2010/08/31 Tue
8月30日の社会保障審議会介護保険部会で 検討テーマの一つに「要介護認定見直し」が上げられた。
①要介護認定の簡素化や廃止の是非②区分支給限度基準額や算定対象の見直し である。

 要介護認定は昨年の一連の要介護認定基準の改悪-現場からの反発-修正、という一連の経過を経て、心ある人びとの中に、根本的な不信感がひろがってきた。

 樋口恵子氏や白澤正和氏が共同代表をされている「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」は、要介護認定の「将来廃止、当面 簡素化」を要望している。「3段階への簡素化」も多くの関係者の意見として当面の見直し案としては有力である。


しかし、報道によれば、30日の介護保険部会では、

要介護認定に関しては、「廃止すべき」(勝田登志子・認知症の人と家族の会副代表)
「3段階に簡素化すべき」(木間昭子・高齢社会をよくする女性の会理事)
など、廃止や区分の簡素化の意見と

「認定制度は必要」(土居丈朗・慶大教授)という意見

に分かれたとのことである。

「(介護保険部会では)時間が限られている。要介護認定については、別に一定程度の時間をかけて国民的議論を実施すべき」(結城康博・淑徳大准教授)

介護保険部会とは別の場を設け、じっくりと議論すべきとする意見も多く上がった。

とあり、なかなか 見直しの方向には行っていない。

区分支給限度基準額についても
「前回の介護報酬改定で増えた各種の加算や医療的ケアの利用拡大に対応した引き上げは必要」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会理事)という引き上げ意見と
「財政のことも考慮し、慎重に議論すべき」(藤原清明・日本経団連経済政策本部長。久保田政一・日本経団連専務理事の代理)という慎重論に分かれたと報道されている。


 ある意味、今回の介護保険見直しの議論の中心になるべきが、この要介護認定見直しは、介護保険の根幹にかかわるものであるだけに、抵抗が強い。

 なかでも、池田省三氏や堀田力氏などは「要介護認定は絶対必要」との集会まで開いて「現状維持」を唱えている。

 池田省三氏が、社保審・介護給付費分科会に提出し、介護保険部会にも資料配布されている「意見書」によれば、
 「要介護認定の廃止・簡略化は介護保険制度を根底から覆す」と危機感を表明したうえで
 
 「認定廃止・簡略化は、社会的公正さを欠き、財源の見通しも考えない無責任な論議であり、介護保険の崩壊につながる自殺行為として、明確に否定されなければならない」などと
 ヒステリックに主張している。

 これこそ、「制度維持」だけを自己目的化して、現場や利用者、国民の実態を無視する手前勝手な御用学者の意見である。

 認定のたびに「要支援」「要介護」を繰り返し、右往左往する利用者。
 状態が悪化しているのに、軽度に認定される
 末期がんなのに 要支援と認定
 認定による区分支給限度額は、在宅介護の必要量に足りず膨大な自己負担が発生する

 などなど、現行の認定制度は問題だらけである。

 また、認定にかかわる膨大な手間ひまと経費は介護保険の無駄の最たるものである。

 これを見直そうという議論は、介護保険10年を迎えた現在当然のことである。

 現実を直視した良識と勇気ある議論を期待したい。






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Category: 介護保険見直し
2010/08/29 Sun
 11月に京都で開かれる「ヘルパーの集い」の打ち合わせ会議に出席した。

 「介護保険見直しの動向」についても1時間くらい話してほしいとのことで、レジメを作成し、とくに8月23日の社会保障審議会介護保険部会での「軽度者への生活援助」の保険給付外し問題などについて、詳しくお話しした。

 参加者一同、「ふーっ」とため息。

 「やはり、現場から生活援助がいかに大切か 声をあげな!」ということになった。

 ところで、京都は同居家族のいる場合の生活援助など、かなり厳しいローカルルールがある。

 ブックレット「ここまでできる!ホームヘルプサービス」で最初に紹介した 「同じ区内に家族が住んでいて援助が期待できる場合は、独居でも生活援助は提供できない」という事例。

 本をみた京都の方から「そんなにひどくない」という声があったので、出席されていたヘルパーさんやケアマネさんに聞いてみた。

 「あるある。区内に家族がいて援助できればダメって言われたことある」とみんな口をそろえて言う。

 ここがローカルルールの恐ろしさ。

 同じ市内でも 一部の地域、一部の方たちの間で「できない」とされていても、他では違ったりする。

 「介護保険見直しもいいけど、『ここまでできる!ホームヘルプサービス』の話の方が、集いにくるヘルパーさんたちは元気が出るよね」

 という意見が飛び出し、当日の私の講演内容は、「ここまでできるホームヘルプサービス」になった。午後からの分科会も同じテーマでひとつ設定されることになった。

 さあ、京都からも ローカルルール打破の取り組みがはじまる。
Category: 介護保険見直し
2010/08/29 Sun
光生館から「地域ケアシステムとその変革主体」という新刊本を送ってきた
地域ケアシステムとその変革主体_s

地域ケアシステムとその変革主体-市民・当事者と地域ケア- 【地域ケアシステム・シリーズ③】 著者名 太田貞司編集代表 朝倉美江・太田貞司編著 / 地域ケアシステムの形成主体に焦点を当て,地域ケアシステムを変革する担い手とその担い手たちの活動,さらにその活動がどのように地域ケアシステムとして発展していくことが可能であるのかを全国の事例を通して考える。

1年ほどまえに、ある先生から「地域ケアの本を出すので、大阪の運動のことで書いてほしい」と頼まれた。

「私のやっているのは、福祉・介護の不正告発や、介護保険制度問題で、『地域ケア』というようなものでない」といったんはお断りしたのだが、
「行政や制度の問題点を明らかにし、変革へと働きかけるソーシャルアクションについて書いてほしい」
と言われ、福祉・介護オンブズネットおおさかや大阪社保協介護保険対策委員会での活動、さらに介護保険料に怒る一揆の会についても書いて送った。

 本には、「第8章 ソーシャルアクションでつくるケアとミニマムの質」として収録されている。

 介護保険改定の議論が「地域包括ケアシステム」をキーワードに行われようとしているとき、この本のテーマである「地域ケアシステム」はいくつかの問題提起をする結果になったと思う。
 各地の事例を集めて考える という趣旨の本なので、政府が打ち出している「自助・互助・共助・公助」論に基づく地域包括ケア論への体系的な批判は十分になされているとは言えないが、一読の価値はあると思う。


