2013/08/29 Thu
 8月28日の第46回社会保障審議会介護保険部会では、「地域包括ケアシステムの構築に向けて」が介護保険「改革」の具体化の第一番目の議題として取り上げられた。
 部会資料によると、いくつかの注意すべき「論点」「提起」が散見される。

【地域包括ケアシステム構築】
○医療・介護の連携促進を介護保険法上で制度として位置付けることを提言
○地域支援事業の「包括的支援事業」に「在宅医療・介護の連携推進に係る事業」を追加することを提言
 事業の実施主体は市町村で主な内容は、
  ▽主治医・副主治医制などのコーディネートによる「24時間365日での在宅医療・介護提供体制の構築」
  ▽在宅医療・介護連携に関する研修の実施
  ▽地域の医療・福祉資源の把握および活用など
 現在、「包括的支援事業」は地域包括支援センターが一括して実施することになっているが、「在宅医療・介護の連携推進に係る事業」については、別の組織への委託や連携が可能とし、具体的な委託先としては「地域の医師会が考えられる」との説明である。
 地域包括支援センターに加え、地域医師会に「医療・介護連携」の主体になってもらおうという提起である。


○団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、各自治体が作成する「第6期介護保険事業計画」(15―17年度)以 降の計画については、25年までのサービス・給付・保険料の水準の推計を記載することを提言
 厚労省の説明資料では「○介護保険は、各保険者の給付する介護サービスの量や種類等が、それぞれの保険者の保険料水準に反映される制度。○保険者の役割は、介護保険法の目的に沿って、共同連帯の仕組みである介護保険を運営すること。どのような保険料水準でどのようなサービス水準を目指していくのか、保険者機能の発揮が求められている。」としている。
 地域住民に将来にわたって「保険料水準」と「サービス水準」の選択をせまるような推計を介護保険事業計画に記載することを提言している。

 ただでさえ、大半の自治体は、「日常生活圏域ニーズ調査」も満足にできずサンプル調査でお茶を濁しているように「地域包括ケアシステム」に向けた取り組みはまともに行えていない。ここに、2025年までの保険料とサービス水準まで持ち込めば、ほとんどの自治体当局者は、保険料上昇に恐れをなし、サービス抑制にまわってしまい、地域包括ケアシステムどころか給付抑制システムになってしまいかねない。

 ただ、この第46回介護保険部会では、先の社会保障制度改革国民会議報告書で登場した、現行地域支援事業を「地域包括推進事業(仮称)」として再構築することについては、とくに新しい提案は見られない。この仮称事業が名前とは裏腹に、もっぱら「要支援者」の保険給付外しの受け皿としてとらえられていることの証左であろう。


【ケアマネ改革】
 国民会議報告書ではまったく触れられなかったケアマネジャーに関する改革では、 厚労省は、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」での中間的な取りまとめなどを基に、今後の部会での論点を提示した。
○通知で位置付けられている「地域ケア会議」を、介護保険法上で制度として位置付ける
○居宅介護支援事業者については、介護支援専門員の育成や支援に市町村が積極的に関与すべきとする観点から、その指定権限を都道府県から市町村に委譲すべき。指定権限を委譲した後も、都道府県が市町村を支援する仕組みが必要
○主任介護支援専門員については、その資質向上を図るため、資格を更新制とし、更新時に研修を実施する
○主任介護支援専門員が担うべき役割として、地域の介護支援専門員に対する現場での実務研修や介護支援専門員のネットワーク構築など
○介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件を、「法定資格保有者か生活相談員、支援相談員、相談支援専門員のいずれかで、必要な実務経験が5年以上あるもの」に変更する
○介護支援専門員の研修制度の見直し
 なども論点として示された。

 さすがに、ケアマネジメントへの「利用者負担導入は」影を潜めているが、「地域ケア会議の法制化」「居宅介護支援事業者指定権限の市町村委譲」「主任介護支援専門員の更新制導入」はケアマネジャーに大きな影響を与えかねない。ケアマネジャーの市町村による管理のいっそうの強化である。
 さらに主任介護支援専門員はその中で新たな役割を求められる。

 「主任介護支援専門員による現場での実務研修の実施」が、「研修受講を必修化するとともに、実務研修からの一連の研修として、カリキュラム内容の見直し」がなされ、ケアマネジャーの研修体系に組み込まれ必須とされる。これは全ケアマネジャーに影響を与える。
 主任介護支援専門員には、「役割を適切に果たせる主任介護支援専門員を養成するためのカリキュラムの見直し」が行われる。特定事業所加算のための存在から「現場での実務研修」を行うなど役割を果たせるよう研修カリキュラムを見直される。
 さらに、「主任介護支援専門員更新研修」が義務つけられ、受けない者は更新されない。
 更新研修は
・主任介護支援専門員としての役割を果たしている者を対象とし、更新期限までに受講
・主任介護支援専門員として必要な知識・技術を定期的に学ぶ
 とされ、地域で①ケアマネに対する実務研修 ②スーパーバイズ機能 を果たすことを求められる。これは特定事業所に所属しない一般事業所の主任介護支援専門員にも求められる。

 第46回介護保険部会資料 の43・44頁参照 

 さきの「地域ケア会議」の法制化、居宅介護支援事業者の市町村指定と合わせ、ケアマネジャーを地域ごとに市町村と地域包括支援センターが管理していく流れは「システム」として上から作り上げられていくことになりかねない。
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Category: 介護保険見直し
2013/08/29 Thu
 社会保障審議会介護保険部会が「再開」された。8月6日の社会保障制度改革国民会議報告書、8月21日の「閣議決定」を受けて、介護保険「改革」の具体案を検討する場とされている。
 8月28日の第46回会議では 議題は、(1)社会保障制度改革国民会議報告書等について と (2)地域包括ケアシステムの構築に向けて  である。

 まずは、国民会議報告に記載された6項目の「改革方向」で部会の検討にタガをはめ、「地域包括ケアシステム構築」をベースにといった議論のスタートである。
 傍聴記録、議事録を見ていないので審議の詳細は不明だが、淑徳大学教授の結城委員の意見は、控え目ながら最低限の主張をしてくれている。
 結城委員の意見メモ
1.「社会保障制度改革国民会議報告書」等について
・社会保障制度改革国民会議における報告書の決定過程を見る限り、介護分野における議論
が非常に短く、多くの高齢者の生活に影響を与える介護施策を方向づけるには不十分であった
と評価できる。しかも、報告書における項目においても介護分野の箇所が少なく、文章表現も
曖昧であると考える。
・今後、社会保障制度改革国民会議の報告書内容に大きく乖離することはできないまでも、
既述のように曖昧な結論となっている側面もあるため、介護分野の詳細事項は当審議会介護保
険部会で深く議論し方向性を示すべきと考える。
2.地域包括ケアシステムについて
地域包括ケアシステムのコンセプトには賛同できるが、日本全体を考えた場合、事務局側が
提示している具体的な構想を実現できる地域は少ないと考える。その意味では、何処の地域で
も実現可能な水準を見据えながら、当システムの構築を目指すべきである。


 もっぱら給付費削減と医療提供体制の受け皿として議論されまとめられた国民会議報告書の介護保険制度改革部分は、議論のベースにおくことはできない。介護保険部会が有識者と介護関係者の意見代表を自任するのであれば、介護の現場から、そしてなによりも利用者の実態からの議論を一からはじめるべきである。
 そして、絵空事のような「地域包括ケアシステム」でなく、地域と介護現場の現実から出発した地域ケアの議論が求められる。

 部会で示された検討日程は以下のとおり。

第47 回
9 月4 日(水)
14 時~17 時
(1) 生活支援、予防給付等
(2)認知症施策の推進
(3)介護人材の確保
第48 回
9 月18 日(水)
9 時~12 時
(1)在宅サービス関係
(2)施設サービス関係
第49 回
9 月25 日(水)
16 時~19 時
(1)低所得者の第1号保険料の軽減強化
(2)一定以上所得者の利用者負担
(3)補足給付
第50 回
10 月2 日(水)
17 時~20 時
(1)都市部の高齢化対策に関する検討会報告
(2)その他の事項
第51 回
10 月16 日(水)
9 時~12 時
更に議論が必要な項目について①
第52 回
10 月30 日(水)
14 時~17 時
更に議論が必要な項目について②
第53 回
11 月14 日(木)
12 時~15 時(調整中)
とりまとめに向けた議論①
第54 回
11 月27 日(水)
9 時~12 時
とりまとめに向けた議論②


