2008/10/30 Thu
 大阪市鶴見区内で開かれたケアマネジャーの学習会に招かれた。
 テーマは「大阪府Q&A]と「ケアプラン点検」。

 いわゆる訪問介護の不適切事例についてもお話させていただいた。

 終わった後、あるケアマネさんが

 「目からウロコです。今まで、窓ガラスは内側からしか拭いてはいけない、と会社から言われてきました。必要なら外側からも拭いていいんですね。」

 この手の話は多い。

 まるで「窓ガラス」はヘルパーは拭いてはいけないもの、ガラス拭き=不適切援助のような誤解である。

 厚生労働省が、通知(老振76号)で不適切事例としてあげているのは、「大掃除、窓ガラス磨き、床のワックスかけ」である。そして、これはあくまで事例であり、趣旨は、「日常生活の援助に該当しない行為」であり、「日常的に行われる家事の範囲を超える行為」である。

 独居の要介護高齢者の中には、自分で掃除ができないため、冬に結露でベタベタになった窓ガラスもそのままであったり、汚れのため外もろくに見えないような窓ガラスだってある。
  
 大体、窓ガラスの掃除というのは、透明なガラスの視界を確保するために行うことが多い。「窓」は、開け閉めすることで換気することに加え、日差しがきちんと部屋の入る(採光)、部屋のなかからも外が見える、こうしたことが、住居における「窓」の基本的な機能である。だから、ガラスを使用しているのである。

 内側からいくら拭いても外側が汚れたままでは、居室の中から見れば同じである。「何のためにその援助を行うのか」、少し考えればだれでも判ることである。「ニーズ」とその解決のための手段である「サービス」の関係である。

 もちろん、厚生労働省通知がいうように、きれいなガラスをさらにピカピカにするような大掃除は不要であろうが、人間らしい日常生活を営むために必要な援助は禁止されるものではない。

 まさに「国民の常識、視点」(舛添厚生労働大臣の国会答弁)で判断すればよいことである。

 こんな常識の話さえ、通じない業界になってしまった介護業界の不幸は、行政の責任でもある。
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
2008/10/28 Tue
不正介護報酬返還請求裁判での弁護団会議のこと。
 
 この裁判は、地裁で不正事業所に対し1億円請求せよと命じる一部勝利判決が出ており、現在高裁で審理中。

 裁判官が、「不正請求で介護報酬を全額返還しても、利用者にはサービスを提供していた場合、事業所は利用者に報酬分を請求することになりはしないか」という疑問をもっているようだ、とのこと。
 事業所側の「無償でサービス提供を強制されるいわれはない」というあつかましい議論に引きずられたのだろう。

 そんなアホな。

 「介護保険に合致した適正サービス、適正事業者です」として、事業者指定を受け、利用者にもそのように説明し、1割負担でサービスを提供しますと契約を結んでおきながら、不正な指定申請がばれて(管理者不在など指定基準違反)、介護報酬の返還させられたら、利用者にその分の支払いを求める。

 こんな盗人のような理屈が通るわけないやろ。

 こんなもん、介護の常識というより世間の常識である。

 不正介護報酬の返還命令の際は、事業所には利用者にも1割負担分を返還するよう指導するのが常識である。
 サービスを提供していても、それは不正請求(基準違反)の場合は、「介護保険サービス」ではないのだから、利用者からも契約に基づく負担金はとれない。

 実例について、情報公開請求して資料を整えて、証明することになったが、司法関係者はもっと世間の常識をわきまえて欲しい。
2008/10/28 Tue
 介護保険給付の「入り口」は要介護認定。訪問調査・主治医意見書・認定審査会で決まるが、利用者にとって直接接するのが、訪問調査である。

 前回の介護保険改定では、この認定調査について、新規については、原則として自治体が直接実施とされた。「直営化」である。

 さらに、厚生労働省は、認定調査項目の削減などを次期見直しで狙っている。

 認定調査をめぐっては、利用者・ケアマネジャー、そして調査員と表面的には、「対立」する場面も多い。

 そこで、地域のある会で企画したのが、「要介護認定についてのアンケート」。ケアマネジャー、利用者、そして認定調査員の3者を対象に、同じアンケート調査を行って、比較検討しながら、よりよい方向を考えよう、という企画である。

