2009/06/27 Sat
 要介護認定見直しが四月に強行実施され、さらに前代未聞の「経過措置」が行われて二ヶ月が経過した。

 堺市では、経過措置適用の更新申請者にも、認定結果とあわせ、経過措置適用前の審査判定結果を通知している。

 そこで、「堺市の介護保険を考える会」では、ケアマネジャーを対象に緊急アンケートを行うことになった。
堺市内のケアマネジャーの皆様へ                   
要介護認定見直し問題についての緊急アンケートご協力のお願い

今年4月に要介護認定見直しが実施されましたが、関係者の不安と反発の声の高まりによって、厚生労働省は、4月17日に、更新申請者に限って希望すれば更新前の要介護度で認定できる経過措置を通知しました。
利用者様には、まことにわかりにくく、また、手間と費用をかけて認定調査、主治医意見書、認定審査会をしても、希望と違った結果になればボツになる、というおかしな事態になっています。「時間と金の無駄だ」というお叱りの声さえ聞かれます。

経過措置により、更新認定者には、とりあえず更新前の要介護度が保障されるものの、新規認定申請や区分変更申請の方には、経過措置はなく新方式の認定となり、不公平な取扱いです。

要介護認定見直しについては、厚生労働省が有識者による「検証・検討会」で検討を行うことになっており、経過措置はその検証・検討期間に限って行われることになっており、今後どうなっていくのか予断を許しません。

利用者様、ご家族様の知らないところで、そして私たちケアマネジャーの声の届かないところで進められる要介護認定見直しの検証・検討作業ですが、少しでも現場の声を反映させるために、緊急アンケートを行うことにしました。

このアンケート結果については、集計を行い、厚生労働省と堺市に提出し、要介護認定見直しの検討に反映していただくよう要望する予定です。

まことにお忙しい中恐れ入りますが、貴事業所のケアマネジャー様にご記入いただき、下記のFAXへご回答いただきますようお願い申し上げます。


 要介護認定見直しについてのアンケート
1 あなたの担当利用者の中で、4月以降に認定調査を受けられた利用者数を教えて下さい。
   ・更新(   )件    ・新規(   )件    ・区分変更(   )件
2 見直し後の認定調査に同席されましたか。
      □ はい (   )件         □ いいえ
      ※どちらもその理由があればご記入下さい。
3 新しい認定調査(内容及び選択基準)についてお伺いします。 
  1)内容について
      □適切と思う     □おかしいところがある     □よくわからないあるいは知らない
      ※おかしいと思うところをお書き下さい。
2)調査員の調査方法についてはこれまでと比べてどうですか
    □これまでよりも適切になった    □これまでよりも適切でない   □どちらともいえない
※その理由があればご記入下さい。
4 新しい調査方式での認定結果についてお伺いします。
  1)更新の方の「経過措置適応前の審査判定結果」(通知文の最下段に記載されています)や新規・区分変
更の方の認定結果について、利用者の実態と合っていないと思われる結果がありましたか。
      □ あった             □ なかった   
      ※実際の事例をお教え下さい。
      【更新前】      【更新後】
      要介護・支援( )→ 要介護・支援( )
      不適切と思う理由
2)より適切な要介護度になったと思われる事例はありましたか。
      □あった              □なかった
※実際の事例をお教え下さい。
      【更新前】      【更新後】
      要介護・支援( )→ 要介護・支援( )
 不適切と思う理由
5 更新の場合に適応される、認定の経過措置についてお伺いします。
1)利用者の感想は、どうでしたか。
      □理解され納得されていた     □わからないままケアマネジャーに意見を求められた
      □その他
2)新規申請、区分変更は経過措置対象外ですが、それについてはどう思いますか。
      □ 当然だと思う    □ 不公平である     □ その他 
3)経過措置についてあなたはどう思われますか。
      □ 良いと思う     □ 意味がない    □その他
6 認定調査の見直しについて、ご自由に記入して下さい。



 今日(6月27日午後、堺市内のケアマネジャー有志の皆さんとわいわいがやがやと発送作業。堺市内の居宅介護支援事業所286ヶ所への発送を終えた。アンケート回答は7月10日まで。7月中にはまとめて公表したい。

 
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Category: 介護保険見直し
2009/06/26 Fri
 大阪社保協が7月5日に開催する「大阪府訪問介護Q&A学習会」。
 大阪府内の居宅介護支援事業所の一部に送っただけで大半な反響で満員御礼となり締め切った。
 
 ケアマネジャーの間でうわさになっているらしく、「ヘルパーは散歩介助ができるようになったのですか?そういう研修があると聞いたのですが」「病院の帰りに薬や飲み物を買ってもいいときいたのですが」といった問い合わせが寄せられる。

 大阪府のQ&Aが改正されたことを知っていますか

 「知りません」

 今年4月に開かれた府の集団指導に出ましたか

 「私は行ってません」

 集団指導での配布資料は見ましたか

 「見たことありません」

 うわさで「そうらしい」ということは広まっているが、きちんと根拠資料を自分で読むこと、そして自分の頭で考え解釈すること

 こうした姿勢がないと、ケアマネジャーは行政のいいなりになる。

 アホな役人の「指導」を乗り越えるためには、少なくとも基本的な知識は身に着ける必要がある。

 
Category: 介護保険見直し
2009/06/23 Tue
 明日発売の「議会と自治体」7月号に「介護認定新基準の検証」という小特集が組まれ、私の小論「『介護切り』の実態と撤回へ地域からの共同」も掲載された。
 5月時点で書いたもので、ベースは5月10日に大阪社保協が開いた「要介護認定改悪から利用者を守る対策講座」での報告である。
 