Category: 社会保障問題
2010/08/27 Fri
8月23日に開かれた社会保障審議会介護保険部会の資料をようやく読み終えた。

「ヘルパーを中心に、介護保険見直しの動向について学習会をしてほしい」

こんな依頼を少し前に受け、最新の資料を、と必死に読んだ。

ひとことでいえば、ひどいものである。

マスコミでは「お泊りデイサービス」が報道されているが、本当の焦点は訪問介護である。

重度者を施設に入れずに在宅で介護するために(これを「在宅限界を高める」というそうである)

訪問介護の課題 
現状の訪問介護は1日当たりの訪問回数が少ないとともに、1回あたりの滞在時間が比較的長い時間となっている

 これだけ、細切れ・短時間化されているホームヘルパーの訪問をまだ「長い」と文句をつける。


○重度者を支える在宅サービスのあり方
 重度者は、排せつ介助、食事介助など、日常生活の中で繰り返し介護が必要な状態になりやすい。こうしたニーズに対して施設では短時間のケアを繰り返し提供することによって対応してきた。したがって、重度者の在宅生活を支えるためには、短時間巡回型の訪問サービスの充実を図る必要性があると考えられる。


 施設の介護職員が居室を巡回するごとく、短時間巡回ケアがあれば、重度者も施設に入らなくてよい、という超短絡発想。
 夜間対応型訪問介護がなぜ、増えないのか、少し考えればそんなに簡単にいかないことぐらいわかるだろう。

○要介護度別の訪問介護(身体介護・生活援助)利用状況
・軽度者ほど生活援助を利用している割合が多い
・要支援者に対して提供されている訪問介護サービスのほとんどは生活援助サービスであると考えられる


○要介護度別の訪問介護(身体介護・生活援助)利用状況 ~行為別の比較
・要支援者に対する訪問介護サービスのほとんどは生活援助であり、要介護1・要介護2の場合でも、身体介護よりも生活援助を実施している時間の方が長くなっている。
・軽度者については、掃除を行っている時間の割合が大きい。また、要支援者から要介護3の者までについては、調理・配下膳を行ってる割合が高い傾向にある。


ここで使われているデータのサンプル数は、要支援1はたった5件、要支援2は13件、もっとも多い要介護3でも49件というわずかな数である。調査実施は厚労省の補助を得て株式会社三菱総合研究所が行ったもの。

 ようするに、軽度者はヘルパーに掃除と食事つくりをさせているだけ、とでも決めつけたいのだろう。

 さらに「費用比較論」へと話は進む。

○生活援助と介護保険外サービスの費用面での比較
例えば品川区では、訪問介護の生活援助(調理)の費用は、保険外の配食サービスに要する費用に比べて、高くなっている
 
 昼食 学校給食を配食 する費用  350円+α
    ボランティア給食      850円(利用者負担350円、行政負担500円)
    在宅サービスセンター給食  900円(利用者負担600円、行政負担300円)
 夕食 地域商店の配達       900円(利用者負担450円、行政負担450円)
  ※費用には材料費・配達費等を含む

 訪問介護サービスに要する費用額(品川区の場合)
 介護保険の訪問介護の生活援助において、調理サービスを提供している
  要支援者の場合 3409円(1回あたり)
 ※週1回程度の介護予防訪問介護が必要とされた者に対して、月に4回介護予防訪問介護を行い、調理サービスを提供した場合(13,636円/月(1234単位))※材料費は別途必要
  

 介護保険の訪問介護サービスでは、材料費抜きで1食3,409円、
 保険外サービスでは材料費込みで 1食350円~900円
 といいたいのだろう。

 さらに「財政論」では、

○要支援者数・要支援者向け介護費
 サービスを受給している要支援者は約80万人 要支援者向け介護費の合計額は約4000億円
○要支援・要介護別の受給者数及び費用額の伸び
「平成18年度以降で見ると、受給者数である要支援者の方が、受給者である要介護者数よりも伸びが大きく、要支援者に関する費用額の方が、要介護者に関する費用額よりも伸びが大きい。このことから、要支援者向け給付の伸びが大きいことが分かる」


これから要支援者の介護費はどんどん伸びるぞ! と脅かす。

 そして、厚労省が打ち出したのが

○「軽度者に対する予防・生活支援のための総合的なサービス」
・保険者の判断により、地域支援事業を活用して、見守り・配食サービス等も含めた、要支援者・介護予防事業対象者向けの予防・生活支援のための総合的なサービスを実施できるようにする
・これにより、財源の効率的な活用を図りつつ、状態像に応じて、軽度者の生活を支えるための総合的なサービス提供が可能になる


 どんなに美辞麗句を並べてごまかしても、要支援者の生活援助に出す介護保険給付はもうなくしたい!というのが本音であり、狙いである。

 しかし、社会保障審議会介護保険部会の論議はこれを簡単に許していない。

以下、キャリアブレインニュースよりの引用


 「軽度者」への保険給付、維持論が続出―介護保険部会
社会保障審議会の介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大教授)は8月23日、介護保険における給付の在り方などをテーマに意見交換した。この日の部会では、掃除や調理といった訪問介護での生活支援など、要支援1・2や要介護度1に認定された「軽度者」へのサービスに対する保険給付については維持すべきとする意見が続出した。
 
23日には、厚生労働省側が▽「軽度者」へのサービスを現行通り保険給付するか、それとも保険給付は、要介護度4や5といった「重度者」に特化するか▽訪問看護と介護の連携の促進▽24時間地域巡回型訪問サービスの創設▽レスパイトケア(介護者が日常的なケアから一時的に離れ、休息するための制度やサービス)の拡充―などを論点に挙げた。
 
 このうち、「軽度者」への保険給付に関しては、「介護保険にも『選択と集中』の考え方が必要なのではないか」(小林剛・全国健康保険協会理事長)など、見直しを検討すべきとする意見も出たが、「国民は軽度から保険を利用できることを支持している。その利用が抑制されると、(介護保険制度は)第二の後期高齢者医療制度になりかねない」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会理事)、「(保険が利用できなくなれば)介護のプロではない人が軽度者をケアする機会が増える。そうなれば、かえって重度化してしまう」(木間昭子・高齢社会をよくする女性の会理事)など、維持すべきとする意見が大半を占めた。



 軽度者の生活援助を切り捨てる改悪案に対し、介護関係者が利用者とスクラムを組んで立ち上がる時である。




Category: 介護保険見直し
2010/08/26 Thu
今日は、2010年度介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料不服審査請求提出行動。

