2010/04/29 Thu
 厚生労働省が、ヘルパーの院内介助に関して通知をだした。「平成22年4月28日付け厚生労働省老健局振興課事務連絡」。

 ようやくこの問題が動き出したものと言える。

 この通知(事務連絡)を読んでの私なりのコメントである。

 第1に、この通知の評価できる点である。「院内介助について、一部で、一切の介護報酬上の算定を拒否されているとの指摘もあり、院内介助であることをもって、一概に算定しない取扱いとすることのないよう願います。」と明記したことは、前進である。「病院内はヘルパーは算定できない」という一律的な扱いをしている自治体にとっては、この通知は、そうした制限を撤廃し、必要な院内介助を提供できる道を開くことにつながると言えよう。現場でこの点は活用し、ヘルパーの院内介助を介護保険の対象とさせる取り組みを全国で強めるべきであり、一律に「員会介助はできない」としているローカルルールの自治体は一掃すべきである。

 第2に、この通知の問題点である。この通知は、ヘルパーの院内介助の制限の出発点となった厚生労働省通知(平成15年5月8日老振発第0508001号、老老発第0508001号)の「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により算定対象となる」の規定を前提としていることである。この通知に片隅に小さく記載されているこの一文こそ、「病院内は医療機関の責任であって介護保険のヘルパーは算定対象外」という制限を生み出した元凶である。しかも、医療機関側には外来患者を責任もって介助するべきとの指導も措置もなされていない無責任なものである。院内介助の不当な制限を改善しようというならば厚労省自らこの通知を見直すことが不可欠である。しかし、今回の通知にはこの点についてまったく見直さず「場合により算定対象となる」という文言だけを強調するにとどまる。いくら「場合により算定可能」と言っても、その前段の「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものである」が修正されない限り、「場合により」の場合とはどのような場合かをめぐって混乱を深めることになりかねない。

 第3に、この通知は、「一概に算定しない取り扱いにすることにないように」と一律制限を戒めながら、各自治体のローカルルールを羅列しただけの無責任なものとなっている。
 今回の通知で示された院内介助の要件「①適切なケアマネジメントを行った上で、②院内スタッフ等による対応が難しく、③利用者が介助を必要とする心身の状態であること」についても、厚生労働省の見解でなく、各都道府県・保険者で多くみられる対応事例での紹介にすぎない。「利用者が介助を必要とする心身の状態である場合の例」として、①院内の移動に介助が必要な場合②認知症その他のため、見守りが必要な場合③排せつ介助を必要とする場合 等 についても同様で、単なる対応例の集約でしかない。
 さらに、参考として7つの対応事例が紹介されているが、認知症の徘徊以外の周辺症状でも「見守り可能」(福島県)、ケアマネの判断で「単なる待ち時間」を可能とした対応(神奈川県藤沢市)がある一方で、「実際に介助を行った時間のみ算定(大阪府羽曳野市)などそのニュアンスにも大きな開きがある。

 厚生労働省が07年の通知で課した「院内は医療機関のスタッフで対応」という原則と「単なる待ち時間は含まない」という見解をそのままにしておいて、全国の対応事例を並べても、「院内介助ができない」「『中抜き』により院内付き添いが自費になる」、「長時間の通院介助を事業所が拒否する」という状況は解決しない。

 通院が必要な利用者やヘルパーが求めるのは、介護保険で安心して通院が可能となる制度である。そのためには、07年の厚労省通知の「病院スタッフが対応すべき」という非現実的な線引きの見直しと、同年の介護報酬Q&Aの「単なる待ち時間は含まない」の修正は欠かせない。

 大阪社保協では、5月30日「みんなで院内介助を考えるシンポジウム」を開催し、この問題を全国に発信していくことにしている。



 以下通知文である。


事 務 連 絡
平成22年4月28日

  各 都道府県 指定都市 中核市  介護保険担当課(室) 御中
  

厚生労働省老健局振興課


訪問介護における院内介助の取扱いについて


 標記については「『通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合』及び『身体介護が中心である場合』の適用関係について」(平成15年5月8日老振発第0508001号、老老発第0508001号)において、「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により算定対象となる」とされているところです(ただし、「通院等のための乗車又は降車が中心である場合」の院内介助については、「通院のための乗車又は降車の介助」として包括して評価されます。
院内介助が認められる場合については各保険者の判断となりますが、院内介助について、一部で、一切の介護報酬上の算定を拒否されているとの指摘もあり、院内介助であることをもって、一概に算定しない取扱いとすることのないよう願います。
当課では、この度、院内介助の判断に資するべく、別添のとおり各都道府県・保険者が作成・公表している対応事例を取りまとめました。各都道府県・保険者においては、①適切なケアマネジメントを行った上で、②院内スタッフ等による対応が難しく、③利用者が介助を必要とする心身の状態であることを要件としているところが多く見られ、また、利用者が介助を必要とする心身の状態である場合の例としては、以下のような事例が挙げられておりましたので、参考として活用していただきますよう願います。

【利用者が介助を必要とする心身の状態である場合の例】
・院内の移動に介助が必要な場合
・認知症その他のため、見守りが必要な場合
・排せつ介助を必要とする場合  等



別添
訪問介護における院内介助の取扱いに
係る各都道府県・保険者の対応事例について

【福島県】
○ 通院介助の算定において、アセスメントやサービス担当者会議において院内介助の必要性が明確にできれば、算定できるか。(認知症による徘徊がない場合でも、他の周辺症状のため見守りが必要と判断した場合等)
→ 可能です。


【横浜市】
○ 質問内容
  身体介護の通院・外出介助及び通院等乗降介助を行う場合の院内介助につ
 いて、介護報酬が算定できるのはどのような場合か。
○ 回答
  院内介助は、原則、病院のスタッフが行うべきですが、病院のスタッフが
対応することができない場合で、ケアマネジャーがケアプランに必要性を位置付けて実施する場合については、例外的に算定できます。その場合は、ケアマネジャーが単独で判断するのではなく、主治医等の意見を踏まえ、サービス担当者会議で協議するなど、その必要性については十分に検討するとともに、検討した内容を記録等に残しておく必要があります。
 なお、院内介助を病院のスタッフが対応できるかどうかの確認については、病院の地域連携室等に相談するなど、適切な方法をとるようにしてください。医師等からは文書を出してもらう必要はありませんが、確認した内容は必ず記録に残してください。








【神奈川県藤沢市】
○ 院内介助は医療保険で提供されるべきサービスです。サービスを提供する前に病院側と院内介助の必要性について調整してください。
 なお、調整の結果として病院の医師等に院内介助の依頼書等を書いていただく必要はありません。
 調整の結果、例外的に「単なる待ち時間」を訪問介護としてケアプランに位置づける場合には、次の①、②を満たす場合にあくまでもケアマネの判断により、位置づけることになります。
①利用者の心身の状況を勘案して…。
・そのヘルパーが訪問介護を実施しないと利用者が精神的に不穏になる。
・目が不自由、耳が不自由等
 →ケアマネとして、心身の状況を十分に把握している。
 →いわゆるケアプランにその理由付けがされている。
②利用者の自立生活支援に繋がる。
・サービス担当者会議等で設定(確認)している「自立生活支援」に繋がる
  目標等に院内介助がどういう役割を果たすか、明確になっている。