 ケアマネジャーや利用者については、過去にアンケートを行ったことがあり、どうにかなるが、認定調査員となると・・・。

 そこで、調査員の労働組合に協力をお願いした。

 昨日、その返答をいただいたが、結果は×。

 「そこまで協力するメリットがない」「調査員は公的な仕事をしている」等々。
 
 役所の中の発想から一歩も出ようとしない。
 地域住民や関係者との連携や共同という発想が皆無。

 20年前、市の登録ヘルパーから出発し、私も援助をさせていただき、組合結成にこぎつけ、登録ヘルパーから、勤務日・時間の固定した、勤務形態へと大幅な改善を1990年代初頭に勝ち取った労組がである。

 今日の自治体の介護関係職場の労働運動の混迷を見る思いである。

 過去のたたかいの日々は何であったのだろうか。
Category: 介護保険見直し
2008/10/26 Sun
 先週、大阪府の担当課と訪問介護サービスQ&Aについて話し合った際に「自立支援」のとらえ方について、議論になった。
 府担当課いわく 「介護保険は自立生活の支援のための制度。したがって日常生活上の必要な行為しか援助できない」

 少しちがうぞ。
 「自立」が、とても狭い。

 自分でできることは自分で。どうしても必要で、自分でも出来ず、家族も出来ないことだけが介護保険の対象という発想である。

 まず「自立自助」そして助け合いの「共助」。最後に「公助」という立論である。

 介護保険がそもそもめざしてきたとされる自立はそんなものでなかったはずだ。

 厚生省(当時)で介護保険準備室長補佐を務め、その後も介護支援専門官として、ケアマネジメントの普及に取り組んできた佐藤信人氏は、次のように述べている。
「『自立』とは、このように、人が要支援、要介護の状態になっても『可能な限りできる範囲で、可能な限り自分らしい生活を営むこと、自分の人生に主体的・積極的に参画し自分の人生を自分自身で創っていくこと』を指すのではないでしょうか。また、そのことに価値を見出しそれを『支援』すること、つまり『自立支援』という考え方こそがケアマネジメントとそれを採り入れた介護保険制度の根本理念です。」(「ケアプラン作成の基本的考え方」.2008,佐藤信人著,中央法規)

 これは、佐藤氏に限らず、介護保険創設に向けた検討の中でケアマネジメント導入とかかわった意見も同様であった。
 1994年12月の「新たな高齢者介護のシステムの構築を目指して」(厚生省「高齢者介護・自立支援システム研究会報告」)では、今後の介護の基本理念は「高齢者の自立支援」であること、すなわち、高齢者が自らの意思に基づき、自立した質の高い生活を送ることができるよう支援することが重要であるとし、「利用者本位」のサービス提供としてケアマネジメント導入を求めた。
1996年4月の老人保健福祉審議会の最終報告「高齢者介護保険制度の創設について」でも、サービス(保険給付)は、利用者の希望を尊重し、その人らしい、自立した生活を送ることができるように社会的に支援するよう行うことを目標とし、ケアマネジメントの確立を提言した。
 介護保険の法令や通知の随所に規定されている、「利用者本位」や「利用者の選択」といって規定はこうした考え方からきているものである。とくに、ケアマネジメントにおいては、「利用者・家族の生活の意向」(利用者・家族がどのようなサービスをどの程度利用しながら、どのような生活を利用したいと考えているか)に基づく、「要介護者の望む生活」に向けての支援であることを改めて明確にする必要がある。

「自立」について
 そこで、問題となるのが「自立」の意味である。それは単に日常生活の身体的自立を指しているのではなく、もっと深い意味があるということを理解する必要がある。自立支援は利用者が「そうしたいと願う生活」を実現する方向に援助すること、さらにサービスも利用者本人が選択できるように支援することである。それが人の手(介護サービス)や道具(福祉用具)の力を借りてなされることであっても、利用者の意思でその望んだ生活を営めるように支援することがケアマネジメントである。
 

 こうした「自立」感は、重度障害者や重篤な状態の患者にたいする支援も含めて議論され確立されてきた共通の考え方である。20世紀後半に、1981年の国際障害者年や1999年の国際高齢者年を経ながら確立された世界に共通する考え方である。