 編集部からの依頼で、できるだけ地方議員のみなさんにもわかりやすいように書いたつもりだが、さてさて・・・。

 介護保険改悪問題を厚生労働省の内部文書や答弁を系統的に批判・分析された日本共産党中央委員会政策委員会の榛田さんからは過分の評価をいただいたが、読み返してみて今ひとつである。

 要介護認定をめぐる運動は、例の「経過措置」によって、問題が表面しにくくなっているためか4月以降、盛り上がりに欠ける。このままでは厚生労働省の思うツボである。
 
 私の小論が何らかの力になれば、と思う。

 
  
Category: 介護保険見直し
2009/06/21 Sun
 6月20日は「広島県労連・介護福祉労働者連絡会」の第4回総会(広島県健康福祉センター)に招かれた。
 
 総会第2部の講演会「介護保険改定で現場はどう変わったか」のテーマで1時間半ほどお話させていただいた。

 広島市では、要介護認定見直し問題で、市から見直し後の方式による審査判定結果(1次判定結果・2次判定結果の要介護度別分布率、変更率など)を公表させると同時に、申請者に対し、経過措置適用前の判定結果を合わせて通知させることを回答させている。しかも4月にさかのぼって通知するという。
 まさに、機敏な運動の成果である。

 広島市は一方では「給付適正化」の先進自治体でもある。
 広島市では給付増により、第2期の途中で介護保険料の引上げを行って以降、市独自の給付適正化を取り組み、ケアプラン点検や事業者指導を通じて不適切給付を指摘し介護報酬の返還指導を行い、事業者を締め付けている。

 当然、訪問介護に対するサービス制限も厳しい。
 
 広島市が07年12月にまとめた「質問事項に対する回答」によると

 同居家族のいる利用者への生活援助では 
 質問:自宅で仕事をしている場合は
 回答:日中就労(自宅での就労を含む。)しているという理由だけでは、同様のやむを得ない事情により、家事が困難な場合とは言えない。・・・

 生活援助では
 質問:クリーニングを持っていく、取りに行く
 回答:ヘルパーによるクリーニングの受け取りは算定することはできない

 質問:独居で一部屋しかない自宅の蛍光灯交換
 回答:蛍光灯交換は、日常生活の援助に該当しない行為であり、算定することはできない

 質問:本人に代わっての振込みはよいか
 回答:日常生活の援助に該当しない行為であり、算定することはできない

 質問:孤老の利用者に対する介護保険制度の説明
 回答:介護保険制度の個々の説明は、訪問介護におけるヘルパーの業務に含まれていない

 質問:区役所への書類(申請書など)を届けることは
 回答:書類を届けるだけなら、郵便等で足りるでのではないか

 まさに、生活援助を中心に「あれもダメこれもダメ」の回答集である。

 講演の中では、大阪府における「訪問介護サービス内容Q&A」を全面書き換えさせた運動の教訓にも触れながら、ローカルルールによる勝手なサービス制限を許さず利用者に必要なサービスを保障するたたかいについて呼びかけさせていただいた。

 参加者からは、「自分たちの市のサービス制限は自分たちでたたかって変えさせていくことが利用者の生活を守ることにつながることがよくわかった」と感想をいただいた。

 がんばれ、広島のヘルパー、ケアマネさんたち。
 

 
 
Category: 介護保険見直し
2009/06/17 Wed
 現職の厚生労働省局長逮捕にいたった障害者郵便不正事件。

 障害者自立支援法を通すための国会議員対策が背景にあったことが各種報道で明らかになっている。

 「国会対策大事」と強調=村木容疑者、障害者団体側に-自立支援法最優先・郵便不正
6月17日4時48分配信 時事通信
障害者割引郵便悪用をめぐる厚生労働省の文書偽造事件で、同省前雇用均等・児童家庭局長村木厚子容疑者(53)=官房付=らが2004年初めごろ、障害者団体幹部に対し、何度も「国会対策が大事」と強調していたことが17日、分かった。
 村木容疑者は当時、障害保健福祉部企画課長として、元同部長(退職)とともに障害者自立支援法案の取りまとめに奔走。元部長は、同年2月ごろ、国会議員から電話で自称障害者団体「凛(りん)の会」の証明書に関する要請を受けたとされる。
 大阪地検特捜部は、同法成立を最優先課題としていた村木容疑者が、国会議員の要請に最大限配慮する必要があると考え、証明書を偽造した疑いがあるとみて調べている。

 他にも当時の厚生労働省障害保健福祉部長が民主党国会議員からの「口利き」を受けて「議員案件」として対応を指示していたことも明らかになっている。

 障害者に「自立支援」の名の下に「定率負担」を押し付けた悪法―障害者自立支援法の背景にある官僚と政治家、そして障害者を食い物にする業者の醜い取引。

 障害者自立支援法廃止はこうした法成立経過からも至極当然の要求である。


 ところで、旧厚生省では、1996年12月に、岡光序治・前事務次官が特別養護老人ホームへの補助金交付に便宜を図った見返りに、現金6000万円などを受け取った収賄容疑で警視庁に逮捕されている。
 