【大阪市】
○ 以下の確認ができた場合に対応が可能とします。
1 院内介助が必要な状態であることを確認する。
利用者の状態とどのような内容のサービスが必要であるかを明確にすること。
2 院内介助が必要な状態である場合、受診先の医療機関に院内介助の体制があるか否かを確認する。
院内介助の体制がない場合、その旨を居宅介護支援経過に記録する
(対応できない理由、必要なサービス内容。「院内介助が必要」だけの記録では不十分)
3 1、2の状況をもって、サービス担当者会議で検討した結果、利用者の
 状態等から院内での介助が必要であることの判断がなされた場合、サービス担当者会議の記録にその旨を明記すること。



【大阪府羽曳野市】
○ 通院介助についての留意事項
※ 通院介助における院内介助については、原則、院内スタッフにおいて行わ
 れるべきものです。通院介助において、他科受診等があり、その移動に介助が必要な利用者であり、医療機関に院内スタッフでの対応の可否を確認した上で、院内スタッフでの対応が出来ない場合のみ、実際に介助を行った時間(他科受診がある場合等の移動における介助、トイレ介助等)を算定します。(院内スタッフでの対応が出来ないからといって、身体介護を算定できるものではありません。あくまでも利用者の状況によって必要かどうかを判断した上で、院内スタッフでの対応が出来ない場合についてのみ実際介助を行った時間について算定するというものです)。

【大阪府枚方市】
○院内介助について
 原則として、医療機関のスタッフで対応すべきものですが、適切なケアマネジメントを通じて、具体的な院内介助の必要性が確認されている場合には例外的に算定となります。

≪必要なプロセス≫
①利用者の心身の状況から院内介助が必要な理由の把握
②具体的な介助内容(移動介助等)と所要時間
③当該医療機関等においては、当該医療機関のスタッフによる病院内の介助が得られないことが確認された経緯(何時、誰に、確認した内容)
…必ずしも医師への確認は必要ありません。(医事課・看護部等で可)
これらを居宅サービス計画に記載してください。

【宮城県柴田郡柴田町】
○院内の介助は、介護保険の対象となりません。しかし、個々の身体・精神状
 況により、どうしても必要と判断した場合は、アセスメントシートに課題分析をした上でサービスを提供します。課題分析の内容は、①医療機関の院内介助の体制の有無、②精神・身体状況(介助や見守りが必要か)、③家族等の介護体制(家族等の援助があるか)の3点です。居宅サービス計画書には、必要と判断した理由を記入してください。
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Category: 介護保険見直し
2010/04/27 Tue
大阪府和泉市でついにローカルルール是正通知を出させた。1年半以上におよぶ取り組みの成果。大阪社保協事務局長から、「記事書いてね」と言われていてついに今日になってしまった。

とりあえず書いた記事。


和泉市ローカルルール是正を通知
1年半以上にわたる社保協の取組みの成果


 和泉市は今年4月20日付けで、これまでのローカルルールを是正する通知を出しました。
 これは、大阪社保協・よりよい介護をめざすケアマネジャーの会と和泉社保協の1年半以上にわたる取組みの成果です。

 和泉市は、市内事業所の7割もの事業所に対しケアプラン点検などの給付適正化指導を行ってきましたが、他には見られないような規制がありました。
 例をあげると
・ケアプランの短期目標について、一律に「3か月」とし、3か月で見直し、再作成をして利用者・事業者に交付することを強制する (大阪府の指導基準と異なることを承知で事業所に強制していた)
・「買物での外出介助は認められていない」と制限(和泉市では要介護者は買い物外出介助は認めず買物代行のみ。要支援者は買物同行しか認めない)
・散歩介助についても、こうした制限の中でほとんど出来ない状況であった
 こうした制限に加え、市内の一事業所に給付適正化指導を丸投げ委託するという極めて不公正な方法も問題となっていました。
 
大阪社保協では、08年10月以降、給付適正化指導の中で行われる自治体独自の「サービス制限」やケアマネジャーへの締め付け指導について、その実態を調査するとともに行きすぎたローカルルールについて是正させる取組みを行ってきました。
その中で和泉市の異常なローカルルールが問題になり、是正のために「検討会」の開催、和泉市当局への要望書提出を行ってきました。08年12月結成された和泉社保協もこの問題に積極的に取組み、大阪社保協と連携して運動をすすめてきました。09年6月には和泉市内全事業所アンケート、8月には自治体キャラバン交渉で和泉市当局を追求、09年10月には事業所懇談会を開催し、その声をもとに再度要望書を提出しました。そして今年2月の和泉市当局との話合いで、「是正します」と約束させ、そのために通知を出すことを確約させました。

今回の和泉市の通知(「ケアプランの短期目標及びサービス給付に関することについて」)は、3つの是正を明確にしました。
第1は、「ケアプラン短期目標一律3ヶ月」ルールの是正です。和泉市通知では、「今後は全てのプランにおいて一律に短期目標の目安を3ヶ月とするのではなく、利用者の心身状況、取り巻く環境等を考慮した上で、達成する可能性を検討して目標と期間を設定してください。」と多様な期間設定を認める旨の記載となりました。
第2は、散歩介助を認めない扱いの是正です。和泉市通知では「平成21年度の大阪府のQ&Aのとおり、適切なアセスメントやケアプランのもと、散歩の介助ができます。」と明記されました。厚生労働省通知や大阪府Q&Aにより可能となった散歩同行介助について和泉市でも同様に可能であることを初めて認めたわけです。
第3は、ヘルパーの買物同行を要介護者は認めないルールの是正です。和泉市通知は「買い物同行については、適切なアセスメントやケアプランのもと、(中略)要介護度に関係なく行える」と明記しました。これまで和泉市が指導してきた要支援と要介護で区分する扱いはこれでなくなったわけです。
さらに、同通知では、根拠を明確にするためそれぞれの項に関係する厚生労働省通知等の抜粋を掲載しています。

この通知で、3つの点について和泉市ローカルルールは廃止・是正されることになりましたが、今後の指導においてこれが本当に生かされる必要があります。今後も監視するとともに必要に応じて話合いを継続していきます。
また、給付適正化指導やケアプラン点検の手法やその他の制限などについては解決していません。今後も継続して取り組みをすすめ、「利用者本位」とケアマネジャーの裁量が尊重される介護保険の運営を求めていきます。



平成22年4月20日 

各介護保険事業者 御中

和泉市高齢介護室
室長 西出 喜則
                                   (公 印 省 略) 

ケアプランの短期目標及びサービス給付に関することについて(通知)


 平素は、本市の介護保険事業運営にご協力いただきありがとうございます。
 さて、下記において、ケアプランの短期目標、訪問介護員による散歩同行、買い物同行について、当市としての給付等に対する考えをまとめたものです。今後のプラン作成及びサービス提供においてご留意いただきますようお願い申し上げます。