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以下は、ニュース用原稿

438件の不服審査請求を一斉提出
今こそ怒りの声示すとき

 8月26日午後、介護保険料に怒る一揆の会の呼びかけで、年金者組合、大生連などから50人以上が、参加して不服審査請求一斉提出行動が行われました。
 意思統一集会では、共産党大阪府議団から朽原議員が激励あいさつを行い、年金者組合大阪府本部の米田副委員長が「介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料の3点セットで不服審査請求を取り組んで3年。不当な門前払い策動もあるが、これを跳ね返し取り組みを強めよう」と訴えました。
 介護保険料に怒る一揆の会・日下部事務局長が行動提起では
・10年を経て『保険料あって介護なし』の本質を露呈した介護保険制度が、生活援助の切り捨てなどさらなる改悪が狙われている
・後期高齢医療制度は、「制度廃止」の公約を反故にし、高齢者差別の仕組みをそのままにした「新しい高齢者医療制度案」の来年の通常国会で法案提出を狙っている
・国民健康保険では、大阪府は全国に先んじて「保険料の一本化」など広域化を強引にすすめようとしている
・こうした中で、高齢者の怒りを示すことが重要で、不服審査請求運動は絶好のチャンス。大阪府介護保険審査会の不当な「門前払い」(却下)を許さない取り組みを強めよう
・今日の提出行動を皮切りに「保険料通知を知った日から60日以内」ならできるので各地域で審査請求提出を進めよう
 と呼びかけました。

その後、「介護保険」「後期高齢者医療」「国民健康保険」にわかれて各団体・地域ごとに不服審査請求書の提出を行い約1時間かけて、介護保険242、後期高齢者医療93、国民健康保険103 の合計438件の審査請求書を各審査会事務局に提出しました。

Category: 介護保険料
2010/08/21 Sat
 お盆ボケである。

 8月20日は、介護保険料に怒る一揆の会のニュース発送作業と世話人会の予定だったが、パソコンの会議メモに書いたがだけで手書きの手帳に書いていなかったため、すっかり忘れていた。

「一揆の会ニュースの原稿はどうした」
という A世話人の留守電で、
「あっ」と思い出した。しかし、もう遅い。

 すんません。お詫びの電話をかける

 世話人会だけは何とかレジメを作りかけつける。

 集まった世話人さんたちと、同日厚労省が公表した「新たな高齢者医療制度」の中間まとめについて話し合う。

 怒り沸騰。そして、さらに諸悪の根源である介護保険料への怒りへ。

 こちらも 断然、やる気が出てくる。


 そして、8月21日の午後からは地元の「生活と健康を守る会」で介護保険料不服審査請求書き込み学習会へ。

 集まった20人ほどの高齢者の生活苦、介護保険制度への疑問、そして介護保険料への怒りの声に触れる。

 1時間足らずの学習会だったが、終わってから質問が次つぎと出される。

 やはり、地域こそたたかいの源泉。

 介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料の集団不服審査請求は
 8月26日が一斉提出である。

Category: 介護保険料
2010/08/16 Mon
 介護保険料が全国で一番安い自治体。岐阜県加茂郡七宗町を訪ねた。第3期に続き第4期(2009年度~2011年度)の介護保険事業計画期間でも、月額2265円と連続して全国最低額である。

 わが故郷(旧益田郡金山町。現下呂市金山町)とはとなりである。お盆の帰省の帰り道国道41号線のわき道に入り、七宗町役場を訪ねる。担当課は「住民課」、介護保険の担当はお一人とのことで、事業計画策定から認定、資格管理、給付関係まで、保険料賦課徴収以外はすべて担当されている。(保険料賦課徴収は総務課税務係)。
 
 担当の女性職員の方にお話しを伺う。介護保険はなんでもご存知のベテラン主査である。
 
「なぜ、こんなに介護保険料が安いのですか」


 
「介護保険がはじまった当初の保険料は、近隣の町村みんなが2,200円だった訳ではないのですが、足並をそろえようとほぼ同じくらいに調整をしていました。それが、他の町村は、思ったより給付が伸び、次期保険料が増えていきましたが、七宗は、思ったより給付が伸びなかったわけです。うちは介護保険施設が町内になく、在宅サービスもなかなか利用に抵抗があって伸びなかったので、徴収する保険料は基金にたまっていくのです。それを繰り入れるので保険料を上げる必要がなかっただけです。第3期の時は、あちこちの自治体から視察にいらっしゃいましたが、『施設がないので』と説明しました。」



「お元気な方が多いのですか」

「ここでは、高齢でもお元気な方は多いです。『所在不明』問題があったので、町内最高齢の99歳の方を最近お訪ねしたんですが、元気に農作業をされていました。当然要介護認定も受けておられません。ただ、認定率は、最近は岐阜県平均並みになってきましたけど」

 たしかに、同じ岐阜県加茂郡でも富加町は、介護保険料は岐阜県内で最も高い。町内に介護保険施設があること、近隣の自治体(関市、美濃加茂市など)に介護保険施設があり、そこへの入所が可能であるためである。これに比べ七宗町は、施設利用はかなり少ないようで、これが介護保険料据え置きの要因のようである。
 ただ、町内の施設入所待機者は増え続けており、将来は、老健施設の整備も予定しているとのことである。

「第5期も介護保険料は据え置きですか」

「うーん。それは、少しは上げざるを得ないでしょうね」

 という返答であった。

「負担と給付の完全なリンク」。
 介護サービス利用者が増えれば、全高齢者の保険料負担が増える、介護保険の根本的な欠陥である。人口4700人、高齢化率34%の山村である七宗町にもこの矛盾は情け容赦なく、表れてくるだろう。

「農林業の方が多いので無年金者もおられると思いますが、介護保険料の滞納はありませんか」

「それはほとんどありません。2年前までは100%徴収でした。保険料徴収は税の担当でやっているのですが、まず介護保険料ということでお願いしています。七宗町は国保も滞納はほとんどないです。」

 みごとなものである。小規模自治体の「顔の見える関係」とはこういうことであろうか。

「町内の高齢者の状況はほとんどわかります。私は、要介護認定者であれば、ほとんど知っています。」

 ときっぱり言われる。

 町独自の施策もかなりきめ細かい。
例えば、移送(外出支援)サービス。高齢者が通院等に利用できる公共交通機関などほとんどないので貴重なサービスだが、1時間400円で近隣の美濃加茂市内の病院でも通院できるという。
 在宅の方の「介護手当」支給も、要介護3以上の高齢者を介護する家族等に対し、月5000円を支給する。所得要件なしで、介護保険の居宅サービスを利用していても受けられる。

 長時間にわたって、懇切丁寧に説明いただいた担当者にお礼を申し上げて、七宗町を後にした。
 
 同じ自治体職員でも、地域住民との距離が全く違う、と感じた。これがホンモノの自治体職員であろう。
 私のように、都市部の自治体で仕事をしている者は、本当の意味で自治体職員と言えるのであろうか、とふと思ってしまう。