 要支援者切り捨てと 利用者負担引き上げ問題は、9月に案が示され、10月に2回議論、そして11月中に「とりまとめ」とある。

 いまこそ、介護保険部会に 声を突き付けるときである。
Category: 介護保険見直し
2013/08/25 Sun
厚労省は8月21日付けで9月4日開催の第47回社会保障審議会介護保険部会の開催案内をしている。

 それによると、議題は
(1)生活支援・予防給付等について
(2)認知症施策の推進について
(3)介護人材の確保について
(4)その他


 となっている。「生活支援・予防給付等について」とは、要支援者切り捨てである。
 厚労省は、「要支援者150万人を介護保険から切り離す」という大改悪に対する関係者の不安と怒りの前にゴマカシをさかんに言い始めた。

「要支援」向けサービスを市町村事業に移す改革案について、田村憲久厚生労働相は11日、移管後も財源は今のままとし、市町村に新たな負担が生じないよう配慮する考えを示した。NHKのテレビ番組で「財源は介護保険の財源を使う。変わらないように議論する」と述べた朝日新聞
 そんなもの当たり前である。社会保障制度改革国民会議報告書が要支援者サービスの受け皿としている「地域包括推進事業(仮称)」は現行の地域支援事業を再編するだけのものであるから当然のことである。保険給付の「3%以内」という微々たるもので、現在はこれに予防事業から地域包括支援センターの運営費まで入っている。
 いずれにしても保険給付という介護保険の「本体」から見れば「おまけ」のようなものである。これに要支援者をごっそりと保険給付から移し替えるのであるから、まさに「介護保険からの切り捨て」である。


一部報道によれば、
・2015年度から約3年をかけて段階的に移行
・提供するサービス内容や価格、利用者の負担割合を、市町村の裁量で決める
・ボランティアやNPOなども担い手にして、コスト削減
などといった内容である。
介護保険「要支援」、値段や内容は市町村裁量に 厚労省
 【有近隆史】厚生労働省は23日、介護保険の「要支援」向けサービスを2015年度以降、市町村の事業に移す改革案の詳細を明らかにした。提供するサービス内容や価格、利用者の負担割合を、市町村の裁量で決められるようにするのが柱。介護事業者のほか、ボランティアやNPOなども担い手にして、コスト削減をはかる。
 要支援向けサービスの移管は、今月上旬に政府の社会保障国民会議が提言した社会保障改革の柱の一つ。高齢化に伴い介護費用が膨らむペースを抑えるねらいだ。厚労省は国民会議の報告書をもとに具体的な見直し案をまとめた。近く社会保障審議会に示し、制度づくりを本格化させる。
 要支援は、介護が必要な度合いに応じた7段階の区分のうち比較的軽い二つの区分で、150万人余りが認定されている。サービスは掃除や入浴の介助など身の回りの世話やリハビリが中心で、11年度は約4500億円の費用がかかった。
 現在、提供するサービスの種類や価格(事業者に払う報酬)は全国一律で国が定めている。やり方にもさまざまな基準があり、専門職が手がけるものも多い。これが高コストにつながっているという指摘もある。
 厚労省案では、「予防給付」と呼ばれる今の仕組みを廃止し、市町村の「地域支援事業」に移管する。各市町村の準備状況を見ながら、15年度から約3年をかけて段階的に進める方針。移管後は、サービス内容や価格、利用者の負担割合(今は1割)などを市町村が柔軟に決められるようにする。価格や利用者負担は今より上がらない想定だ。
 市町村から懸念が出ている財源については、従来通り介護保険から出す。「移管後も介護保険制度の中でサービスを提供し、財源構成も変わらない」と厚労省は説明している。
朝日新聞



 ふざけるのもいい加減にしてほしい。現在でも要支援者向けの予防給付(介護予防サービス)は、ヘルパーやデイサービスなどの「月額包括制報酬」、地域包括支援センターの一元管理によるサービス内容制約で要介護者のサービスに比べて格段に使い辛い。しかし、多くの在宅高齢者は、この「わずかなサービス利用」によって在宅生活をつないでいるのある。
「わずかな支援で大きな効果」である。

 今回の要支援切り捨ては、その「わずかな支援」の頼みの綱を切って落とすのに等しい。介護保険サービスの代替となる「ボランティアやNPO」をわずか3年やそこらで全国の市町村が育成・定着できると本気で考えているとすればよほどノーテンキである。ましてや、「価格や利用者負担は今より上がらない想定」などと言ってみたところでまともなサービスでないボランティアヘルパーに利用料など今より高く取られてはたまったものでない。
 国は25%だけ出すからあとは市町村任せ という 無責任、安上がりの典型である。
Category: 介護保険見直し
2013/08/25 Sun
 厚生労働省が介護保険見直しの具体的な検討にいよいよ動き出した。
 今年6月6日に開かれて以降中断していた 社会保障審議会介護保険部会が急ピッチに動き始めた。

社会保障審議会介護保険部会 日程
第46回 2013年8月28日
(1)社会保障制度改革国民会議報告書等について
(2)地域包括ケアシステムの構築に向けて
(3)その他
第47回 2013年9月4日
(1)生活支援・予防給付等について
(2)認知症施策の推進について
(3)介護人材の確保について
(4)その他
第48回 2013年9月18日
(1)在宅サービス関係について
(2)施設サービス関係について
(3)その他


 立て続けである。このペースいけば9月中も「具体的改革案」がごり押しされてしまいかねない。8月28日の第46回介護保険部会では早くも「利用者負担引き上げ」が議論される可能性がある。
 一部報道でも
対象は年収3百万円超 介護の自己負担2割で
 厚生労働省は24日、現在は一律1割となっている高齢者介護サービス利用の自己負担割合を、夫婦の年収が三百数十万円を超える世帯で2割へ引き上げる方向で検討に入った。介護保険法改正案を来年の通常国会に提出し、2015年度からの実施を目指す。単身世帯は年収250万~300万円程度を基準に検討する。対象は合わせて数十万人になる見通し。
 介護保険の総費用は11年度に8兆円を突破。00年度の制度開始時の2・3倍に膨らんでおり、利用者の自己負担増で給付財源を確保する狙いだ。
 有識者による社会保障制度改革国民会議が今月まとめた報告書で「一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げるべきだ」と提言したのに沿って、見直しに着手する。
 介護の自己負担割合引き上げは初めて。より具体的な年収基準は、28日に再開される社会保障審議会の介護保険部会で詰め、年内に決定する。
 厚労省によると、会社員OBの夫(平均的な給与で40年間勤務)と専業主婦の世帯では年金収入が年277万円、高齢夫婦世帯の平均的な消費支出は年286万円。こうした家計の実態を考慮し、負担増となる対象者の範囲を定める考えだ。
 中国新聞

 とんでもない負担増である。現行1割をいきなり2倍の2割に。しかもその対象は、「夫婦あわせて」年収三百数十万円を超えるとある。厚労省の「平均」が夫婦で年金収入が年277万円としており、これを何割か上回れば、いきなり2割負担という過酷なものであり、医療でいう「現役並み」よりも厳しい内容である。さらに単身世帯は年収250万~300万円程度を基準に検討としているが、仮に年金収入250万円なら公的年金控除後の「合計所得」は130万円である。かつて厚労省が示した案でも「合計所得200万円超」だった。まさに情け容赦なく、要介護者にトコトン負担させようという悪辣なものである。
 そもそも税法改正による年金課税強化がされる以前2007年度までは年金266万円までは住民税は均等割もかからない非課税であった。これが今では「高所得者」扱いである。
 こんなふざけた検討はただちにやめさせなければならない。
Category: 介護保険見直し
2013/08/25 Sun
 「議論のレベルが違う」。感動と勇気をいただいた2日間。
 8月24日~25日岡山市内で開かれた第31回障全協(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会)活動者学習会にお招きいただいた。私のテーマは、「このままでいいのか介護保険!危険な『改革』の動向と私たちが求める介護制度実現への課題」。障害者は「65歳問題」もあり、介護保険への関心は極めて高い。そしてとても鋭い感覚で質問やご意見をいただいた。講演し終わった後、「うちでもこの話をしてほしい」と埼玉と東京から講師依頼を受けた。