①ケアプランの短期目標について
 ケアプランは言うまでもなく利用者のために作成されるものであり、利用者・家族を含むケアチーム間での共通理解や合意がなされた上で作成されるものです。
ケアプランの目標は、利用者・家族、サービス事業所等がそれぞれの役割を果たした結果、到達する「利用者の姿」をイメージして設定するものです。そのなかでも短期目標は利用者にとって達成できる可能性があり、利用者自身の身体状況や意欲等の維持向上といった具体的な効果が見込まれるように設定するものであると考えております。
これまで、本市においては、利用者が質の高いサービス提供を受給できるようにするため、ケアプランの短期目標は3ヶ月を目安として立案するよう進めてまいりました。しかし、今後は全てのプランにおいて一律に短期目標の目安を3ヶ月とするのではなく、利用者の心身状況、取り巻く環境等を考慮した上で、達成する可能性を検討して目標と期間を設定してください。
つまり、利用者が目標に対する意欲を見失うことのない期間であること、また事業所が個別的なサービス提供を行い、評価や見直しを細やかに行えることが確実にできる期間であることです。
また、今後も、本市の給付適正化事業において、各介護保険サービスの質の向上を目的にプランの期間等も含め、各介護保険事業者と共に考えてまいります。

参考
老企第22号(平成11年7月29日付け)【抜粋】
2-3-(7) 
⑧ 居宅サービス計画原案の作成(第8号)
介護支援専門員は、居宅サービス計画が利用者の生活の質に直接影響する重要なものであることを十分に認識し、居宅サービス計画原案を作成しなければならない。したがって、居宅サービス計画原案は、利用者の希望及び利用者についてのアセスメントの結果による専門的見地に基づき、利用者の家族の希望及び当該地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案した上で、実現可能なものとする必要がある。
 また、当該居宅サービス計画原案には、利用者及びその家族の生活に対する意向及び総合的な援助の方針並びに生活全般の解決すべき課題を記載した上で、提供されるサービスについて、その長期的な目標及びそれを達成するための短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には居宅サービス計画及び各指定居宅サービス等の評価を行い得るようにすることが重要である。
 さらに、提供されるサービスの目標とは、利用者がサービスを受けつつ到達しようとする目標を指すものであり、サービス提供事業者側の個別のサービス行為を意味するものでないことに留意する必要がある。

参考
老企第29号(平成11年11月12日付け)【抜粋】
[2]「目標(長期目標・短期目標)」
 
「長期目標」は、基本的には個々の解決すべき課題に対応して設定するものである。ただし、解決すべき課題が短期的に解決される場合やいくつかの課題が解決されて初めて達成可能な場合には、複数の長期目標が設定されることもある。
 「短期目標」は、解決すべき課題及び長期目標に投階的に対応し、解決に結びつけるものである。緊急対応が必要になった場合には、一時的にサービスは大きく変動するが、目標として確定しなければ「短期目標」を設定せず、緊急対応が落ち着いた段階で、再度、「長期目標」・「短期目標」の見直しを行い記載する。
 なお、抽象的な言葉ではなく誰にもわかりやすい具体的な内容で記載することとし、かつ目標は、実際に解決が可能と見込まれるものでなくてはならない。 

[3](「長期目標」及び「短期目標」に付する)「期間」
「長期目標」の「期間」は、「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」を、いつまでに、どのレベルまで解決するのかの期間を記載する。「短期目標」の「期間」は、「長期目標」の達成のために踏むべき段階として設定した「短期目標」の達成期限を記載する。また、原則として開始時期と終了時期を記入することとし、終了時期が特定できない場合等にあっては、開始時期のみ記載する等として取り扱って差し支えないものとする。なお、期間の設定においては「認定の有効期間」も考慮するものとする。

②訪問介護員による散歩介助について

平成21年度の大阪府のQ&Aのとおり、適切なアセスメントやケアプランのもと、散歩の介助ができます。
利用者が目標を達成するための手段として散歩を用いる場合、ケアマネジャーは利用者・家族や訪問介護事業所とともに、具体的な長期・短期目標の設定を行い、個別的な介護内容がケアプランに位置づけられた上で散歩同行のサービスを提供できるようにしてください。
また、散歩をケアプランに位置づける場合においては、訪問介護以外の他のサービス等の利用も併せて検討することを視野に入れ、目標達成に向けてサービス提供をおこなってください。
尚、散歩が利用者の心身の状態に適したものかどうかは、必要に応じ、主治医等の医療機関と連携して判断してください。

参考 平成21年度介護保険指定事業者集団指導【資料】(大阪府福祉部地域福祉推進室)
   訪問介護サービス内容に関するQ&A(平成21年4月改正版)

【抜粋】

1、身体介護
【利用者の居宅外で行われるもの】
  
8、近所を散歩する

  散歩の同行については、適切なケアマネジメントに基づき、自立支援、日常生活活動の向上の観点から、安全を確保しつつ常時介助のできる状態で行うものについては、利用者の自立した生活支援に資するものと考えられることから、介護報酬の算定は可能である。



平成21年7月24日付け事務連絡(厚生労働省老健局振興課)

「適切な訪問介護サービス等の提供について」(抜粋)

2 例えば、「訪問介護員等の散歩の同行」は、自立支援、日常生活動作向上の観点から、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うものであって、利用者の自立支援に資する(例えば、ケアプランにおける長期目標又は短期目標等に示された目標を達成するために必要な行為である)ものとしてケアプランに位置づけられるような場合については、老計10号別紙「1 身体介護」の「1-6 自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)」に該当するものと考えられることから、保険者が個々の利用者の状況等に応じ必要と認める場合において、訪問介護費の支給対象となりうるものであること。


③訪問介護員による買い物同行について
買い物同行については、適切なアセスメントやケアプランのもと、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について(最終改正:平成17年6月29日 老総発第0629001号・老介発第0629001号・老計発0629001号・老振発第0629001号・老老発第0629001号)で示す、「1-3-3通院・外出介助」又は「1-6 自立生活支援のための見守り的援助」(自立支援・ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)の区分に適用し、要介護度に関係なく行えることを改めてお伝えします。


参考

訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について (老計第10号)
平成十二年三月十七日付け老人保健福祉局老人福祉計画課長通知

【抜粋】
1-3-3 通院・外出介助
○声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への乗降→気分の確認→受診等の手続き
○(場合により)院内の移動等の介助
1-6 自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)
○利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
○入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
○ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
○移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
○車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
○洗濯物をいっしょに干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
○認知症の高齢者の方といっしょに冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。





④その他参考資料
 課題分析についての参考資料です。



 参考
 老企第22号(平成11年7月29日付け)【抜粋】
2-3-(7) 
⑥ 課題分析の実施(第6号)
 居宅サービス計画は、個々の利用者の特性に応じて作成されることが重要である。このため介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に先立ち利用者の課題分析を行うこととなる。
 課題分析とは、利用者の有する日常生活上の能力や利用者が既に提供を受けている指定居宅サービスや介護者の状況等の利用者を取り巻く環境等の評価を通じて利用者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することであり、利用者の生活全般についてその状態を十分把握することが重要である。・・・・(略)

⑦課題分析における留意点(第7号)
   介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、必ず利
 用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、利用者やその家族との間の信頼関係、協働関係の構築が重要であり、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。なお、このため、介護支援専門員は面接技法等の研鑽に努めることが重要である。・・・・・(略)
問 高齢介護室 介護保険担当
  電話0725-41-1551
  FAX0725-40-3441