 担当行政区だけで人口15万人以上、高齢者だけで3万8千人以上を担当していると日常的には顔も名前も大半の人はわからない。「住民とともに」と言うが「住民一般」に数量的把握はできても、暮らしと顔が見えてこない。

 少しでも住民に近づく努力をしなければ、とつくづく思う次第である。
Category: 介護保険見直し
2010/08/15 Sun
 毎年、正月に帰省すると必ず、子どもたちにお年玉をもってやってくる叔母さんがいる。90歳になる。9人兄弟姉妹の長女。私の父(80歳)の姉である。

 女学校を出て、戦後は中学校の教師を長年されていた。

 6年前に夫を亡くし、昨年、入院し、その後老人保健施設を経て、現在グループホームに入居している。

 要介護1。

 一昨年まで、お盆にも必ず、先祖の墓参りにやってこられていた。

 一人ぼっちのお盆は寂しかろう、と午前中に、父と一緒にグループホームに叔母を訪ねた。手土産は、実家の畑でとれたジャガイモ、ピーマンなどを箱に一杯。グループホームへのささやかな寄付である。

 玄関は施錠されており、「御用の方はインターホンを押してください」の張り紙が。
(このグループホームは外部評価では、問題点・課題は「玄関への常時施錠」と「地域との交流の機会が少ない」とあった) 

 中に入れてもらい、談話室にいた叔母に対面。

 私の顔を一目見るなり、「遠いところからよう来てくれた。」談話室から自室へ、廊下を前かがみながら、杖をついて歩いていかれる。

 ベッドと小さなたんすだけの居室。

 父と兄弟たちの消息や、孫たちの近況を談笑される。

「9人居た兄弟姉妹も、6人になってしまったな…」とポツリ。9人のうち男は父一人で、他はみんな女だったから戦死した人はいない。

 教師をしていただけあって、教え子のことは本当に生き生きと手振りを交え、目を輝かせて、おもしろおかしく語れらる。

 趣味は読書。

 ギャッジアップしたベッドに腰掛けて、小説や岩波新書を老眼鏡をかけずに読みふけるという。読むものがなくなれば図書館で借りてくるという。
 
居室には、小さくても椅子とデスクを置いてあげたらいいのにな、と思う。

 耳は遠いが、実にしっかりされている。

 あとで、職員さんに聞くと、「しっかりしているように見えるが、忘れていることが多い」といわれたが、会話では、だれだれが何月に来ただの、寺の住職の娘に婿が来て副住職になっただの、最近のことも実によく知っている。

 私の子どもたちのこともしっかり、覚えている。

 それでも、お盆の墓参りに誘うと、「…。行きとうない」。

 玄関に鍵のかかったグループホームで過ごす、一人ぼっちのお盆。 
 入居者や職員に囲まれているが、90歳の叔母には、今年のお盆はどのよう感じておられるのだろうか。
 
 
Category: 雑感・雑記
2010/08/15 Sun
 8月15日は「終戦記念日」とされている。

 正しい意味では、日本帝国主義が15年にわたる侵略戦争に敗北した「敗戦の日」というべきであるが、「不戦の決意」と国民的合意を新たにする日としての意義はあろう。

 出征、戦死、「英霊」、そして、空襲など、戦争の惨禍を思い起こすさまざまな行事や報道がこの時期には集中する。

 ところで、不戦の決意に欠かせないのは、日本に侵略された諸国の人々に思いをはせる国際的な思考ではないだろうか。
 
 日本人の戦死者、戦争犠牲者に思いをはせるだけでなく、アジアで2000万人とも言われる日本の侵略戦争犠牲者のことを抜きにした「終戦」は著しく偏ったものになるだろう。


 朝鮮人民にとって8月15日は、第二次世界大戦の終結のみならず、日本の植民地支配からの解放(「光復」)を意味する。

 韓国では、「光復節」(カンボッチョル)とよばれている。

 在日韓国人の方々の努力によって設立運営されている特別養護老人ホームでは、8月15日には、在日韓国人のお年寄りたちが、「万歳」(マンセー)と、その日を祝っている。

 当然のことだと思う。

 菅内閣が10日に閣議決定した談話は、韓国併合条約(1910年)、100年にあたり、「謝罪」を改めて表明した。

 しかし、その内容は1995年の村山談話の水準から一歩も出ないだけでなく、韓国に限定された不十分なものである。
 さらに、日本が、併合時に朝鮮から強奪した「朝鮮王室儀軌」などの貴重な図書を、「返還」でなく、「お渡しする」などとし、「盗人たけだけしい」との国際的な批判をよんでいる。

 
 日本の侵略戦争によって犠牲となった2000万人のアジア諸国人民。そして、植民地支配は、韓国にとどまらず朝鮮半島全域、台湾におよび、占領し、軍靴で踏みにじった地域は東南アジアにまでおよぶ。

 8月15日は、自国の戦争犠牲者だけでなく、アジア諸国全体に対する日本の戦争責任を明らかにすることなしには、本当の意味で「不戦の決意」とはならないのではないだろうか。

 ましてや、「謝罪外交は国益を損なう」などという、恥知らずで偏狭な主張は論外である。
Category: 時局争論
2010/08/13 Fri
 社会保障審議会介護保険部会での介護保険制度改正に向けた議論が進められている。

 厚生労働省の「論点提示」には軽度者の生活援助サービスの切り捨てなどとんでもないものもあるが、どうも納得がいかないのは、現在の介護保険制度についての基本的な認識である。

 論議のベースにすえられている「地域包括ケア研究会報告」について、介護保険部会で報告した田中滋慶応大学大学院教授は、現在の介護保険を中心とする日本の高齢者ケアのシステムについて「世界でもトップクラス」という認識から出発している。

 「日本の高齢者ケアの姿は世界でもトップクラスであるとの評価のもとに、何を直したらいいかという議論の立て方をしていました。日本のシステムが大変劣っているからではなく、世界でもトップクラスの国の一つであるからこそ、どうなのだという議論でした。私たちもその立場は崩しておりません。」

 なんとお気楽な検討姿勢ではないか。
 この先生には、介護殺人・介護心中も介護退職も、介護難民も、そして介護人材確保困難による介護崩壊など、日本の介護のまったく認識されてない。

 膨大な特別養護老人ホーム待機者についても
  「不安感からくる見せかけの需要」と決めつける。

 「施設に対する見かけ上の需要が多く生じていて、いわゆる待機者の数となってあらわれています。これは経済学の用語を使うと、本当に高齢者の方のニーズを反映しているわけではなく、施設に対する見かけ上の需要も多く含まれているはずです」
 そして、「理想郷」のような「2025年の地域包括ケアの姿」を描き、「自助、互助、共助、公助」の組み合わせを説く。

