの手術で入院中の調査であった。本人は70歳代後半の独居男性。退院すれば毎日、複数回の訪問介護が必要な状態であった。
本人はこの不当な認定結果のために、退院後は在宅で1日2回の訪問介護した受けられず、長期にわたり入浴さえできなかった。そのため、病状悪化し、再入院、再手術となった。
ケアマネジャーとして怒り、苦しんだ事件でもあった。
認定結果は「要介護2」。右上下肢麻痺もチェックされず、病院内を看護師に介助されながら歩行器で移動しているのに、移動は「見守り」。前日まで絶食で中心静脈栄養であったのに「食事接収」は「自立」。という基本調査であった。その一次判定を大阪市の認定審査会はそのまま認定した。
しっかり、調査すれば私たちのシミュレーションでは要介護3か要介護4に該当する。
担当ケアマネジャーである私が代理人となって不服審査請求。
経過
2017年6月9日  大阪府介護保険審査会に不服審査請求申立
7月19日  処分庁(大阪市)が「弁明書」提出
8月4日   「反論書」提出
9月25日  大阪市が再弁明書提出
10月16日  「再反論書」提出
12月13日  大阪府介護保険審査会の専門調査員による調査(本人及び当時の入院先病院)
2018年1月26日 口頭意見陳述
2月1日  大阪市が口頭意見陳述質問事項に対する「回答書」提出
3月8日  大阪府介護保険審査会が「裁決」
裁決書
 主文 「本件処分はこれを取り消す。」
 裁決の理由 「当審査会が行った専門調査結果では、第1群1(麻痺(右ー上肢)・(右-下肢))が「ある」、同群5(座位保持)が「自分で支えれば可」、第2群4(食事摂取)が「全介助」、その他過去14日間に受けた特別な医療について(点滴)が「ある」となり、処分庁が本件処分の基礎とした認定調査か結果と相違する点が認められた。 専門調査結果に基づき、当審査会で一次判定を行ったところ、要介護認定等基準時間は、86.1分で「要介護3」となり、本件処分に係る一次判定結果である「要介護2」と相違することが認められた。 本件審査請求に係る一次判定の結果が、これを基礎とした二次判定や本件処分の内容に影響を与えた可能性は否定できない。以上のことから、法第183条第1項に基づく本件審査請求については、本件処分に瑕疵があると認め、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第46条第1項の規定により主文のとおり採決する。」
大阪市はこの事件を契機に、ズサンかつ横柄な認定調査の姿勢と、まともな審議も行わず不当な一次判定結果をスルーした介護認定審査会の運営を改善すべきである。
参考
私が提出した2017年8月4日付けの「反論書」
処分庁 大阪市長 吉村 洋文 から提出された弁明書(平成29年7月19日付大福祉第1293号)について、次のとおり反論する。
1 調査が「適正」かどうかについて
弁明書において、「別室にて看護師・同席のケアマネージャーと3人で話をした」「動作確認を行わず聞き取りによる調査へと変更を行った認定調査員の判断に誤りがあるとは言えず」「特記事項には、被保険者本人及び介護者双方からの聞き取り内容の具体的な記載が見られる」「当該調査は適正に実施されたものと考える」と主張されている。当方は、動作確認を行わなかったことのみを不当だと主張しているわけではない。具体的な状況を聞き取り確認することをしないまま、機械的に調査項目の選択をしていったことを問題にしているのである。聞き取りの場所は「別室」ではなく、廊下であり、ナーステーションの前でパソコン入力作業中の看護師に、横から声をかけ、立ち話でいくつかの調査項目を手短に聞いただけの不十分な調査であった。作業の片手間で対応した看護師は聞かれたことしか答えず、調査員も日頃の具体的状況をほとんど質問することなく調査項目の選択を行ったものである。
以下、具体的な問題点を指摘する
(1) 麻痺について
本人は、2007年に発症した脳出血後遺症による右半身麻痺がある。このことは本人や看護師に聞き取ればすぐにわかることであるが、調査員はこのことをまったく把握しないまま調査を終えたため、「1-1麻痺等の有無」は「ない」が選択され、特記事項のどこにも右上下肢麻痺については記載されていない。わずかに「拘縮もないと看護師が伝える」と記載されているのみである。認定調査員テキスト2009改訂版では、麻痺等の有無の調査項目を実際に行ってもらえなかった場合は、①その理由や状況②聞き取りの内容③選択した根拠等の「具体的内容を特記事項に記載する」とあるが、本件調査では「1-1麻痺等の有無」についてはその記載はまったくない。
