2011/06/26 Sun
「第5回ヘルパーのつどいin奈良」に招かれた。
Image613.jpg

 この集会には、毎年参加させていただいているが、昨年は80人くらいの参加だったが、今年は、参加申し込みが非常に多く、当初の定員100人の会場ではおさまらず、急きょ広い会場に変更になった。

 大変な盛り上がりである。また、内容もすばらしい。

 私の前に講演されたヘルパーさんの「認知症・認知症ケアの方法」では、在宅の認知症の利用者に向き合う豊かな実践に裏打ちされたすばらしいものだった。「30分、1時間の短い訪問では限界がある、ゆったりとした楽しい時間を利用者と過ごすことが認知症のケアの基本」と述べられた。
 まさにそのとおりである。

 私は、「介護保険見直しでどうなる!訪問介護と利用者」とのテーマで、お話させていただいた。

 要支援者のヘルパーサービスを奪う「総合事業」や、短時間訪問の繰り返しで重度単身者の在宅生活を支えるとする「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、先の認知症ケアの実践例とあわせ、ヘルパーの現場の実践をあえて無視した制度化であることを強調した。

 昨年の「ヘルパーのつどい」で、私が問題提起した「奈良市のローカルルール」問題について、奈良のヘルパーさんは、「同居家族のいる利用者への生活援助にあたっての事前届出書」について県内の自治体調査を実施された。それによると、調査した26の市と町で奈良市と同様の事前届出書が必要なところは8自治体に上った。
 ローカルルール問題は、実態調査が第1歩である。

 奈良のヘルパーさんは 「ヘルパーのつどい」だけでなく、ヘルパー連絡会の毎月の例会も積み重ねている。集会の後の懇親会でも大いに盛り上がり、12月に京都で予定している、「交流集会」の実行委員会にも加わっていただけることになった。

 
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
2011/06/23 Thu
 今日は「介護保険料に怒る一揆の会」世話人会。

 介護保険「改定」法が成立したもとでどう地域でたたかいを進めるか、が議論になった。
 とくにわかりにくいのが「保険者判断による予防給付と生活支援サービスの総合化」。

 高齢者にもわかりやすいようにと、簡単なチラシを作った。


 エッ! 「要支援」だと 介護保険が使えなくなる? 
 サービス取り上げる「総合事業」
持ち込みをやめさせましょう!

 今年6月に国会で成立し、来年度から施行される介護保険「改定」では重大な改悪が盛り込まれました。
「要支援」は介護保険が利用できなくなる仕組み
「要支援」と認定された人を、介護保険サービスから市町村が除外できる仕組みです。
 現在は、要介護認定で「要支援1、2」と認定されると介護保険でヘルパーやデイサービスなどのサービスが受けられます。
 介護保険法改定で、新しく設けられた「介護予防・日常生活支援総合事業」では、「要支援」の人に介護保険のヘルパーやデイサービスを使わせず「総合事業」に移すことができるようになります。「総合事業」では、介護保険サービスのようにヘルパー資格や施設基準もないため、ヘルパー派遣が、「無資格のボランティア」に置き換えられたり、デイサービスが公民館での「見守り・預かり」に置き換えられたりすることもあります。
この「総合事業」を実施するかどうかも市町村に任されるため、自治体ごとにバラバラのルールになります。



 そして、自治体への要求項目である。

 当初の案は
1 「介護予防・日常生活支援事業」は 市町村の裁量なので、「総合事業」そのものを実施しないこと。
2 介護予防サービスの充実と、地域支援事業及び高齢者施策充実を行うこと



 一揆の会の世話人の面々は、今はみんな75歳以上の後期高齢者だが、現役時代は、都市交通労働者、保健師、保育士、医療生協理事長、損害保険会社社員、労組専従など 多彩で、介護問題や社会保障問題にも詳しい。
 しかし、「うーん。わからんな。総合事業そのものがようわからんし、それを実施するなって言っても介護保険を利用してない人にはさっぱりわからんで」という意見が続出。

 

 議論の末、自治体への要求項目は、
1 サービスの必要な『要支援1、2』の方でも介護保険が利用できなくなる『総合事業』はやめてください
2 従来の介護予防サービスの充実と誰もが利用できる地域支援事業及び高齢者施策の充実を行ってください
 

というふうに書き換えた。

また、一揆の会ニュースには
「介護保険サービスを使うか『総合事業』を使うかを決めるのは利用者本人でなく『市町村・地域包括支援センター』とされているので、自分では選べません。保険料を取られ、認定を受けても介護保険が利用できない、こんな無茶苦茶なやり方を自治体にさせてはなりません。」と書いた。

これからこの『総合事業』問題は 自治体段階での取り組みが決定的に重要である。地域で、いかにわかりやすくするかが、運動のカギである。
Category: 介護保険見直し
2011/06/20 Mon
 今日は、弁護団会議。 
 堺市が2006年度~2007年度に設置していた「事業者指導室」で、介護給付費調査員として雇用された非常勤ケアマネジャーに対し、かつて勤務していた事業所での不正発覚問題で、そのケアマネジャーの「不正関与」を疑い、仕事を取り上げ、さらに首切り通告までして、精神疾患(不安抑うつ症)になるまでまで追い込み、翌年雇用打ち切りにした事件である。