〇日本看護科学学会学術用語検討委員会(1995)
「自立(independence)とは、人間が自らの判断で自分自身の生活行動をとり、健全な生活を営むことができる状態をいう。健康障害時には日常生活行動が制限されたり心理的依存が生じたりするので、自立のレベルが低下しやすい。看護職者は、対象の持つ身体的、精神的、社会的能力を最大限に発揮できるよう働きかけ、自立を促進するよう看護する」
〇バート・J・コロピー(1995)
「自立とは、思想と行動の自由、自己への不可侵性、信念や価値観を選択する自由、個性的・特異的・あるいは風変わりであっても自分自身のモラルに基づいて暮らしていく権利である。自立の実践上の同義語である『自己決定』のポイントは、強制や規制と干渉からの自由にある。つまり、虚弱であったり、障害があったり、衰弱して死にかけているときでさえ、自分の意思によって自分の生活のありようを決定するという理念である」(岡本祐三・秦洋一訳「自立支援とは何か」1999,日本評論社)
○樋口恵子(1998)
「(これまでの自立は)身のまわりのことを自分でできて、職業を持って、その収入で暮らしをたてる。つまり、身辺自立と経済的自立の二つを達成しないと自立したとは言えないということでした。……自分でできないことは人に手伝ってもらってよい、誰にどのように手伝ってもらいたいかも自分で決めてよい、自分の生活の一こま一こま、人生を自分で選び、決定することも自立なのです。」(樋口恵子「エンジョイ自立生活」1998,現代書館)
○河野勝行(1985)
「(自立とは)独立した社会的人格としての自己の身体・生活・人生の主人公になりゆくことだといえる。他人のではない、自分の人生を生きることなのである。それは、自らの人生・生活のめあてや目標を立て、手だてを考え、自律的に遂行し、その実現に向けて自己を指導していくことであり、それに必要な認識・活動・感情及び人格・それぞれの力量を獲得していくことである。」(斉藤茂男編著「生命かがやく日のために」1985,共同通信社)

 そして、日本では、これらの自立観の源流は、1980年代初頭にさかのぼる。

 1980年厚生省社会局に、大きな起爆力を秘めた、小さな研究会が設けられた。「脳性マヒ者等の全身性障害者問題研究会」。 厚生省、学識経験者、障害当事者団体が同じ土俵で論議する、当時としては前代未聞の研究会であった。
ここで「自立」という概念が確認された。
①真の自立とは、人が主体的・自己決定的に生きることを意味する。
②自立生活は、隔離・差別から自由な、地域社会における生活でなければならない。
③生活の全体に目を向けなければならない。
④自己実現に向けての自立が、追求されなければならない。
⑤福祉の主体的利用でなければならない。
 この研究会がきっかけになって、1年後には省内に障害者生活保障問題検討委員会がつくられた。 2年後には大臣の私的諮問機関、障害者生活保障問題専門家会が生まれた。それが、障害基礎年金の創設や身体障害者福祉法改正の原動力にもなっていった。法の目的が「更生への努力」から「自立と機会の確保」に変わった。研究会の成果は『自立生活への道-全身性障害者の挑戦』『続・自立生活への道』(全国社会福祉協議会)にまとめられ、この分野の"バイブル"になりました。委員長をつとめた仲村優一さん(当時、社会事業大学教授)は、次のように書いている。
「 『自立』とは、福祉サービスを受けないですむようになることを意味するものではありません。どんなに重度の障害者であっても、地域で主体的に生きる、自己実現をはかることこそが、ほんとうの自立であるはずです。したがって、サービスを主体的に遠慮なく利用できるようになっていなければなりません。」

 20世紀後半に打ち立てられた「自立」はそのような豊かなものである。

Category: 未分類
2008/10/21 Tue
 21日は四天王寺の「お大師さん」の日。
 
 私も休暇をとり、午前中、介護保険料に怒る一揆の会や、年金者組合、社保協などがとりくんだ「後期高齢者医療制度廃止・お大師さん宣伝行動」に参加した。

年金者組合大阪府本部の松井委員長
 Image038.jpg


 
 歩道は、四天王寺や一心寺にお参りするお年寄りたちで一杯。何千人という数である。みんな穏やかないかにも寺詣での善男善女である。

 ビラ配布をする一揆の会・宮崎代表
 Image035.jpg


 しかし、後期高齢者医療や保険料年金天引きに対する怒りはすさまじい、ビラの受け取りや署名もすごく反応がよい。立ち止まり深々と頭を下げて、「こないだも署名させていただきました。ホンマに年金天引きたまりませんわ。よろしくお願いします」と言っていかれる老婦人のすがるような目に胸が一杯になった。