Category: 介護保険見直し
2010/04/26 Mon
 日本人でなくても介護保険料を徴収されることがある。

 在留外国人で「永住者」「定住者」は65歳以上になれば、外国人登録地の市町村の介護保険の第1号被保険者資格が付与される。

 正確には1年以上在留の人に対し資格取得の勧奨をおこなうのであるが、実務的には資格を付与して、被保険者証を送りつけ、介護保険料賦課決定を行い、納付書を送りつける。

 ある在留外国人。国籍はカナダ。

昨年65歳になって、介護保険料の納付書が送られてきた。高い! 1ヶ月6000円、年間で7万円を超える。しかも、半年間帰国した期間まで、介護保険料がかかり、督促状や催告書が送られてくる。

 役所の窓口で、英語なまりの大阪弁で、「これはナンヤ。私が日本にイナイときは、介護受けられることないのに、ナゼ介護保険料だけとるのか!」

 さらに、

 「国民健康保険料は高いがナットクしてる。病気になれば使うから。しかし、このカイゴホケンリョウは、何の役にたつのか?」

 
「介護保険料は、日本の老人の罰金なのか!」

 ごもっともな言葉だと思う。

 世界の中で、高齢者介護を保険方式で行っている国は少ない。
 ドイツ、オランダ、日本そして韓国くらいのものである。他の国には介護保険料なるものは存在しない。しかも、日本のように高額な介護保険料を高齢者に課している国はない。

 日本の高齢者の罰金か

 世界の常識からすればそうかもしれない。
Category: 介護保険料
2010/04/25 Sun
 大阪・堺市はさわやかな晴れ。沖縄で開かれる「米軍普天間基地県内移設反対沖縄県民大会」に思いをはせ、連帯の気持ち。何もできないが、沖縄風豚角煮ラフテーを食する。通信販売で買った沖縄読谷村産のもの。心だけ沖縄に飛び、「普天間基地即時全面撤去、県内たら回し反対」に連帯する。
 Image369.jpg
Category: 時局争論
2010/04/21 Wed
 先日の北河内地域でのケアマネ・ヘルパー研修の参加者の感想文から

 「訪問介護で平成20年に指導が入り、院内介助は全て返すようになりました。病院で介助してもらえない場合はどうするのか伺うと、「院内は必ず病院で責任を持って介助しないといけない。それができない病院は、大阪府で病院を指導していきます。だから一切、院内介助は介護保険では算定できません」と言われました。それってどうなんでしょうか?」

 これは、明らかに行きすぎた指導である。「院内はすべてダメ」などとはどこにも書いていない。ましてや、医療機関側が介助してくれなければ、当然ヘルパーが介助できるし、すべきであり、介護報酬の対象となる。また、大阪府は病院に「責任もって介助せよ」などという指導は行っていない。明らかなウソである。

 しかし、こんな指導が1件でもある、近隣の事業所に「報酬返還指導」への恐怖が広がり、長時間の院内介助を要する利用者の通院介助はしなくなってしまうであろう。

 研修に先だって行った、北河内地区7市の事業所アンケートでも
 必要な院内介助・見守りが介護保険でできなかった
 ある78.9% ない21.1%


 約8割の事業所が、「保険外」となった経験を持っている。

 コメントでは
「・通院時の独居の方(車イス)待ち時間の算定がされない。(門真市)」
「・通院の中抜け部分(事業所はヘルパーに時給を払い、介護保険からは収入が無い)(枚方市)」
「・長時間の通院介助は行ってくれるヘルパー事業所がなくなっている」

 といってものが多く寄せられた。
 また、「定額制」介護報酬の予防訪問介護では

「通院介助になると、時間がかかるため、行ってくれる事業所がない。(守口市)」
「予防の方でも身体介助を必要とする人は多いが、収益の面で事業所の受け入れが難しい。サービスが1時間でも1時間半でも単位数や報酬が同じなのはおかしい。事業所へ1時間半の依頼をしても受け付けてくれない所もある。(寝屋川市)」

「車椅子に乗っておられる方を病院に着いたからと、そのままにしておいて出て行く事はできない。また、病院側もヘルパーが移動介助させて、あたりまえの様子となっており、周知(病院側)していただかないと対応に困る。(門真市)」

 地域の事業所から悲鳴のようなコメントが多く寄せられた。

 しかし、研修を聴いた参加者の感想文には

「院内介助について私たちの事業所では待合時間もきちんと中抜きし、どのような移動内容であったかを細かく記しケアマネジャーに渡しています。援助時間3時間中抜き『142分』、実績として『身体1』30分などというのがほとんどで、その数字を見るたびにため息ばかりでした。いくら中抜きになったか、事業所としてこんなガマンして適正に介助したぞということを証明することがいいことなんだと思ってしまっていたと思います。 きちんと援助していることを証明していいんだ、これこそが適正な援助なんだと考え方が変わりました。利用者本位の援助とは何かを改めて考えることができました。

 「いつでもどこでも介護保険で安心して通院介助ができる」 こうした制度と運用への改善のたたかいが、今こそ必要である。

 大阪社保協では、5月30日に「院内介助の制限を考えるシンポジウム」を病院関係者の参加を得て開催する。
Category: 介護保険見直し
2010/04/20 Tue
 宇都宮市の老人保健施設で起きた事件。 

 女性介護職員が、自立歩行ができずにベッドの下で四つんばいになっている認知症の女性の姿を携帯電話で撮影し、同僚たちに見せて笑った。このほか、別の介護職員2人が、認知症の女性入所者の顔にペンでひげを書き、携帯電話で撮影した。 施設側の聞き取り調査に対し職員らは「親しみを込めてやった。かわいかったから」と話したという。施設側は3人を訓戒処分とし、始末書を提出させた。 また、男性介護職員は、90代前後の女性入所者を車いすからベッドに移す際、高く持ち上げて乱暴に落としたという。この男性介護職員は既に依願退職している。
 施設側はは、顔に落書きをした女性については、家族に事実関係を報告し、謝罪。他の2人は退所したため連絡を取っていないという。
(以上下野新聞
ところが、今朝の報道では「宇都宮の老健虐待問題で施設側が『虐待でない』と見解修正」という。

