2011/02/27 Sun
 Facebook に登録手続きをしてみた。使い方はサッパリわからない。

 実名登録が原則で、勤務先、出身校まで記載する。確かに日本の 匿名の無責任な書き込みが氾濫しているインターネット感覚では、抵抗があるだろう。

 これまですべて実名公表できた 私としては、逆に安心して 実社会の方たちと交流できるツールかもしれない。

 ツイッターには、一年以上前に登録したが、最近はツイートはほとんどせず、もっぱらこのブログ更新の通知のみ。それでもフォローしていただく方は毎日数件ずつ増え、現在536人。

 Facebookは、チェにジアやエジプトの政権打倒 の大衆デモの呼びかけの情報発信ツールとして活用されたときいて、登録してみた。

 ビラや機関紙で主張を伝え、行動参加を呼び掛ける伝統的な手法に加え、インターネットサイトが 社会変革のためのコミュニケーションの武器となりつつある。

 またたくまに広がり、リビアでは武力弾圧を乗り越えつつあるデモ。

 20世紀には考えられなかった速度と広がりでおこる社会変革のうねり、世界的な歴史の進歩に 何かしら 新たな希望を見る思いがする。

 わがFacebookサイトは なんら変化なし。

スポンサーサイト
Category: 雑感・雑記
2011/02/26 Sat
 奈良県大和高田市で開かれた介護保険学習会に招かれた。

 主催は、医療法人健生会介護事業部。テーマは「どうなる介護保険・地域包括ケア」。地域の介護事業所(訪問介護、小規模多機能型居宅介護、認知症デイなど)も多く参加され、地域学習会といったところ。

 ところで、この大和高田市は、奈良市などと同様に、ヘルパーの生活援助に、独自の規制を持ちこんでいる。

 平成20年12月17日付けの大和高田市介護保険課長通知では

「…最近では訪問介護の生活援助単位算定の問題が多く、適正な居宅サービス計画の作成が可能となる様、下記の通り『届出申請』をして頂く事と致しました。」
「②同居の家族等が障害、疾病のため家事を行うことが困難な場合・・・届出不要 ※同居家族等が家事が出来ない理由、必要なサービス内容、時間、回数等を適切なマネジメントにより判断して記録する事。(必要時、同居家族等の診断書を添付しておくこと)
 ③適切なケアマネジメントにより判断しても、同居家族がやむを得ない理由により家事を行うことが困難な場合・・・届出必要  ・虐待やそれに近い状況がある時。・家族等が就業で長い時間にわたり独居である等。
2 届出時の提出書類
  ①生活援助単位算定に係る申請書(別紙、大和高田市専用申請書)②アセスメント表③居宅サービス計画書(第1、第2、第7、第8表)④サービス担当者会議の内容⑤訪問介護サービス計画書
 ●提出先  大和高田市保険部介護保険課窓口 申請受付後、内容を確認し生活援助の単位算定について当市で検討の上、担当者に可否を連絡いたします。」


 完全なローカルルールである。行政に「申請」をさせて「可否」を決めるというのは、厳密にいえば「申請に対する処分」であり、明確な法的根拠が必要である。少なくとも介護保険法令では、このような事前申請制は、規定していない。当該の利用者と面談もしないまま、行政が勝手にサービス提供の「可否」を判断する、という仕組みは生活に必要なサービスを一方的に取り上げる結果をもたらしかねない。

こんな事例が報告された。 
「市は『生活援助が必要な場合はいつでも申請してください』なんて言ってたので申請書を持っていったら、あれこれ厳しく言われて、なかなか認めてくれない。生活援助を算定させたくないという姿勢がありありだ」
「『同居』といっても同居している長男が働きに出てて年に数回しか帰っててこない利用者で、別居の次男が玄関先に週1回一週間分の食料を届けていたが、本人は、トイレで排泄することができなくなっており、たまたま、居室をのぞいたら排泄物であふれかえっていた。一週間分の食料も本人は2・3日で食べてしまい、あとは飲まず食わず状態で、空腹のあまり、鳥かごで飼っていた小鳥まで食べていた。こんな利用者にヘルパーが生活援助に入る必要性を市役所に説明しても、『他に方法があるでしょう』といった態度で実態をわかろうとせずに対応される」

 今回の介護保険改定では、要支援者について、「保険者判断」により、保険給付から除外して「総合的生活支援サービス」なるものに移行させる仕組みが狙われている。

 勝手なローカルルールが大手を振っている状態で、「保険者判断」による保険給付除外が制度導入されれば、もっとひどいサービス取り上げが全国各地で起こるだろう。
Category: 介護保険見直し
2011/02/26 Sat
 昨晩は、和歌山県社保協のSさんと和歌山市駅近くで遅くまで懇談。和歌山泊となる。

 朝、和歌山駅前でJA和歌山のみなさんが、「TPP参加反対」の署名活動をされていたのでさっそく署名した。

「これどうぞ」ともらったのがレジ袋 中にはミカンとテッシュペーパーとチラシが。

Image539.jpg

 いいんですか?

 「どうぞ、どうぞ」と 

 ありがたくみかんをいただく。

 阪和線の中で チラシをじっくりよみながら、ミカンをいただく

 Image538.jpg

 和歌山県は、ミカン 柿 梅をはじめ 全国でも有数の農産物 生産上位の県。日本農業をつぶすTPP参加反対のJAの若い職員さんの思いをミカンとともにかみしめる。

 さあ、これから 午後は 奈良県の大和高田市での介護保険改定学習会へ。
Category: 時局争論
2011/02/25 Fri
和歌山県有田地区の「介護で働く仲間の交流会」に招かれた。主催は和歌山県医療労働組合連合会と有田地区労。

学習会の会場についてびっくり。狭い会場は満員。介護従事者だけでなく、地方議員、年金生活の高齢者、など実にさまざまな方々の参加。介護関係者も老健施設職員や特養職員、高齢者事業団ヘルパーさん、JAの事業所のケアマネジャーさん、教員の方など じつに多彩。

介護保険見直し問題について1時間余りお話させていただいた。

和歌山県会議員の松坂ひできさんが議会報告。

この日の議会で、介護労働者処遇改善問題について質問で取り上げたとのこと。17時間連続勤務の夜勤など過酷な施設の労働実態、先の見えない低賃金と人材不足の実態を取り上げ、県当局に国への働きかけを含め対策を迫ったという。「この質問は今夜の和歌山テレビで放映されますから見てください」との発言に拍手が起きた。

 学習会の後は、介護労働者だけが残って職場交流会。老健、特養の施設職員とケアマネさんが、それぞれ職場の問題を報告し合った。「山奥でサービスが足りない」という発言や、町立施設が指定管理になり、指定管理の法人の変更で夜勤のサイクルから給料表までガラッと変わる不安、どこの施設からも受けてのない重度の方を受けいれながら、低い人員基準で四苦八苦している状況など、短い時間だったが中味の濃い交流会となったこと。地元出身の方ばかりなので「同級生」「先輩」など多くのつながりがあり、話もよく弾む。
 