 
Category: 介護保険料
2008/10/20 Mon
 以前から支援させていただいているケアマネ労災問題。
 このケアマネさんは、堺市の介護保険事業者指導室で、給付適正化調査の非常勤職員として、06年から勤務した。その前は、週3日堺市の介護保険認定調査員をしながら残りの日はケアマネジャーとして事業所に勤務していた。ところがその事業所で不正が発覚。
 市当局は、このケアマネも不正に関与していたと疑い、その後調査業務から外し、内勤の事務にまわす、仕事とりあげ状態に。さらに06年末には「首切り通告」(雇い止め予告)まで行う。
 不正事業所はこのケアマネを唯一の常勤ケアマネとして事業者指定を受けていた、虚偽の指定受領であり、名前を使われたケアマネは被害者でもある。
 この事業所は大阪府により「指定取消処分」を06年8月に受けたが、返還額はごくわずか。常勤ケアマネ不在は証拠も明白で、虚偽の指定申請であるのに、処分の対象にしないという中途半端さ。全容解明にいたらなかった、この大阪府と堺市の指導監査が大問題である。このケアマネが不正関与の疑いを晴らせなかった背景には、この指導監査の怠慢がある。

 ところが、堺市当局は、本人に事情を聞くことも釈明の機会も与えることもせず、仕事を取上げ、首切り通告まで行った。この通告は後で、労組の抗議により撤回されたが、ケアマネは精神的にm極限にまで追い詰められた。年が明けて1月には、ケアマネは文書で上司(福祉推進部長)に「疑いを晴らしてください」という内容の長文の文書を提出。私もこれに立ち合わせていただいた。返答を約束した部長は何もせず放置。ケアマネはいよいよ精神的に追い詰められていく。
 ケアマネはついに07年2月、「不安抑うつ状態」と診断され、出勤できなくなる。そしてその後1年間、勤務できず、今年3月に市当局は「勤務不良」として首切り(雇い止め」を強行。

 この間、ケアマネは、「病気は業務によるもの」として、労災(公務災害)認定申請を行うが、堺市当局は「公務外」と門前払い。

 このため、今年8月に「異議申立て」を行う。さらに堺市個人情報保護条例に基づき、認定関係書類の開示請求を行う。ところが、堺市は、認定にあたって「医学的所見」をのべた「専門医の氏名」は不開示。さらに業務に起因せずとの判断の根拠となった「上司・同僚の証言内容」も不開示処分とした。

 これについても堺市個人情報保護審議会に異議申立てを行った。
 今回これに対し、堺市人事当局から市長名の「弁明書」が届いた。
 ここからが本題。

  なんと、非公開の「理由」が、「上司・同僚の証言内容」を開示すると、異議申立人(すなわちこのケアマネが、上司・同僚が「いわれなき誹謗中傷」を行ったり「脅迫」を行うことが懸念されるというのである。「医学的所見をのべた専門医の氏名」も開示すると、不満をもつ支援者(これは私たちのことか)が、医師に圧力を加え「通常の医師としての診療活動を妨害する」というのである。

 堺市人事当局は、何を言っているのかわかっているのか。「脅迫」はりっぱな犯罪である。「医師の診療活動妨害」は威力業務妨害というこれも犯罪である。開示すると、そのケアマネや私たちがそうした行為をおこなうことが懸念される、というのである。

 人を犯罪人扱いする荒唐無稽な暴論である。このようなありえない「理由」で不開示にしたことはとうてい許せない。人をばかにするのもいい加減にしてほしい。これこそ、誹謗中傷であり、名誉毀損もはなはだしい。
 
 自らの指導監査不十分を棚に上げて、ケアマネの不正関与を疑い、仕事を取り上げ、首切り通告まで行い、病気になるまで追い詰め、今度はさらに犯罪人扱いである。 まともな人間のすることではない。

かくして、私自身もこのケアマネとトコトン闘う決心がついた。
Category: 堺市政問題
2008/10/19 Sun
 10月18日・19日と第9回地方自治研究全国集会が京都で開かれた。
 わたしは、第11分科会「あんしんして暮らせる介護保障-介護労働者に誇りと生きがいを-」の運営をお手伝いさせていただいた。
 分科会そのものは、施設からの報告あり、ヘルパー、ケアマネからに報告ありで、内容豊富なものだった。
 しかし、これでよいのか?という思いが強く残った。
 まず、自治体の「介護職員」と呼ぶべき人々が激減し、自治労連でも岩手などごく一部しかいなくなっていること。
 かといって、役所の介護保険担当課の組合員の参加はごくわずかしかないこと。
 とくに地域包括支援センターは自治体の公的責任からいっても自治労連の主要課題であるのに参加者がいないこと
 などなど、・・・
 