  
    詳しくは http://ombudsman.blog61.fc2.com/blog-entry-464.html
 
いま、彼女は病気と闘いながら、訪問看護ステーションを営んでいる。 うつ病ナースのぼちぼち奮戦記 

 現在、私たちも支援し、堺市を相手取った裁判で、損害賠償を求めて争っている。

 その被告(堺市)が出してきた準備書面は、あくまで しらを切り、市に「責任なし」「うつ病は個人の素因によるもの」とする許しがたい内容である。

 「平成18年7月、不正請求が発覚した○○○の事業所で、原告がケアマネジャーとして勤務していたことが発覚した。その上原告は、堺市南区役所の非常勤職員として週3日勤務しており同事業所に常勤として務めることは不可能であったにもかかわらず、原告を同事業所の開設に不可欠な唯一の常勤ケアマネジャーとして登録されていた。事業者等の介護保険給付費請求に不正がないかを調査する立場にあった原告についてこのような事実が発覚した以上、たとえ原告が不正にまったく関与していなかったとしても、一般に調査の公正を疑われたり、逆に原告が誹謗や攻撃を受けるおそれがないとはいえない。そこで平成18年8月頃から、原告は、当面指定居宅介護サービス事業者等への実地調査は担当しないこととなった」

 「唯一の常勤ケアマネ」が常勤として務めることが不可能というなら、これは、虚偽の指定申請にあたる。しかも、常勤できない事情が堺市の非常勤であったというなら、証拠は万全であり、完全な「指定取消」処分、報酬全額返還である。ところが、堺市はそれ以上の追及をせず、大阪府も併設の訪問介護事業所の不正請求(たった65万円)だけを指定取消し、肝心の居宅介護支援事業所は「自主廃止」で、不問にしたのである。

 事実を解明しないまま、そして、名義を無断で使われた本人への調査も一切しないまま、さらに、本人の釈明書を無視したまま、不正関与を疑いつづけた。

 そうしておきながら、彼女から仕事を取り上げたことをあたかも、「調査の公正」を守り、彼女を「誹謗・攻撃」から守るためにやったかのような言いぶりである。

 うつ病とたたかいながら、「せめて責任を認めて謝ってほしい」との思いで訴えた当事者に対し、責任を認めないばかりか、クロをシロと言いくるめるような態度である。

 相手が 立場の弱い非常勤ケアマネだからといって 愚弄するにもほどがある。

 何が事実だったのかを 裁判では 徹底的に明らかにし、堺市の責任を追及していく決意である。 

 
2011/06/19 Sun
 2009年に地裁に続き大阪高裁でも、不正介護報酬1億円の返還請求を認める判決を得た住民訴訟の舞台が最高裁に移っている。

 不当にも上告した堺市は、「事業者の管理者が常勤でないことは軽微な瑕疵にすぎず、介護報酬の支払いの障害とならない」(堺市の「上告理由書」)などと、おどろくべき主張を行っていた。これらの上告についてはいずれも今年4月21に最高裁で「棄却」が決定した。

 しかし、補助参加人である事業者(社会福祉法人啓真会)の行った「上告受理申立」のうち、「大阪府知事の指定取消権限との矛盾」についてだけ、最高裁は「上告審として受理」とし、弁論が行われることになった。

 要するに、常勤管理者不在を偽って指定を受けて介護報酬を受け取っても、指定取消権限を持つ大阪府知事が指定取消処分を行っていないので、堺市に介護報酬を返還請求権はない という 主張について その当否が争われることになったのである。

 しかし、私にすれば 「何を今さら」 というところである。

 大阪府は、この事業者のデイサービス指定時に認知症専用型の加算を認めながら、一方で定員を15人として指定するという初歩的ミスを犯した上に、常勤管理者不在についても、不十分な監査により、それを立証できず、指定取消に踏み切れなかっただけのことである。
 詳しくは 不正社会福祉法人かばう行政職員の堕落 07年10月5日 参照

 大阪府知事は、地裁判決・高裁判決を真摯に受け止め、今からでも指定取消処分を行えばそれですべての「矛盾」が解消するのである。
 
 さらに、その後の法改正で、2006年度からはデイサービスセンター(認知症専用型)は地域密着型サービスとして堺市長の指定権限となり、さらにこの6月に参議院を可決成立した介護保険法改正では、居宅サービス事業者の指定・監督権限が政令指定都市に移譲されることになっており、すべてが堺市長の権限となる。

 もはや 「大阪府知事との指定取消権限との矛盾」は、来年度には完全に解消するのである。

 いまさら、最高裁で そんな後ろ向きの議論をすることに 何の意味があるのであろうか。

 6月16日には、最高裁第一小法廷で弁論が行われた。判決は7月14日とのことである。司法の良識ある判断を期待するものである。

 以下、意見陳述要旨の抜粋

本件訴訟が問題とした啓真会の不正請求行為
1 問題とした行為 
 本件訴訟において当初、問題となった啓真会による不正請求行為は、
 ① その運営する出屋敷デイサービスセンターにおいて、看護職員の勤務実態を偽り職員配置基準を満たさないサービス提供時間についてしかるべき減算をしないで、また、実際には通所介護サービスを受けていない時間帯にも利用したように装った虚偽の通所介護記録を作成し、堺市に2800万円を下らない額の介護報酬を不正に請求し受領した行為
 ② その運営する出屋敷ヘルパーステーションのケアハウス入居者に対し、実際にはケアハウス職員が行った施設サービスを、訪問介護員が行ったかのように偽り、堺市に500万円を下らない額の介護報酬を不正に請求し受領した行為  
 ③ そもそも、その経営する介護保険の指定事業所において、専従勤務の見通しのない者を管理者とする虚偽の申請により指定を受け、その後も管理者不在の状態のまま、虚偽の報告を行い続け、不正に介護報酬を受け取った行為
 の3つである。
 これらの指摘に対して、堺市長は当初、いずれも争う姿勢を見せたが、本件訴訟提起後に以下の通りの動きがあった。
2 本件訴訟提起後の動き
(1)上記②の不正請求行為に関して