 この先生によれば、介護保険は「共助」というのだ。

 そして締めくくりは
「介護保険はとても大切なものです。だから、頼り過ぎてはいけないし、頼り過ぎると逆に不満が生じてしまいます」

と説教をたれる始末である。

 

 これには、介護保険部会で「認知症の人と家族の会」の勝田委員が異議を唱えられた。


「私たちは介護保険とか医療保険というのは公助だと思っているのですが、こちらの中では自助、互助という言葉が入ってきて、社会保険というのは共助なのだ。それで救えない人が公助なのだという区分けをしてありますけれども、一体どこでこのような定義付けがされたのか。」
「だれだって自助・互助も含めて頑張っています。でも、介護の社会化ということを願って介護保険ができて、これを公的介護保険だと思うのですが、この報告書を見ますと、だんだんそれから遠く離れていくのではないかという懸念を抱きます。」



これに対し、この先生は、
「言葉遣いの問題」「居心地がよければ公助とよんでもいい」とゴマカシの2枚舌答弁をのべた。

「言葉遣いの問題なので、公助と呼んでも結構です。公助に2種類あって、ミーンズテストの付かない普遍的な公助と、ミーンズテスト付きの制限的な公助という言葉づかいにしても、それは言葉の定義の問題です。前者を私たちは共助と呼んだだけで、普遍的公助という言葉でも特段に違和感はありません。公助の方が居心地がよければ、そう呼んだらいいと思います。」

 御用学者とはこのようなものなのか。長期間かけて検討した研究会報告書で「自助、互助、共助、公助」とシステムを区分けしたとは、彼らの描く「地域包括ケア」の核心部分である。そして介護保険制度をわざわざ共助に位置づけることのよって、介護保障の公的責任を否定したうえで、「住民助け合い」を描き出したのである。

 その核心部分を批判されると、「言葉遣いの問題」「居心地のよい呼び方で」などとはぐらかすのである。

 まじめに介護保険の利用者・家族に向き合う姿勢など皆無ではないか。

 第26回社会保障審議会介護保険部会議事録 を参照

 

 


 
 
 
Category: 介護保険見直し
2010/08/11 Wed
 今、ケアマネジャーの中で話題になっているのが「軽微な変更」問題。

 厚生労働省が出した通知「『書類・事務手続きの見直し』に関するご意見への対応について」である。

 ケアプランの変更の際は、原則として、新規作成と同様の手続きが必要とされている。

 しかし、「軽微な変更」の場合は、その必要がない。

  
 「利用者の希望による軽微な変更(サービス提供日時の変更等)を行う場合には、この必要はないものとする。」

 そこで、何が「軽微」なのか。

 行政のさじ加減で何とでもなる。

 「デイサービスに週2回通っていたが、夏場は入浴の回数を増やしたいので週3回にしたいが、回数増は軽微な変更になりませんか」

 行政「曜日が変わるのは軽微な変更だが、回数が変わるのは軽微でないので、一連の手続きが必要です」

 「・・・・・。アセスメントに担当者会議もですか・・・。」

 行政「そう、全部です」

 「ううー、・・・」

という具合である。

今回の通知では、

サービス提供の回数変更
 同一事業所における週1回程度のサービス利用回数の増減のような場合には、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。


とされた。これまでの行政(都道府県や保険者の解釈は誤りということになる。

今回の通知では、軽微な変更の例示として

サービス提供の曜日変更
サービス提供の回数変更
利用者の住所変更
事業所の名称変更
目標期間の延長
福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数のみが異なる場合
目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更
目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
担当介護支援専門員の変更


があげられた。

なお、通知には

なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な措定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。

 とあり、要するに一連の変更に関する手続きを行う必要性の高い変更かどうかで判断すべしということである。

 当然と言えば当然であるが、これまで、いかに、「過剰な規制・指導」が各地で行われていたかがうかがわれる。

 ちなみに、この通知の発出日と同じ7月30日にホームページにアップされた寝屋川市Q&A
 では、

Q26 同じ事業所内で、居宅サービス計画者が変更になる場合、サービス事業所にケアプラン等の交付と受領書は必要ですか?
A 事業所内外を問わず、居宅サービス計画書作成者が変更になれば、前者のケアプランを参考にしつつ、アセスメントからの一連の行為が必要になります。


 などと 書いている。

今回の厚労省通知では、

担当介護支援専門員の変更
 契約している居宅介護支援事業所における担当護支援専門員の変更(但し、新しい担当者が利用者はじめ各サービス担当者と面識を有していること。)のような場合には、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。


 と明記されたので、寝屋川市のQ&Aはさっそく訂正が必要であろう。


 他にも「月1回の居宅訪問によるモニタリング」

これは、正当な理由のない場合は、運営基準違反減算になるので、とくに特定事業所加算のところは死活問題である。

 岡山県で聞いた話。

 「利用者さんが25日に入院された。いつも月末に訪問していたので、今月はまだ訪問していない。入院先でモニタリングすればいいですか」

行政「居宅訪問でないので、ダメです。月末訪問にしていたのは事業所側の事情なので、運営基準違反減算してください。特定事業所加算は全ケースとれません」

 「・・・・・。お許しを・・・」

 今回の厚労省通知

(3)緊急入院等におけるモニタリングの例外について
 基準の解釈通知の「第Ⅱ 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準3運営に関する基準(7)指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針⑬モニタリングの実施」において、「特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回は利用者の居宅で面接を行い(以下略)」とされている。
 さらに「特段の事情」とは、「利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として持すもの」としているところである。
 従って、入院・入所等利用者の事情により利用者の居宅において面接することができない場合は「特段の事情」に該当し、必ずしも訪問しなければ減算となるものではない。 ただし、入院・入所期間中でもモニタリングをしていく必要性はあることから、その後の継続的なモニタリングは必要となるものであり、留意されたい。


 と明記された。

 当たり前と言えば、それまでだが、いかにケアマネジャー泣かせの過剰な指導が多かったかがここからも分かる。


 
Category: 介護保険見直し
2010/08/09 Mon
 今年9月9~11日 神戸市で開かれる第43回公的扶助研究全国セミナー

「高齢・介護」の分科会の責任者を仰せつかった。

 分科会レポートの段取りがやっとできた。無事、印刷所へ送信。

レポートは助言者のもの含めて5本

・「高齢者の孤独死」 中部学院大学・新井康友先生
・「地域包括支援センターの高齢者支援」(大阪市の地域包括支援センターの社会福祉士)
・「生保ケースワーカーとケアマネジャーの連携事例」(神戸市生活保護ケースワーカー)
・「行き場を失った高齢者支援の事例」(堺市の在宅介護支援センターソーシャルワーカー)
・「介護保険 ローカルルールと自治体」(堺市 私が担当)