 都市部では見られない、地元の深いつながりで支えられた介護関係者の集いにはとても勇気づけられた。
Category: 介護保険見直し
2011/02/21 Mon
 きのう夜アップした「ケアマネジャーの質」議論の危険な意図」でツイッターで大きな反響があった。日頃めったにツイートしないので、あまり反応はないが、21日の夜ブログ更新して、22日の朝、ツイッター見てびっくり。とくに、社会保障審議会介護給付分科会の池田省三委員の「サービスの組合せなんか考えていない。利用者・家族の要求の言いなりになっている。ニーズ(必要性)とデマンド(要求)の区別がついていないということだ」「緊急にケアマネジメントの再構築を考えなければならない」とのケアマネ攻撃発言には

「怒り心頭」「唖然」「絶句するほどひどい」「御用学者の『イ』教授は論外。あんなゴロツキにかまっているヒマはない。根拠なきゴロツキは議論の対象から切り捨ててもいいと思う。議論はそこから先」「レベルの低い議論です󾫵 いい立場と名誉を持ちながらこのレベルとは情けない」「いっそひと思いに・・」「池田氏は『介護保険はワシが育てた』って人で、以前から現状認識をして無いとバッシングされてる。15年には自分の理想にすると息巻いてて、今回も持論に都合のいいデータが出て一人大騒ぎ。」「学者なのにロジックが欠けている」「現場に興味なく分科会に参加してるのも給付費を抑制したい厚労省と思惑が一致するからねぇ。現場を絞めつけたら結果高齢者が困るという議論にならない謎」「日本協会はノーガードなのか」など ごうごうたる怒りのリツイートが相次いだ。わずか一晩でその数50件ほど。
 
 ネットを駆け巡ったケアマネさんたちの怒りは、本当にすばらしい。健全な「怒り」はたたかいの出発点だ。

 池田氏は 昨年も「介護保険最大の誤算がケアマネジャーであるとし、8割が低レベルだ」「御用聞きケアマネ」などとシンポジウムで発言するなど、ケアマネジャーをやり玉にあげることで、介護保険制度改悪を促進する最悪の役回りを演じ続けている。

 それだけでけでなく、社会保障国民会議(08年7月31日)でも、「介護保険財政の将来像を考える」 などという報告を行い「ケアマネジャーは御用聞きレベル」などとしている。

 このケアマネの敵、打倒すべき池田省三教授のメールアドレスである。(龍谷大学HPの教員紹介で一般公開されている)

 shozo-ikeda@mb.infoweb.ne.jp

 ケアマネさんたちの声、そして現場での実態を送りつけてはいかがだろうか。

 御用学者 池田省三氏を 今後の社会保障審議会介護給付費分科会で のさばらせては、ケアマネジャーと利用者の未来は暗くなる。
Category: 介護保険見直し
2011/02/20 Sun
 社会保障審議会介護給付費分科会(第71回)での「区分支給限度基準額に関する調査結果」報告を機に「ケアマネジメントの質について議論」がおかしな方向に進みつつある。
 この報告は、「区分支給限度額超過者の8割が2種類以下のサービス」「超過者の9割はケアプランを見直す余地がある」などと報道され、これが、独り歩きし、区分支給限度額見直しの議論でなく、「ケアマネジメントの質」の論議にすり替えられようとしている。

 とくに、同分科会での池田省三委員(龍谷大学教授)は、この調査結果を受けて、まるで鬼の首をとったかのように、ケアマネジャーの行っているケアマネジメントについて
「サービスの組合せなんか考えていない。利用者・家族の要求の言いなりになっている。ニーズ(必要性)とデマンド(要求)の区別がついていないということだ」「緊急にケアマネジメントの再構築を考えなければならない」と発言したそうである。
 また、医療系のある委員は、「ケアプランは、誰かのチェックを受けているという現実があるのか」と質問し、「専門職としての意識が低く、利用者側の意見をほとんど聞いてしまうような場合では、本当は医療が必要なのに、ヘルパーがいてくれれば助かるということで選んでいるケースもあるのではないか。」などの意見を述べたそうである。
 ケアプラン点検について、厚労省は、ケアプラン点検の実施率は21年度実績で56%程度、また、サンプル的な調査であるため実施率を上げることが大きな課題であると説明(古川介護保険計画課長)したという。

 本来区分支給限度基準額の議論は、介護保険制度開始後基本的な見直しがされていない中で、この限度額では在宅介護が賄いきれないという現場や利用者家族の切実な声から始まったはずだが、完全に論議がすり替えられている。

 やり玉にあがっているのはケアマネジャーである。

 鹿児島で開かれた「第5回日本介護支援専門員協会全国大会」で、報告した厚生労働省老健局振興課の川又竹男課長は、
 ケアマネジャーの質向上や資格制度、研修のあり方を議論する検討の場を設置するのに先立ち、ケアマネジメントに関する大規模な実態把握調査を実施する方針であることを明らかにした。
 川又課長によれば、ケアマネジメントの実態を正確に把握できるデータがなければ、実情に即した議論ができず、「結局、(議論は内容を伴わない)空中戦で終わってしまう」と指摘。その上で、検討の場を設ける前に、▽利用者の状態像▽実際に作成されているケアプランの実態▽ケアマネジャーの属性や、ケアマネジャーがプランを作成するに当たっての考え方▽ケアマネジャーが所属している事業所の実情―などの調査を実施する方針を明らかにした。調査の時期や規模などの詳細は未定だが、7日に厚労省が結果を発表した区分支給限度額に関する調査よりも大規模な調査が実施される見通し。(医療介護CBニュースより)

 ケアプランに自己負担を導入することを画策し、反対世論の前にこれを見送らざるを得なくなった厚労省が、今度は「質向上」「資格・研修の在り方」を前面に、ケアマネジャーをやり玉にあげだしたのではないか。

 というのも、厚労省が、「地域包括ケア」を支える新たなサービスの目玉とされている「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」は検討会の中間報告によれば、居宅介護支援事業所のケアマネジャーとは別に独自にアセスメント・ケアマネジメントを行うとされており、ケアマネジャーとは「共同マネジメント」の関係とされているからである(「24 時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」 中間取りまとめ)。
 この検討会での最終報告での扱いは、現時点では分からないが、「訪問サービス」でありながら、ケアマネジャーの「守備範囲」から相対的に独立した「マネジメント」権限を与えらるという、まったく新しい「居宅サービス」である。
 さらに、この「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」の指定に関係して、他の居宅サービスの指定も影響を受けることになる。
 「第5回日本介護支援専門員協会全国大会」で、報告した厚生労働省老健局振興課の川又竹男課長は、
「2012年度に本格導入が予定されている事業者の指定権者となる市町村が、都道府県による居宅サービス事業者の指定に当たって協議を求めることができる『居宅サービス指定に当たっての市町村協議制』を導入する方針も示した。類似サービスである居宅サービスと24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの事業者の指定を調整することで、確実な利用者の確保を実現することが狙い」(医療介護CBニュース) と報じられている。在宅介護の「要」とされてきた居宅介護支援事業所のケアマネジャーの守備範囲が大きく変えられようとしているのではないか。