 同じく下野新聞(4月20日)によれば、
 宇都宮市平出町の介護老人保健施設「宇都宮シルバーホーム」で介護職員の入所者への虐待とみられる行為があったとして市が調査している問題で、同施設を運営する医療法人「北斗会」の尾崎史郎理事長が19日、記者会見し「不適切な行為があり、利用者にご迷惑をお掛けした。高齢者介護への不信を抱かせたことをおわびしたい」と謝罪する一方、「(一連の行為を)虐待ととらえていない」と、これまでの同医療法人の見解を修正した。
 同法人はこれまでの下野新聞社の取材に対し、同施設で介護職員5人がかかわった4件の行為について「心理的な虐待があった」としていた。
 しかしこの日は、90代の女性を高く持ち上げベッドに落とした行為について「乱暴に落下させてはいない」と強調。入所者のほおに丸を描いた行為も「描いてほしいとの利用者の言葉に応えた」と説明した。
 施設内や家庭での高齢者の虐待が社会問題する中、2006年に高齢者虐待防止法が施行。同法ではそれまであいまいだった虐待の定義を明確化した。たたくなどの「身体的虐待」、わいせつな行為をする「性的虐待」、無視やいやがらせによる精神的な苦痛も「心理的虐待」などと定義し、防止を図ることとしている。
 上半身裸の写真を撮影するなど一連の行為で「精神的な苦痛を受けた入所者もいるのでは」との質問に対し、尾崎理事長は「悪意がなかったため、(虐待に)当たらない」との見解を示した。
 また、同医療法人として外部識者を交えた「虐待防止委員会」の設置を表明。「職員教育の徹底やマニュアル改善などを図る方針を示した。
 市は16日に続いて同日も介護保険法に基づく立ち入り調査を行い関係職員らを聴取。今後は退職した職員らも含め調査を続け、実態解明を進める。


「悪意はなかった」だけで虐待でないと言えるでのあろうか。

高齢者の人権と尊厳がどう扱われたのかの視点がまったくない。

  介護現場の職員の荒廃を促進している要因の一つにこのような経営者の姿勢があるのではないか。
Category: 介護保険見直し
2010/04/18 Sun
 今日は枚方市で「訪問介護サービスと適切なマネジメントを考えるケアマネ・ヘルパー研修in北河内」。昨年4月に大阪府の「訪問介護サービス内容に関するQ&A改正」の内容を伝え、現場と地域で活用するケアマネジメント力をつけるための研修。昨年の7月に大阪市内で開催し、12月に堺市、3月に東大阪市で開催したので、もう4回目である。
 会場には100人以上のケアマネジャー・ヘルパー事業所のサービス提供責任者らが詰めかけた。北河内は7市(交野市、、大東市、寝屋川市、枚方市、守口市、門真市、四條畷市)あるが、そのうち守口・門真・四条畷は「くすのき広域連合」で1つの保険者。

 前半、私が「大阪府訪問介護サービスQ&A改正と活用法」について1時間あまり、お話させていただき、後半はよりよい介護をめざすケアマネジャーの会事務局長が実際のケアマネジメント例に基づいて「ここまでできる訪問介護」について報告した。
 何人もの利用者のすばらしい笑顔とともに、複数通院、散歩同行、院内介助など実に豊富な事例が紹介され、参加者からは大きな感動と称賛の声が寄せられた。

 ハンドブック「ここまでできる!ホームヘルプサービス」と「ケアマネ白書」も会場で完売、参加者の感想アンケートもほとんど全員が提出したいただいた。

 この地域のケアマネジャー、ヘルパーの取り組みが一歩前へ行くきっかけになれば、と願う。

 来週の日曜日には、大阪南部(泉州地域)の貝塚市福祉センターで「訪問介護サービスと適切なケアマネジメントを考えるヘルパー・ケアマネ研修in泉州」。残りは南河内と北摂豊能地域。
 会場の取材に訪れたある新聞記者は「このしつこさは大阪社保協ならではですね」と言っておられた。
 
 しつこく、執念深く、地域に広げていきたいものである。
 


Category: 介護保険見直し
2010/04/17 Sat
 午前中、北河内地域の訪問介護ローカルルールアンケートの報告書を完成。

 桜も終わりなので、午後からは、奈良県の高取城址を観に行くことにした。
 南阪奈道路-バイパス-169号線と走り、高取町へ。
 
 
 ひたすら山を登っていくと森の中から巨大な石垣が次々と出てくる。

 日本三大山城のひとつ。
 
 本丸跡に石碑が立つ。
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 完全な廃城で、残るは石垣ばかりだが、これが半端ではない。ほぼ城の全容がわかるくらい完全に残っている。

 司馬遼太郎の一文
「高取城は、石垣しか残っていないのが、かえって蒼古(そうこ)としていい。その石垣も数が多く、種類も多いのである。登るに従って、横あいから石塁があらわれ、さらに登れば正面に大石塁があらわれるといったぐわいで、まことに重畳としている。
 それが自然林に化した森の中に苔むしつつ遺っているさまは、最初にここにきたとき、大げさにいえば、最初にアンコール・ワットに入った人の気持ちがすこしわかるような一種のそらおそろしさを感じた。」司馬遼太郎 街道をゆく 大和・壺坂道 城跡の森)


 幕末の1863年に、天誅組の変の攻城戦が行われた舞台でもある。中山忠光を盟主とする天誅組は、十津川郷士1000人の参戦を得て、高取城を襲撃したが、地形を熟知した高取藩側は、大砲や鉄砲で天誅組を撃退したという。司馬遼太郎の短編「おお、大砲」に『和州高取の植村藩に、ブリキトースという威力ある大砲が居た。・・三貫目玉を五丁余(六百メートル)も撃ち渡せるという巨砲で、むろん六門とも、高取植村家二万五千石の藩宝になっていた。」とある。実際は時代遅れの陳腐なもので、あまり役には立たなかったが、天誅組撃退に一役買ったことは事実のようだ。


 奈良県高取町の歴史散歩より引用
「幕末、土佐浪士吉村虎太郎等過激な尊王攘夷論者は、勤王の吉野十津川郷士と共に天誅組を結成し、孝明天皇大和行幸に先立って、大和五条代官所を襲撃し倒幕の第一声を放つに至った。天誅組の行動は武力による倒幕の嚆矢として後世に評価されています。 高取藩は植村氏入部の時、将軍家光公より吉野の押さえの任務を与えられ、幕末にその任務を果たす時が来たので、士卒一丸となり城門の備えをきびしく、鳥ケ峰に巨砲ブリキトースを据え、国府神社周辺に鉄砲隊、槍隊を伏せ迎撃体制を整えました。天誅組およそ千人が鳥ケ峰に攻め寄せてきて、高取藩は巨砲ブリキトースを撃ち放ったところ、天誅組は破裂弾に驚き総崩れとなり、わずか一ッ時たらずで勝敗は決まりました。」 


廃城に散りかけた桜がよく似合う。

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 本丸跡から桜の木々を見下ろす。
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この城もかつては、このようなものだったと、高取町観光協会のHPに掲載されている。

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大和高取城鳥瞰図(宇陀門より上)

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「この写真は、明治20年頃大手門より太鼓櫓を撮影された貴重な写真で、日本最大級の山城としてその威容を偲ぶことができる。
国史跡の高取城跡は、大和盆地の南端584mの山頂に天守閣を築き、27の櫓と33の門で守りを固め、天然の地形を活かして要害堅固な近世の山城として築き整備されました。城の築城手法は、平山城様式で今もその難航不落であった壮大な規模の石塁がのこり、その歴史を現代に伝えている。」(高取町観光協会HPより)

 奈良産業大学ではこの高取城をCGで再現している。ぜひご一見を。
Category: 雑感・雑記
2010/04/15 Thu
 訪問介護のサービス範囲について、実にさまざまな解釈がある。

 最近見る機会のあった大阪府寝屋川市のQ&A集 同後篇
 
Q:めがねを調整する為、ホームヘルパーの介助にて、めがね屋に行くことは可能ですか?
 