 65歳問題。障害者と介護保険を結ぶ問題である。
 2006年、若年層からも介護保険料を徴収するか「皮算用」を狙って、障害者福祉サービスを介護保険制度に吸収する第一歩として「障害者自立支援法」がスタートした。1割の「応益負担」、利用契約制度、障害区分認定など介護保険の仕組みをそのまま持ち込んだ。
 しかし、障害者の大同団結した「応益負担反対」の運動と「自立支援法違憲訴訟」により、低所得者については障害福祉サービスは「無料」を実現させてきた。

 ところが、その障害者が65歳になって介護保険の第1号被保険者になると「介護保険優先」の原則により、介護保険サービスに移行させられる。所得に関係なく「1割」負担となる上に、介護保険でサービス量が足りなくなる、またサービス内容に制約がありすぎて障害者のニーズにこたえられなくなる。これが「65歳問題」である。

 岡山市の市営住宅でひとり暮らしをしてきた浅田さんは、四肢と言語に重度の障害があり、これまで障害者自立支援法によって月249時間の重度訪問介護(うち25時間は移動介護)を受けて生活していた。
 今年2月16日に65歳の誕生日を迎える浅田さんに「介護保険法による支援に変更することになる」と1割負担が示された。浅田さんは「そんなに請求されたら生きていけない」と何度も市に相談しました。市は「65歳になれば介護保険優先になる」の一点張り。
 浅田さんや支援の方々は、「他の自治体では65歳過ぎても自立支援法を認めている自治体もある。市の一方的な考えで打ち切るのは不当だ」と、岡山市の対応を改めるよう求め、正式に障害者自立支援法による介護給付の継続を申請した。
 しかし、岡山市は2月12日「介護給付費等不支給(却下)決定」を出した。理由は「要介護認定がされていない」というものだった。

 浅田さんと支援者は、障害者サービス打ち切り後の生活をカンパとボランティアによる介護で支えながら、岡山県に不服審査請求をして闘ってきた。その後4月に岡山市が自ら行った不支給決定の一部を取消し「移動介護」の支給を認めるなど変化はあったが、7月20日に岡山県は不服審査請求を「棄却」した。これに対し、浅田さんは、9月19日に岡山地裁に提訴する。
「支援法による給付を一切受けさせなかったのは憲法14条に違反する差別である」「重度障害者に対するサービス不支給はいのちを奪いかねない生存権侵害で憲法25条に違反する」という裁判である。
岡山市 浅田さん2

 学習会では、浅田さん本人が発言し訴えられた。たどたどしい言葉ながら、命をかけた人間の尊厳あふれる決意表明に全員が大きな拍手を送った。
 
 「私の闘いはこれからが本番だと改めて決意し、二度と私のような例が生まれないようにしてほしいから必死で粘り強くがんばりたいと思っております。岡山、そして全国の仲間もきっと、一緒に闘ってくれることを信じています。
 私たち障害者抜きでは、制度を作らないでほしい!!
 『みんなが、平等で幸せに暮らせる世の中で一生を終わりたい。』それが願いであり、今回、9月19日(木曜日)に裁判に提訴する理由なのです。今後ともどうか、よろしくお願いします。」


 障害者だけでなく、介護保険そのものの問題点を問う歴史的な裁判である。何としても勝利させなければならない。


 さらに、障全協は裁判だけでなく、国会に対し「介護保険制度における利用料負担の廃止等を求める請願署名」も提起した。
 請願項目は
 1.介護保険制度における保険料負担を大幅に軽減するとともに、利用料負担はなくしてください。当面、障害者総合支援法と同様に、住民税非課税世帯からの利用料徴収はやめてください。
 2.障害者総合支援法の第7条(介護保険優先原則)をなくし、介護保険・自立支援給付のどちらかを障害者本人が選択できるようにしてください。


介護保険利用料負担廃止署名
 異議なし! すばらしい!のひとことである。

 社会保障制度改革国民会議報告書が「一定の所得以上は利用者負担を引き上げるべき」などというたわごとをほざき、厚労省が250万円~300数十万円の収入があれば「2割負担」などという暴論を言っているとき、障害者に方たちの勇気あふれる、きわめてまっとうな訴えに耳を傾けるべきである。

 この間、御用学者の「有害文書」である社会保障制度改革国民会議報告書を読みすぎて、すっかり感覚がほけていた私であるが、岡山市の浅田さんの言葉と障全協の訴えを聞いて、はっと我に返った思いである。
 これこそが日本の社会保障=自助と自己責任でなく憲法24条に基づく生存権保障 の「良識」というものであろう。
 すべての介護関係者はこの「良識」に触れるべきである。そして、介護保険制度を乗り越える「勇気」を持つべきである。



  
Category: 介護保険見直し
2013/08/23 Fri

「慰安婦発言」で大阪の恥男と化した橋下が、今度は「大阪市長名」で、サンフランシスコ市議会あてに「居直り書間」を送り、大阪市のHPで公表している。

 以下朝日新聞報道
 橋下氏、サンフランシスコ市議会に反論書簡 慰安婦発言
大阪市の橋下徹市長は22日、旧日本軍慰安婦をめぐり、米サンフランシスコ市議会が6月に採択した「慰安婦制度を正当化する橋下市長の態度と発言を強く非難する」との非難決議に対し、「間違った事実認識に基づく私への非難を撤回していただきたい」と反論する公開書簡を同市議会に送ったと発表した。
 書簡は今月13日付で送り、20日に同市議会に届いたことを確認したという。
 サンフランシスコ市議会の非難決議は、橋下氏が5月27日の日本外国特派員協会での記者会見で「沖縄の米兵は風俗業を活用すべきだ」と主張した、と指摘している。これに対し、橋下氏は書簡で「私はその発言を同記者会見で撤回し、謝罪した」として事実誤認と指摘。「私は慰安婦の利用を正当化したことは一度もない」と強調した。
 そのうえで、米国内での慰安婦像設置の動きについて取り上げ、「戦場において、日本だけでなく世界各国の軍によって女性が性の対象とされてきたことも厳然たる歴史的事実」と強調。元慰安婦に対するアジア女性基金による償い金や首相名のおわびの手紙なども紹介し、「米国における慰安婦問題に関連する運動は、日本に対するフェアな評価から程遠いネガティブ・キャンペーンではないか」と主張した


 まさに、居直り+大阪市の恥の上塗りである。

 さらに、あろうことか。堺市の維新市議団(幹事長は、堺市長選挙に出馬表明している西林克敏議員)は同じ日に、堺市議会に「日本政府に対し米国内の慰安婦像及び碑の撤去を要求することを求める決議案」を提案したという。カリフォルニア州グレンデール市などで慰安婦像が設置された問題で、決議案は「慰安婦は決して『性奴隷』ではなく」と主張、日本政府が米国政府に抗議することなどを求めているという。
 
維新の会が堺市議会に慰安婦問題で決議案

 まさに、今度は、「堺市の恥・維新」である。

 堺市議会では、 堺市議会は6月24日の市議会で、橋下徹大阪市長の従軍慰安婦発言をめぐり、橋下氏と石原慎太郎共同代表(衆院議員)の公職辞任を求める決議を本会議で可決している。維新市議団は反対したが、まさに「堺市議会の意思」として、橋下の「公職辞任」を求めているのである。堺市議会としての「良識」と「勇気」を全国に示したすばらしい決議である。

日本維新の会共同代表らによる、いわゆる従軍慰安婦問題等に関する発言の撤回及び謝罪、さらに公職の辞任を求める決議

 今回の維新市議団の「慰安婦像撤去要求決議案」は、正反対、橋下「慰安婦発言養護」から、さらに踏み込んでアメリカ国民の良識にケチをつけるという愚行である。

 このような決議案は即刻葬り去るべきである。そして、こんな「堺市の恥」を市長にさせてはならない・



議員提出議案第26号
日本維新の会共同代表らによる、いわゆる従軍慰安婦問題等に関する発言の撤回及び謝罪、さらに公職の辞任を求める決議

 報道によると、さる5月13日、橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)は、旧日本軍による従軍慰安婦制度について「軍の規律を維持するために当時は必要だった」と持論を展開し、これに先立ち、米海兵隊司令官に対しては「もっと風俗業を活用して欲しい」と提案し、「そういうものを真正面から活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーはコントロールできない」などと発言した。『風俗業』の活用についての発言は、後日撤回したものの、いわゆる『従軍慰安婦』に関する発言は、撤回せず、今なお責任を報道に転嫁し、論点をずらした発言を続けているものである。