 思えば、6年前の介護保険改定の時に、軽度者の「介護予防」が不十分として、要支援者のケアマネジメントを居宅介護支援事業所のケアマネジャーから奪い、地域包括支援センター(介護予防支援事業所)に移したように、今度は、「中重度者のケアマネジメントが不十分」として、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」や「複合サービス」といった「地域包括ケア」の目玉となる新たなサービスを居宅介護支援事業所のケアマネジャーの守備範囲から除こうとする策動ではないか。軽度者のマネジメントを奪われ、重度者のマネジメントも奪われるならば、在宅介護の「要」としての居宅介護支援事業所のケアマネジャーはどうなるのか。中立公正・利用者本位はどうなるのか、ケアマネジメントへの自己負担導入議論も復活しかねない。
 
 「ケアマネジメントの質」をめぐる議論の中にこの危険な意図が隠されてはいないだろうか。
Category: 介護保険見直し
2011/02/20 Sun
 介護療養型医療施設廃止の「延期期間」が6年とする方針が報道されている。

 厚生労働省はこのほど、今国会に提出する介護保険法の改正案に、介護療養病床の廃止期限の延長を盛り込む方針を固めた。延長後の期限については、2017年度末を軸に調整を進めている。
 介護療養病床については自公政権時代に、11年度末までに廃止することが決まっていた。だが、厚労省の「療養病床の転換意向等調査」によって、昨年4月段階でも、約6割の介護療養病床の転換先が未定であることが判明。さらに、昨年3月末までに転換を済ませた約2万1000床のうち、厚労省が想定した老人保健施設へ転換したのは約1000床にすぎず、大半(約1万8000床)が医療療養病床へ転換していることも分かった。
 この結果を受け、長妻昭厚労相(当時)は昨年9月、11年度末までに介護療養病床を廃止するのは困難とする見解を発表。「国会で法改正が必要であり、今後の猶予(期限の延長)も含めて方針を決定する」と述べた。昨年11月にまとまった、介護保険制度の見直しを検討する社会保障審議会介護保険部会の報告書「介護保険制度の見直しに関する意見」でも、介護療養病床の新規の指定を行わず、廃止を一定期間に限って猶予することが必要とする意見が示された。また、民主党の厚生労働部門会議の介護保険制度改革ワーキングチームが昨年12月にまとめた提言には、廃止を3年間猶予する方針が盛り込まれている。(医療介護CBニュース)



 もともと民主党の09年衆院選マニュフェストでは「廃止計画の凍結」で、撤回ではなかった。政権交代後、当時の長妻昭厚労相が廃止期限を先送りする「猶予」へさらに後退。昨年12月の民主党WTでは「3年間猶予」とされていたが、今度は厚労省がそれより長い6年間延期となった。
 介護難民・医療難民の大量発生の危機はとりあえず先送りされたことになるが、この方針では、医療と介護の施設を一体的に見直す必要性から、診療報酬と介護報酬が同時に改定される18年4月に合わせて廃止とする者であり。その間、介護型の新設は認めず、医療型や介護施設への移行を促すことになり、依然として問題は解決しない。
 
 これまでの介護療養型の縮小で、行き場を失った人々、さらに特養などの入所待機者は、介護業界に様々な影響を及ぼしている。

 行き場のない要介護高齢者を入居させる「寝たきり専用賃貸住宅」が問題化した中部地方の新聞にこんな特集記事がある。

 長いので、一部分を引用する


(前略)
 病院からも介護施設からも拒否され、在宅介護も困難な高齢者の受け皿として急増する「寝たきり専用賃貸住宅」。自己負担月15万円以下の「低価格」と24時間態勢の「手厚いサービス」には、多額の医療保険など公金を吸い込む巧妙な仕組みが隠されていた。介護に苦しむ家族の救世主としてにわかに現れた「終(つい)の棲(す)み家(か)」の裏側を探った。
 病室のような、白を基調とした一室。空間の大半を占めるベッドの上で母は身を横たえていた。鼻には体内に栄養を送るチューブがつながれている。洗濯物を取り換え、布団を整えてあげた帰り際、女性は物言えぬ母の手を握り締めた。「母さん、生きているだけでうれしいもんね」
 愛知県内の「寝たきり専用賃貸住宅」と称する無届け施設に母を入れたのは2008年の冬。07年秋、脳内出血で倒れた母は全身まひの障害が残り、転院先の病院からも早期の退院を迫られた。
 子育てにパートを抱え、母を引き受けるのは困難だった。「病院のケースワーカーに泣きついたが、特別養護老人ホームも老人保健施設も難しいと言われた」。ようやく紹介してもらえたのが、ここだった。
 「病院では入浴もろくにさせてもらえなかった。ここでは母の体も清潔に保ってもらえている。私は100パーセント満足している」
 厚生労働省の調査によれば、病院から退院を迫られるなどして、特別養護老人ホームへの入所を希望する待機者は42万人を超えている。その4割以上が寝たきりか、ほぼ寝たきりとされる要介護4、5の高齢者だ。
 06年の医療制度改革で、国は長期入院が必要な患者のための療養型病床を大幅削減する方針を決めた。同時にこうした患者への診療報酬を引き下げたことで、病院を追われた医療・介護難民が大量に生まれた。
 行き場を失い、さまよう重度の要介護者。寝たきり専用賃貸住宅は救世主なのか−。その問いをNPO法人・東濃成年後見センター(岐阜県多治見市)の山田隆司事務局長は真っ向から否定する。「(鼻や胃に通した管から栄養を取る)経管栄養が基本で、回復の見込みがある人に、食事を取らせようという努力すらしない。本来の福祉のあり方から逸脱している」
 裁判所から入居者の成年後見人に選任されたことで施設とかかわりを持つようになった。契約関係の書類に目を通し、疑念を抱いた。「たとえ(病院に)搬送しても改善は非常に困難」と、事実上病院への搬送を拒否する同意書を取られていた。ベッドのレンタル料は当時月5万円。実際は1割負担なので見落としがちだが「通常より倍以上の設定」だった。
 後見人になった女性を訪れ、つばを飲み込める様子に「食事を取ることができる」と確信した。施設を退居させリハビリを試みた結果、女性は再び食事を取れるようになったという。
 その後移った特養で、医療・介護保険を含めた全体の経費は月額43万円だった。調べてみると、食事も取らせず、救急車も呼ばない“賃貸住宅”での経費は、その倍以上の99万円だった。
 何かがおかしい。が、山田事務局長の表情はやるせない。「私のような主張をするのは福祉の世界でも少数派。『必要悪』と容認する声は少なくない」