 本件訴訟提起後の、平成17年8月24日、大阪府は、上記②の不正請求行為の事実を認めたことを根拠として、介護保険法第77条第1項第3号の規定により、啓真会の指定居宅サービス事業者の指定を取消すとともに、経済上の措置として、事業者から保険者である堺市に対し、不正に受け取っていた介護給付費633万982円を返還させたばかりでなく、介護保険法第22条第3項の規定により100分の40を乗じた加算額を支払わせることとした(甲6、甲16、甲17)。
(2)上記①の不正請求行為に関して
 本件訴訟提起後の、平成18年1月30日、堺市は、介護保険法第24条の規定による実地指導の結果、上記①の不正請求行為の事実に付き「不適正な請求の事実」として同事実の概要を認めたことを根拠として、啓真会に不適正な請求により受給した介護報酬3135万5038円の返還を請求し、これを支払わせた(甲18、19)。
(3)啓真会の悪質性
 このうち、特に②の事実は、啓真会が故意により、組織的に行っていた不正請求行為の事実を認めたものであって、啓真会の悪質性を示すものと言える。

第4 上告審において、問題となるのは③
  その結果、現在、上告審で問題となっているのは、③の専従勤務の見通しのない者を管理者とする虚偽の申請(具体的には、常勤であるH幼稚園の事務長の地位にある人物を常勤である介護保険事務所の管理者としたこと)により指定を受け、その後も管理者不在の状態のまま、虚偽の報告を行い続け、不正に介護報酬を受け取った行為について、である。
 大阪地方裁判所は「啓真会が本件各指定にかかる申請に当たり作成した管理者経歴書に、Tが本件幼稚園の事務長であることを記載しなかったのは、これを記載すると上記基準に抵触して本件各指定がされなくなると考え、あえてその経歴を秘匿したものと推認できる」とし、勤務実態としても「Tは、本件幼稚園の事務長の仕事を兼務しているため、本件各センターの管理者としての勤務状況は不良で、常勤とは評価し得ないものであったと認められる」と認定した。そして、「啓真会が本件各指定を受けたことを前提として受領した金員は「偽りその他不正の行為により支払を受けた」(法22条3項)ものに当たると解されるから、堺市長は啓真会に対し、その全額(ただし返還済みのものを除く)を請求することができる。」としたのである。
   そして、これらの事実認定・判断は大阪高等裁判所でも維持された。
第5 補助参加人(啓真会)の主張に対して
  啓真会は、上告受理申立の理由として、市町村が、指定取消事由に該当する事実をもって、法22条3項の「偽りその他不正の行為により」にあたるとし、これを理由に保険給付の返還請求を行うには、都道府県知事の有する指定取消権限の行使との矛盾を生じさせないために、「現に都道府県知事の指定取消処分を行ったか、そのような処分が行われることが確実な場合に限られる」と解すべきとのべる。また、少なくとも、都道府県知事による指定取消がなされていたかどうかは「偽りその他不正の行為により」の認定にあたって主要な判断要素であり、大阪府の判断が合理的根拠に基づかないなど特別の事情がない限りは、府の判断を是とすべきと主張する。
  しかし、啓真会が述べる弊害とは、保険給付全額を返還することで事業者の資金繰りが苦しくなるという点に尽きる。しかし、返還するのはあくまで「偽りその他不正の行為により」受けた給付なのであり、本来、その事業者が保有していてはならない資金の返還に他ならない。
 その結果、事業の継続が危殆に陥ることがあっても、それは不正な行為を行ったことによるツケであり、そのような不正を働こうという事業者を介護保険事業から排除していくこと、退場頂くことこそ、介護保険制度の適切な維持のために必要な事である。
 また、介護報酬の返還請求を行うことと指定を取消すことは法律上明確に異なる。法は府市それぞれにそれぞれの権限を与えている。法は府の指定取消権限と市の返還請求権に優劣を付けていないのであって、府市はそれぞれの権限を行使するべきものである。
 市町村には、保険者として介護保険費用を適正に管理するために、偽りその他不正の行為による保険給付の不正受給に対しては返還請求を行うことが出来る権限が与えられているのである。この権限を規定する法22条3項は、その対象を「偽りその他不正の行為により」とするのみであって、指定取消事由に該当する場合を除外したり、特別な制限を課してはいない。
 市町村が、不正な手段により指定を受けたことによって保険給付を受給したことが「偽りその他不正の行為により」受給したことにあたると判断して、当該事業者に対し、設置以来の介護報酬全額の返還を求めること、それは、あくまで市町村の権限である介護報酬返還請求権の行使そのものであり、府の指定取消権限を侵しているものではない。
 本件について、大阪府知事による指定取消がなされていない事実については、原判決においても、「偽りその他不正の行為により」の認定にあたって十分な考慮がなされている。
 原判決は、証拠に基づき、大阪府知事が指定取消をしていない理由を、「大阪府は、Tが管理者として明らかに常勤勤務をしていなかったことを裏付けることができなかったために、不正と判断しなかったことが認められる」と事実認定した。そのことを踏まえても、証拠上、Tが管理者として常勤勤務していなかった事実を認定できる以上は「偽りその他不正の行為により」に該当すると判断したものである。
 本件で指定手続きにおいて、補助参加人に不正があり、取消事由があることは、すでに地裁、高裁判決で認定されてきたことである。本審においても、指定手続きの際に違法はなかった(あるいは極めて軽度の不正であった)という上告人、補助参加人の主張は既に、排除されている。
 介護保険法の趣旨に則り、堺市長は自らの権限に基づいて請求することが求められる。大阪府の判断と矛盾が生ずるように見えても、優劣がない以上、府が真実を明らかとした司法判断を尊重して、今後、指定取消を行うことによっても解消されるのであるから、法の趣旨に反して堺市長が権限行使を制限しなければならない理由はない。
 なお、指定居宅サービス事業者等の指定権限について、法改正等により現在ではこれを都道府県から市町村へと権限移譲する流れが趨勢となっている。これは、指定取消要件については、市町村にこそ適切な判断ができるとの考えによるものと言え、このような情勢を踏まえても、本件において堺市長が大阪府知事の判断に拘束されると考えるべきではない。
 以上の次第であるから、補助参加人上告受理申立の理由2(2)には理由が無く、本件上告は速やかに棄却されるべきである。