 翌5月14日には、石原慎太郎衆議院議員(日本維新の会共同代表)が、旧日本軍の従軍慰安婦をめぐる橋下徹大阪市長の発言に関連して、「軍と売春はつきものだ」と発言したものである。

 わが堺市は、人権擁護宣言都市及び全国初の男女共同参画宣言都市であり、その理念に基づく施策を着実に進めてきた。

 今回の一連の発言は、
一、女性を男性の性のはけ口の道具として扱う発言であり、すべての女性の人権を侵害している。

一、戦時下における女性の人権を著しく侵害しており、及び軍隊における「女性に対する暴力」を容認する発言である。

一、風俗業に従事する女性に対し、風俗業イコール性風俗というようなイメージ、また、「経済的な理由ではなく売春する女性が多い」という勝手な論法を展開することは、わが国の女性がおかれている経済状況を全く無視したものであり、風俗業に従事する女性の人権をも侵害している。

一、女性に対してだけでなく、「海兵隊などの男性が自分の性をコントロールできない」というような、間違った性のダブルスタンダードを助長し、男性の人権をも侵害している。

 よって今回の発言は、日本国憲法第11条の基本的人権及び第24条の男女平等条項に抵触し、さらに、男女共同参画基本法、売春防止法や女子差別撤廃条約などを全く無視し、すべての国民の人格や人権、また人としての尊厳を深く傷つけるものであり、断じて容認できない。

 これらの発言が、大阪市長、日本国の衆議院議員という市民・国民の人権を守るべき公人によるものであるということに、私たちは愕然とし、大きな衝撃を受けるとともに、その怒りと失望の声は、中国、韓国、さらにはアメリカなど世界各国からも上がっている。

 これ以上このような許されざる暴言を放置することは、日本国が国際社会から信用を失うこととなり、国益を大きく損ねることにもなりかねない。

 よって本市議会は、今般の『従軍慰安婦』に関する橋下徹大阪市長の発言に断固抗議し、その撤回と謝罪を強く求めるものであり、橋下徹大阪市長及び石原慎太郎衆議院議員に対し、このまま公職にあることは認容できないため、その各職を辞することを強く求めるものである。

 以上、決議する。

平成25年6月24日
堺 市 議 会

Category: 堺市政問題
2013/08/22 Thu
8月22日午後、大阪府庁隣の大阪府議会会館は、猛暑をも上回る高齢者の熱気に包まれた。
大阪府内全域から集まった各地域代表70人が合計870人分の不服審査請求書を一斉に提出した。
介護保険料に怒る一揆の会が、年金者組合大阪府本部、全大阪生活と健康を守る会連合会と共同で取り組んだ「2013年度介護保険料、後期高齢者医療保険料、国民健康保険料 不服審査請求運動」である。
不服審査請求3


審査請求提出に先立つ意志統一集会では、各団体が決意表明した。
年金者組合大阪府本部の永井委員長は「14年前、私の尊敬する福井宥さんが一人で始めた大阪の不服審査請求運動。大阪では深い議論を通して『介護保険』反対で一致していた。これを基盤に取り組んできた不服審査請求運動が、後期高齢者医療保険料に対する運動などへ発展し、全日本年金者組合は、年金切り下げに対する全組合員審査請求を提起している」と述べ、大阪としての経験に基づき全国的役割を果たすことを強調した。
全大阪生活と健康を守る会連合会の秋吉事務局次長は、「8月から始まった生活保護の切り下げに対し1万人不服審査請求運動を取り組んでいる。自治体によっては不服審査請求書の受け取りを拒否したりする妨害もあるが、跳ね返して9月の一斉提出に向け頑張っている」と発言。

時折しも、医療・介護・年金・子育てにわたる社会保障総改悪を狙う社会保障改革プログラム法案大綱が8月21日に閣議決定され、本格的な社会保障解体攻撃が始まろうとしている。

 介護保険料から始まった集団不服審査請求運動は、今日、生活保護切り下げ・年金切り下げに対する全国的な抵抗闘争として歴史的な運動へと発展した。

 意思統一集会での私の行動提起では、「『大阪発』の不服審査請求運動をさらに大きく発展させ、社会保障解体攻撃への国民的反撃としよう」と呼び掛けさせていただいた。


 集会後、介護保険審査会に対し、不当な審査請求妨害に対する申し入れ書を読み上げ提出した。
 不服審査請求2

2013年8月22日
大阪府介護保険審査会
会長 亀田 健二 様
全日本年金者組合大阪府本部
執行委員長  永井 守彦
全大阪生活と健康を守る会連合会
    会長 大口 耕吉郎
介護保険料に怒る一揆の会
 代表  宮崎 守正

審査請求に対する差別的取扱をやめ公正な審査を求める申し入れ書
 
大阪府介護保険審査会は、2009年度から、審査請求人に対し、「審査請求の趣旨・理由を尋ねる」とする文書を送りつけている。
不服審査請求の「趣旨」については、すでに提出している審査請求書に「介護保険料賦課決定処分の取り消しを求める」と明記されており、「理由」についても記載されており、形式的にも内容的にも適法な審査請求である。
とくに、審査請求のうち、「集団で提出された」と審査会事務局が判断したものについて一律に「お尋ね文」を送付していることは、審査請求書の「内容」でなく「提出方法」によって異なった取扱をするというものであり、審査請求人を差別する許し難いものである。
介護保険審査会の責務は、速やかに処分庁に弁明書を提出させ、内容審査を行うことである。
以上の立場から次の通り要求する。

                     記


1 介護保険法に規定する不服審査請求の要件を満たしている適法な審査請求すべてについて、速やかに内容審査を開始し、処分庁に弁明書提出を求めること。

2 審査請求人に対する「質問」「お尋ね」等は、審査請求内容に不備等がある場合に限定しておこなうこととし、審査請求書の「提出方法」「形式」等で一律に行わないこと。




その後、介護保険審査会、後期高齢者医療審査会、国民健康保険審査会の3つに分かれて審査請求書を提出し事務局に受付させた。
 不服審査請求1

Category: 介護保険料
2013/08/15 Thu
日本の首相が東京でやった、侵略も加害の歴史も反戦の誓いもない無内容な挨拶文と比較するとすばらしい!
長野県の山間の小さく美しい村の村長さんの追悼文。

遺族会から的外れな「抗議」も受けているようだが、日の丸も掲げない「中川村戦没者・戦争犠牲者追悼式」。全国の追悼式もこうあるべきではないだろうか。もちろん、日の丸も天皇もなしで。そして8月15日にするかどうかは、歴史的検証をしたうえで。
 できれば、反省と不再戦の誓いを表明したうえで、中国はじめアジア諸国民の代表を参列していただいたらどうであろうか。

 村長からのメッセージ
中川村戦没者・戦争犠牲者追悼式式辞

 中川村戦没者・戦争犠牲者追悼式を挙行いたしましたところ、ご多忙の中、上伊那地方事務所長様はじめ、ご来賓各位、ならびに大勢の方々にご列席を賜り、真にありがとうございます。

 明治以降、幾多の戦争、事変があり、人が消耗品として扱われ、多くの人命が失われました。中でも昭和期の日本軍においては、兵站も無視した精神主義の杜撰な作戦が繰り返され、おびただしい数の兵士が、餓えや病気で命を落としました。食料等の現地調達を強いられた兵士たちは、現地の人々と争い、恨みをかい、殺された兵士もいました。反対に、必要物資調達のため、あるいは軍事情報保持のため、戦地の一般住民を殺害した兵士もいます。兵士のみならず、内外のおびただしい一般住民が、戦禍の巻き添えになって命を失い、人としての尊厳を踏みにじられ、暮らしを破壊されました。