 「先生、5年で2億になりますよ」
 5年前、岐阜県多治見市のファミリーレストランでのこと。医師は「寝たきり専用賃貸住宅」の創設者を名乗る男性から、巨額の報酬を約束する“殺し文句”で、ビジネスに加わるよう誘われた。
 医師は3年前まで、施設の訪問診療を担当していた。開設した診療所で50人の入居者を受け持ち、年間の売り上げは1億円をゆうに超えたという。入居者1人に月額20万円近い医療費がかかった計算で、本紙が入手した資料とも合致した。その費用の半分以上を占めていたのが、週3回行っていたという訪問診療だった。
 1回の訪問で、医師は診療報酬として8300円を請求していたという。1カ月平均で13回とした場合、患者1人で10万円を超える計算だ。50人なら500万円になる。
 ただし、8300円は本来、在宅で療養する患者を1軒ずつ訪ねた場合を想定した金額だ。有料老人ホームのように患者が1カ所に集まっている場合、移動の負担が省かれるため、金額は4分の1以下の2000円に抑えられている。国も4月の診療報酬改定でその区別を明確化し、「同一建物」か否かを判断基準に明示した。
 重度の要介護者が同じ建物に集まる寝たきり専用賃貸住宅も、有料老人ホームと同じ扱いと考えるのが自然だ。ところが、有料老人ホームの届け出がないことを理由に、施設を担当する診療所は「在宅」同様の高額請求を続けていた。
 どんな“ビジネス”を展開しようと「業者が『有料老人ホームではない』と主張する以上、手の出しようがない」。施設を抱える岐阜県の担当者は釈明する。老人福祉法は、いわゆる無届け施設への強制的な立ち入り調査や改善勧告、命令を認めていない。「届け出を行うか否かの判断はあくまで施設側に委ねられている」(同県)
 昨年3月に入所者10人が死亡した群馬県の無届け施設「静養ホームたまゆら」の火災を受け、県は一斉調査を実施。初めて寝たきり専用賃貸住宅にも立ち入った。だが「ただのアパート」と繰り返す施設側の主張を受け入れて終わった。「現時点で岐阜県内に無届けの有料老人ホームはない」。これが担当者の見解だ。
 その姿勢にまゆをひそめる関係者も少なくない。「業者に逃げられでもしたら、入所者を移すあてがないから。結局、県は足元を見られている」
 「それって何か違法なの? 入居者を困らせてる? 税金使って何が悪いんだ」。入居者1人あたりで1カ月に100万円近い経費が使われ、その大半が公金でまかなわれている−。その現状に話題が及ぶと、「寝たきり専用賃貸住宅」の事業本部責任者を名乗る男性は、質問を制するようにたたみかけた。
 施設で暮らす寝たきり高齢者のほとんどは口から食事を取ることのできない人たちだ。食事に代わり、胃ろうと呼ばれる胃に人工的に取りつけた小さな穴や、鼻の穴に差し込んだチューブを通じて体に栄養を流し込む。介護施設が入所拒否の理由に挙げ、在宅介護の現場では家族が担うこともあるこの「医療行為」が、高額の保険請求と密接にかかわっていた。
 担当医によれば、入居者はいずれも「ほぼ終末期」にあたるため、再び自力で食事を取ることができるような訓練を試みることはないという。1日3回、チューブを通じて体内に送られる栄養できょうの命をつなぎ、いずれ訪れる死の瞬間をベッドの上でひたすら待つ。それが「手厚い介護」の実態である。
 男性は言い切る。「クレームなんて一切ない。家族は喜んでるし、入居者も幸せだと思うよ」
(以下略)



 中部地方では、こうした問題についてのシンポジウムも開かれている。 最近、行政も動き出し、「有料老人ホーム」の届け出をさせる方向であるとの話もある。

 介護療養型医療施設の廃止を単に6年延ばせばいいという問題でない。現に発生している「介護難民」「医療難民」とそれに群がるように出没する「介護ビジネス」の実態と、野放しにしない取り組みが急務である。そして何よりも、誰でも安心して負担できる範囲で入居できる施設・居住系サービスの整備が不可欠である。これなしには「地域包括ケア」など絵空事である。
Category: 介護保険見直し
2011/02/19 Sat
 岸和田社会保障推進協議会と「泉州で働くヘルパー・ケアマネの会」の共催の「介護保険学習会」に招かれた。
 当初1時間くらい という 依頼だったが 1時間30分みっちり話してください ということだったので、介護保険改定をめぐる話と、財政問題をお話させていただいた。

 参加者は、地元の介護関係者など76名。とても熱心に聞いていただき、質問もいくつか出た。


 終わった後、誘われるままに 懇親会へ。途中、3人のケアマネジャーさんたちも合流して、岸和田の女性パワーに圧倒されっぱなし。

 以前、岸和田に招かれた時は、20歳代~30歳代の若い 男性の介護職が 元気に大勢集まっているのに感心したが、今回は、中年・壮年の女性パワー。

 岸和田では、社保協などが中心となって幅広い団体の参加で「命の山河」の上映会を1000人近くの参加で成功させており、「地域でつながる」ことでは、とても底力がある。

 こちらの方が多いに励まされた。 
Category: 介護保険見直し
2011/02/17 Thu
 介護認定審査会を開かずに要介護認定 秋田市でこのような事件が報じられている。

読売新聞→ 審査会経ず介護認定 秋田市

 完全な介護保険法違反であり、地元メディアからは厳しく批判されている。 → 秋田魁新報社説

 秋田市の説明では
 今年度は申請数が予想を上回る状況で処理が大幅に滞っていた…早く認定しなければいけないという焦りがあった」と釈明しているという。 
 
 とされている。

 この申請数が多すぎて、法定期間(30日以内)に認定が間に合わないという事態は全国各地で起こっている。

 問題はこれに対する自治体(保険者)の対応である。

 大阪府内のある市でのケアマネジャーへの説明会資料(今年1月27日)では、
 
 「年々高齢者の増加に伴い、介護認定申請の件数が急増しています。そのため認定申請から判定結果の通知まで2カ月余りの日数を要しており、対象者、家族または担当ケアマネジャーからの認定審査会日等の問い合わせが非常に多くなっています。また、要介護状態区分が決定しないためにケアプランの作成ができず対象者の日常生活にかなりの支障が生じています」 

 申請しても「2ヶ月余り」しないと結果が出ない事態は、異常事態であろう。有効期間終了日の60日前からしか更新申請はできないから、60日前に申請してもすべて有効期間超過後でないと次期の要介護度が分からないことになる。とくに要介護と要支援を行き来する利用者や、利用限度額いっぱいの利用者などは、まったく見通しが立たない。
 さらに、その認定結果が、状態が変わらないのに「軽度」に判定されたり、要支援になったりしたら、限度額超過で自費サービス発生や特殊寝台のレンタルが給付対象外のなるといった事態も起こる。 
 まさに、要介護認定 が 介護保険利用を妨げ 利用者の生活に支障をきたす 典型である。