 この岡光氏も当時成立へ準備作業が進められていた介護保険法の推進者であった。

 不正と悪法   今回の事件との共通性を感じざるを得ない。

 岡光事件が起こって以降、当時の厚生省は、地方自治体からの接待の禁止や、自治体が上京した際の「手土産」の廃止など、一連の「改革」を打ち出し、毎年3月31日を「厚生省自己点検の日」としてきた。

 しかし、その後も不正や不祥事は後を絶たず。
 報道によれば

 「人事院が今年4月に発表した08年の国家公務員の懲戒処分数では、免職、停職、減給、戒告の処分を受けた公務員は全体で593人。このうち厚労省は免職6人を含め106人と、府省別で最多となっている。」

 不正と悪政・悪法は一体のものであろうか。


Category: 社会保障問題
2009/06/14 Sun
 ややこしくて中途半端な加算が多い今年度の介護報酬改定。
 過去二回の報酬改定では見られなかったような制度の基本運用面で都道府県ごとに扱いが異なる事態が起こっている。

 改定の趣旨が不明確な上に、その趣旨も捻じ曲げるような解釈通知を厚生労働省が出しながら、明確な方針を示していないことによる。

  ここで立場が問われる。

 制度を積極的に活用し、運用面での改善を拡大する立場で動くのか、それとも逐一役所(保険者)に伺いをたたててその指示に従うのか。

 たたかうケアマネジャーの立場は前者である。

 大阪府の通知(平成21年6月1日付け事業指第1121号)
「2 取扱いが明確化されていない事項に係る報酬算定の方法について
・詳細な取扱いが示されていないために、報酬算定の可否について困惑するような事項については、適切なアセスメントと今回の報酬改定の趣旨や要件等に照らして、合理的、かつ、妥当性があると事業所自らが判断した場合には算定しても差し支えない」

 ケアマネジャーや事業所の合理的判断による算定を尊重するという、当たり前のことであるがケアマネジャーの専門的判断や裁量を認めた画期的な通知である。

 これが、「国へ照会中のグレーゾーンについては事業者の責任において算定していただいて結構です」という集団指導での大阪府の説明の考え方である。
 
 これはケアマネジャーは活用すべきである。
 たしかに同通知には、保険者が不適切と判断する場合はその指導に従うこと、報酬算定の解釈を曲解するなどの行為は処分の対象となることも明記されているが、事業者自身の合理性・妥当性判断による算定を尊重するこの大阪府の姿勢は評価されてよい。

 同時に、報酬改定の趣旨、要件を正しく理解し、合理性・妥当性を個別事案について判断できる力量がケアマネジャーに問われることになる。
 
 ところが、そのケアマネジャーの中にこんなことを言いまわっている方がいる。
「『うわさ』や『怪情報』に惑わされず、判断に迷うことは、自ら〇〇市介護保険課に確認しましょう」
「厚生労働省が何と言っても、大阪府が何と言っても、最終的には保険者判断であることが多い。・・・最終的にはケースバイケースであることもあるので、直接確認するくせをつけましょう」等々。

 事業所のために「安全策」をとりたいという気持ちからであろうが、判断に迷ったらすべて保険者に聞く「くせ」など付けるべきでない。

 法令、制度の趣旨を自分のアタマで理解し、利用者本位の立場で、そして制度を活用する立場で行動することができるかどうかが大切である。

 御用団体のケアマネジャーならいざ知らず、民医連のなかからこのような主張が飛び出すとは残念至極である。

 
 

 
Category: 介護保険見直し
2009/06/13 Sat
 
 昨日(6月12日)のケアプラン点検問題検討会で、大阪市のケアプラン点検の現状について報告を受けた。

 今年度になってもあいも変わらず形式的な点検に終始している。

 大阪市は、事前提出方式でなく、事業所出張方式で現地点検を行う。ケアプラン点検専任の非常勤のケアマネジャーと市担当者ら3~4人が訪問。

 なぜこの事業所にやってきたかは返答せず。

 点検するプランは大阪市が勝手に選ぶ6件。国保連の介護給付費適正化システムのデータから、大阪市が「アヤシイ」と判断した事例のプランを指定する。限度額いっぱい利用しているケースとか、自社のホームヘルプサービスのみ利用とか、1日に複数回ヘルパー利用しているとか、デイを毎日利用とか、である。

 過剰サービス利用のプランチェックであることがミエミエである。

 6件のプラン・記録を市の職員が点検する間、事業所のケアマネジャーらは、他の部屋に追い出され、別室で待機。それでも時々「質問」と聞きに来る。

  2時間程たってから調査結果について「指摘」を受ける。

 市自ら「細かいことになりますが・・・」といろいろ細かいことを言う。

 「相談受付表に居宅の図面が抜けている」 →そんなもん、どの通知にも規定されていないぞ。

 「1表の総合的な援助の方針について、緊急連絡先が抜けているものがある」 →厚生労働省通知では、「あらかじめ発生する可能性が高い緊急事態が想定されている場合」に記載するのが「望ましい」とある。何も全ケース記載が義務付けられているわけでない!

「短期目標の記載が〇月〇日~〇月となっていて、達成期日の日が抜けており、その月の末日なのか不明確なものがあった」→厚生労働省通知では「終了期間の特定できない場合等にあっては開始時期のみを記載する等としてと取り扱っても差し支えない」とされている。日が抜けたぐらいでここまで細かく言うか!