 なんとか命を永らえて1945年の敗戦を迎えた人たちは、新しい憲法の平和主義、戦争の放棄を心の底から喜びました。戦争の悲惨さ、愚かさを骨身にしみて痛感していたが故の喜びであったに違いありません。
 であるのに、敗戦後68年が経とうとする今、日本国憲法前文において国家の名誉にかけ全力をあげて誓った崇高な理想と目的を忘れ、我が国を、現実妥協的に戦争をする、ありふれた、普通の、凡庸な、志のない国にしようとする人たちが現れています。外交力、政治力で問題を解決する自信を持てずに、軍事力に頼ろうとする人たちであり、戦争の悲惨さ、愚かさを忘れた、まさに平和ボケの人たちだと言わざるを得ません。

 のみならず、集団的自衛権という聞こえのよい言葉によって、日本の若者を、外国が自分の都合で始める戦場へ下働きとして差し出そうとしています。かつて鬼畜米英と呼び、「生きて虜囚の辱めを受けず」と叩き込み、兵士たちにバンザイ突撃を強いた、その相手の軍隊の指揮命令の下に、我が国の若者を送り込み、戦わせようとしています。沖縄を筆頭に、我が国の国土がその軍隊の好きに使われているのに、我が国の政府は唯々諾々とその意向に従っています。

 戦争の犠牲にされた方々は、今のこの状況をどのように感じておられるでしょうか。自分たちは一体何のために故郷から引き剥がされ、戦わされ死なねばならなかったのか、と憤っておられるのではないでしょうか。自分たちの犠牲が、忘れ去られ、まったく教訓にされていないことに、歯ぎしりをして悔しがっておられるに違いないと思います。

 日本国憲法前文に謳ったとおり、日本国民のみならず「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」し、その実現を真摯に目指すことこそが、戦没者・戦争犠牲者となった皆さんの心に適うことであり、日本を自ら誇れる国にし、世界中の人々から敬愛される国にすることであると信じます。

 本日のこの式典が、戦争によって命を奪われた方々がどんな想いで亡くなっていったのか、もう一度じっくりと想いを巡らせ、今の私たちの有り様を冷静に振り返ってみる機縁となることを心から願い、式辞といたします。

    2013年6月3日
中川村長 曽我逸郎




 あと、蛇足ながら ヤスクニ問題についての私の提案は
 靖国神社問題の解決策は「寄手塚・味方塚」で
Category: 時局争論
2013/08/15 Thu
 今日は「終戦記念日」。

 私は以前から「敗戦の日」とよんできた。日本帝国主義の15年以上に及ぶ侵略戦争が「敗れた日」という意味である。

 しかし「8月15日」について、歴史的に検証する論説をフェイスブックで拝見した。
 

 断片的に引用する。

 日本がポツダム宣言を受諾したのは8月14日である。ミズーリ号で降伏文書に調印したのが9月2日。アメリカをはじめかなりの多くの国が、この9月2日を戦勝記念日としている。日本も占領文字色下においては、この9月2日をもって「敗戦記念日」としていた事実もある。 
 しかし、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」について(昭和57年4月13日閣議決定)において、8月15日を記念日として武道館で追悼式を行うことを決定している。なんのことはない、つい最近までは、なんの根拠もなかったのである。
 で、なんで8月15日なのかといえば、有名な天皇の「玉音放送」が8月15日の正午だったという事実に、引きずられているのだろう。これが、日本の「お盆」の行事とぴったりと重なり、死者を弔う習慣の中に吸収されたというのが、有力な説である。

 
 このあたりは、佐藤卓己 『八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学』(筑摩書房[ちくま新書]、2005年7月)にくわしいらしい。(私はまだ読んでいないので受け売りであるが。)
 
 国際法上の正式の終戦は、1952年4月28日のサンフランシスコ条約の発効日である。これが片面講和となったので、日本の終戦はかなり混乱したものとなる。韓国などは植民地だったので、そもそも条約締結に関与していないし、中国も現在の人民共和国は48年以降なので、これも関与していない。
 このように考えると、8月15日の式典などは、かなりいい加減な話であることが理解できよう。


 なるほど、天皇の「耐えがたきを耐え忍びがたきを忍び」という玉音放送と先祖の霊や死者を祭る「お盆」の融合が、日本民族の「戦争犠牲者追悼の日」を生むことになったのだ。

 「終戦記念日」は、実は、1982年の閣議決定にではじめて公式に定められた。「昭和20年(1945)8月15日に第二次大戦が終結したことを記念する日」とし、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」としたのである。

 そして、ことしの戦没者追悼式
 戦犯昭和天皇の後継者である現天皇は「ここに歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。」
 と戦争責任も何も忘却の彼方である。

 これまたA級戦犯の孫の安倍首相にいたっては、「貴い命を捧げられた、あなた方の犠牲の上に、いま、私たちが享受する平和と、繁栄があります。そのことを、片時たりとも忘れません。」

 その尊い犠牲を誰が強いたのか、完全に隠し去ったまま厚かましい限りである。

 今日のNHKはじめ各テレビの報道を見ていると、侵略戦争への認識もアジア諸国民への「加害」の反省も一片もない低次元な内容に終始している。

 安倍内閣の閣僚の靖国参拝への韓国・中国の「反発」や、韓国の国会議員の抗議行動などをを報道しつつも、ななにやら「静かに戦没者追悼してい日本人」と「騒ぎ立てる韓国・中国」の反日主義という構図を描いている。


 どうやら「8月15日」の歴史的検証から、日本の侵略戦争、そして敗戦の歴史的事実を真摯に学び明らかにすることから始めなければならないのではないだろうか。

 そうでないと、尖閣問題を煽りたて、「島嶼防衛」=自衛隊に海兵隊機能だとか、集団的自衛権容認などの現代の戦争への脅威に対する危機感と「先の戦争」の「反省」が結びつかない。そればかりか、大阪の恥さらし市長のように「慰安婦問題は日本だけが非難されるのはおかしい」などという厚顔無恥な発言や、アホの麻生太郎のような「ナチスに学んだらいい」などという国際的非常識を許すことになりかねない。 

 日本武道館の8月15日正午の天皇を先頭とする「黙祷」はヤスクニと同レベルのものであろう。
Category: 時局争論
2013/08/14 Wed
これは秀逸な指摘である。全面引用。
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医療・介護情報サービス キャリアブレイン 記者
CBニュース キャリアブレイン記者による独自の医療介護ニュース


記者のこぼれ話
2013/08/13 16:05:51

 「今は画一化したサービスしか提供できない。自治体に工夫してもらえれば、
費用が抑えられることはある」
 田村憲久厚生労働相は11日のテレビ番組で、要支援の人に向けた事業を
市町村事業に移行する意義について、こんなふうに説明した。この説明を耳に
した時、ふと「大本営発表」という言葉が浮かんだ。「大本営発表」とは、太平洋
戦争中、帝国陸軍部及び海軍部の最高統帥機関である「大本営」が行った戦況
などに関する公式発表のこと。微妙な言い回しやねつ造した事実によって、厳しい
戦況を隠ぺいしたことで知られる。
 さて、田村厚労相は「画一化したサービスしか提供できない」と、現状を問題視
している。だが画一化したサービスとは、全国どこでも同質のサービスを享受
できる状態が保障されているということでもある。つまり、要支援の人に向けた
サービス提供を各市町村の事業に委ねることは、その保障が放棄される危険性
をはらんでもいるのだ。もしかすると田村厚労相や同様の提言をした社会保障
制度改革国民会議の有識者の面々は、「画一化したサービス」だの「新たな地域
包括推進事業」だのといった言葉で、その危険性を覆い隠したがっているのでは
ないか。かつて大本営が「撤退」を「転進」、「全滅」を「玉砕」と言い換え、厳しい
戦況を覆い隠そうとしたように。
 まあ、田村厚労相や国民会議の面々の発言や提言を、「大本営発表」的と
とらえるのは、ちょっと意地が悪過ぎるかもしれない。ただ、東京電力による
福島第一原子力発電所に関する一連の発表は、間違いなく「大本営発表」的だ。
もう数日すれば、68回目の終戦記念日を迎えるが、この国では、姿形を変えた
「大本営発表」が、いまだにそして連日鳴り響き続けている。どうもそんな気がしてならない。(D)

医療・介護情報サービス キャリアブレイン 記者
http://blog.cabrain.net/media/article/id/74517.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
Category: 介護保険見直し
2013/08/13 Tue
 堺市長選挙で、一部マスコミは竹山市長の「変節」を取り上げている。