 ところが、この市は、毎月更新申請対象者にこんな文書を入れて送りつけているという。

 介護認定申請される皆様へのお願い  
 年々、介護認定申請が増加しているため、認定結果を通知できるまでの期間が長くなってきております。当面サービスの利用の予定がない方、また入院後間もない等で心身の状態が安定するまでに相当期間を要し、サービス利用が見込めない方は、介護認定申請を見合わせていただければ、必要とされる方への認定が少しでも早くなりますので、ご協力よろしくお願いいたします。
 

 要するにすぐに利用する予定のない人は、要介護認定を更新申請するな、ということであろう。
 被保険者をバカにするのもはなはだしい。役人根性の極みである。

 認定申請しても2ヶ月以上もかかるのであれば、いざ使いたいときに備えて要介護認定を受けて受給権を確保しておきたいのは当たり前ではないか。高い介護保険料を負担している被保険者の当然の権利である。また、現在の医療事情では、心身状態が不安定なまま病院から追い出されるように退院させられる場合が多い。要介護認定を早く申請したいと考えるのは当然ではないか。

 すべての要介護認定申請者に法定期間内に迅速に認定を出せるようにするのが保険者の最低限の義務であり責任である。
 それを「すぐに利用しないものが要介護認定申請するから申請が多くなって認定が遅くなる」と考えるのは本末転倒であろう。

 秋田市の事件と現象的には、正反対であるが、要介護認定をめぐる 行政の問題点を表しているのではないだろうか。

 厚生労働省の要介護認定事務の「簡素化」は、わずかに、区分変更認定の有効期間と、要支援・要介護をまたぐ更新認定の有効期間の上限を現行6ヶ月から12カ月にすることだけである。

 これでは、何の解決にもならない。

 介護保険見直し議論の中で提起された「要介護認定廃止」を真剣に検討するべきであろう。
Category: 介護保険見直し
2011/02/13 Sun
堺市西区で「「地域包括支援センター」が変わる? 老後を安心して暮らせる地域づくりりへ 『みんなで考えよう会』」が開かれた。
Image537.jpg

 堺市は、現在、各区に1ヶ所の「大規模地域包括支援センター」を、2中学校区に1ヶ所+各区1ヶ所 に再編する。地域包括支援センターは、現在の7か所から28か所に増える。

 当たり前と言えば当たり前であるが、5年間現在の形で定着してきたことなどから、関係者には戸惑いも多い。

 会には、民生委員を始め、堺市、地域包括支援センター、在宅介護支援センター、ケアマネジャーや、利用者家族など、実に様々な人々が参加。
Image535.jpg


 完全な手作り学習会だが、

内容は

「地域包括ケア」をめぐる動きと介護保険見直し 私が報告

 堺市の地域包括支援センター再編について 堺市高齢福祉課 参事が報告

 地域包括支援センターの現状について 西地域包括支援センター 社会福祉士 が報告
 
 在宅介護支援センターからの報告 結いの里在宅介護支援センター 相談員が報告

 介護支援専門員からの発言、利用者・家族からの発言

 とかなり充実したものである。

 
 いろいろ現状への批判や注文も飛び交ったが、地域住民と関係者が 一緒になって 「本物の地域包括ケアをこの地域で実現するにはどうしたらいいのか」を真剣に考える場 となった。

                          
Category: 介護保険見直し
2011/02/12 Sat
2012年度介護報酬改定を議論する「社会保障審議会介護給付費分科会」の検討がスタートした。

 昨日の「2・11介護シンポジウム」で、同分科会の委員である勝田登志子さん(認知症の人と家族の会)も「とんでもない調査報告が出されている。独り歩きすると大変なことになる」と警告されていた。

 介護保険見直しの課題の一つに、在宅サービス利用者の「区分支給限度基準額」問題がある。介護保険開始当初から「この限度額では十分な在宅介護はできない」「超過分は全額自己負担となり利用者は耐えられない」など多くの指摘があった。にもかかわらずこの11年間一切の見直しがなく、2009年度介護報酬改定で報酬引き上げがあったにも関わらずこの限度額が据え置かれたために、限度額超過となることを恐れてサービスを控えることが多発した。

 昨年11月30日の社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度見直しに関する意見」では、

区分支給限度基準額)
○ 区分支給限度基準額については、その引き上げ等を求める意見があり、まず、現在、限度額を超えてサービスを利用している人の状態や利用の状況等の実態を把握、分析することが必要である。
○ その上で、区分支給限度基準額を超えているケースについては、
・ ケアプランの見直しにより対応が可能なのか
・ 加算等の仕組みがあることによるものか
・ 今後の新たなサービスの導入等による影響をどう考えるか
などについて、次期介護報酬改定に向け検証を行い、介護給付費分科会において必要な対応を図ることが望ましい。


 とされていた。

 今回報告された「区分支給限度額基準額に関する調査結果の概要」は、

「超過者の週間ケアプランについて、市町村におけるケアプランの点検者における評価によると、「見直す余地がある」との意見が9割であった。」「担当のケアマネジャーに対するアンケート結果では、訪問介護の利用内容をみると、身体介護に比べ、生活援助の利用が多かった。「また、家族等で介護が補えないため」、「利用者本人や家族から「強い要望があるため」区分支給限度基準額を超えたケアプランを作成している例が多かった。」

として、

「区分支給限度基準額については、まず、ケアマネジメントの実態を踏まえた上で議論をすべきではないか。」

と結論づけている。

 まさに、限度額超過は、利用者・家族のわがままと不適切ケアプランにその責任があるかのような言い草である。

 しかし、たとえば、「区分支給限度基準額を超えたケアプランを作成している理由」では、

 ①家族等で介護が補えないため 77.5% 
 ②利用者本人や家族からの強い要望があるため 47.7%
 ③利用者の認知症が進行しており、多くのサービスが必要なため 38.2%
 ④利用者の状態(認知症を除く)から判断して、多くのサービスが必要なため 36.7%

 在宅の利用者の生活の大変さや家族の介護の負担の大きさ、区分限度額を超過して多大な自己負担に苦しんでいることが この数字からでも 容易によみとれるではないか。家族だけでは支えきれない利用者家族が、多大な自己負担を覚悟で「強い要望」をすることが何か問題なのか、と言いたい。限度額超過分は一切保険給付が行われていないのだから。「経済的に余裕がある」という回答はわずか24パーセントである。

 また、訪問看護やリハビリなど医療系サービスが少ない と問題視しているが、それこそ区分支給限度額や、負担の重さ、医療系サービスの提供体制にも大きな原因があるのでないか。

 市町村の評価者の評価を主要な論拠に「ケアプランの見直しが必要」が大多数と決めつけているが、その内容はまともに分析されておらず、同じ評価者でも医療関係職と福祉関係職で大きく傾向が異なるなど、分析なしには結論付けられないものである。まさに「いいとこどり」の調査結果利用である。