調査員は当日、本人の下肢を見て著しく浮腫していたため驚き、「あーこれでは歩けませんね」と一人合点し、「あとは看護師さんに聞きますから」と病室を出て、廊下にいた看護師に声をかけ、看護師の「歩行器で歩けますよ」の一言で「えっ歩けるんですか」と驚いていた。特記事項の記載に「両下肢は浮腫している為歩行器の使用で廊下もゆっくり移動」と記載しているのはその「印象」によるものであろう。しかし、右下肢麻痺による歩行の不安定さや、右上肢麻痺による移乗等の動作の困難さについてはまったく特記事項に記載がない。また、特記事項の1-6~9については、動作確認はおろか看護師への聞き取りも不十分なまま作文されたものである。
※参考①(別添1)
本人は身体障害者手帳(右下肢機能著しい障害・4級、右上肢機能軽度障害・7級)の交付を受けており、症状固定している。
※参考②(別添2)、参考③(別添3)本件認定以外の基本調査(平成28年8月16日調査及び平成29年7月13日調査)では、適切に調査した結果、右上肢・右下肢とも麻痺有が選択されている。
※処分庁から提出された証拠書類3主治医意見書にも右不全麻痺については明記されている。
(2)食事摂取について
「2‐3えん下」「2-4食事摂取」について、特記事項で「昨日までは中心静脈栄養の装着であったが今は口で出来ていると看護師が伝えた」と記載し「できる」「介助されていない」を選択している。「口で出来ている」ことだけを聞いて、食事摂取の方法は確認していない。事実は、前日(5月16日)から少量(数口)のおかゆ摂取を始めたものの、腸の縫合不全により保存的加療のためその後再び絶食・中心静脈栄養にもどり、6月8日にようやく食事が再開とり、6月26日に退院となったものである。調査時点で中心静脈栄養が「終了」していたかどうかの判断であるが、「6.特別な医療」では、「6‐2中心静脈栄養」を「有」にし、特記事項では「昨日まで中心静脈栄養されていたがその後食事を口に入れている。介護側より、食事がうまくいくと、中心静脈は取るが、不明な為今も右首に装着ができるようにしていると話す」と根拠づけしている。中心静脈栄養が「継続」扱いであれば、「2-4食事摂取」は「全介助」を選択することになる(調査員テキスト2009改訂版)。調査項目の選択において明らかに矛盾した特記事項の記載をおこなっている。
(3)聞き取った者の確認
介護保険認定調査票の「介添者・同席者氏名欄」は、「調査にあたり主に聞き取った者の氏名を記載する。2人であれば2人の氏名を記載するようお願いしている」(大阪市認定事務センターの説明)とされているが、本件認定調査票では、当方(ケアマネジャー)の氏名のみを署名させ、回答した看護師については確認も署名も求めていない。
2 調査結果の再確認について
調査員の調査が終了した後、当日の本人の「移乗」「移動」にかかる実際の状況は、審査請求代理人とともに確認したヘルパーの「報告者」(別添4)のとおりである。
調査員の特記事項の最後に「翌日同席事業所より電話入り、歩行器を使用しているが介護側は体にぴったりくっつく状態でトイレまで介助したことを伝えて来て『一部介助』と言ってきたが看護師は見守ると言う」と記載されている。あたかも当方の申立てを病院看護師に再確認したかのような記載となっているが、弁明書にはそのような記載はない。調査時には、あまりにも安易に調査員が「介助なし」を選択していくので、当方が「見守りはしていませんか」と口を挟み、看護師が「ええ見守ってます」と答えたもので、「一部介助でなく見守り」と積極的に答えたわけでない。
調査員テキスト2009改訂版では「調査員は調査対象者や介護者に、認定調査の結果で不明な点や選択に迷う点があれば再度確認する。それにより、調査内容の信頼性を確保するとともに、意思疎通がうまくいかなかったための誤りを修正することができる」とある。本件はそのような再確認は一切行われず、修正を拒否した不当なものである。
(1)「移動」の項目の選択について
調査員テキスト2009改訂版では、「2‐2移動」について、「介護者が手を添える、体幹を支える、段差で車椅子を押す等の『移動』の行為の一部に介助が行われている場合」を「一部介助」の選択基準としている。調査日当日のトイレまでの移動はまさにこれに合致するものであった。なお、当日介助していた看護師は「いつもこんな感じです」と述べており、調査日より概ね過去1週間も同様の介助が行われていたものと考えられる。
(2)「移乗」の項目の選択について
調査員テキスト2009改訂版では、移乗について、「介助はおこなわれていないが『見守り等』が行われている場合」を「見守り等」の選択基準としている。当日のベッドから立ち上がり、歩行器につかまるまでの動作は、看護師の見守りの下で行われ、歩行器の位置や角度を看護師が移動させながら行われていた。ベッドから車椅子への移乗に置き換えてみれば「見守り等」が選択されるべきである。なお、特記事項にある「ベッドの端から歩行器へと一人で立って歩く」の記載は、看護師にも当方にも確認していない調査員の作文である。