 分科会運営にあたっても外部の方々にレポート報告をお願いしながら、謝礼等一切ないばかりか、一般参加者と同じ参加費まで徴収するという運営など、常識的にどうかなという点や、いかにも役人組合的な官僚的で融通の利かないところが目に付いた。レポート報告者にはずいぶん失礼な対応になってしまった。

 「公的責任」「自治体直営」を口にするだけでは、住民の支持を得るのは困難。
  
 大胆に自己脱皮するべきときだろう。
Category: 介護保険見直し
2008/10/18 Sat
 朝日新聞によると、介護保険の金余り=保険料取りすぎの実態が明らかになった。

介護保険料、自治体の6割「余剰」 利用見込み下回る
 65歳以上の高齢者が市区町村などに納めている介護保険料は、約6割の自治体で使い切れずに黒字となる見通しであることがNPO法人・地域ケア政策ネットワーク(代表理事、大森弥・東大名誉教授)の分析でわかった。サービスの利用が自治体の見込み通り進んでいないためとみられ、来年4月の保険料改定に向けた課題となりそうだ。

 同NPOメンバーの学識者と自治体職員が、介護保険を運営する市区町村や、その広域連合すべて(1669自治体、07年10月時点)のデータを分析した。

 高齢者の介護保険料は、自治体が予測した3年間の保険給付の見込み額に基づき、その一定割合をまかなうように決めている。そこで同NPOは、実際の給付額から本当に必要だった高齢者1人あたりの保険料(必要額)を算出し、徴収している保険料と比べてみた。

 その結果、必要額より保険料の方が5%以上多い自治体が1025あり、全体の約6割を占めた。うち717自治体では保険料が必要額より10%以上多く、20%以上多いところも229あった。

 介護保険のサービスは各自治体が3年ごとに見直し、併せて高齢者の保険料を改定する。現行期間は06年度から今年度末までで「中間期の07年10月時点で保険料が必要額より5%以上多ければ、全体を通じ財政は黒字基調といえる」と、分析した池田省三・龍谷大学教授は指摘している。

 余った保険料は「準備基金」として各自治体に積み立てられ、09年度以降の財源に繰り入れることもできる。

 保険料が余る背景として池田教授は▽提供されているサービスが利用者にとって魅力的でない▽ケアマネジャーの介護計画に十分なサービスが盛り込まれていない――などの実情があるとし、「黒字の自治体は、09年度の保険料改定にあたってサービスの利用が進まない理由を分析する必要がある」としている。2008年10月17日(小野智美、生井久美子)

 高齢者の介護保険料は必要額をどれだけ上回るか(数字は自治体数 07年10月時点)
 
    -20%未満 23
   -20%以上-5%未満 101
   -5%以上0%未満 135
   0%以上5%未満 232
   5%以上10%未満 308
   10%以上20%未満 488
   20%以上    229
   不明       153




第3期事業計画の2年目にあたる昨年10月の時点であるので、即断できないが、06年度の大幅な引上げ(全国平均24%、大阪府平均35%)と、それと逆に制度改悪による給付抑制、さらに「適正化」によるサービス取上げの結果であろう。
 
 来年度の保険料改定に向けて、「取りすぎた保険料を下げよ!」のスローガンも検討すべきである。また、「保険料だけとって介護サービスを使わせないペテンを改めよ!」の要求も欠かせない。
 

Category: 介護保険料
2008/10/17 Fri
 後期高齢者医療保険料は、政府与党のゴマカシの軽減措置により、この10月から一時的に年金天引きがなくなる人がいる。対象所得33万円以下の7割軽減が今年だけ「8.5割軽減」となる人たちで、厚生労働省によれば全国で470万人。大阪府広域連合によれば、被保険者の38%に上るという。

 実際に、後期高齢者医療保険料の天引き欄のなくなった年金振込通知書を見て「あー。後期高齢者医療は廃止になったんやね」と早とちりする人もいる。「何で介護保険料は廃止されへんの」と言う人も。

 これは高齢者が錯覚することを承知の上での悪質なゴマカシである。

大阪府の場合、均等割軽減はこうなる。

均等割軽減
7割軽減ライン    年金168万円
 
 年金 - 120万円(年金控除) - 15万円(当面の控除)
         = 基準額 (33万円以下)