 過去にも、「訪問介護の過度な利用が廃用症候群を引き起こしている」とか「介護サービスの利用が状態に改善につながっていない」などという意図的な調査結果をもとに、強引に「新予防給付」を導入した「前科」がある。

 意図的な「調査結果」を公表し、「一人歩き」させ、サービスの切り捨ての世論を誘導していく、まさに悪質な詐欺的手法である。
Category: 介護保険見直し
2011/02/11 Fri
「異議あり、介護保険見直し政府案 利用者・現場の声を届けよう 2・11介護シンポジウムが」が東京で開かれた。全労連や中央社保協などが実行委員会を作り開催したもので、雪が降る中、200人が参加した。

 立教大学の芝田英昭教授が基調報告。
 シンポジストは
  ・認知症の人と家族の会の勝田登志子さん
  ・社会福祉法人すこやか福祉会の 中山美千代さん
  ・立命館大学の小川栄二教授
  ・全日本民医連の 林泰則事務局次長

 介護保険見直しの政府案に対する批判と介護現場の実態があますところなく浮き彫りにされた。とくに、社会保障審議会の介護保険部会と介護給付費分科会で委員をされている勝田さんのお話は、見直し検討の内幕をリアルに報告された。

会場発言で、とくに感動したのは、ノンフィクション作家の沖藤典子さんのお話。
 介護保険利用者の7割が女性で、85歳以上は46%に上るという。85歳といえば、65年前の敗戦の時は20歳、まさに「靖国の花嫁」の世代。戦時中に青春を犠牲にし、戦後を生き抜いてきたこの世代が、今後介護を受けながら生きる10年間は絶対に介護を後退させてはならない。日本の国の「礼儀」が問われる、というような趣旨の発言だった。
 
 政府の言う「2025年」は15年後の話であるが、「今後10年を後退させてはならない」という沖藤さんのお話は、とても納得させられた。

 私も発言させていただいた。以下発言原稿。


 2・11介護シンポジウム発言     大阪社保協 日下部雅喜
負担増を押し返した力をさらに発展させ、
よりよい介護の実現へ地域からの共同を

 介護保険2012年改定をめぐるたたかいは重要な局面を迎えています。国民と利用者・現場の声は政府をどこまで追いつめたのか(「到達点」)、今後「許してはならないこと」・「実現させるべきこと」(「当面する課題」)を明確にして運動をすすめることが重要だと考えます。

給付削減・負担増メニューの半分を法案化させなかった
 政府厚労省が社会保障審議会介護保険部会の「見直し意見」で、実施を狙っていた6項目のメニューの内、①利用者負担2割引き上げ②ケアプラン有料化③軽度者サービスの削減・2割負担化について、法案化を見送ったことは、私達のたたかいを始め国民世論の力として評価する必要があります。官僚が何を企もうが、審議会で御用学者が何を言おうが、たたかいと世論こそが政治を動かすことができることを示したのが今回の事態です。このことを介護現場や関係者の確信にすることが、今後、あきらめず声を上げ続けることに繋がります。
 さて、残された課題ですが、④多床室の室料徴収と⑤補足給付(施設利用者の食費・部屋代軽減措置)の改悪 については法律規定事項でなく厚生労働省令・告示事項です。したがって法案がどうなろうとも、今後「負担増は許さない」の立場で絶対に厚労省に制度化させないことが重要です。

軽度者の生活援助サービス切り捨てを許さない重層的な取り組みを
 問題は ⑥「保険者判断による予防給付と生活支援サービスの総合化」です。これは法律でその「仕組み」を作った上で、各保険者の判断に任せるというややこしい手法です。その狙いは、軽度者の生活援助サービスを保険給付から切り捨てることにあることは明確です。しかし、軽度者のサービス削減を正面から法改悪でスパっと切り捨てられず、このような複雑で姑息な方法でしかできないところに政府厚労省の弱点があり、私達のたたかいの展望があることを見逃してはなりません。
 たたかいとしては、第1段階は、介護保険法等「改正」法案の中に、これを盛り込ませないことです。「3月上旬」とされている法案提出まで、徹底的に厚労省に「法案化するな」の声を送りつける必要があります。そのために、この狙いをすべての関係者・利用者家族にわかりやすく伝えることが重要です。第2段階は、法案として国会提出された場合、これを削除・修正させることです。「ねじれ国会」の会期末まで要請行動を取組むべきだと思います。そして、万一、「改正」法が成立した場合でも、第3段階として、「保険者判断」による総合化をさせない、という各地方での取り組みが極めて重要になります。この点で、各地でホームヘルプサービスの不当な制限、いわゆる「ローカルルール」を許さず、たたかってきた経験と教訓を全国的に大きく広げていくことが重要だと考えます。大阪社保協では、2007年に大阪府が出した「あれもだめこれもしてはいけない」というローカルルールの「訪問介護サービスQ&A」を2年がかりの運動で全面改正させ、その運動の中でヘルパーの「散歩介助」も国に認めさせ、同居家族のいる利用者の生活援助の不当な制限の改善、通院介助の際の院内での付き添い介助を例外扱いさせない、など多くの改善を行なわせてきた経験を持っています。大阪社保協は、この到達点を昨年4月「ここまでできる!ホームヘルプサービス」というブックレットにして全国に発信しました。マスコミや業界紙に紹介されると全国のヘルパーやケアマネジャー、利用者家族から大反響で、注文が殺到し、あっという間に第2版でした。「ローカルルール」による不当な制限には、まさに地方から反撃し、国にまで攻めのぼっていく。「ローカルからナショナルへ」が私達の教訓です。(このブックレット1冊1000円で本日も販売していますので是非まだの方はお買い求めください。まとめて注文も受け付けます)

「保険主義」の矛盾明らか 抜本的改革の必要性明らかに 
 2012年度介護保険改定は、「保険制度」としての介護保険のあり方を根本から問い直すチャンスでもあります。介護保険は、介護サービスに必要な費用(介護給付費)の半分を中高年国民の保険料で負担させ、20%分は65歳以上の高齢者のわずかな年金から天引きとしたうえで、その自治体の介護サービスが増えれば増えるほど介護保険料も比例して上がり続けるという宿命をもった制度です。介護保険料は、第1期月2900円が現在は4160円へと1.4倍に増え「もはや限界」と言われています。高齢化によって増え続ける介護ニーズに応える介護サービスを提供しようとすれば、「公費」を抜本的に拡充し、現在の介護保険の枠組みを見直すしか道はありません。ところが、昨年の見直し検討では、「ペイ・アズ・ユー・ゴー原則」で公費負担は一切増やさないという方向をとったため、介護給付の削減へ、すなわち利用者負担増・サービス削減を目指しました。ところが「負担増は国民に支持されない」(民主党)と、見送りになりました。