 「モニタリングの際に抜けている短期目標があった」→家族がおこなう目標のことのようだが、そんなもんまでいちいちイチャモン付けられると、本人や家族、インフォーマルを含めた総合的なプランで短期目標が多くなればなるほど、細かいモニタリング洩れが発生することになるではないか!

 「サービス担当者会議は、デイ利用の際やヘルパーがサービスに入っている際などに工夫してやればよい」→ 大阪市はそう言うが、利用者がデイ利用時やヘルパー利用時に担当者会議をやればその時間のサービスはカットになると大阪府は指導しているでしょうが。利用者が介護保険でサービス提供されているときに利用者出席の担当者会議などまともに開けるわけがないでしょう。とにかく「形だけ会議しておればよい」という指導姿勢だからこんなトンチンカンなことを言う。

 「契約書・重要事項説明書の苦情受付窓口の名称変更があるので、HPで確認して変更すること」→行政が勝手に課の名前や組織変更したことに原因があるのでしょうが。HPで確認せい、と言う前に「〇〇は△△に名称変更になりましたので契約書・重要事項説明書の変更をお願いします」くらいの案内をするのは礼儀というもんやろ!

 こんな重箱の隅をつつくようなケアプラン点検をいくらやっても、不正防止に役立たない。ましてやケアプランの質向上やマネジメント力向上につながるわけがない。

 大阪市は、もう一度厚生労働省の「ケアプラン点検支援マニュアル」を「点検にあたっての基本姿勢」をしっかり読み直して、自分の胸に手をあてて考え直すべきであろう。

 「ケアプランを形式的に点検するのが目的ではないので、空欄があったからといって直ちにそれが問題となるわけではありません」
 「点検作業は一方向ではなく双方向で行い、保険者と介護支援専門員がともに確認しあう姿勢で臨みます」
 「介護支援専門員が再度点検を受けてみたいと感じることができるよう、保険者として継続的に支援していく姿勢が大切です」
 (以上、厚生労働省ケアプラン点検支援マニュアルより)

 
 
Category: 介護保険見直し
2009/06/10 Wed
 今年の介護報酬改定で導入されたケアマネジャーの居宅介護支援費の「独居高齢者加算」。

 制度化の趣旨そのものは結構なのだが、厚生労働省が、「住民票上単身であることの確認」と通知に明記したことで各都道府県では解釈バラバラである。

 広島県でのQ&Aでは、
「Q長年、毎月訪問し明らかに独居である場合にも住民票での確認がいるのか」
「A独居であることが明白であるという理由で,住民票を徴収する手続きを省略することはできない。」

 住民票主義の典型である。これはアホな県。

さらに、広島県は
「Q同居の配偶者を亡くし,独居となったが,24時間の家政婦サービスを利用し生活している場合,算定可能か。」
「Aこの加算は,アセスメント等を行うに当たり,独り暮らしの高齢者である場合,情報収集などに手間がかかることに対し加算をする趣旨のものである。よって,質問のように,利用者の生活の状況を把握している方から通常の自宅訪問等において情報を得ることができると思われるこのケースについては算定は難しい。」

 家政婦がいたら「家族同居」と同じ、というむちゃくちゃな同居概念の拡大である。

 さらに広島県は、
「Q利用者の息子が,毎日夕方仕事帰りに,母親の様子を見るため母親の自宅を訪問している場合,単身とし加算を算定することは可能か。」
「毎日家を訪問している家族がいるのであれば,厚生労働省Q&AVol.1問68による『利用者の生活状況等の把握や日常生活における支援等が困難であり,訪問,電話など特に労力を要する』状態とはいえないと思われるため,算定不可。…」

 といいながら、とくに労力を要する場合も
「Q次の場合の算定の可否はどうか。①要介護者と家族二人世帯でその家族が障害や高齢又はネグレクト等によりコミュニケーションが難しく家族から情報が得られにくい場合②要介護の高齢者2人世帯の場合」
「A算定できない。」

 あるときは「独居」という形式論で切り捨て、あるときは「労力を要するか」という趣旨論で切り捨てる。
 とにかく算定させたくない、というケチな根性の県である。

 その点、わが大阪府はエライ!