以下、分科会紹介原稿。よろしければセミナーにご参加を。お待ちしております。
昨年、一昨年と参加された韓国の福祉行政職員の方々は今年は他の企画へ行かれるようでこの分科会では日韓交流は今年はありませんが…


  高齢者の尊厳ある生活を守るために今、現場に何が求められているか
~介護保険10年と高齢者のくらし~
◆分科会のねらい
“100歳を超えた「長寿者」の中にその所在すら確認できない人が数多くいた” 「長寿大国・日本」でこの夏表面化した事態は今日の高齢者問題の深刻さの一端をしめしています。
「高齢化」の進行と、貧困と格差の広がりのなかで、人生の「高齢期」を迎えた人びとの生活は、より大きな困難や課題が生まれています。
一つは、高齢者の地域での「孤立化」問題です。「所在不明者」「孤独死」(孤立死)に端的なように地域社会が様変わりする中で、社会から取り残された生活を送る高齢者が増えています。
二つ目には、行き場のない要介護高齢者、とくに低所得者の問題です。大量の特養入所待機者に示されるような「介護難民」が社会問題となっています。
高齢者虐待や老老介護、「介護心中・介護殺人」など地域における高齢者の問題はきわめて深刻さを増しています
介護保険制度がはじまって10年がたちました。制度当初にうたわれた「介護の社会化」や「利用者本位」などの理念は後景に追いやられ、制度改定と「適正化」等により、サービス制限や一方、介護従事者の人材確保困難が続き「介護崩壊」の危機も叫ばれています。自治体の介護保険職場も介護保険料や利用者負担をめぐる問題や要介護認定見直しに伴う混乱など多くの課題が山積しています。 
分科会では、地域おける高齢者の現状と、公的な支援の在り方について、議論しながら公的な支援の在り方、生活保護ケースワーカーとケアマネジャーや地域包括支援センターなど介護関係者との連携についても議論します。
Category: 介護保険見直し
2010/08/09 Mon
 8月9日は、65回目の長崎の原爆の日である。

 長崎の浦上上空で原爆が炸裂し、広島と共に空前絶後の甚大な災害を受けた。死者14万人ともいわれる。平和公園内南側に立つ原爆投下記念碑付近が爆心地とされる。

 学生時代から1980年代前半にかけてほぼ毎年、、広島・長崎で開かれた原水爆禁止世界大会に参加していた。

 今でも、この「原爆許すまじ」の歌は歌詞を見ないで口ずさむことができる。

ふるさとの街やかれ
身よりの骨うめし焼土に
今は白い花咲く
ああ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの街に


ふるさとの海荒れて
黒き雨喜びの日はなく
今は舟に人もなし
ああ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの海に


ふるさとの空重く
黒き雲今日も大地おおい
今は空に陽もささず
ああ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの空に


はらからのたえまなき
労働にきずきあぐ富と幸
今はすべてついえ去らん
ああ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
世界の上に


 3日前の広島市の平和祈念式典には、初めて国連事務総長が参加し、アメリカ駐日大使も隣席した。

 ようやく「核なき世界」への歩みが始まったかに見える。

 広島市長の「平和宣言」では、アメリカの「核の傘」からの脱却も呼びかけられた。

 問題は管首相である。

 広島市内での記者会見で、「核抑止力はわが国にとって引き続き必要であると考えている」と発言した。

 さらに、 11月に来日予定のオバマ米大統領が被爆地の広島、長崎を訪問する可能性に関しても
「最終的に決めるのは米側であり、現段階で予断を与えるようなことを申し上げるのは控えたい」

 と述べたと報道されている。

 数10万人が犠牲になった地で、被爆国・日本の首相が言う言葉であろうか。

 
長崎の被爆者・山口仙二さんは、1982年の国連軍縮特別総会で、自分のケロイドの顔写真を振りかざしながらこう発言した。

 「私の顔や手をよく見てください。よく見てください。世界の人々、そしてこれから生まれてくる人々、 子どもたちに、私たちのようにこのような被爆者に、核兵器による死と苦しみをたとえ1人たりとも許してはならないのであります。 核兵器による死と苦しみは私たちを最後にするよう、国連が厳粛に誓約してくださるよう心からお願いをいたします。 私ども被爆者は訴えます。命のある限り私は訴え続けます。ノーモア ヒロシマ、ノーモア ナガサキ、ノーモア ウォー、ノーモア ヒバクシャ、ありがとうございました」。
 
 
Category: 時局争論
2010/08/07 Sat
 はるばる東京から、アドバイスを求めてやった来られた。

 特別養護老人ホームで、利用者本位のサービス実現をめざし、ユニットケアの取り組みを推進して来られた方である。

 管理運営が不適切であったため、介護事故が多発し、虐待行為の隠ぺいさえ行われていたという。

 施設の改善を目指した職員に、一部の介護職員が反発、事務部門と一緒になって、職場で「村八分」状態に追い込まれ、不当な配置転換、さらに隔離、情報閉鎖、降格を繰り返し、ついに懲戒解雇になった。

 ご本人は、職場の支持者の強力も得て、裁判をたたかい、東京地裁では、勝訴し、高裁で「解雇撤回」の和解にこぎつけられた。

 3年間のご自身のたたかいにとどまらず、今度は、虐待を隠ぺいした施設の改善を求め、指導監査で不適切な対応をした東京都に対し、要望署名の運動に取り組まれている。

 経過はこのブログに記載されている

 よりよい施設をめざし頑張った職員が、排除され、虐待を隠ぺいした職員が幅を利かす、こんなことが特別養護老人ホームやグループホームで起きている。

 逆である。

 そして、こういう問題では、行政の指導監査は、役に立っていない。

 裁判で解雇撤回させ、さらに利用者のための施設改善をめざし、東京都の指導監査の責任を問う、ひたむきに頑張る姿勢におおいに共感した。
2010/08/06 Fri
 「所在不明」の長寿者の問題がさまざまな問題を投げかけている。

 そこで、多くの方々から質問を投げかけられるのは、

「10年前から介護保険制度が始まり、65歳以上のすべての高齢者はその被保険者として、市町村が管理・把握しているのではないのか? なぜ今頃こんなことになるのか」

 といった質問である。

 行政の末端で介護保険に10年かかわった木っ端役人の立場で説明してみよう。


 介護保険制度は、その市町村に居住するすべての高齢者(65歳以上)は、第1号被保険者資格が付与される。これは届け出がなくてもは付与される。
 「居住する」というのは、通常は住民基本台帳に登録されている、ということである。(外国人は外国人登録、まれに「住民登録外」というケースもあるが、ここでは省略)