 「介護保険埋蔵金」と「ボッタクリ保険料」
 政府案では、「各都道府県に積み上げられた財政安定化基金を取り崩して保険料の軽減に充てる法整備を行うことなどにより介護保険料を軽減」が盛り込まれました。介護保険は各自治体で「特別会計」で管理され、一般会計からの繰り入れは一切行われないという徹底した「保険主義的管理」であるため、不足額が生じた場合に貸付等をおこなうために各都道府県に設置されたのが「財政安定化基金」です。市町村1・都道府県1・国1の割合で拠出されていますが、市町村拠出分はすべて65歳以上の介護保険料です。06年度制度改悪による給付削減と保険料引き上げにより、保険者(市町村)の介護保険特別会計は、圧倒的多数が「黒字」となり、09年度には財政安定化基金は、貸付保険者はわずか全国で9自治体(0.6%)、積立総額2849億円の内、支出されているのはわずか81億円余りで、97パーセントはまったく使われない「埋蔵金」となってしまっています。
高齢者・利用者は常に犠牲 自治体の介護保険会計は取過ぎ保険料で大黒字
 また、各自治体の取過ぎ介護保険料である「介護給付費準備基金」は、第3期末(08年度末)には、全国で4049億6500万円に上っていました。厚労省によるとその取り崩しは、約3000億円程度にとどまり4分の1以上が3年間貯めこまれたままとなっています。まさに「ボッタクリ保険料」です。

 大阪社保協では07年から、「介護保険料に怒る一揆の会」と連携してこの「埋蔵金」と「ボッタクリ保険料」を取り返すたたかいを取組んできました。ボッタクリ保険料取り返せのたたかいは、7割の自治体で保険料引き下げを実現しましたが、大阪府は「財政安定化基金は取り崩せない」の一点張りでした。
今回の「政府案」での「財政安定化基金取り崩し法制化」は、私達の主張の正しさを示す結果となりました。大阪では、この法制化の動きも受けて「埋蔵金全額を取り崩して保険料下げろ」と大阪府に迫っていくことにしています。

国と自治体へ現場と利用者の声つきつける運動を 
 「政府案」の目玉である「地域包括ケア」は、自治体が地域ニーズをしっかり把握し、責任をもってケアの体制と仕組みを作ることなしには絶対に実現しない課題です。これも、厚労省は「どこまでやるかは自治体の裁量」と完全な自治体任せ、地域任せです。 
大阪社保協では、第5期介護保険事業計画と地域包括ケアに向けた取り組みについて府内自治体調査を行い、大阪府交渉も予定しています。
 私達の運動は、地域で介護を必要とする人々や介護現場の実態、とくに利用者家族の声なき声を自治体と国につきつけ、責任を果たさせていくことにかかっています。そのための介護関係者の大きな共同を作り出すのが私達の当面する課題であることを強調して発言とさせていただきます。

Category: 介護保険見直し
2011/02/09 Wed
2月9日午前、介護保険料に怒る一揆の会、年金者組合大阪府本部、全大阪生活と健康を守る会連合会は、大阪府に対し、「介護保険制度改善に向けての共同要求書」を提出した。

 不服審査請求運動を取り組んで、10年。いよいよ制度問題について、大阪府と要求交渉に入る。財政安定化基金の取り崩しによる介護保険料引き下げや府内自治体の独自減免問題など、大阪府段階で解決できることは多い。

 応対した介護支援課吉田課長補佐は、「関係課で検討し回答したい。話し合いについても調整する」と返答した。
 一揆の会側は、「介護保険見直し関連法案は3月上旬国会提出と聞いている。それまでに回答すべきである。また、話し合いの場はテーマが多岐にわたっており、十分な日程とスペースをとって行ってほしい」と強く要請しました。




2011年2月9日

大阪府知事  橋下 徹  様

全日本年金者組合大阪府本部 
執行委員長 松井幹治
全大阪生活と健康を守る会連合会
 会長  松岡恒雄
介護保険料に怒る一揆の会
代表 宮崎守正

  介護保険制度改善に向けての共同要求書
 
 介護保険制度が始まって10年以上が経過し、2012年度に向けた見直しも検討されています。私たちは、介護保険料賦課決定処分に対する集団不服審査請求を10年間行ってきましたが、昨年度から貴府は、「制度問題に関する要望については大阪府において対応させていただく」と繰り返し述べてこられました。
 私たちは、介護保険制度の改善に向けての共同要求を取りまとめましたので、貴府においてすべての要求について回答を行い、解決に向けた話し合いの場を設定されるよう求めます。


1介護保険料について

①大阪府内の介護保険料を引き下げること。府内各市町村の給付見込み額に不足が生じる場合は、一般会計から繰り入れ、高齢者の保険料負担が増えないよう指導すること

②低所得者の介護保険料を軽減すること。府内各市町村に対し、非課税者・低所得者の保険料を大幅に軽減する多段階化をはかるよう指導すること

③介護保険料の減免制度を大幅に拡充すること。府内市町村の減免制度の格差を解消するため、大阪府として指導を行うこと
1)独自の低所得者減免を制度化していない自治体を一掃すること
2)年収150万円(単身の場合)以下の世帯はすべて減免の対象とすること
3)資産・扶養要件を撤廃し、申請手続きを簡素化し利用しやすい制度とすること
4)減免分は他の被保険者の負担に転嫁せず、一般会計から繰り入れること

④介護保険料の年金天引き(特別徴収)の強制をやめ、納付方法については選択制とすること。大阪府として国に政令改正を求めること
  
⑤各自治体の介護保険料の計算根拠等について、高齢者にわかりやすい懇切丁寧な情報提供等を行うよう各市町村を指導すること

⑥国に対し、介護保険の国庫負担を大幅に引き上げるよう求めること

⑦各市町村の介護給付費準備基金残高については、全額被保険者に還元するよう府として指導すること

⑧「大阪府介護保険財政安定化基金」については、廃止し、市町村からの拠出金は返還し全額被保険者に還元すること。国・府の拠出分は全額第1号保険料引下げの財源として使用すること

2介護サービス等について

①入所待機者を解消し行き場のない高齢者をなくすために、特別養護老人ホームなど施設・居住系サービスを大幅に拡充すること。大阪府として、市町村と協力し、詳細な実態調査を行い、必要数を明確にしたうえで年次的に整備を行うこと。 