大阪府の説明を以下引用

各市町村・広域連合介護保険担当課長
 今般、居宅サービス等事業者集団指導において口頭説明で、保険者からの問合せがあったものについて以下のとおり補足説明させていただきます。
 なお、集団指導で口頭説明した内容については、大阪府が実地指導等で事業者に対する当面の指導方針であり、給付の対象とするか否かについては保険者の判断となりますのであらかじめご承知置きください。
●独居高齢者加算(居宅介護支援)について
----------------------------------
集団指導においては、以下のとおり説明したところです。
「次に、「(7)独居高齢者加算」についてです。算定要件では、利用者の申出及び住民票での単身世帯での確認という手続きを前提としておりますが、37ページ左側の留意事項※4にありますように、介護支援専門員のアセスメントやモニタリングが優先されます。したがって、本府としては、必ずしも、利用者からの申出の記録や住民票の取得を必要としない取扱いとします。また、ご家族等が、一定期間、住み込みで介護にあたるなど独居状態といいがたい場合もあることから、毎月のモニタリングで生活状況の変化について把握しておいてください。なお、独居の範囲についてですが、例えば、老老介護の場合や同居者が入院中などの場合、別居の親族が一定介護を行っていても利用者の介護や見守りが十分にできないと介護支援専門員が判断した場合、あるいは、利用者が高齢者専用賃貸住宅などに住んでいる場合などについても、厚生労働省に文書で照会中であり、今後のQ&Aに反映していただくよう要請しているところです。」
----------------------------------
【補足説明】
 なお、4月22日(水)AMの集団指導の説明において、「国へ疑義照会中のグレーゾーンについては事業者の責任において算定していただいて結構です。」と口頭で付け加えたことについて補足説明させていただきました。
 この説明趣旨は、国が明確な方針を示さないなかで、
 ①暫定的な独自の解釈を行うのは行政として適切でないということ
 ②報酬算定等については事業者の自己責任においておこなわれるべきものであることから、適切なアセスメントと今回の報酬改定の趣旨・要件等を勘案し、事業所が算定可能と判断した場合には算定しても差し支えないという趣旨です。
 また、保険者として、個別案件について不適切、あるいは、解釈を曲解していると判断する場合には、給付しないとすることを何ら制限するものではありません。
【事業所からのよくある質問に関する府の対応状況】
 グレーゾーンなどの問合せが本府にも相次いでいますが、現時点での対応状況について情報提供させていただきます。
 なお、従来の加算を含めてすべての報酬請求指導に関する指導方針については、今回の改正の趣旨を踏まえて6月中までに全面的に見直しを行う予定です。
1 独居高齢加算(居宅介護支援)の独居の範囲
・算定要件は単身世帯となっているが、そもそも、本加算の趣旨は、独居高齢者のアセスメントやモニタリングについて、家族等からの情報収集が困難であり、特に支援を要する独居高齢者の支援に対する評価を行うものである。
・このことから、ただちに、日中独居であるかどうか、あるいは、老老介護であるかどうか、高齢者住宅等に居住しているかどうかなどで判断されるべきものではなく、例えば、日中独居でも、息子さんの仕事が忙しく、ケアマネが家族からの情報収集が困難な状況などの場合は現時点では加算の趣旨に合致する可能性もある。
・また、高齢者専用賃貸住宅に居住している場合でも、当該住宅の職員がケアマネの連絡体制や見守りなどができる状況であれば、独居相当と言い難い可能性もある。
・したがって、独居の範囲については、現時点では適切なアセスメントで特別な支援が必要かどうかを判断して算定されたい。
大阪府 福祉部 地域福祉推進室
  事業者指導課 指導グループ


「介護支援専門員のアセスメントやモニタリングが優先されます。したがって、本府としては、必ずしも、利用者からの申出の記録や住民票の取得を必要としない」。
「算定要件は単身世帯となっているが、そもそも、本加算の趣旨は、独居高齢者のアセスメントやモニタリングについて、家族等からの情報収集が困難であり、特に支援を要する独居高齢者の支援に対する評価を行う」
「日中独居でも、息子さんの仕事が忙しく、ケアマネが家族からの情報収集が困難な状況などの場合は現時点では加算の趣旨に合致する可能性もある」。

 独居高齢者加算に限っては、現時点での大阪府のこの説明は、全国一素晴らしいものである。

 


 
Category: 介護保険見直し
2009/06/09 Tue
 年金者組合の兵庫県本部から介護保険料問題の学習会の講師を仰せつかった。明日(6月10日午前神戸市内)である。

 兵庫県では介護保険料不服審査請求は4回目を迎えるがややマンネリとのこと。

 神戸市は第4期介護保険料を少しだけ下げた。(基準月額 4694円⇒4640円。 54円の引き下げ)