  ⇒ 08年度は 全員 8.5割軽減へ

  ⇒ 09年度は 年金 80万円以下(被保険者全員)が9割軽減


 8.5割軽減措置
     6,900円   (47,415円の 14.5%)

4月  6月 8月
2,300円 2,300円 2,300円
        計 6,900円  (仮徴収)

10月  12月 2月
なし  なし なし
                 合計 6,900円


というわけで、今年10月以降半年間は、一時的に年金天引きがなくなる。

 ところが、来年度は、また復活するのだが、4月からは天引き復活は制度的にできない。来年10月からになるのだが、それまで普通徴収にしなければ、10月からの半年間で1年分の保険料を取られることになる。
 さらに、今年8.5割軽減(6,900円)になった人の全員が来年9割軽減になるわけでない、その世帯の被保険者全員が年金収入80万円以下でないと対象にならず、それ以外の人は来年は7割軽減に戻る。
 年額、1万4224円で、今年の倍以上である。

 そうなると、来年10月から毎回4700円もの天引きになる。

 まさに一時しのぎのゴマカシである。
 この間に解散・総選挙をやれば高齢者の怒りをそらせると考えているのであろう。

 断じてだまされてはならない。
Category: 介護保険料
2008/10/15 Wed
 10月15日は、年金天引きが大きく拡大した日。後期高齢者医療保険料は、新たに、今年3月まで被用者保険の扶養家族だった約200万人が天引き対象に。また、3月まで被用者保険の本人だった人(約35万人)、年金天引き未実施の区市町村の人(約90万人)である。さらに、前期高齢者(65歳~74歳)の国民健康保険料も約300万人が10月から年金天引き対象になる。

 先週からマスコミから、取材協力の電話やメールが寄せられた。
 いままで、マスコミがこの問題を取り上げてくれるのは良いことだと思っていたが、最近はややゲンナリである。

 まず、今頃、天引き天引きと大騒ぎしているが、8年も前から介護保険料は天引きされてきているし、低所得の高齢者の場合、その額は後期高齢者医療保険料よりもはるかに高い。にもかかわらず、マスコミの方々はそのことを知らなかったり、知っていても関心がない。

 とくにテレビに多いのだが、「一揆の会の会員さんで、何か15日に役所に抗議にいくとかそういう行動される方はいませんか」とか、いかにも「絵になるシーン」だけを狙った表面的な取材協力要請である。

 一時の流行のような追いかけ方でなく、この年金天引きの持つ本質的な問題点をしっかり掘り下げて追及していただきたいものである。


 あと、今日は、木っ端役人として、年金天引きに対する多くの高齢者の怒りに触れた。
 
 今回の社保庁の年金振込通知は、後期高齢者医療保険料と国民健康保険料について「多くの場合、口座振替に変更できます」と明記されている。

 このことは、手続きにより、年金天引きがとめられることを広く周知することになり、とてもよいことである(少なくとも、自治体の広報紙の片隅に書かれるよりは宣伝力はある)。

 しかし、後期高齢者医療保険料も国保料も、口座振替に変更できるのに介護保険料だけは、できないのである。

 今日一日、「何で、介護だけできへんのや!」の抗議の声を何回聞いたことやら。とくに、天引きになると扶養家族であっても社会保険料控除に入れられず、税制上の不利益がある。このことも何年も前から介護保険料で問題になっていたのだが、今年になってから、にわかに問題にされている。

 後期高齢者医療保険料は、その点も考慮して、被扶養者についても年金天引きから口座振替に変更が可能となった。しかし、介護保険料はまったく変更できない。

多くの高齢者は怒る
 「何で介護保険だけ、年金天引きをとめられないのか!」

 木っ端役人としては、答えようがない。

 「後期高齢者医療は、制度開始後、大きな混乱があり、参議院でも廃止法案が可決された結果、政府与党で見直しが決められ、年金天引きについて緩和する内容が政令改正で規定されたためです。しかし、介護保険料は、8年前に始まって以降、そのような混乱もなく定着しておりますので、政令改正はされておりません」
 あえて答えるとすればこのようにしか言えない。

 高齢者からすれば
 「そんなら、大きな混乱が起きないと、国民が反発しないと、不当な天引きは見直さないというのか!おとなしくしてたら何時までも強制徴収をやめないということか。なんという政府や」