 A:不可能です。眼鏡を使用している者は、眼鏡が日常生活に必要ですが、眼鏡を調整する為、めがね屋に行くことは、日常生活には含まれませんので介護保険では報酬算定できません。


 
 こんな理屈があるのだろうか。介護保険は、要介護者の「自立した日常生活」を営むことを支援することがその趣旨であるのに、日常生活に必要不可欠なめがねであっても、めがね屋には日常的に行かないから、介護保険は適用できないというのである。

 こんなものも。

 Q:夏物と冬物衣類の入替え、いわゆる「衣替え」を利用者が希望していますが可能ですか?

 A:不可能です。国通知文では「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号)の家事援助2-4「衣類の整理・被服の補修」・衣類の整理(夏・冬物等の入替え等)がありますが、訪問介護は日常生活上に対するサービスであり、いわゆる「衣替え」は大掛かりでありますので、非日常行為に該当し、算定できません。


 厚生労働通知で認めているものまで「非日常行為」として対象外としている。

 
 さらに、

 Q:季節が替わったので、扇風機の掃除後、ストーブを出すことを利用者が希望。独居ですが可能ですか?

 A:不可能です。季節物の出し入れは1年間に1~2回行い、利用者の日常生活上の世話には該当せず、介護保険では行うことはできませんので、他のサービス(有償ボランティアなど)を利用してください。


 日常生活に必要なものでも、毎日やる行為でないと介護保険の対象外という、独特のの「日常生活論」である。

 ケアマネジャーや訪問介護事業所とのやり取りを膨大な量のQ&A集にまとめる労力は大したものだが、この「日常生活論」では、日常生活に必要であっても多くの行為が「不可能」になってしまうだろう。

 
 当該自治体は、「一律機械的に規制していません」「不当なサービス制限は行っていません」と言うだろうが、こうした独特の考え方は、結果として不当なサービス制限をその地域に横行させることになる。

 こうしたものも「ローカルルール」の一つであり、単に「保険者の裁量」ですまされない問題であろう。

 
Category: 介護保険見直し
2010/04/14 Wed
 訪問介護計画は、介護保険のホームヘルプサービスにとって不可欠なもの。

 しかし、ケアマネジャーが作成するケアプラン(居宅サービス計画)とちがって、標準様式も記載要領の国が示していないこともあって、十分な指導や研修は行われていない。

 自らも訪問活動をしながら、サービス提供責任者が何とか作成しているが、多くの事業所では、訪問活動に従事するヘルパーにすら渡されない場合が多い。

 訪問介護をより適切に、そして質の高いものにしていくには、この訪問介護計画の向上なしにはすすまない。

 ところで、大阪府は、この訪問介護計画の「モデル様式」をつくっている。

 そして、「訪問介護計画の作成について」という手引書のようなものを作成している。ところが、作成は「平成14年1月」となっており、それ以降、なんの更新・修正もされずにいまだにHPに掲載されている。8年間もそのまま、その間介護保険制度は報酬改定、基準改定を繰り返してきているが、この手引書はそのままである。

 訪問介護計画の基本は変わらないにしても、家事援助から「生活援助」への用語の変更を始め、介護予防訪問介護の導入や、訪問介護計画書の利用者への交付の義務付けなど、この間の変更は、大阪府の手引書には一切反映されず放置されたままである。
 
 これは怠慢というものであろう。


 内容はともかく、8年間も放置している姿勢に、行政側がいかにこの訪問介護計画について、いかに軽視しているかが表れているように思う。

 

 訪問介護サービス内容については、昨年書き換えられたものの、悪名高い「訪問介護サービス内容に関するQ&A集」を作成して、事細かな規制を行いながら、肝心の訪問介護計画作成の手引書については、放置したまま、というのでは、その姿勢が問われる。

 利用者本位、質の向上にふさわしい、丁寧な行政対応が求められる。
Category: 介護保険見直し
2010/04/13 Tue
 夫に先立たれ一人暮らしとなった要介護2の女性。

 ヘルパーの介助で買物のとき「夫の命日に仏壇にお供えしたいから花を買いたい」

 「介護保険では宗教に関することはできません」

 ひどい。断るにしても言い方があるだろう。亡くなった夫を偲ぶことを「宗教活動」と切り捨てられるだろうか。

 また、こんなことも。

 自宅の玄関の前を長い間掃除していないので、落ち葉がたまり、野良猫か何かの動物のフンまで転がっている。玄関から門扉までは介護保険の住宅改修で手すりはついているが、滑りやすく、転倒したときそのフンにまみれた。

 「玄関の前を掃除してもらえないか」というと

 「介護保険では屋外の掃除は一切できません」

 そんなもんだろうか?

 
 まず、夫の仏壇に供える花。利用者が日常生活に必要な買物の外出の際に、一緒に買うのであれば何の問題もなはずである。
 とくにこの場合い、生活援助の買物代行でなく、身体介護の買物外出買物外出介助なので、厚生労働省の「不適切事例」の通知(平成12年老振76号)も関係ない。

 また、自宅敷地内の玄関前の掃除も、具体的に利用者の日常生活の支障になっているならば当然可能なはずである。

 厚生労働省通知には「不適切事例」として「庭の草取り」はあるが、それはヘルパーがおこなわなくても日常生活に支障がない事例として挙げられているにすぎない。
 また、屋外の手すりが介護保険の住宅改修の対象となっていることからしても当然である。

 まだまだ、こうした不適切な「サービス提供拒否」は広範にある。

 不適切サービスや過剰サービスを規制するあまり、高齢者の在宅生活をより困難にし、尊厳を傷つけるような不適切なサービス拒否こそ改めさせていく必要がある。

 出版された「ここまでできる!ホームヘルプサービス」は、こんな不当なサービス提供拒否をなくすためにぜひ活用してほしい。
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 ご注文は 大阪社保協 へ
Category: 介護保険見直し
2010/04/11 Sun
 厚生労働省が「介護サービス関係Q&A集」を4月7日に送付した。
 介護保険最新情報Vol146

 介護サービスに係るQ&Aは、介護保険開始時から10年以上にわたって出され続けており、相当の蓄積がある。しかし、体系だった整理がなされていなかったため、今般、Q&Aをサービス種類ごとにまとめたものだ。
 Q&A集に掲載されているのは、「(1)人員・設備および運営基準(2)報酬算定基準―の解釈に関するもので、平成21年12月までに文書で示されたQ&Aである。 」とされている。また、削除されたQ&A一覧なるものもついている。

 Q&A集だけで181ページ。よくもここまで出し続けたものと感心しつつ、読んでいったが、サービス種類ごとに分類というが、順番はバラバラでみにくいことこの上ない。確かに発出時期や文書名、番号が付されて検索することはできるが、もう少し親切な編集ができなかったかと思う。

 まあ、181ページのもの1冊あれば全サービスに対応できるので便利にはなったが、これでまた、各自治体の「Q&A至上主義」指導に拍車がかかるのではないか、心配でもある。