 そこでせっせと神戸市や兵庫県の介護保険事業計画や支援計画を読みあさる。

 まあ、無能無策政令指定都市のわが堺市に比べれば神戸市の介護保険事業計画は一応計画の体をなしている。(しかしかなり手抜きである)。

 しかし、介護保険料については、大阪市よりも堺市よりもたちが悪い。

 3年前に36.2%もの大幅な引き上げをおこないながら、第3期は大幅な黒字。

 高齢者から集めた介護保険料のあまり(介護給付費準備基金残高)は52.7億円にのぼる。

 しかしである。神戸市はそのうち半分しか第4期に繰入しない。のこり半分は第5期に回すというのである。

 
 これでは大阪市以上にドロボー自治体である。

 高齢者の年金から「介護給付費のため」と称して集めたカネは、余ればすぐに返すべきもの。半分も3年先にとっておくなど飛んでもない話である。


 さらに兵庫県の介護保険財政安定化基金も第3期末で125億2600万円もの残高がある。貸付・交付額はわずかに1300万円。運用率は0.10%である。

 これでは完全な兵庫県庁「埋蔵金」状態である。

報道によれば、


・・・同基金は、兵庫だけでなく、全国の都道府県が設置、運営。国、都道府県、市町村が三分の一ずつ負担している。兵庫と同様の「超過積み立て」が全国で起きており、厚生労働省は超過分を市町などに返還できるように、制度改正の検討を進めている。
 同基金は、三年の事業計画期ごとに国の「標準拠出率」に基づいて積立額を決めている。
兵庫では第一期(二〇〇〇-〇二年度)で毎年二十七億八千五百万円、第二期(〇三-〇五年度)で同六億六千三百万円、第三期(〇六-〇八年度)で同八億千百万円を積み立ててきた。
一方で、交付、貸し付けは第一期で六億五千万円、第二期は三十四億三千九百万円に上ったが、第三期は皆無。県高齢社会課は「見込んでいたほどサービス利用が増えなかったため、各市町とも赤字を免れているのではないか」とみている。
貸し付けが低調なまま残高が増え続ける傾向は全国でみられ、会計検査院は今年五月、厚生労働省に自治体の裁量で基金の規模を縮小できるように、制度改善を求めた。
同省は八月、都道府県の担当者に十分な残高があれば新たな積み立てをしなくてもよい旨を伝える一方、需要を超えた積み立てについて、都道府県の判断で国、県、市町に返還できるよう検討。
当面の積み立て中止で、市町の負担分はわずかながら保険料軽減につながるほか、県の負担分もほかの事業に回せる。ただ、基金を返還できるようになった場合も、同課は「赤字に備える基金なので、(実際に返還するかどうかは)慎重に判断したい」としている。


何が慎重な判断だ。さっさと返さんかい!

明日の学習会はこうした実態で兵庫県の高齢者に決起をよびかけることにした。
Category: 介護保険料
2009/06/07 Sun
 6月7日は一日中こもって堺市政白書「高齢者と暮らし」の執筆作業。

 2000年度以降第1期~第4期の堺市介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画をじっくり読んだ。やはり介護保険制度がとんでもない歪みをもたらしている。

 1993年に作られた「堺市高齢者保健福祉計画」(1999年度を目標年度)は、「だれでも、どこでも、いつでも」必要なサービスを提供できる体制づくりがテーマであった。

 介護保険が始まった当初(2000年~2002年度)もそのサービス基盤整備推進は引き継がれたが、第2期(03年~05年度)、第3期(06年~08年度)にかけて介護サービス利用者が計画値を超えて増加し、27億円の赤字運営となり、第3期には37.5%もの大幅な介護保険料引上げを行った。

 このあたりから行政の姿勢は、いかに介護保険財政を「健全」にするかしか考えなくなった。サービス基盤整備などは二の次である。
 
 堺市は、介護保険施設とグループホームは3年間まったく増やさないなど施設・居住系サービスの整備は厳しく抑制し、さらに居宅サービスの給付適正化(締め付け)をすすめた結果、第3期(2006年度~2008年度)では、計画値を大きく下回る給付となり、前期の借金(約27億円)を全額返済し、さらに生じた「黒字」(2.7億円)により、始めて65歳以上の介護保険料を若干引き下げた。
 これを堺市は、「介護保険事業特別会計の収支状況も赤字運営となることなく前計画の範囲内で進捗しており、一層の健全な事業展開が望まれています。」(堺市介護保険事業計画)と自画自賛している。
 この一連の介護保険事業計画を見ると、堺市の主な政策的意図が、高齢者の介護や福祉を充実させる計画でなく、介護保険財政の収支を改善することを主な目的とした施策運営と言わざるを得ないものになっていることがわかる。こうした行政姿勢によって、堺市の高齢者施策は大きな歪みが生じている。介護保険特別会計の赤字(約27億円)の解消のため、堺市の高齢者は全国の政令指定都市で一番高い介護保険料を取られる一方、必要な介護サービスを受けられず、また介護保険施設にも入れないという「保険料あって介護なし」を押しつけられた。
 堺市は、第4期(2009年度~2011年度)計画でも「健全かつ安定的な運営を目指します。」とその路線を引き継いでいる。
  第4期の3年間の計画では、特別養護老人ホーム、老人保健施設などは若干の整備を行うが、介護療養型医療施設が2011年度に190床まで減少することを差し引きすると介護保険施設全体では、1261床も減少となる。
 さらに、認知症高齢者のグループホームは、この6年間を通じて整備はゼロで、有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護は「介護専用型」は整備数ゼロ、「混合型」も一部を除き新たな整備は行わないことにしている。
 堺市が作成した施設・居住系サービス(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、グループホーム、介護専用型特定施設入居者生活介護)利用者の将来推計も第4期では大幅に下方修正された。
 この結果、国が参酌基準として示した数値(2014年度に「要介護3~5」のうち、施設・居住系サービスの利用者を「37%以下」とする数値)と比較しても堺市の試算は2014年度にはわずか23.4%と、国の参酌基準を14ポイントも超過して削減してしまうことになる。

 現在でも、堺市の特別養護老人ホーム入所待機者は、入所定員2016人を上回る膨大な人数にのぼっている。一人暮らし高齢者世帯や老夫婦世帯は増え続けており、家族介護には限界があり、施設・居住系サービスのニーズはますます強くなるにもかかわらず、このような抑制施策では行き場を失い「介護難民」となる高齢者が続出しかねない。


 結論からいえば、堺市の介護保険事業計画は、単なる施策・事業を羅列しただけの無内容なもので、中心が介護サービスの抑制にしかないものである。
 
 ここまで、自治体の姿勢を歪めてしまう介護保険制度とは、まことにオソロシイ制度である。
Category: 介護保険見直し
2009/06/06 Sat
 6月6日は、朝から学習会。堺市で知的障害者などの成年後見のサポートをするためのNPO「ほっと」の総会プレ学習会。
 障害者の親の方たちが中心のNPOで、学習会のテーマは「介護保険は今どうなっているか」。