 被保険者には、介護保険被保険者証を送りつける。(これは、毎年でない。65歳に到達したとき又は転入したときのみ。一斉に送ったのは2000年の介護保険実施時と2006年の2回だけである)

 そして、年2回(暫定保険料と確定保険料)介護保険料決定通知書を送りつける。

 そこで、住民票があっても、実際にはそこにいない高齢者の場合どうなるか。

 ケース① 役所が送った介護保険被保険者証や介護保険料決定通知書は、郵便局から「宛所に尋ねあたりません」と付して返送されてくる。
 ケース②の場合 そこに住んでいる人や家族が本人の代わりに、配達された介護保険証や介護保険料決定通知を黙って受け取ってしまう。

 
 ここで、①の場合は、「居所不明者」として扱われ、調査の対象にされるが、②の場合は、役所は分からない。

 「郵送しても返送されてこないということは、本人が受け取ったということ」、ということになってしまうのだ。
 (それでも、介護保険料が滞納の場合、納付勧奨(いわゆる「取り立て」)に訪問して、「実はここには住んでいません」と家族が言えば不現住が判明するが、滞納者を全件訪問しているわけでないので把握できないケースも多い)

 ①の郵送物返送による「居所不明者」はどうするか。

 住所地を訪ねて調査する。(といっても、せいぜい年1回まとめて行うことになる)

 本人がいなければそこに住んでいる人に聞く。
 誰もいなければ、表札、郵便受け、ガス・水道メータなどを確認する。
 さらに、近隣の人に聞く。

 そこで、「ずっと前からそんな人いませんよ」となれば、「不現住者」と確定する。
 住民登録地が土木作業員の飯場であったり、タクシー会社だったりすることもある。「何年も前に居たけどどこかへ行ってわからん」とその会社の人が言えば、これも「不現住者」で確定。
 家そのものがない場合、あっても誰も住んでいない場合なども「不現住者」とする。

 そうして、「不現住者」と確定したら、次の手続きに。

 まず、介護保険料決定通知書の「公示送達」である。これは、名宛人の居所不明などの理由により書類の送達ができない場合に、一定期間役所の掲示板に掲示することにより送達の効果を生じさせる方法である。

 介護保険料が滞納となった場合、徴収権は2年で時効になるが、本人に保険料決定通知が送達されていないと、時効にできないので、この方法をとる。

 そして、次に、住民基本台帳の管理課(通常は「市民課」という)に対し、「不現住者」として通知し、住民票の「職権消除」を依頼する。これは公文書で行う。

 介護保険サイドの仕事はここまで。あとは、市民課の仕事、というわけである。

 しかし、また、次の年に、同じ人の介護保険料決定通知書が返送されてくることも多い。住民票の職権消除は、そんなに簡単ではないようだ。


 いかにもお役所仕事でないだろうか。


 「被保険者資格」と「保険料決定通知」。 

 介護保険サイドがするのは、「保険料決定通知」の送達のための調査と、公示送達(掲示板への張り出し)だけ。あとは、市民課に通知しておしまい。

 縦割り行政と批判されても仕方がないだろう。

 しかも、こうした不現住被保険者の処理も十分に行えない実態さえある。

 また、本人が「所在不明」でも、年金が振り込まれ、その年金から介護保険料が天引きされ、介護保険料決定通知書も返送されなければ、介護保険サイドからは、その高齢者の所在不明はわからないだろう。

 
 介護保険10年で、決して市町村は、地域の高齢者すべてを把握しているわけではない。「被保険者資格」と「保険料決定通知」のための最低限の処理を不十分ながら行っているのが、現状ではないだろうか。

 
Category: 未分類
2010/08/05 Thu
 先月に続き「子ども・子育て新システムと介護保険」というテーマの学習会に招かれた。先月は大阪保育運動連絡会、そして今回は大阪学童保育連絡協議会である。

 6月25日に、発表された「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」。

 一読して、「こんなもの実施すれば児童福祉は死ぬ」と実感した。10年前に「介護保険で老人福祉は死ぬ」と言われたことを思い出す。

 子ども・子育て新システムのイメージ
①国レベルでの「別勘定」 一般財源と区別 消費税頼み?
②市町村に丸投げ・「特別会計」
③幼稚園と保育所は一体化(「子ども園」し、幼保一体給付へ。「契約」利用制度とし、事業者指定制度で営利企業へ開放
④現金給付(子ども手当)と一体で運用
 
 荒っぽくまとめれば こういうことになるのであろうか。

 とくに、問題だと感じるのは、国のレベルで、「子ども・子育て勘定」をつくり財源を一元化すること、そして市町村でそこからの「一括交付金」と市町村一般会計からの補助金を合わせて「子ども・子育て特別会計」をつくり、一般会計から分離すること。
 さらに、現金給付(子ども手当)と現物給付(幼保一体給付など保育サービス等)をこの特別会計で一括して行い、現金給付と現物給付は「地域の実情に応じ、地域の裁量で配分」とされていることである。

 保険料を取らないという点では、社会保険方式でなく介護保険とは決定的に異なる。

 しかし、①市町村ごとの特別会計 ②現金給付との配分を市町村の裁量で決める との仕組みは、何をもたらすであろうか。

 介護保険では、負担(介護保険料)と給付(介護サービス)が市町村ごとに完全にリンクする制度であるため、介護サービス利用が増えれば高齢者の介護保険料が上がるというジレンマを作り出し、給付抑制を招いてきた。
 老人福祉の市町村責任が措置制度解体で喪失したことも相まって、市町村は、介護サービス向上よりも保険料抑制のための給付抑制に熱心になった。膨大な特養待機者や介護難民、家族の介護負担などお構いなしである。

 子ども・子育て新システムでは、どうなるだろうか。

 中学生までの全員対象に給付される「子ども手当」。これと保育などを一本の特別会計で市町村が実施し、配分を実情に応じて市町村が決められるとなると、保育など子育てサービスを充実させると、子ども手当が減少するということになる。

 介護保険料が市町村ごとに異なるように、子ども手当もバラバラになり、子育て世代の住民は、子ども手当の増額を選ぶのか、保育・子育て支援サービスの充実を選ぶのか、という選択を自治体ごとに迫られるという構図になりはしないだろうか。
 乳幼児のいる共働き世帯と、中学生のいる専業主婦世帯では、選択が異なってくるだろう。子育て世代住民間の分断・対立を招きはしないだろうか? 
 介護保険が、10数パーセントの介護サービス利用者と他の高齢者の分断を招いたように。