 厚生労働省の解説文でも「Q&Aについては、各種法令や告示、通知において規定されている事項について、紺別具体的な運用方法を規定したものであるので、制度の運用にあたっては、必ず、前提となる各種法令等の内容を十分に確認の上、活用されたい。」としている。

 しかし、実際は、法令通知の内容や趣旨を確認せず、Q&Aの字ずらだけで、機械的・一律的に判断する自治体職員も多いのが現実である。

 
Category: 介護保険見直し
2010/04/11 Sun
 昨日、大阪市内で開かれた「介護保険法改正に向けて 政党との政策討論会に参加した。
 主催は、「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪(代表:樋口恵子、白澤政和、高見国生)」 である。
出席議員は
民主党:山崎摩耶衆議院議員
公明党:山下栄一参議院議員
共産党:高橋千鶴子衆議院議員
社民党:辻元清美衆議院議員
みんなの党:川田龍平衆議院議員
 主催者側からは樋口恵子、白澤政和、高見国生の各氏。

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 白澤代表は、「1000万人の輪」が3月31日に厚生労働省に提出したという「提言書」を紹介された。

 「介護保険制度の維持・発展」という基本的立場に表れているように、介護保険制度の根本的欠陥をみないままの提言ではあるが、「当面の改善提言」はその多くが評価できるものであった。
 第1に、現行50%の公費負担割合を徐々に増やし、とりあえず2012年では「60%にする」としたこと。
 第2に、「介護予防」は「介護保険財政と切り離して公費を投入し運営されるべき」、「要支援1・2は介護給付の位置づけにしていくべき」としたこと
 第3に、介護従事者の賃金水準として「年収450万円」を示したこと
 第4に、家族介護を前提とした在宅介護システムを改めることと、訪問介護の「生活援助」「身体介護」を一本化する報酬改定を提言したこと
 第5に、要介護認定は「将来なくす」とし、2012年改正時には現行7区分を「軽度、中度、重度の3区分」にすることを提案したこと。あわせてケアマネジャーの裁量尊重、独立・中立性担保を求めたこと。
 第6に、地域包括支援センターについて介護予防業務を切り離し、運営財源も介護保険制度と切り離し公費とすることで「地域づくりの基盤としての機能」とするよう提言したこと

 各政党代表の発言は、その多くがこの「提言」について、「賛同」「大筋一致」とする内容のもので、白澤教授いわく「これなら、今すぐにでも超党派の議員立法が実現できそう」であった。

 しかし、各議員の発言を聴いていて、いかに介護保険制度について、国政レベルできちんと議論されていないかを表すものが多かった。
 最低だったのは公明党の山下議員である。「介護公明ビジョン」なるものをつくったらしいが、山下議員の発言は、その内容もほとんどふれず、自らの家族の介護体験を語っただけだほとんど内容がなく、途中退席された。
 さらにひどかったのは川田龍平氏である、介護保険のことはコミック「ヘルプマン」を読んで勉強した、と自慢げに語り、あとはほとんどまともな内容はなし。みんなの党の「成長戦略」を語ったり「小沢独裁批判」をしたり「公務員制度改革」を語ったりという具合であった。まだ若いが、政治家としては成長の可能性は全く感じられない、ただの政治屋の道を歩んでいるとしか見えなかった。
 社民党の辻元清美議員は、話の大半が「国土交通副大臣」の立場のもので無駄な公共事業を削減したとか、天下り先を減らしたとかいう話をおもしろおかしく語るだけ。介護保険制度については、ケアマネジャーの養成費を公費でとか、障害者政策のような「当事者参画」を語っていたくらいである。

 山崎摩耶議員は、介護保険制度創設以前からかかわってきただけあって、「介護保険の理念」について語りながら、自公政権によってねじ曲げられたとし、新政権の「いのちを守る」姿勢を強調はしたが、ほとんど具体的な内容はなかった。厚生労働省がHPで意見募集をしたとか、介護従事者処遇改善交付金で1.5万円賃金改善したとかいう程度であった。
 ただ、介護保険法改正には、2012年度の診療報酬・介護報酬同時改定時にやろうとすると2011年の国会に法律を出す必要があり、今年度には内容に議論をしなければならない、というスケジュールだけは具体的に示された。
 共産党の高橋千鶴子議員は、共産党が昨年2月に発表した「抜本的見直し」提言を配布し、それにそいながら、現行介護保険制度の問題点を指摘し、改革方向を示していった。とくに厚生労働省の意見募集が、「給付と保険料負担」の二者択一を迫るものであることを紹介しつつ、公費負担増を主張し、42万もの特養入所待機者の解消、地域主権改革関連法による基準緩和の問題点を指摘されていた。
  
 今の介護保険の現状を見て、このままでいいと考える人や政党はもはやだれもいないだろう。改革への議論が動き出したことは大きな前進である。

 しかし、主催者や与党の2議員もやたら「改革のための財源が」と繰り返し強調したのが非常に気にかかる。
 「新たな国民負担も避けらませんから、その際は、各自の能力に応じて、公正な負担方法を考えていくべき」(1000万人の輪提言)という表現や、川田議員にいたっては「こども手当を削って介護保険に」という世代分断発言など、いかにも危うい。辻元議員も「国民が言うだけの時代は終わった」「消費税も段階的課税もある」など、国民に負担の論議まで吹っかけようとする。

 介護保険は、その財政構造的欠陥(保険料負担と給付水準が市町村単位でリンクする)とただすことになしには解決しない。ただ、これに必要な公費負担は、消費税含め新たな負担を伴うものであってはならない。
 「福祉の財源論」議論は、国のありようにかかわる問題だけに安易な国民負担論は要警戒である。

 現在の国家体制の変革の視点を欠いた、単なる「財政赤字」危機論に便乗した「素人議論」は、危険である。
「公費負担を増やし介護を改善するためなら消費税増税も仕方がない」「増税はいやだから社会保障削減はやむをえない」という、まさに国家的うレベルの「負担と給付」の議論にすり替えられるからである。

 介護の現実、高齢者の現実から出発した地に足のついた「改革議論」「提言」が今こそ求められている。

 

 


 





Category: 介護保険見直し
2010/04/04 Sun
 4月4日午後から岡山市の倉田在宅福祉総合センターで「第10回地方自治研究全国集会」の「介護」分科会の運営委員会。姫路から車で駆けつけた。
 
 私は、今回この分科会の責任者を仰せつかった。自治研集会開催は10月16・17日岡山大学である。

 「介護」の分科会運営員会メンバーは横浜市の職員、岡山市のケアマネジャー、看護師さん、そして私。

 地域も立場も違うので、話はあっちこちに脱線しながらも、何とか分科会の名称や企画も決まった。


 ところで、岡山市には介護保険改悪のとき05年10月に「みんなでかんがえよう新介護保険制度」という学習会に招かれた。

 4年半前のことだが、そのときのことを思い出した。
 シンポジウムには岡山市の介護保険課長も出席され、「デイサービスの食費負担に市補助を!」「補助するのにどのくらい予算が必要なのか」という会場からの要望発言に、電卓をたたいて計算されていた。学習会前に控室でお話をしたとき、「日下部さんは介護報酬引き上げすべきだと思いますか」と聞かれた。