2011/06/18 Sat
 介護保険見直しの議論の中で「ケアマネジメントの機能強化」が言われているが、当事者のケアマネジャーの思いはどうであろうか。

 ケアマネジャーを対象とした行政によるそれなりの規模の調査がある。
 広島県介護支援専門員実態調査 である。

 広島県介護保険課が、平成22年2月1日現在,広島県に介護支援専門員登録を行っている者13,488人を対象に,アンケート調査を行い,6,105人(回収率45.2%)から回答があったというものである。

 直接ケアマネジャーに郵送で行政が行っていること、対象1万3千人、回答6千人という規模の大きさもこの種の調査としてはかなり信頼性が高く、「広島県」という地域限定ではあるが、ケアマネジャーの傾向をかなり把握できるものだろう。
 
 回答者のうち、実際にケアマネ業務に従事している人は2311人。基礎資格は 介護福祉士が47.0%、看護師が19.2%、准看護士が7.3%。
 雇用形態は 正規職員  82.4%、 月給平均 26万9703円
       非正規職員 17.6%、 月給平均  17万4989円

 同報告書の25頁に 「今後も介護支援専門員の業務を続けたいと思うか」
  1 続けたい    955人 (41.3%)
  2 続けたくない  652人 (28.2%)
  3 わからない   670人 (29.0%)
   無回答       34人  とある。  ※()内のパーセンテージは追加で計算

 なんと ケアマネ業務を続けたい人は4割そこそこで、3割近くは「続けたくない」と思っている。

 これはある意味でケアマネジメントの危機であろう。

 その「理由」は
 トップは 「仕事がきついため」がトップで385人(続けたくない人の59.0%)で、6割以上がケアマネ業務が「きつい」ため、続けられないと 回答していることになる。

 そこで、同報告書32頁のケアマネ従事者の意識調査では、「負担感」について
  「非常に負担に感じる」は、1位「サービス担当者会議の開催」707人(従事者2311人の30.6%)、2位が「月1回のモニタリング」579人(25.1%)、3位が「モニタリング訪問時の記録」574人(24.8%)である。
 
 逆に「負担は感じない」のトップは「サービス担当者のケアプランの交付」1058人(45.8%)、2位は「ご利用者・家族へのケアプランの説明・同意」1027人(44.4%)、3位は「サービス担当者への意見聴取」870人(37.6%)である。

 運営基準上の減算項目であるケアプラン作成・変更時の「サービス担当者会議」開催や、「月1回のモニタリング」とその記録など、この間の実地指導やケアプラン点検を通じてチェックされてきたことの反映であろう。

 私の知っているあるケアマネジャーは「記録と書類に追われて書類に殺されそう」と悲鳴を上げていたことを思い出す。

 同報告書22頁で、ケアマネ従事者が望む労働環境の改善項目のトップは「作業書類の軽減等、事務作業の効率化・省力化を図る」1220人(52.7%)であった。

 ケアマネを離職・転職に追い込むような厳格な指導や点検が はたしてケアマネジメントの向上になるのであろうか。


cf この報告書の分析は 福祉のひろば3月号 小川先生の論文 参照

 
 
 
 
 
Category: 介護保険見直し
2011/06/18 Sat
 大阪府内の自治体職員の組合でつくる衛都連(衛星都市職員労働組合連合会)の第15回職場・職種別交流集会 第4分科会「高齢者介護」が開かれた。

分科会の趣旨
 介護保険制度は、2012年度改定に向けて、国会に法改正案が出され、自治体でも第5期介護保険事業計画策定に向けて準備が進められています。「地域包括ケア」など新たな目標が示されていますが、次期介護保険料は大阪府内では月5500円を超えるとの試算もあり、課題は山積しています。とくに、居宅サービス事業者の指定・指導監督の「権限移譲」は自治体に新たな課題を持ち込んでいます。分科会では、介護保険の動向や問題点を学びながら各自治体での現状を交流し論議します。


 介護保険見直しの動向、大阪府内の介護保険状況について、私が報告したのち、「わが市の介護保険の状況と介護保険職場の課題を見つけよう」とのテーマで各市の状況を報告し合った。
 
 大阪府では、居宅サービス事業者の指定・指導監督と有料老人ホームの届出受理等の事務権限が市町村に移譲されることもあり、地域で急増する「高齢者専用賃貸住宅」(未登録を含む)への対応が大きな話題となった。利用者家族からの訴えや不適切サービスの告発にどう対応するか、調査にどう入るか、などについてどの市でも頭を悩ませる。
 また、「お泊りデイサービス」を売りにした全国チェーンの進出も、事実上の「住み込みデイ」にならないか危機感を募らせる。
 「住宅」「泊り」といった介護保険外のことに市町村がどこまで対応できるか、といった不安の声もあがった。

 体制も経験も不足したままの指定・指導監督権限の市町村移譲の問題点を浮かび上がらせる議論となった。
 
Category: 介護保険見直し
2011/06/15 Wed
介護保険法等改正法案が 今日参議院本会議で採決され、賛成多数で成立した。

参議院本会議での全議員の賛否状況 ↓

                   賛成223 反対10

 反対は、共産党の全員と社民党の一部だけである。

 参議院でわずか8時間の審議時間、政府委員以外は参考人質疑もまったくしなかった スピード審議。
 賛成した自民・公明・民主・みんな など 各政党の223人の議員先生たち! あなたたちのうち何人が、この介護保険改定法案の中身を理解し、賛成したのか といいたくなる。