 現在は児童福祉法で、市町村に実施責任のある保育が、介護保険のような「契約」利用制度になり、営利企業に門戸開放する事業者指定制度になれば、どうなるであろうか。
 保育所入所待機児も把握できなくなり、保育難民に何の関心も示さなくなる、という事態になりはしないだろうか?
 介護保険が、全国42万人もの特養待機者を生み出し、介護難民問題が深刻になっているのに自治体がまったく危機感をもっていないように。

 介護保険モデルを児童福祉に持ち込んではならない。


 
 

Category: 社会保障問題
2010/08/04 Wed

「東京都最高齢」の男性の所在不明問題に端を発した長寿者の所在不明問題。

報道では


 高齢者の所在がわからないケースが各地で相次いでいる問題を受け、長妻厚生労働相は3日、110歳以上の年金受給者全員に面会して、所在を確認すると発表した。
長妻厚労相は、「110歳以上の方々のうち、年金受給者の方、これはコンピューターでわかりますので、その方お1人おひとり全員をどういう状態になっているのか、市町村を通じて確認する」と述べた。
対象となるのは100人未満とみられ、市町村や日本年金機構の職員が年金記録をもとに、1人ひとりに直接面会して、所在を確認することになる。
調査結果は、8月中に公表するという。
また厚労省は、9月の敬老の日に新たに100歳になった人に記念品を贈っているが、これについても、自治体の職員が直接手渡して所在を確認する方針。




 110歳以上に限らず、100歳以上の高齢者の「所在不明」も相次いで発覚している。

 所在確認を自治体に指導するものいいが、

高齢者の進展でいまや4万人を超えるとされる100歳以上の長寿者に対する国の姿勢が問われる問題である。

「敬老の日の記念品」以外に、何の支援も行ってこなかったことの裏返しではないか。

 ところで、本人が「所在不明」でも、住民基本台帳登録さえ抹消されなければ、年金は給付される。そして、年金天引きの介護保険料や後期高齢者医療保険料もきっちり徴収される。

 100年以上もこの日本で戦前・戦中・戦後を生き抜き、多年にわたって社会に貢献されてきた長寿者に対するこの扱いはどうであろう。

 「110歳以上所在確認」もいいが、国・自治体の高齢者、とくに100歳以上の長寿者に対する姿勢が問われる事態ではないか。

 そして、この大きな背景に、高齢期における「社会的孤立」がある。この問題の奥はとてつもなく深い。
 

 
Category: 時局争論
2010/08/01 Sun
 以前、「サービス制限の勝手な理屈」と酷評させていただいた「寝屋川市の介護保険Q&A」。これは、われわれだけでなく、毎日新聞でも取り上げられ、批判されていた。

 大阪社保協の自治体キャラバン交渉の席上で「7月30日に新QAを寝屋川市ホームページにアップします」と回答したとのこと。

 さっそく、寝屋川市ホームページの「介護保険Q&A」をチェック。


 たしかに、変わっているが、どこがどうかわったのか分からない。何せ以前のものは、訪問介護だけで266問もあった。これが新Q&Aでは153問に整理された。しかも、質問番号も並べ方もバラバラで見比べようにも簡単にはできない。

 しかたがないので、一日かかって、新旧のQ&Aを比較した。

 まず、非常識なものは削除された。

 たとえば、

旧Q&A41番
質問:めがねを調整する為、ホームヘルパーの介助にて、めがね屋に行くことは可能ですか?
 回答:不可能です。眼鏡を使用している者は、眼鏡が日常生活に必要ですが、眼鏡を調整する為、めがね屋に行くことは、日常生活には含まれませんので介護保険では報酬算定できません。

 →これは新Q&Aでは削除

旧Q&A75番
質問:季節が替わったので、扇風機の掃除後、ストーブを出すことを利用者が希望。独居ですが可能ですか?
回答:不可能です。季節物の出し入れは1年間に1~2回行い、利用者の日常生活上の世話には該当せず、介護保険では行うことはできませんので、他のサービス(有償ボランティアなど)を利用してください。

これは 新Q&Aで変更
新Q&A81番
質問:季節が替わったので、扇風機の掃除後、ストーブを出すことを利用者が希望。独居ですが可能ですか?
回答:可能です。



旧Q&A81番
質問:夏物と冬物衣類の入替え、いわゆる「衣替え」を利用者が希望していますが可能ですか?
回答:不可能です。国通知文では「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号)の家事援助2-4「衣類の整理・被服の補修」・衣類の整理(夏・冬物等の入替え等)がありますが、訪問介護は日常生活上に対するサービスであり、いわゆる「衣替え」は大掛かりでありますので、非日常行為に該当し、算定できません。

 →新Q&Aでは削除された

ほかにもいろいろ変更されている。

旧Q&A136番
質問:たまには、故人の写真を掃除してほしいと利用者は希望していますが、可能ですか?
回答:日常生活の援助に当たらないと思われますので不可能です。

 →新Q&Aでは変更された。
新Q&A50番
回答:故人の写真のみ掃除するのは、日常生活の援助に当たらないと考えられますので不可能です。しかし、居室の掃除を行う中で、故人の写真を手間を掛けずに行うことは可能です。再アセスメントを行って下さい。


同様に「クーラーの掃除」も
新Q&A44番
回答:不可能です。しかし、個別判断で特段の技術や手間を必要とせずに訪問介護員が行うことが可能なもので、日常的に行われる家事の範囲であると考えられる場合は、算定の対象となる場合もありますので、相談してください。



 他にも、大阪府Q&A改正にそって書きかえられたものや、微妙に改善されてものなど、多くある。
 
 しかし、以前のQ&Aで「不可能」としていたものを今回は、「可能」と変えているが、どこをどう変えたのか、説明がなければ、市内のケアマネジャーやヘルパーは分からないだろう。

 批判や指摘を受けて改善することはいいことである。しかし、何が間違っていたのかを、その箇所を明示して、根拠や考え方のかわったこともはっきり説明することが重要である。

寝屋川市はホームページで
「なお、回答については、個別ケースの具体的な質問に対してであり、記載箇所以外の前後の話がありますので、回答だけを他のケースに当てはめることのないようにお願いします。」「質問、個別ケース相談、または回答内容に対する疑義がある場合は、FAX(072-838-0102)でお問い合わせください。」
 とのべている。

 それならば、このような細かい個別の問答集よりも、サービス内容の判断の「基本的な考え方」を示し、ケアマネジャーの専門性と判断力を高め、その裁量を尊重するべきではないだろうか。

 






 




Category: 介護保険見直し

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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