 ということになる。

 まさにそのとおりである。制度・政治を動かすのは、国民世論である。
 
Category: 介護保険料
2008/10/13 Mon
 大阪社保協が開いた「マスターケアマネジャー養成研修 オープン講座2 ケアプラン点検支援マニュアルはどう『活用』されるか」は、150人以上のケアマネさんの参加で椅子が足りなくなるほどの超満員。
 2本の講義、ケアプランの法令基礎知識のミニテスト、点検支援マニュアルの項目を使ったケアプランチェックの演習、ケアプラン点検のロールプレイとみっちり3時間半。

 感想文のほとんど全員が記入してくれ、100人以上が、次回研修への案内を希望された。

 まずまずの成功。

 ケアプラン点検支援マニュアルをはじめて見たという感想も多かった。
 
 ロールプレイは、2本。一つは「役人が形式的にケアプラン点検をやればこんなことになる」という想定で、これは私も点検者役をさせていただいた。
 もう一つは、「ケアマネ支援の立場にたった、ケアプラン作成指導面接」。ケアプラン点検支援マニュアルの内容を盛り込んだ面接というもの。

 参加者は、役人バージョンは結構ショックだったらしく。感想文には「こんな点検をされたら立ち直れない」というものもあった。

 ケアプラン点検事業そのものは、きわめて危険なものであるし、マニュアルは使い方によっては、ケアマネジャーを締め付けるツールになる。この本質は基本的に理解されたと思う。

 同時に、マニュアルのアセスメントに関する事項を中心に、ケアマネジメントの基礎をわかりやすく振り返ることができるという、『内容的側面』もある。これも、ある程度伝えられたと実感している。

 研修の企画・講師をつとめさせていただいたものとして、若干の反省。

 まず、時間不足のこともあるが、マニュアルの中味を体系的にくわしく説明できなかったこと。

 もうひとつは、ロールプレイのやりとりの解説による後付けがこれも時間不足でほとんど省略したこと。

 次回は、もっと少人数で回数を分けて、じっくりとやりたいと考えている。

 3連休の最後の日に、3時間半、熱心に聞き入っていただいた150人のケアマネさんのまなざしを見て、頼もしさと、愛着を感じた半日だった。
Category: 介護保険見直し
2008/10/11 Sat
 「介護保険問題を考える県民フォーラムinしまね」という集会に招かれた。
 Image031.jpg
 基調講演を仰せつかったので、先々週の日曜日1日かけて資料とパワーポイントを準備した。
 
 ところがいつもの悪いくせで、切符の手配は直前で、前日の夜に駅に行くと
 「新幹線でその時間は、岡山までは指定はとれません」
 「岡山から松江行きの特急やくもも全席指定はとれません」
 「早めに行って並んで自由席に座るしかありませんね」
 三連休の初日ということを忘れてた。

 ということで、5時に家をでて、早め早めの新幹線と特急の自由席に乗り込んだ。

 そうしたら、松江には10時半に到着。集会開始の午後2時までは時間たっぷり。
 市内を走っていた「ぐるっと松江レイクライン」というバスに乗り込んで市内1周。
Image027.jpg


 
 そして松江城天守閣も昇る。
Image019.jpg


 この堀川観光遊覧船は時間がないのであきらめる。
Image024.jpg


 午後2時からは島根県民会館での「県民フォーラム」
Image028.jpg

 高齢化率日本一の島根県の介護実態とがんばる島根県の皆さんに大いに励まされる。
 県内に4校しかない介護福祉士養成校のうち2校が来年4月に廃止されるという。介護従事者の人材確保は地方では特に深刻だ。
 「予防重視型システム」導入の口実となった実態調査が、日医総研の島根県出雲地方の要介護高齢者調査だった。島根県のケアマネさんは繰り返しこのことを研修でやられ、萎縮しているという。

 フォーラム終了後は、またバスで、県立美術館へ行って、宍道湖を望む。残念ながら夕日は見られなかったが、宍道湖を堪能。
Image029.jpg


 午後7時の特急やくもに乗り、岡山経由で午後11時半に帰り着く。

 1日で観光、集会・講演をかけまわった。
 
Category: 雑感・雑記
2008/10/09 Thu
 ケアマネジャーの利用料は、利用者負担ゼロで全額保険給付である。

 ところが、最近、ケアマネジャーに利用者負担を導入する危険きわまりない議論がされている。

 「居宅介護支援については、9割給付にすれば10%の引上げ財源が出てくる。そのためには法改正が必要だが、検討は可能ではないか」(10月3日 社会保障審議会介護給付費分科会 での池田省三龍谷大学教授の発言)。