 参加の何人かは、かつて障害者作業所づくりでがんばっておられたお母さんたち。

 私が障害福祉課で無認可障害者作業所の補助金を担当していた当時にいろいろお世話になった方たちである。

 低い補助金、苦しい作業所運営の中で、行政に補助金の改善、認可施設づくりを求めてたたかい続け、今日の堺市の障害者施策の基礎をつくってこられた人たちである。

 対市交渉に席であるお母さんが「親亡き後のことが一番心配。子どもより1日だけ長く生きたい。子が亡くなったら私が葬式して、その次の日になら安心して死ねる」と言われたことが今でも忘れられない。 

 当時(1980年代前半)は、養護学校高等部卒業後の進路としての作業所づくり。当時40歳代だったお母さんたちはみんな65歳以上で、「介護保険料世代」である。

 親の老後、そして親亡き後の生活の保障が知的障害の方たちの課題になっている。

 介護保険の現状を語りながら、そして「たたかいなくして老後の安心なし」を語りながら、このお母さんたちはいつまで闘わなければならないのか、とふと思う。
  
 「たたかうのもう疲れたわ」という感想を言われた方もおられた。


 

 午後は、大阪社保協・よりよい介護をめざすケアマネジャーの会第10回総会。
「介護保険9年を問う、そして、これから」と題してパネルディスカッション。

 コーディネーターは大谷大学教授、パネラーは大阪障連協事務局長、ケアマネの会事務局長、ケアマネさん、そして私の4人である。

 ここでも「たたかうケアマネジャー」がテーマに。
 
 「たたかう」とは何も闘争や運動のことではない。利用者のために小さなことでもあきらめず挑戦していく、利用者の立場でがんばる、これがたたかうケアマネジャー、というような話しになった。

 ほんとにそのとおり。

 夕方からは、「ケアマネ白書出版」記念パーティ。

 「月刊ケアマネジマント」6月号に掲載された書評。

 「よりよい介護をめざすケアマネジャーの会」は大阪にあり、自分たちのスキルアップとともに、制度の不備については、行政に働きかける活動を展開する“たたかうケアマネ”集団だ。これまでも、軽度の人の介護ベッド利用や、ホームヘルパーの生活援助の制限など、利用者が困った事例をまとめ、自治体の柔軟な対応を引き出してきた。そのノウハウをまとめた第4章「利用者本位の介護保険利用のポイント」は具体的で、現場や介護者も使える中身だ。
 ケアプランをつくればいい、給付管理をすればいい、というだけでなく、利用者の困りごと全般にまっすぎに向き合う著者たち。「お金にならない仕事をしている」「仕事がパンクしそう」「でも、楽しい」という彼らはケアマネジャーというよりソーシャルワーカーに近い。本書は「白書」の名のとおり、利用者、家族、ヘルパーも含めて取材したり、座談会を行うなどして、9年間の介護保険のよかった点、問題点を洗い出した。ただ客観的なデータはいまいちかもしれない。
 


 
 
Category: 介護保険見直し
2009/06/03 Wed
 年金者組合大阪府本部と介護保険料に怒る一揆の会で、「年金天引き問題」で大きなたたかいをやろうと協議を始めている。

 今夜は2回目の会議。

 最初は、この10月から始まる住民税の年金天引き問題を中心に、年金収奪反対の運動を考えていたのだが、議論の中で、年金そのものについてもっと正面からとりあげたほうがよいのではないかということになった。

 5月26日に厚生労働省が、社会保障審議会年金部会に報告した厚生年金将来水準試算によれば、04年の年金改悪の際に政府与党が掲げた「現役世代の賃金の50%保障」が早くも崩れたことが明らかになった。「100年安心」どころか5年で破綻そいうべきものである。しかも、同試算が「モデル世帯」として50%保障としたのは、20歳で結婚し夫は40年間会社員、妻は専業主婦というものでほとんどありえない想定。単身や共働きでは最初から50%を割り込む。

 20年来続いた年金改悪の行き着くところである。

 さらに消えた年金、社会保険庁解体で、来年1月から「日本年金機構」移行で、年金業務の民営化となる。

 一方で、介護保険料ではじまった年金天引きは、後期高齢者医療保険料・国民健康保険料、そして住民税と何でも年金天引きになった。さらに3年前の税制改悪による年金課税強化で、月12万9000円ほどの年金でも課税となる。

 まさに、年金収奪国家である。

 年金問題を軸に、高齢者をはじめ、現役労働者や自営業者も含めた国民的なたたかいができないだろうか。
 本当は、「年金ストライキ」をナショナルセンターがよびかけてもよいのではないか。

 これが会議の一致点となった。

 きたるべき総選挙には年金問題を一大争点にするような取り組みが必要、そのために大阪で「シンポジウム」のようなものができないか、ということで「呼びかけ文」をつくって、労組や諸団体に呼びかけを行うことになった。

 歴史的な年金闘争を大阪から発信したい。

 
Category: 社会保障問題
2009/06/02 Tue
 膨大なとりすぎ介護保険料(介護給付費準備基金)を残したまま、介護保険料引下げを行わなかった大阪市。

 申し訳ないと思ったのか介護保険料の独自減免の基準を改善した。

 単身世帯であればこれまで年収96万円(月8万円)以下が要件だったが、今年度から「120万円」に拡大した。2人世帯では168万円、3人世帯では216万円である。
 
 大阪市は、減免額も第3段階保険料額の半額に減額するため、第1段階よりも低い保険料に減額される。
 ただし、要件の中に「介護保険料を滞納していない」というのはいただけない。払いきれないからこそ、減免する意味があろう。