完全に裏切られた」。橋下氏は先月29日、前回全面支援した竹山氏が都構想への反対を強めることを批判した。ただ、竹山氏を当選に導いたのも自身だけに「堺市民に謝らないといけない」立場だ。これに対し竹山氏は2日後、「矛盾がいろいろ出ている。自治の流れと違う」と都構想批判をさらに強めている。
 竹山氏の言動は「裏切り」か。前回選が09年9月で、橋下氏の都構想提唱が10年1月。竹山氏は「前回選時に影も形もなかった」と言い、橋下氏は「細かい話はしていないが『大阪が一つにまとまらないといけない』と話していた」と反論する。
毎日


 しかし、維新から出馬表明した西林市議は4年前どうだったか。

 地方分権を唱える知事が、堺市長選挙に介入し自分の意のままになるように市政を誘導としようとしていることに憤りを感じて止みません。堺市民の底力で大阪府からの不当な支配に打ち勝ちましょう!!
 これは西林市議のブログ「西林克敏の今日のつぶやき」の2009年09月13日の記事である。

 ここでいう「地方分権を唱える知事」とは当時の橋下府知事である。当時自民党堺市市議であった西林氏は、自公民推薦の木原市長を支持し、橋下府知事のバックアップを受けた竹山氏と対決。橋下の行為を「堺市長選挙に介入」と厳しく批判し、「堺市民の底力で大阪府からの不当な支配に打ち勝ちましょう!!」と呼び掛けている。
 (このブログは現時点ではまだ閲覧可能だが、いつ閉鎖されるかも知れない)

 ところが4年後の今はどうだろうか。


 竹山市長は、「都構想は堺市が府の属国、植民地になること」と、敢然と堺市の独立・自治を守るためにたたかう立場に至った。

 一方、西林氏は、「明治以来続いてきた行政の仕組みを根本から変えるには大阪都構想が必要」と橋下の受け売りそのままに、大阪都構想推進の立場から市長選挙出馬を表明した。

 マスコミは「変節」というが、私はそうは思わない。

 竹山市長は、その出発こそ橋下知事の全面支援で始まった。しかし当時は「維新の会」も「大阪都構想」もなかった。その後さまざまな経過はあったが、「堺市解体の大阪都構想には反対」と橋下維新とは決別した。

 こういう「変化」は変節ではない。成長・発展というべきであろう。堺市長として市民の利益を考えた時、そして何よりも「自由と自治」の伝統と堺市の未来を考えた末、「堺は一つ。つぶすな堺市」の立場で橋下維新に対決する、これは堺市民のDNAであり、竹山氏し橋下の「恩義」より堺市の利益を優先させた英断と言えよう。

 堺を大阪都の「属国・植民地」とさせない、という竹山氏の発言は、他のマイナスを差し引いても断固支持である。「愛国者」(愛堺者)である。

 一方、西林市議はどうか、4年前、橋下の「市長選挙への介入」「大阪府の不当な支配」とたたかうと表明していたが、自民党の旗色悪しと見ると維新の会にくらがえし、あろうことか維新の堺市潰しの「先兵」となり下がり、堺市長選挙の「チンパンジー候補」となった。
 まさに「売国奴」(売堺奴)というべき立場になり下がった。
 これは「変節」などというより「堕落」であろう。

 竹山氏の変化は、堺市民にとって予想外の「発展」である。進化といってよい。それを促進したのは堺市の自由と自治のDNAと底力である。

 西林の変化は、堺市民にとっては「堕落」である。堺市民の代表であるべき市議でありながら、堺市の廃止消滅を実行する「最後の市長」の候補者に立つ。他になり手がいないから責任をとって出馬したと言えば聞こえはいいが。これで恥ずかしくないのだろうか。

 竹山氏の堺市長としての「発展」と橋下との決別、西林氏の維新への鞍替えと堺市潰しの尖兵への「堕落」。私はこの両者をいっしょくたにして「変節」とは呼ばない。

 この審判は堺市民が下すことにより決着するだろう。9月29日に。


Category: 堺市政問題
2013/08/11 Sun
 目を疑うような判決である。

 91歳の認知症の男性が徘徊し線路内に立ち入り電車と接触し死亡。家族らの安全対策が不十分だったとして、JR東海が遺族らに列車が遅れたことに関する損害賠償を求め訴訟。名古屋地裁は、妻(85歳)と別居の長男に「徘徊防止措置」を怠ったと、請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。

 電車事故にかかる民法上の法的な議論はさておき、介護に関わる立場から言えば、介護者家族をここまで追い詰める損害賠償請求をする会社も会社だが、家族の「監督責任」をここまで求める裁判所には、到底なっとくできない。
 85歳の同居の妻に重度の認知症の夫の「徘徊防止措置」の不適切さを問い、さらに高齢で常時監視ができないなら「介護ヘルパーを依頼せよ」とまで述べたとある。
 どこの介護保険にそんな「常時見守り」をしてくれるようなヘルパーがあるのか。また、別居の長男にまで「事実上の監督者」などと責任を問うている。

 電車に接触し死亡した認知症高齢者の遺族に対し、ここまで追い詰めるJR東海と裁判所。詳細は分からないが記事を読んでいて、血も涙もない「自己責任論」に怒りと悲しみでいっぱいになった。

日経新聞
認知症男性、線路に入り死亡 電車遅れで遺族に損賠命令 2013/8/10 2:12
 認知症の男性(当時91)が線路内に立ち入り電車と接触した死亡事故で、家族らの安全対策が不十分だったとして、JR東海が遺族らに列車が遅れたことに関する損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(上田哲裁判長)は9日、男性の妻と長男に請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。
 判決によると、男性は2007年12月、愛知県大府市のJR共和駅の線路に入り、東海道本線の列車と衝突して死亡。男性は同年の2月に「常に介護が必要」とされる「認知症高齢者自立度4」と診断されていた。
 上田裁判長は、同居していた妻が目を離した隙に男性が外出し、事故が発生したとして「妻には見守りを怠った過失がある」と認定。別居している長男についても「事実上の監督者」とし、「徘徊(はいかい)を防止する適切な措置を講じていなかった」とした。
 男性の家族らは、妻は事故当時85歳で、常時監視することが不可能だったなどと主張。しかし上田裁判長は、介護ヘルパーを依頼するなどの措置をとらなかったと指摘。「男性の介護体制は、介護者が常に目を離さないことが前提となっており、過失の責任は免れない」とした。
Category: 介護保険見直し
2013/08/11 Sun

 「堺市」が存続するか、維新・「大阪都」に飲み込まれ廃止・消滅させられるのか。
 9月の堺市長選挙は、堺市にとって歴史的政治戦である。

 前回(2009年9月)の堺市長選挙は、自民・公明・民主の推薦する2期8年の現職、木原敬介市長を当時の橋下大阪府知事が、自らの部下であった大阪府元政策企画部長・竹山修身氏を全面支援し、大勝利を収めた。

   
   【2009年9月堺市長選挙結果】
   136.212 竹山修身 橋下知事(当時)が全面支援
   89.006 木原敬介 現職。自民・公明・民主推薦 
   48,631 小林宏至 住みよい堺市をつくる会。共産支持


  この堺市長選挙を振り返って橋下はこう述べている
 「自分の部下だった竹山氏の改革マインドやビジョンには共感していましたし、既存の政党とあえて対決することで、自分がどれくらい府民に支持されているかのかを見極めよう、その結果いかんによっては議会の勢力図も変わるだろうとの狙いでした。思い切って勝負に出たのです。ここで躓いていたら、僕はおそらく府知事として終わっていただろうと思います。幸いにも堺市長選挙で竹山氏が勝利しました。その勝利で府議会の反応も大きく変わったのです。」(「体制維新-大阪都」橋下徹・堺屋太一 91頁)

 当時、府庁舎のWTC移転を府議会から否決されて八方ふさがりだった橋下が、堺市長選挙で「勝負」に出て、そして勝ったのである。

 その実績と既存政党を相手に勝利した自信をバックにこう言ってのける
 「議論は尽くします。しかし議論だけではどうしても決着しないことがある。その時には多数決、権力闘争となります。政治はやはり闘いです。堺市長選挙の結果がきっかけとなって、府議会の勢力図が大きく変わった。究極的には選挙の勝利こそ改革のエネルギーなのです。議員も首長も選挙で選ばれる者は、最後には有権者の反応に応じる。これこそが民主主義そのものです。」(同書 91頁)