②介護保険サービスの改善に向け、大阪府として国に次の要望を行うこと
1)国の法改正案にある「保険者判断による予防給付と生活支援サービスの総合化」は、要支援者の保険給付を削減することにつながるものであり、法制化しないこと
2)ホームヘルパーの生活援助について、日常生活の援助をトータルにできるホームヘルプサービスを充実させるため身体介護と一本化すること
3)ホームヘルパーの通院介助における「院内介助」について、不当な制限のもととなっている通知(平成15年5月8日老振発第0508001号他)等を改正すること
4)施設利用者の食費・部屋代の低所得者軽減(補足給付)を改悪しないこと。多床室利用者の室料負担を導入しないこと。すべての介護保険施設・居住系サービスの居住費について軽減措置を講じること
5)要介護認定については、将来廃止をめざし、当面は3段階程度に簡素化を行うこと
6)区分支給限度額については、在宅生活を送る上で必要なすべてのサービスが確保できる量まで引き上げること
7)介護保険給付費の公費負担割合を大幅に引き上げること
8)利用者負担については現行(1割)以上に拡大せず、応益負担を所得に応じた応能負担とし、非課税者の負担をなくすこと
9)居宅介護支援については、10割給付を堅持するとともに、独立・公平性が担保できる報酬額に引き上げること
10)公費負担により介護労働者の賃金労働条件の大幅な改善をおこなうこと。処遇改善交付金については、2012年度以降も継続し、対象をすべての介護労働者に拡充に、「4万円賃上げ」(民主党2009年総選挙マニフェスト)を可能とする水準に改善すること
11)「介護福祉士等の介護職員による日常の『医療的ケア』の実施」(政府の法改正案)は、安易・安上がりな介護職への「医療行為代行」であり、法制化しないこと

③不当にサービスを制限する「ローカルルール」を解消し、必要な援助ができるようにすること
1)訪問介護について、府内市町村の行き過ぎた規制を改めるため大阪府として指導を行うこと
2)形式的行政的な指導に終始し、サービスの制限やケアマネジャーの裁量や専門性の否定につながる「ケアプラン点検」「給付適正化指導」を改めること

④「大阪版権限移譲」に基づく事業者指定・指導監督権限の市町村丸投げを中止し、府として介護基盤整備と介護サービスの質確保に責任をもつこと

⑤「地域包括ケア」を実現するために、府として必要な指導・援助を行うこと
1)市町村の責任で、すべての日常生活圏域で悉皆調査の実施によるニーズの把握を行うこと
2)第5期介護保険事業計画策定あたっては、日常生活圏域ごとに住民・高齢者・利用者家族・事業者等の参加する「日常生活圏域部会」を設置し、住民参画を徹底すること
3)日常生活圏域のサービス拠点の整備等は、市町村責任で行い、地域包括支援センターの機能を抜本的に強化すること

⑥いわゆる「高齢者賃貸住宅」や「無届有料老人ホーム」について府としてその実態を調査し、質の確保と入居者の生活を守るための規制を行うこと

⑦状態が悪化しているにもかかわらず「軽度」に認定されるなど、利用者の実態とかけ離れた要介護認定を改善するため、大阪府として実態調査を行い改善措置を講じること

⑧「住宅改造費助成事業」に対する補助を復活させるとともに、「街かどデイハウス支援事業費補助」については、切り下げ前の水準にもどすとともに大幅改善を行うこと。大阪府独自の高齢者施策について拡充すること

3 不服審査の改善について

①介護保険料不服審査請求に対する不誠実な対応を改め、大阪府介護保険審査会は被保険者の権利利益の救済機関としての機能を発揮すること
1)不服審査請求については、行政不服審査法・介護保険法に規定する不服審査請求の要件を満たしている適法な審査請求すべてについて、内容審査を行い、処分庁に弁明書提出を求めること
2)口頭意見陳述については、すべての申立者にその機会を付与するとともに、審査会委員が出席し聴取を行うこと
3)審査会委員については、広く公募を行い公正に選任すること

②要介護認定に対する不服審査請求については、その周知をはかるとともに、ほ、利用者の介護の必要性を考慮した審査・裁決を行うこと



Category: 介護保険料
2011/02/06 Sun
 2月5日午前中は、大阪よどがわ市民生協学習会。市民生協の理事会と労働組合共催社会保障講座の第3回めである。

 テーマは「高齢者の貧困と介護保険」であったが、主催者から依頼のあった「高齢化危機論」「財政赤字=消費税増税やむなし論」に対する批判を後半50分近くお話させていただいた。

 私としても久々のテーマであった。

 学習会の後、主催者の方から、「よくわかりました。職員にアンケートとっても『消費税アップは仕方がない』という意見が結構あるんです」と言われた。

 財政危機=消費税増税不可避論は、民主党も自民・公明も基本的には同一の主張であり、各マスコミも大々的なキャンペーンをはっている。まるで、戦前の「戦争不可避」の翼賛体制である。

 そういう中で、消費税問題を論じるには、それなりに 自分の頭で考えないと 無理である。また、客観的データを自分で読み込むこと。増税不可避論者の主張も きちんと理解したうえで 具体的な反論が必要である。


 私なりに参考になった本。

 まず、財政危機・経済危機論を これほどあけすけに また 分かりやすく書いた本としてはぴか一
 
 日本経済の真実~ある日、この国は破産します~
 日本経済の真実

 、
テレビキャスターの辛坊治郎辛と、お兄さんの辛坊正記氏の共著。内容は、小泉・竹中の構造改革・新自由主義の立場から日本経済・財政を「破たん寸前ぶり」を仰々しく書いているが、日本のGDPや債務残高などの豊富なマクロ経済データが簡潔にまとめられている。とにかく分かりやすい。
 「さあ、あなたはどうするか!この本を読んだら夜も眠れない。恐るべき日本経済の実情が手に取るように分かる本」
とある。

 私は、まずこれを 一読して、これに挙げられている主張を、ひとつひとつ 覆していけば「財政危機論」を克服できると考えた。

 さらに、「財政危機でない」という立場の本も読んでみた。

 消費税は0%にできる 
 消費税は0%にできる

 財政再建には消費税を上げるしかないというのは、政府が植えつけた幻想。財政健全な日本には積極的な経済政策しかない。消費税増税という政府の宣伝に乗ってはいけない。低いといわれる日本の消費税も、実質的には欧米並みの水準になっている。社会保障費という人質を取って増税を迫る政府の姿勢は、失政のツケを国民に押しつけているに過ぎない。  
 と内容紹介のあるとおり、消費税増税無用論である。日本の国家財政を「健全」と強引に主張していることや、安易な公共投資論は いただけないが、上の本とは ウラ・オモテの関係で、しかも経済や財政のデータは同じものも多い。

 これらの主張を踏まえたうえで、財務省のデータをいろいろ読み込むことである。

 「日本の財政を考える

 これに反論できれば、財政危機論を克服することができる。

 また、実際の経済データは 総務省統計局の 国民経済計算 で 得られる。



 消費税そのもののもつ税制としての問題点は

 消費税のカラクリ 
消費税のからくり
 
 消費税の納税義務者たる中小企業者、自営業者が壊滅的打撃を受け日本経済が甚大な被害をこうむる一方、輸出大企業には消費税還付金で負担減。不公平税制、欠陥税制としての消費税の問題点を鋭く突いている。


 イメージだけの「財政危機=消費税増税不可避論」をはねかえすためには、少しだけ お勉強が 必要である。

 


 

 

 

 
Category: 社会保障問題

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索