 「そりゃあ、報酬アップしないと介護従事者の待遇改善はできないし、サービスもよくなりませんよ」
 と答えると

 「報酬が上がると介護保険料が上がるでしょ。今から第3期の保険料改定のことを考えると暗澹たる気分になります」

と苦しそうな表情をされていた。とてもまじめな課長であった。
 
 そして、地域包括支援センターも、岡山県が「岡山方式」なるものを提唱し「原則直営」「予防プランの委託も基本的にしない」というような内容を打ち出していた。しかし、岡山市や倉敷市はそれに従わず委託方式となった。

 あれから4年半。
 岡山の介護保険はどうなっているだろうか。 
 
 岡山市のケアマネジャーの方に聞くと、「ケアマネにとって役所は、困難事例を一緒に考える相手でなく、お伺いを立てる存在」と言われる。地域包括支援センターもいまひとつのようだ。

 保険料と給付の間で苦悶されていた介護保険課長はもう変わられたようだが、ケアマネジャーから見た介護保険行政は決して評価は高くない。

 おむつ給付金、高齢者住宅改修、介護家族への見舞金など、自治体独自施策や、自治体の高齢者支援についても、参加していた横浜市、岡山市、そして堺市を比較して、大いに盛り上がった。

 分科会では、岡山市に焦点をあてて、自治体職員、ケアマネジャー、介護者家族にそれぞれ現地レポートを依頼してはどうか、という提案もされた。

 介護保険10年は、05年の介護保険法改悪後の5年を検証する年でもある。それにふさわしい分科会になれば、と思う。そして、介護保険制度のもとで苦悩するまじめな自治体職員の希望となるような内容になればとも思う。
Category: 介護保険見直し
2010/04/04 Sun
 しなければならないことはいっぱいあるが、4月4日には岡山で全国自治研集会の介護分科会の運営委員会があるので、前日から車で遊びを兼ねて、出かけることにした。先週和歌山城で花見をして「城と桜」の魅力に取りつかれたので、世界遺産の「姫路城」を観に行くことにした。

 姫路城の花見に合わせてこんなマスコットキャラクターが。姫路城の別名白鷺城にちなんで「しろまるひめ」というそうな。
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自宅から車でスイスイと2時間ほどで到着。やはり日本一の名城、世界遺産、国宝である。姫路城と桜の組み合わせは見事。携帯の画素数が小さくて美しさを表現できないのが残念。
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 駐車場もお城の周辺も花見客でいっぱい。しかも天守閣は一部改修工事中で見学制限も。
 観桜会、夜桜会ののぼりやポスターがあちこちに。
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夜になると西の丸庭園を無料開放して桜と城のライトアップ「花灯り」と称するイベントが。場外の屋台でコップ酒をひっかけて、ほろ酔い気分で眺める夜桜は最高である。
これも証明不足でピンボケであるが実物はこの数百倍美しい。西の丸庭園内の池に映える夜桜。バックには天守閣のライトアップがそびえている。
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 姫路城の姫山駐車場で車中泊。天守閣のライトアップを眺めながら、桜の木の下で熟睡する。

 明けて、快晴の空の下、花見客もまばらな早朝に、桜に木の下で朝食をとったのち、パソコンで一仕事。
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 さあ、岡山へ出発。午後から会議である。





 
 
Category: 雑感・雑記
2010/04/02 Fri
 介護保険料の不服審査請求では、不当・違法な門前払いを行っている大阪府介護保険審査会。

 要介護認定に関する不服審査請求では…

 介護保険開始後、要介護認定に対する不服審査請求は裁決のうち2割ほどが、請求の趣旨を認める「認容」裁決である。
 少しは「救済機関」の機能を発揮していると言えるだろう。

 最近でた裁決(2010年3月23日付け)では、

 要介護2だったが、状態が悪化ので区分変更申請を09年12月3日に行ったが、10年1月7日付けで「区分変更申請却下」となった処分について、大阪府介護保険審査会の裁決ではこう述べている。

 「しかしながら、請求人は、認定調査が実施された平成21年12月8日以降、容態が急変したとして処分庁に対し再調査を求めたものの、処分庁は結果的に再度調査することもなく、認定審査会を開き審査及び判定を行ったと主張しており、この点について処分庁は認否していない。当審査会が調査したところによれば、請求人が処分庁に対し再調査を求めた事実がなかったとは言えず、処分庁は、請求人の心身の状態を反映するには不十分な情報をもって認定審査会を開催し審査及び判定を求め、同審査会は当該情報のみに基づき審査及び判定を行い、処分庁は当該審査及び判定の結果に基づき本件処分を行ったものと認められる。したがって処分庁は、必要な調査を実施することなく本件処分を行ったおそれがあり、不当な処分と言わざるを得ない。」

 裁決までの過程で非常に大きな問題があったが、少なくとも、必要な調査を行わず行った処分は「不当」とした点は評価できる。

 法定期間の「30日」を超過して結果通知のされる要介護認定が少なくない中、認定申請中、とくに認定調査実施後に状態が悪化した場合は、再調査を積極的に申し出ていくことが必要である。大阪府介護保険審査会によれば保険者がそのような必要な調査を実施せずに認定すれば不当処分ということになる。
Category: 介護保険見直し
2010/04/01 Thu
2000年4月に現在の職場に辞令1枚で配属されてから10年が過ぎた。

その辞令は私の手元にはない。もらったその日人事部長につき返しに行ったからである。

 2000年3月まで、本庁の社会福祉法人の指導監査担当だった私は、監査の中で発見した特別養護老人ホームの2億3千万円に及ぶ不正流用事件をめぐる市上層部との意見対立から、4月の人事異動で、現在の職場に飛ばされた。
 
 巨額の特別養護老人ホーム運営資金を横領した社会福祉法人理事長らの刑事責任を問うべきだ、との我々監査担当の意見を市上層部は押しつぶした。

 
 配転によって排除された私は、「公務員個人」として刑事告発に踏み切った。

 この事件は、理事長らの辞任、市による業務改善命令、不正流用資金の返還のみにとどまり、結局あいまいになった。私の人生をかけた刑事告発は、送検されたものの、3年後に大阪地検は「不起訴」。検察審査会では「不起訴不当」の逆転裁決をかちとったものの、その半年後大阪地検は再び不起訴とした。

 この不当配転から10年。私を支援してくれたある弁護士は、「本庁からの島流しですね」と言われた。

 2000年4月当時スタートした介護保険の担当となった私は、仕事で実現できなかった理想を、もっぱら社会的活動で追及することになった。

 「福祉・介護オンブズネットおおさか」の活動、多くの高齢者とともに始めた「介護保険料に怒る一揆の会」や大阪社保協での介護保険改革の活動などである。

 10年間、まったく出世もせず、職場も仕事も変わらず、ある意味「不当な扱い」を受けてきたかもしれない。

 しかし、私の人生にとって得たものの方がはるかに大きい。

 つまらないことにこだわり、当局にこびへつらい、住民や高齢者を踏みつけにするような公務員より、現在のコッパ役人人生のほうがよかったと思っている。

 多くに皆さんに感謝しつつ、10年の節目としたい。
                                                                                                     
 
 
Category: 雑感・雑記

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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