 「居宅介護支援(ケアプラン作成料)は100%給付、利用者負担ゼロでは利用者NOチェックです。一部負担の導入も検討すべきではないでしょうか!」(中村博彦参議院議員、全国老人福祉施設協議会の「政策提言」)

 さらに、一部の識者からは、
 「日本の介護保険制度は直サービス以外の中間経費が多く無駄が多い」
  として、
 「ドイツの介護保険制度は、ケアマネジャーはいない。今年始まった韓国介護保険でもケアマネジャーは導入されなかった」
  と、ケアマネジャーの存在そのものを「ムダ」とするような議論さえ表れている。

 
 とんでもない話である。

 介護報酬改善の最大な課題の一つは、居宅介護支援費-ケアマネジメントに対する報酬の根本的改善・引上げである。
 2000年の介護保険スタート時、介護保険制度の「要」(かなめ)と言われたが、その事業所(居宅介護支援事業所)の経営実態は、ずっと赤字で、それも二桁である。06年度改定以降もさらに赤字率は大幅に増えている。
 独立の単独事業所など成り立たない、居宅介護支援事業所の大半は併設でないとやっていけない。「中立公正」「利用者本位」は絵に描いた餅である
 制度の要であるケアマネジャーがひとり立ちできない根本的欠陥を放置しておいて、自己負担導入など本末転倒もはなはだしい。

 いろいろ問題はあっても、介護保険が生み出したケアマネジャーは、地域おける要介護高齢者と家族を支える貴重な社会資源である。

 これを正当に評価し、育成していくことこそ、行政の責任ではないだろうか。
Category: 介護保険見直し
2008/10/01 Wed
 今年8月に大阪府が約束していた「訪問介護サービス内容に関するQ&A」の書き換え
 書き換えの約束とともに、「案の段階で示し、意見を聞く」ということも約束していた。
 9月29日に、大阪社保協に対し、「改正案」の提示があった。未定稿で「コピー不可」ということで現時点で公表できないのは残念だが、内容は、なかなかのものである。
 39の問答のうち、24が訂正されている。しかも改正案検討資料には、「社保協からの要望項目」と「根拠資料・参考資料」として厚生労働省の考え方や大阪府の以前のQ&Aも添付されている。

 案の提示を受けた社保協事務局長も感動するほどの真摯な検討姿勢である。
 昨年8月の居宅介護支援事業者集団指導で大阪府が「Q&A」を提示してから、1年間。「書き直せ」と要求し続けてきた一つの到達点である。

 しかし、内容は・・。

 たしかに「紋切り型」は大きく改善されている。全面対象外だった散歩外出介助も算定対象となる道が開かれた。
 しかし、やたらと、「保険者の判断を得て」という言葉がくっついた。
 
 個々の利用者のサービスの保険給付が適切かどうかは、行政(保険者)がすべてを個別判断するわけではない。適切なアセスメントを経て、介護支援専門員が判断すべきものである。保険者は介護支援専門員が適切に判断するための情報提供や助言を行うのが役割である。
 
 いちいち「保険者の判断を得て」「例外的に」とやられては、介護支援専門員の裁量や専門性を否定することにつながる。
 また、ようやく厚生労働省が、ケアプラン点検支援マニュアルが配布されたところであり、保険者である府内市町村の担当者の能力や経験からみても、「適切なアセスメントか」「適切なプラン上の位置づけか」かどうかを個別判断するのは無理であろう。
 
 
 大阪府がこれまでQ&Aで紋切り型に切捨てていた訪問介護サービス内容を今度は、保険者の個別判断に投げ出すことになりはしないか。
 そうして、大半の市町村は、「個別のアセスメントはよくわからないが、府のQ&Aで原則対象外となってるのでやはりダメ」という対応になる危険性がある。

 事実、ある市は、「散歩外出介助の必要性について、うちにはケアプランを判断できる職員がいないので、判断できない。したがって判断できないものは給付対象外とします」と公言するところさえある。

 「保険者の確認」を必要とするのは制度的には「軽度者の福祉用具の例外的貸与」のみである。

 他にもQ&A改正案にはいくつかの重大な問題がある。

 これらについては、大阪社保協介護保険対策委員会で検討し、大阪府に文書で改めて申し入れる予定である。

 国会での質問や、府議会での質問にもとりあげられ、1年以上の取り組みとなった大阪府「Q&A」の改正要求は、最終局面に入った。

 あと、ひとふんばりである。


 
 


Category: 介護保険見直し

プロフィール

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索