 ここに、橋下・維新の「民意を得た」と選挙での勝利を振りかざす独裁政治の出発点がある。

 一方、自民・公明・民主の「オール与党」の推薦をうけながら破れた木原氏は
「高い人気を背景に、マスコミを総動員して展開されたパフォーマンスと大衆扇動」「自分の言いなりにならない首長は、たとえ実績のある政令市の市長でも潰す」「知事という公権力が、政令指定都市の市長選挙に介入」「民主主義の冒涜」(「我、知事に敗れたり 2009年9月堺市長選」木原敬介 「はじめに」より)
 と悔し涙にくれる結果となった。


 そして、4年。橋下は、この堺市長選挙の勝利を土台に、「維新の会」結成、そして「大阪都構想」を旗印に大阪市長選挙を制して、大阪府と大阪市を支配し国政にも進出するにいたった。


 木原氏は
「堺は、過去3度の侵略と破壊から再生した経験と有しています。一にでも早く「堺」が自由と自治に目覚め、人間としての尊厳と品位を保ち、勇気と情熱を持って蘇り、真に堺を愛する人々の手によって、これまで堺が成し遂げた成果を受け継ぎ、発展させていただけることを念じてやみません」(同書)

 とのべたが、皮肉なことに、4年前、橋下の「刺客」であった竹山氏が今度は、大阪都構想に反対し、橋下・維新に敢然と立ち向かうことになった。

 竹山氏は今年2月の市長選出馬への決意でこう述べている
 私が一番心配しているのは大阪都構想です。
堺を2つや3つに分割して、堺市を消滅させてしまうことは、何としても阻止したい。「堺は一つ」、「堺のことは堺で決める」を合言葉に、市民の皆さんとともに幅広い運動を盛り上げていきたいと考えております。
市議会は平成の会合衆(えごうしゅう)、そして私は会合衆の代表であるというふうに思っております。輝かしい歴史を持つ堺の発展のために、一身を捧げる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
(2013年2月23日竹山おさみ通信)

 
 「自由と自治」に目覚め、堺を愛し、勇気と情熱を持って「一身を捧げる」というならば、堺市民として支持し、竹山氏を先頭に、維新の「堺侵略」と闘うのは当然であろう。

 マスコミは「変節」や「ねじれ」を強調するが、真の対決点は、「堺市を守るかどうか」である。


 そして、このたたかいは全く予断を許さない。

 今年7月の参議院選挙での堺市での大阪選挙区各政党候補の得票は、維新10万票に対し、公明7万、自民7万、共産4万、民主3万である。

 「反維新」の共同が事実上できつつあるとはいうものの、公明は態度を明らかにせず、また、マスコミの橋下・維新への注目度も依然として高い。

 劇場型政治屋や大衆扇動でなく、「わが町・堺市をどうするのか」を真摯に問う、地に足のついた市民の暮らしの目線での選挙が求められている。


【2013年7月参議院議員選挙 大阪選挙区各党の堺市での得票数】
(維新) 東とおる      101,046
(公明) 杉ひさたけ   73,105
(共産) たつみコータロー 43,864
(自民) 柳本卓治 73,411
(民主) 梅村さとし 31,150




 堺市長選 政党、国政とねじれ 維新は西林氏擁立、自民共は現職支援毎日新聞 2013年08月11日 大阪朝刊

 大阪維新の会(代表、橋下徹・大阪市長)は10日、任期満了に伴う堺市長選(9月15日告示、29日投開票)で、維新堺市議団幹事長の西林克敏氏(43)を公認候補として擁立することを決めた。この日あった堺選出の所属議員による会合で了承した。市長選は、維新が実現を目指す「大阪都構想」に対し、反対の立場で再選を目指す竹山修身市長(63)と、西林氏との一騎打ちとなる見通しだ。選挙戦の構図は2009年の前回選から大きく様変わりし、国政と大阪府政での政党関係のねじれも絡み合う。【高瀬浩平、服部陽、山下貴史】

 「完全に裏切られた」。橋下氏は先月29日、前回全面支援した竹山氏が都構想への反対を強めることを批判した。ただ、竹山氏を当選に導いたのも自身だけに「堺市民に謝らないといけない」立場だ。これに対し竹山氏は2日後、「矛盾がいろいろ出ている。自治の流れと違う」と都構想批判をさらに強めている。
 竹山氏の言動は「裏切り」か。前回選が09年9月で、橋下氏の都構想提唱が10年1月。竹山氏は「前回選時に影も形もなかった」と言い、橋下氏は「細かい話はしていないが『大阪が一つにまとまらないといけない』と話していた」と反論する。
 一方、西林氏は10日、記者団に「都構想の議論を始めないと堺市民が不幸になる」と、推進の立場を強調した。しかし、維新側も前回とは立場を変えている。西林氏や、選対本部長の馬場伸幸衆院議員(日本維新の会)は前回、自民党市議として現職の木原敬介氏を推し、橋下氏側と対立。その半年余り後の10年4月、西林、馬場両氏は維新に参加した。
 政党も立場を変えている。前回は自民、民主、公明の各党が木原氏を支援、共産は新人の小林宏至氏を推した。しかし、先月27日にあった竹山氏の事務所開きには、自民、民主の堺市議が出席。「堺市を託せるのは竹山市長以外にいない」などと、前回対決した竹山氏を持ち上げた。共産も、都構想反対では一致しているとして、自主的に支持する方針だ。国政では対立する3党が、市長選では「反維新」で共闘する。
 先月の参院選の市内比例票で、維新、自民に次ぐ約7万票を得た公明は、国政での「自公」と大阪での「維公」のねじれに苦慮する。両陣営から秋波を送られているが、一方に肩入れした際の悪影響を懸念しており、地元の党関係者は「中立で行くしかない」。自主投票の可能性が高まっている。

堺市長選挙支援の見通し




Category: 堺市政問題
2013/08/10 Sat
「大阪都」構想を最大の争点にたたかわれる堺市長選挙は目前である。

 猛暑の中、堺東で街頭宣伝を行った。市民の関心は高く「堺市の廃止・分割反対」の訴えに賛同する人も多い。

 堺東街宣


 一方、維新は候補者選びに難航したあげく 地元市議に決定した。

時事通信
市議擁立を正式決定=堺市長選で-維新
 日本維新の会傘下の地域政党「大阪維新の会」は10日、堺市選出の国会議員と地方議員の会合で、任期満了に伴う堺市長選(9月29日投開票)に市議団幹事長の西林克敏氏(43)を擁立することを正式決定した。12日に出馬会見を行う。
 既に再選出馬を表明し、自民、民主、共産各党の支援を受ける現職の竹山修身氏(63)との事実上の一騎打ちとなる見通し。 
 選挙戦の最大の争点は、大阪府と大阪市が協議を進めている「大阪都」構想への堺市の参加の是非となる見込み。竹山氏が参加に反対する一方、維新は堺市を含めた都構想実現を目指している。(2013/08/10-18:28)

 

 かつて「堺東あたりで橋下市長が3回も演説すればチンパンジーが候補でもダブルスコアで勝てる」とまで言っていた維新。
 ようやくその「チンパンジー候補」が決まった。
 
 参議院選挙での維新の全国的退潮の中で、落ち目の維新が大阪に回帰し、勝負をかける堺市長選挙。

 私たちは、大阪都構想による堺市廃止・分割に「反対」の姿勢を貫く 現職・竹山市長を自主的に支持する。

大阪都構想から堺市を守る -この一点で一致する市民的共同である。

 と、同時に、落ち目の維新に 鉄槌を下す たたかいでもある。

 4年前の堺市長選挙は、当時の橋下府知事が部下であった竹山氏を担ぎ、オール与党の現職・木原氏を打倒した。この実績を足掛かりに、府内の自治体首長には「刺客」を差し向けると脅し、そして橋下人気で選挙に圧勝できると「大阪維新の会」を立ち上げた。それから4年、維新の会は自民党議員の若手を中心に勢力を拡大し、2011年一斉地方選挙での府議会過半数獲得、同年11月での大阪府市ダブル選挙での「圧勝」、そして、国政進出を、急膨張を遂げてきた。