3 一次判定の修正等について
弁明書では、介護認定審査会で「修正すべき理由はない」と述べているが、つぎの点で不適切なものである。
①処分庁の証拠書類5の審査判定議事録には、「右半身不全麻痺」を主治医意見書が明記しながら、基本調査及び特記事項で麻痺について一切触れていないという不整合について検討した形跡が全くない。
②特記事項で調査員が「※印」をつけて記載した、「2‐2移動」が一部介助に該当するとの当方の申立てについては、審査会で検討すべき内容だが、審査判定議事録では検討の記録がない。
③「6‐2中心静脈栄養」が調査日時点で「終了」か「継続」かについて、特記事項で「特別な医療」としては事実上継続扱いにして「有」選択しているが「2‐4食事摂取」では、終了扱いとし「介助されていない」を選択していることの矛盾についても検討した記録がない。
以上から、「介護認定審査会の運営について(平成21年9月30日付老発0930第5号厚生労働省老健局長通知)」で行われるべき「特記事項及び主治医意見書の記載内容から、基本調査項目の選択が適切に行われたかの確認」「矛盾を認めた場合は、一次判定を修正する」等の検討がなされていないと言わざるをえない。
4 要介護認定等基準時間と一次判定結果について
本件認定での誤った基本調査項目の選択によって算出された要介護認定等基準時間と一次判定は、処分庁の証拠書類4「介護認定審査会資料」によれば、
基準時間 68.2分  一次判定結果 要介護2  である。
これを前述したとおり、基本調査項目の選択を、選択基準に則して一部変更された場合の一次判定は次のようなパターンになる。
パターン1 「2‐1移乗」を「見守り等」へ、「2-2移動」を「一部介助」へ変更
基準時間 79.4分  一次判定結果  要介護3
食事 排泄 移動 清潔保持 間接生活 BPSD関連 機能訓練 医療関連
6.8分 16.1分 14.2分 8.0分 4.5分 6.4分 10.5分 12.9分
パターン2 「1‐1麻痺等の有無」の右上肢および右下肢を「有」に変更
基準時間 73.2分  一次判定結果  要介護3
食事 排泄 移動 清潔保持 間接生活 BPSD関連 機能訓練 医療関連
3.4分                                16.1分 8.2分 16.4分 5.1分 6.4分 7.1分 10.5分
パターン3 「2‐4食事摂取」を「全介助」に変更
基準時間 80.7分  一次判定結果  要介護3
食事 排泄 移動 清潔保持 間接生活 BPSD関連 機能訓練 医療関連
15.4分 11.6分 7.6分 13.6分 5.1分 6.4分 10.5分 10.5分
パターン4  パターン1,2,3の項目をすべて変更
基準時間 92.2分  一次判定結果  要介護4
食事 排泄 移動 清潔保持 間接生活 BPSD関連 機能訓練 医療関連
15.4分 11.6分 20.5分 13.6分 7.8分 6.4分 4.0分 12.9分
5 結論
本件要介護認定処分は、①「調査方法」において、認定調査員テキスト2009改訂版に則した適切な聞き取り及び特記事項記載がなされていない ②調査結果の再確認についても適切に行われず修正もなされなかった ③基本調査項目の選択の一部が認定調査員テキスト2009改訂版に則した選択基準に基づいていない ④介護認定審査会においては、基本調査及び特記事項並びに主治医意見書の記述の整合性等について十分検討されないまま一次判定を「修正する理由はない」と判断され「要介護2」の認定が行われたものである。
本人は2017年6月8日に区分変更申請を行い、2017年7月27日に「要介護3」と認定されたが、6月26日に退院して在宅独居生活を開始し、もっとも手厚い介護が必要な期間は、区分変更認定の結果が出ておらず「要介護2相当」の区分支給限度額内の暫定ケアプランでのサービス利用とならざるを得なかった。その結果、福祉用具貸与と1日2回の訪問介護のみの利用で、長期間入浴もできず、訪問看護もリハビリテーションも利用できない生活となった。
病状が悪化し、7月20日に救急搬送され10日間の入院となるなど不利益を被った。本件認定は不当なものであり、取消しの裁決を改めて求める。
Category: 介護保険見直し

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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