 大阪社保協では、法成立後の情勢を受けて 学習会を取り組む。


何が決まり、どうたたかうかを考える
介護保険学習決起集会


14日に介護保険法改正が参議院で強行可決との情報です。
しかし、現時点でもなお、
「地域包括ケアとか介護予防・日常生活支援総合事業っていったいなに?」「介護労働者の処遇はどうなるの?」
「次期介護保険料はまた値上げ?」・・・という声が介護現場から、利用者・家族から、そして自治体からもあがっています。
これは今回の改正法案が非常に抽象的で分かりにくい内容となっているためです。
現時点での介護保険みなおしの内容を整理し、今後地域での運動をどう組み立てるのかを学ぶ学習決起集会を
緊急企画しました。
ぜひご参加ください。チラシは拡散希望です。

□ 日時 2011年7月14日(木)午後6時半~9時
□ 会場 大阪府保険医協会MDホール
□ 講師 日下部雅喜・大阪社保協介護保険対策委員 他
□ 資料代 500円  
□ 資料印刷の関係上必ず事前申し込みをメールしてください。
□ 主催 大阪社会保障推進協議会 Tel06-6354-8662 fax6357-0846
       
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
介護保険学習決起集会に参加します
  ふりがな
□ 氏名                □団体・職場名        
□ 連絡先    メール                  □職種
*お断りをする場合のみメールでご連絡します。
Category: 介護保険見直し
2011/06/15 Wed
堺社会保障推進協議会が、国保料引き下げ運動決起集会をかねて「相談活動ハンドブック学習会」を開いた。

 会場は堺市役所地下会議室。参加者は40人ほど。私が講師を仰せつかった。

sodankatudou.png
 
 1時間ほどの学習会だが、わずか40頁あまりのハンドブックを説明するにはかなり時間不足だった。

 大阪社保協作だが、全国にも通用する内容なので、ぜひ 一冊購入を。A5版44ページ 150円。
とくにケアマネジャーは必見である。 あの厚生労働省も購入したというすぐれものである。

 申込用紙 

学習会のレジメ

 
 暮らしを守るために制度を活用し、改善しよう 
            介護保険料に怒る一揆の会 日下部雅喜

はじめに
 おもに高齢者を中心に各種制度の活用を考える

1 「収入」と「所得」の違いを知っていますか?
   ハンドブック 2~3頁


2 住民税を「非課税」に

①「非課税」とは 
 いろいろな軽減制度は、低所得者でないと受けられない場合が多い
  低所得者とは「住民税非課税」のこと 非課税とは「所得割」も「均等割」
かからないこと

 ②非課税になるためには
   非課税になるのは 普通の人は「所得35万円以下」
   「障害者」、「寡婦・寡夫」 所得125万円以下 であれば 非課税に
ハンドブック 4~5頁、15頁

 ③扶養家族がいれば非課税になることも
      扶養控除 ハンドブック5頁、15頁
      「35万円×家族数+21万円」以下 の所得金額なら非課税に
 
 ④非課税世帯に
   「非課税世帯」とは世帯全員が非課税者
   課税者と世帯を分ければ 非課税世帯に  ハンドブック13頁


3 医療費負担を軽減するために

入院時の食事代・医療費負担は非課税世帯なら軽減される
  ハンドブック18頁~19頁

 ①医療費の自己負担額  ハンドブック20頁
 ②所得段階区分  ハンドブック21頁

4 介護の負担を軽減するために

   介護保険は1割負担 食事代・部屋代 軽減 高額サービス費
      ハンドブック26頁~27頁

5 国保と介護の保険料問題
 国保料 払えず滞納していても「特別な事情」があれば国保証が発行される
     ハンドブック24頁

 介護保険料 低所得者に思い保険料負担
       非課税で年金80万円以下 
        介護保険料  年間 29020円 月2418円
        国保料    年間 22140円 月1845円 
        後期高齢者医療保険料 年間 4903円 月408円
       減免制度の大幅拡充を

おわりに

 制度は使ってこそよくなる 相談活動は制度の改善・充実を求めるたたかいの一環

Category: 社会保障問題
2011/06/15 Wed
 何も明らかにならないまま スピード審議が続いた 介護保険法等改定案。

 昨日の参議院公報 
【第99号 平成23年6月14日(火)】
委員会及び調査会等経過
○議事経過 今十四日の委員会の議事経過は、次のとおりである。
 厚生労働委員会(第十三回)
   政府参考人の出席を求めることを決定した。
   介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する
   法律案(閣法第五○号)(衆議院送付)について細川厚生労働大
   臣、大塚厚生労働副大臣、小林厚生労働大臣政務官、岡本厚生労
   働大臣政務官及び政府参考人に対し質疑を行い、討論の後、可決
   した。
    なお、附帯決議を行った。


そして、今日の参議院本会議の議事日程

○議事日程 第二十二号
  平成二十三年六月十五日(水曜日)
     午前十時開議
 第 一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の
     防止のための日本国政府と中華人民共和国香港特別行
     政区政府との間の協定の締結について承認を求めるの
     件(衆議院送付)
 第 二 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の
     防止のための日本国政府とサウジアラビア王国政府と
     の間の条約の締結について承認を求めるの件(衆議院
     送付)
 第 三 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得につい
     ての課税権の配分に関する日本国政府とケイマン諸島
     政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
     (衆議院送付)
 第 四 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得につい
     ての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府
     との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議
     院送付)
 第 五 特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案(衆議
     院提出)
 第 六 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部
     を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)