 一方、わが堺市は・・・。

 アホの一つ覚えとはこのこと。2001年に独自減免制度をつくってからまったく制度を変えていない。

 収入基準は当初の「96万円以下」にまま。また、減免額も「第1段階相当額に引き下げる」というままである。

 2006年の制度変更で新2段階(非課税世帯で年金80万円以下)が導入された時点で、独自減免は寄りよい方向で検討されるべきであった。

 また、いつまでも生活保護基準(1類2類のみ)の月8万円の収入基準を見直そうとしないのは怠慢というものであろう。
 大阪府内でもすでに「年収150万円以下」を基準とする自治体もあるというのに、である。

 ここらへんが、大阪市と堺市の行政能力の違いであろう。

 時代の変遷に応じて、できるところから少しでも制度を改革していく、このくらいに工夫がほしいところである。

 以上、木っ端役人のぼやきである。
 
Category: 介護保険料
2009/06/01 Mon
 5月30日の札幌での集会でお目にかかった北海学園大学の川村雅則先生に論文をいただいたので、帰りの飛行機の中で一気に読んだ。
「介護・介護労働をめぐる問題(Ⅰ)-北海道の特別養護老人ホームで働く介護職の労働・生活・健康-」と題する論文である。

 読んでみてぐいぐいと引き込まれる、先生には失礼だが「おみごと!」である。

 まず、合計1361人もの特養職員、そして施設長からの調査票の回収である。一研究者の作業としては極めて大きい規模ではないだろうか。論文には資料として回答者から寄せられた「自由回答」を大量に掲載されている。こんなにも多くの介護労働者の本音を集めた文献は他に見たことはない。

 ひとりひとりの介護職員の苦悩や怒り、そして挫折やあきらめの声が伝わってくるようである。

「ユニットケアになったが、隣のユニットが離れているので、職員みんなが、自分のユニットに居たいという気持ちから、だんだん交代で仮眠をとらなくなり、でも何か起こるのはいつものことで、夜勤の間、一度も座らないこともある。日中の決められた業務に一人のため、利用者のオムツ交換はできても一日中自分のトイレに行けない事もあります。疲れもひどく、夜勤にぐっすり寝たいわけではありませんが、最近は自分の身体が心配になります。上司に言ったところで業務に入らない人がわかるわけがありません。最近は疲れすぎて自分の行動すらわけが分からなくなります。何とかしてください。」
「体調が悪くなっても人が少ないためなかなか休めない。休むと仲間たちに迷惑をかけるため休めない。夜勤に仮眠ができる体制にしてほしいです。夜勤に人を増やしてほしいです。」

 健康を害するほど疲れきっている介護労働者を川村先生は「自己犠牲的な労働による限界」として指摘される。
 調査で、「とても疲れる」と回答した介護労働者は身体、神経とも50%を大きく超え、「翌朝に疲労を持ち越す」という披露高蓄積症候群が5割を占める。

 そこで興味深いのは、こうした披露高蓄積症候群が、介護事故や利用者に対する不適切介護に結びつく可能性がある点である。川村先生も「より詳細な検証が必要である」とされているが、
 たとえば「ヒヤリハット」の1月間の有無では、「一晩睡眠をとればだいたい疲労は回復」の人が57%が「ある」に対し、「翌朝に前日の疲労をよく持ち越す」人では71.9%にのぼっている。
 また、利用者への不適切な処遇(憎しみ、強い口調、こづくの有無)についても、同様の傾向がみられる。

 「介護の担い手がこうした状態で放置されているというのは、彼らから介護を提供される利用者にもはねかえってくる問題である」という指摘はまさにそのとおりだと思う。

 とくに回答者全体でも、利用者に「つい憎しみを感じてしまう」ことが「ある」は63%、「利用者につい強い口調で対応してしまう」は81.8%が「ある」であった。また、「利用者をついこづいたりしてしまう」も14.1%が「ある」と回答されていた。

 こうした事態は決して許せるものではないが、個々の職員の資質によるものでなく、「介護現場の人手不足、過重労働や、教育訓練の余裕のなさ」にあるとする指摘もおおいにうなづける。

 「福祉系の学校で学んで様々な希望をもって入苑してくる若い職員が、時間が過ぎるにつれて荒々しい介護に変わって行きます。時間に追われ、業務をこなして行くことで精一杯です。しかし事務所のケアマネ達は技術向上をしないからだめなのだと言います。入苑者はどんどん介護度が上がっていくのに職員の人数は同じか少なくしようとしています。私たちも血も通った人間です。出来ることには限界があります。」
「入所している利用者にもっと十分なケアを行いたいが、職員不足のため、なかなかできない。利用者や家族のニーズにこたえられるように職員間で話し合う時間もとれない。」

「介護の仕事をずっとしていると悲しくなってきます。一生懸命やっていても利用者には届きません。好きでやっていた仕事が今では嫌で嫌で仕方がないです。早く転職したいです。」


 「介護労働者の処遇改善」。

 厚生労働省も政府上層部もこの論文をまず読んで、そして介護現場の声をきいてから始めるべきである。



 

 
 

 
Category: 介護保険見直し

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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