Category: 介護保険見直し
2011/06/14 Tue
介護保険法等改定案の国会審議。

もう今日の参議院の厚生労働委員会で採決との情報である。

以下9日に頂いたメール

6月14日に計145分の質疑を行った後、討論(共産、社民)、採決、付帯決議
という日程が本日の参院厚生労働委員会理事会で決定しました。

民主党から上記の日程の提案があり、共産は参考人質疑を行うべきと
再度主張しましたが、それ以外の異議はなく上記の日程となりました。


参議院公報 によれば、

厚生労働委員会経過【第96号 平成23年6月9日(木)】
開会年月日 平成23年6月9日
  厚生労働委員会(第十二回)
   政府参考人の出席を求めることを決定した。
   介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する
   法律案(閣法第五○号)(衆議院送付)について修正案提出者衆
   議院議員柚木道義君、細川厚生労働大臣、小宮山厚生労働副大臣、
   大塚厚生労働副大臣、岡本厚生労働大臣政務官及び政府参考人に
   対し質疑を行った。

本日(6月14日)日程
厚生労働委員会 午前十時 第四十三委員会室
                (分館四階)
    会議に付する案件
   国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援
   するための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百七十四回
   国会閣法第四一号)
   介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する
   法律案(閣法第五〇号)(衆議院送付)
   子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案(第百七十六回
   国会参第三号)
   社会保障及び労働問題等に関する調査
 厚生労働委員会理事会
      午前九時五十分 第四十三理事会室
                (分館四階)


 とんでもない 事態である。だれも知らないまま、民主・自民・公明の賛成ですいすいと法案が通って行く。

Category: 介護保険見直し
2011/06/11 Sat
 6月11日午後、堺市で「みんなで考えようケアプラン点検緊急学習会」が開かれ、会場一杯の150人近くのケアマネジャーが参加した。

 主催は「堺市の介護保険を考える会」。これまで、さまざまな課題で、堺市に対し要望や提言をおこない、ケアプラン点検についても3年前から要望書を提出し企画案を出すなど働きかけをつづけてきた。堺市は今年度から非常勤のケアマネジャー2名を採用し、「ケアプラン点検事業」と開始することになり、6月に「説明会」を開いた直後の学習会だけにケアマネジャーの関心はとても高かった。
 
 学習会は 第1部が 堺市担当者による「ケアプラン点検事業」の説明と質疑。第2部が「ケアプラン点検の問題点を考える」という構成で進められた。

堺市介護保険課の説明では
目的 
 ケアプラン点検は、ケアプランがケアマネジメントのプロセスを踏まえ「自立支援」に資する適切なケアプランとなっているかを、基本となる事項を介護支援専門員とともに検証確認しながら、介護支援専門員の「気づき」を促すとともに「自立支援に資するケアマネジメント」とは何かを追求し、その普遍化を図り健全なる給付の実施を支援するために行うものです。
そのため、堺市では
・堺市内においてサービスを提供している居宅介護支援事業所を3~5年間で1回以上の点検を行う予定です。
・点検作業は、一方向ではなく双方向で行い、面接方式でともに確認し合う姿勢で臨みます。
 →文書でのみの回答ではありません。また、点数化したり、できていないことを指摘するものではありません。
点検日の通知
・4週間前までに、通知文を郵送します。
・平成23年度は、次の事業所から始めます。
   〇堺市の研修会不参加であった事業所
   ○新規開設の事業所
   ○介護支援専門員の少ない事業所
・この時に、提出していただく被保険者名をお知らせいたします。
・点検日は主に火曜日もしくは金曜日の午後です。
ケアプラン写しの提出
・2週間前の12時までに提出をお願いします。
・介護支援専門員1名につき2名の被保険者のケアプランの写しを提出しください。
    ○居宅サービス計画書(第1表~第6表)
    ○課題分析表
 給付額ほぼいっぱいのプランまたはその逆のプラン、特定のサービスのみを利用しているプラン、経験の浅い介護支援専門員のプラン等を選びます。
点検日当日
・基本的には事業所にお伺いします。
・堺市役所で行うこともできます。
・「ケアプラン点検支援マニュアル」に沿って点検します。
・そもそもケアプランに「正解」はありません。
・大切なことは、適切なアセスメントを行った結果、「根拠のあるケアプラン」になっているかを共に確認することです。
・ケアプラン点検は
  ①事実は何か
  ②主語は誰なのか
  ③なぜそう感じたのか
 等々、ひとつひとつを「なぜ?」「どうして?」と確認する作業の繰り返しです。
・点検当日確認しあったことを、後日、確認事項として郵送もさせていただきます。



 一応、「指導監査とは区別」「不備があっても改善報告は求めない」との説明もなされた。

 第2部では、私から「厚労省給付適正化事業と『ケアプラン点検』について」と題して報告させていただき、とくに問題提起として以下のことを強調させていただいた。

厚労省ケアプラン点検支援マニュアルの問題点
①提出ケアプランの選定が一方的、給付抑制目的のものが大半
②時間を十分にとった事前確認があら探しになる可能性が大きい
③質問・助言準備も行政の「ケアマネ尋問・追求材料」づくりになりかねない
④ケアマネの「気づき」が引き出さない場合、無理やり「分かりました」と言わせる強権的指導になりかねない
双方向の対話関係をつくるために
1 提出プラン選択の自由をケアマネジャーに
 「知ってほしい事例」を出せるように
2 質問項目は事前にケアマネに知らせるべき
3 不備を探す前に、できていること、評価すべきところをまず確認する
4 減算・指導とは完全に区別して、「何でも」話せる安心感を」
 点検する・点検される 関係
   → 支援・確認・共に高め合う関係へ
ケアマネジャー支援の観点
介護支援専門員を「貴重な地域の社会資源」として育成支援する
○一人の介護支援専門員の背後には数十人もの要介護者・家族の生活がある。愛情を持って育てようという姿勢
○ケアプランの不十分点をあげつらうのでなく「できている支援」をより発展させる対話と指導
 →ケアマネが元気とやる気を出すポジティブ支援こそ必要!
 介護保険制度の生み出した『宝』であるケアマネジャーを大切にしなければ、介護保険の未来はないことを肝に銘じるべき

学習会の最後に読み上げられた「堺市の介護保険を考える会」の提言は次の通り
1 ケアプラン点検の実施にあたっては、介護支援専門員の専門性と裁量性を尊重し、ケアマネジメント力の向上及び介護支援専門員の育成を目的としたものとしてください
2 ケアプラン点検は、指導監査と区別して行うこととし、その基本姿勢として、少なくとも厚生労働省の「ケアプラン点検支援マニュアル」の「ケアプラン点検にあたっての基本姿勢」を遵守してください
 とくに、形式的・行政的・一方的な指摘や、不備をあげつらって「報酬返還」を目的とした点検を行わないようにしてください
3 点検の対象とするプランや件数についても、市が一方的に決めるのでなく、介護支援専門員の要望を尊重して決めてください
4 ケアプラン点検の前提として、ケアプラン作成についての研修を実施し、点検の指針及び点検項目等について、市内の介護支援専門員に十分周知してください
5 ケアプラン点検の実施にあたっては、当会が貴市に問題提起した案を含めて、市内の介護支援専門員の意見を広く聞いて、双方向で納得できる方法を選択してください
6 具体的なケアプラン点検の実施計画については、市内各区のケアマネジャー連絡会や大阪介護支援専門員協会の各支部の代表などからなる検討委員会を設け実施計画を作成してください
また、ケアプラン点検実施も市職員と非常勤介護支援専門員だけで行うのでなく、市内の主任介護支援専門員・地域包括支援センターの主任介護支援専門員等を含む「ワーキングチーム」を設置し、集団的・民主的に行ってください

 ケアマネジャーが 「また受けてみたい」 と思うような点検を





Category: 介護保険見直し
2011/06/07 Tue
 衆議院で、民主、自民、公明、みんな の賛成で可決された介護保険法等「改正」法案。今週、参議院での審議が行われる。
 参議院公報  によれば、本日6月7日の議事日程は以下のとおり。
 厚生労働委員会 午前十時 第四十三委員会室
                (分館四階)
    会議に付する案件
   国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案(第百七十四回国会閣法第四一号)
   介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)(衆議院送付)   
   子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案(第百七十六回国会参第三号)
   社会保障及び労働問題等に関する調査
 
厚生労働委員会理事会
      午前九時五十分 第四十三理事会室
                (分館四階)


 参議院議員からの情報では、
 「6月7日に二時間、一般質疑をおこないその後、介護保険法の趣旨説明がおこなわれます。質疑は木曜日からおこなわれると思いますが、正式には火曜日の理事会で決定されることになります。」 とのことである。

 わずかな時間での審議で、全国の介護関係者や利用者・家族もまったく知らないところで介護保険「改正」法案が審議・通過していく。

 はっきり言って、関係者の運動も極めて不十分で、一体何が問題で、対決点がなにかも明らかになっていない。


 そこで、参議院段階での、重点要求をまとめてみた。大阪社保協要求として、大阪府選出の参議院議員と厚生労働委員会の委員に送付する予定である。



介護保険法等「改正」法案に対する要望 
 現在参議院で審議されている介護保険法等「改正」法案には、多くの問題が含まれていますが、以下の点については、今後の介護サービスに重大な影響を与える危険性があるので、参議院段階で修正されるよう要望いたします。



1 「要支援者」へのサービスを除外する改定をやめること
理由: 現在、「要支援」と認定された人は、介護保険給付として、訪問・通所などのサービス(介護予防サービス)を受ける権利があります。改正法案には、市町村の判断で、要支援者を介護保険給付の対象から外し、新設する「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)に移すことができる仕組みが盛り込まれています。「総合事業」の訪問・通所サービスはその内容も自治体任せで財源も不十分であることから大幅なサービス切り下げになる可能性があります。要支援者の保険給付受給権を奪い、給付費を削減することは、利用者の生活に重大な支障を及ぼします。
  衆議院での附帯決議で、これについて、利用者の「選択・利用の意思の最大限尊重」「財源確保・適切な実施」が指摘されました。しかし、「総合事業」は、質が担保されず、利用者の意思が尊重される保障もありません。法案から「介護予防・日常生活支援総合事業」によって、要支援者の保険給付を除外できる条項を削除することを求めます。

2 介護職員の医療行為従事を認める改定をやめること
理由:法案では、「介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等」が、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できるとする改定が盛り込まれています。
たんの吸引・経管栄養は、医行為に該当し、医師法等により、医師、看護職員のみが実施可能とされています。これまで、介護現場で看護職員等の体制が不十分であるため「例外」として認めてきた扱いを、今回、法改正により、広く介護職員に門戸を開き、医療的ケアへの従事を認める第一歩となるものです。  
衆議院での附帯決議では、「知識・技術の十分な習得」「安全管理体制の整備」、「実施状況について定期的な検証」が指摘されましたが、国のこれまでの検討では、わずかな研修のみで従事させることを想定しています。医療的知識・技術についての専門教育と訓練も受け介護職員を医療的ケアに従事させることは利用者の命にかかわる重大な問題です。介護現場で必要な医療的ケアは、看護職員の十分な配置など医療体制の充実によって確保すべきです。
法案から、介護職員への医行為従事を認める「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正条項」を削除するよう求めます。

Category: 介護保険見直し
2011/06/04 Sat
 「介護リンクさかい」の研修会 “どうなる 介護保険”に参加した。

 講師は 厚労省老健局 介護保険指導室長 千田透氏。テーマに「どうなる?介護保険 介護保険の役割と市民・地域社会の責任」と題され、介護保険改正の内容よりも、その背景と“精神”について詳しくお話された。「市民・地域社会の責任」とあるように、介護関係者に対し、「自分たちで考え、意見を言い、行動していく」ことの大切さを訴えておられた。
 研修会後の懇親会で、実に様々なお話を聞かせていただき、介護保険制度の企画に直接携わっておられる厚労省の方の本音や思いをうかがうことができ、いろいろな意味でとても勉強になった。

 研修会後半のシンポジウムでは、私も報告させていただいた。

 以下私の報告メモ


 介護保険改正で事業者と地域はどうなるか
~「地域包括ケア」をめぐって~

1 「総合事業」と要支援者のサービス
  要支援者から介護予防サービス(とくにヘルパー、デイサービス)を排除する仕組みにならないか?
【厚労省の説明】
○ 市町村の判断により、要支援者・介護予防事業対象者向けの介護予防・日常生活支援のためのサービスを総合的に実施できる制度を創設。事業を導入した市町村においては、市町村・地域包括支援センターが、利用者の状態像や意向に応じて、予防給付で対応するのか、新たな総合サービスを利用するのかを判断。
○ 利用者の状態像や意向に応じて、介護予防、生活支援(配食、見守り等)、権利擁護、社会参加も含めて、市町村が主体となって総合的で多様なサービスを提供。
 【財源構成(予防給付と同じ)】  国庫負担:25%   都道府県負担:12.5%  市町村負担:12.5%  1号保険料:20%  2号保険料:30% 
 【サービス提供事業者、利用者負担】  市町村において、地域の実情に応じて決定。
【法律案】(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案要綱)
介護予防・日常生活支援総合事業の創設
1 市町村は、介護予防及び日常生活支援のための施策を総合的かつ一体的に行うため、厚生労働省令で定める基準に従って、地域支援事業として、次に掲げる事業を行うことができるものとすること。
この場合においては、市町村は、次に掲げる事業の全てにつき一括して行わなければならないものとすること。(第百十五条の四十五関係)
(一)居宅要支援被保険者に対して、介護予防サービス等のうち市町村が定めるもの(指定介護予防サービス等を受けている居宅要支援被保険者については、当該指定介護予防サービス等と同じ種類の介護予防サービス等を除く。)を行う事業
(二)被保険者の地域での自立した日常生活の支援のための事業であって厚生労働省令で定めるもの
(三)居宅要支援被保険者(指定介護予防支援等を受ける者を除く。)の介護予防のため、及び(一)(二)の事業等が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業
2 介護予防・日常生活支援総合事業(介護予防事業、介護予防ケアマネジメント事業及び1(一) から(三)までに掲げる事業をいう。)に係る費用負担は、介護予防事業と同様とすること(第百二十二条の二、第百二十六条等関係)

【予測される危惧】
① 「総合事業」で、財源も体制もととのわないまま不十分な「訪問サービス」「通所サービス」がメニュー化されないか
② 要支援認定者は「地域包括支援センター判断」で大半が、現在の介護予防サービスから排除され、「総合事業」に回されないか
③ 訪問介護事業所、通所介護事業所は利用者減による経営悪化にならないか
※利用者も事業者も犠牲を押し付けられないか?

→【提言】
市町村の裁量なので、「総合事業」そのものを実施せず、介護予防サービスの充実と、地域支援事業及び高齢者施策充実をめざすべき。
平成24年度に地域包括支援センターを大幅再編する堺市は、拙速に実施すべきでない。


2 地域包括ケアと「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
(1)「地域包括ケア」構想は自治体職員の「心の灯」となっているか
  
  ○昨年5月での話
  ○「日常生活圏域ニーズ調査」 大阪ではまったく低調
 ※自治体がやる気になり、やるべきことをやらない限り「地域包括ケア」は実現できない
→【提言】
 ①全日常生活圏域で「全高齢者対象」「郵送・訪問回収」でのニーズ調査を実施させよう
 ②第5期介護保険事業計画作成は 策定委員会に「日常生活圏域部会」を作って住民、事業者、利用者家族の声を反映させよう
 

(2)「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と事業者参入問題
 ①果たしてどのような基準になるのか 「24時間」本当にすぐに訪問可能なサービスなのか
 ②事業者指定問題は今後 注目すべき
 
【厚労省の説明】
 定期巡回・随時対応サービス、小規模多機能等の普及のためには、事業者が日常生活圏域内で一体的にサービスを提供し、移動コストの縮減や圏域内での利用者の確実な確保を図ることが必要。
①市町村の判断により、公募を通じた選考によって、定期巡回・随時対応サービス等(在宅の地域密着型サービス)についての事業者指定を行えるようにする。【公募制の導入】
②定期巡回・随時対応サービス等の普及のために必要がある場合は、市町村と協議をして、都道府県が居宅サービスの指定を行えるようにする。【居宅サービス指定に当たっての市町村協議制の導入】
【政令指定都市・堺市】
介護保険法改正案では、都道府県が処理する事務とされている指定居宅サービス事業者等の指定について、政令指定都市及び中核市に権限移譲されることになっている。
介護保険改正法案
(大都市等の特例)
第二百三条の二この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用があるものとする。
「政令で定める」とされている事務については、
地域主権戦略大綱(平成22年6月22日閣議決定)で、「都道府県知事が処理している指定居宅サービス事業者、指定介護老人福祉施設及び指定介護療養型医療施設の指定並びに介護老人保健施設の開設の許可(介護保険法(平9法123)41 条1項、48 条1項、94 条1項)については、指定都市及び中核市へ移譲する。」とされているところから、指定居宅サービス事業者等の指定に関する事務が規定されることになろう。

【予想される危惧】
 定期巡回・随時対応型訪問介護看護などのサービス事業者の選考・指定が公正におこなわれるか。小規模経営の事業者が締め出される結果にならないか。
 利用者にとっては、日常生活圏域で事業者が選べなくなる可能性が出てこないか
Category: 介護保険見直し

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索