 しかし、橋下の「慰安婦」発言で国内外からその正体を見破られ、参議院選挙での得票大幅減少となった。橋下は再び「大阪都」実現で態勢の立て直しにかかっている。

 一方、竹山堺市長は、橋下人気によって当選しながら、堺市の廃止・解体を意味する大阪都構想への参加を拒否、橋下とたもとを分かつ選択をした。

 4年の年月を経て、今度はその竹山市長に勝てるかどうかが、橋下維新の命運を決することになった。

 そして、堺市にとっては、維新候補が勝利すれば、それはそのまま、堺市の大阪都参加、市の廃止・解体消滅の道を歩むことになる。
 いろいろあっても、中世の「自治都市」堺の伝統を引き継ぎ、活発な各分野の住民運動によって大いなる可能性をもつ堺市。
 
 この堺市を橋下維新の、野望の犠牲にして解体・消滅させてなるものか ーこんな機運が急速に盛り上がってきた。
 
 革新市政、民主市政そして市民本位の市政をめざして過去の市長選挙では相乗り現職市長に対し、たたかいを挑んできた「住みよい堺市をつくる会」は、維新候補に対し、「現職・竹山支持」を打ち出した。これで文字通り思想信条・政治的立場の違いを超えて「堺市を守れ」で大同団結する「反維新・救国(市)統一戦線」が実現することになった。


 2011年1月 「大阪都構想から『自治都市・堺』を守るためにと集まった小さな会が出発した。 

 当時2011年1月のブログ

 私は、このとき

 「堺市と堺市民」が大事なのか、「生みの親」である橋下知事との関係が大事なのか。竹山氏が本物の堺市長になるためには、橋下知事と維新の会に決別宣言をするべきである。

 と述べた。 

 みごとに「決別宣言」をされた。竹山氏は生粋の「堺っ子」であった。

 同じ日に私は

 「自治都市・堺」を守るため、立ち上がるのは今である。
 「大阪都構想から自治都市・堺を守れ」
 この 当たり前の主張を、政治的立場や思想信条を超えて市役所の中で、そして堺の町の隅々で広げる時である。それこそ、『堺』が自由と自治に目覚め、勇気と情熱を持って蘇ることが求められている。
 少なくとも、堺市民に奉仕すべき市職員にはその勇気と情熱が必要である。
 私は、堺市当局からみれば「不良職員」であろう。実際、歴代市長はじめ幹部職員の方々と対立してきた。堺市政には言いたいことは山ほどある。しかし、このような私でも「自治都市・堺」を守るために、30年以上 堺市に世話になった一介の職員として「ご恩返し」のつもりで、この運動に参加しようと思う。

 
 と書きこんでいる。

 堺市と堺市民の「ご恩」に報いるときである。これは、私だけでなくすべての堺市職員に呼び掛けたい。
 




Category: 堺市政問題
2013/08/06 Tue
8月6日。「ヒロシマ」の日。私は18歳の時、参加した原水爆禁止世界大会がその後の生き方を決定付けました。
そして、この歌。今でも諳んじています。
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「原爆を許すまじ」
ふるさとの街やかれ
身よりの骨うめし焼土(やけつち)に
今は白い花咲く
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
われらの街に

ふるさとの海荒れて
黒き雨喜びの日はなく
今は舟に人もなし
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
われらの海に

ふるさとの空重く
黒き雲今日も大地おおい
今は空に陽もささず
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
われらの空に

はらからのたえまなき
労働にきずきあぐ富と幸
今はすべてついえ去らん
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
世界の上に
Category: 時局争論
2013/08/05 Mon
 社会保障制度改革国民会議は8月5日、消費増税に伴う社会保障改革の報告書をまとめた。高齢者をはじめ国民に徹底した「負担増」を求めながら、医療・介護を中心に大幅な切り下げを断行しようとする内容である。今日6日に安倍晋三首相に提出するという。

 5日の第20回会合ではじめて公表された「国民へのメッセージ」。

福沢諭吉は「学者は国の奴雁なり」と書いています。奴雁とは雁の群れが
一心に餌を啄ばんでいるとき一羽首を高く揚げて遠くを見渡し難にそなえる
雁のことで、学者もまた「今世の有様に注意して(現状を冷静に分析し)、以
って後日の得失を論ずる(将来にとって何が良いかを考える)」役割を担う、
という意味です。私たちもまた、社会保障の専門家として、社会保障制度の
将来のために何が良いかを、論理的、実証的に論議してまいりました。この
報告書は、日本を世界一の長寿国にした世界に冠たる社会保障制度を、将来
の世代にしっかりと伝えるために、現在の世代はどのような努力をしたらよ
いのか、ということを考え抜いた私たち国民会議の結論であります。


 読んでいて「御用学者」の傲慢に強い不快感を覚える。

この御用学者どもが言っているのはただ一つ。
社会保障給付は年100兆円を超え、現役世代の保険料や税負担は増大し、将来世代の負担となっている。
 社会保障給付を削るための方策をあれこれと考え、これに様々な理論的装いをこらしたに過ぎない。

 社会保障の現場も老若男女国民の苦しみも、社会保障に従事する労働者の実態も無視したこの犯罪的な報告書をまとめた自称「社会保障の専門家」たちの名をあげておく。

社会保障制度改革国民会議 委員名簿
 伊藤 元重 東京大学大学院経済学研究科教授
○ 遠藤 久夫 学習院大学経済学部長
 大島 伸一 国立長寿医療研究センター総長
 大日向雅美 恵泉女学園大学大学院平和学研究科教授
 権丈 善一 慶應義塾大学商学部教授
 駒村 康平 慶應義塾大学経済学部教授
 榊原 智子 読売新聞東京本社編集局社会保障部次長
 神野 直彦 東京大学名誉教授
◎ 清家 篤 慶應義塾長
 永井 良三 自治医科大学学長
 西沢 和彦 日本総合研究所調査部上席主任研究員
 増田 寬也 野村総合研究所顧問
 宮武 剛 目白大学大学院生涯福祉研究科客員教授
 宮本 太郎 中央大学法学部教授
 山崎 泰彦 神奈川県立保健福祉大学名誉教授
◎は会長、○は会長代理


社会保障制度国民会議報告書要旨
 【総論】
 持続可能な社会保障の構築には、徹底した給付の重点化・効率化が求められる。必要な財源は、後代につけ回しすることなく、現在の世代で確保することが不可欠だ。
 「給付は高齢世代中心、負担は現役世代中心」という構造を見直すことが求められる。全世代型の社会保障への転換を目指し、子育て支援などの投資を積極的に行うことが必要だ。2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、超高齢社会になっていく。能力に応じて支え合うことが必要だ。
 世代間だけでなく世代内の公平も重要だ。特に格差の大きい高齢者は一律に対応するのではなく、負担能力に応じて社会保障財源に貢献してもらうことが必要だ。「年齢別」から「負担能力別」に負担のあり方を切り替え、社会保障・税番号制度も活用し、資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくべきだ。
 少子化は社会保障全体に関わる問題。子育て支援は未来への投資と認識し取り組むべきだ。
 改革は短期と中長期に分けて実現すべきだ。まずは、消費税増収が段階的に生じる期間内に集中的に実施すべき改革。中長期は25年を念頭に段階的に実施すべき改革だ。改革は、定期的に方向性や進捗(しんちょく)状況をフォローアップしていくことが必要。政府の下で必要な体制を確保すべきだ。
 【少子化対策】
 待機児童の解消は喫緊の課題だ。できることから対策を打つ必要がある。財源確保が必須で、消費税増収分などを活用すべきだ。
 次世代育成支援対策推進法の延長、見直しを検討すべきだ。育休中の経済的支援も含めた検討を進めるべきだ。
 子ども・子育て支援は量拡充のみならず質改善が不可欠。消費税引き上げによる財源(0・7兆円)では足りず、0・3兆円超の確保を図る必要がある。
 【医療・介護】
 ◆改革が求められる背景◆
 急速な高齢化で、医療は「病院完結型」から、住み慣れた地域や自宅での生活のための「地域完結型」に変わらざるを得ない。選択と集中による提供体制の構造的な改革が必要だ。
 保険料・税の徴収と給付の両面で、これまで以上に能力に応じた負担のあり方、公平性が強く求められる。
 急性期を中心に人的・物的資源を集中投入し、入院期間を減らして早期の家庭復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実させていく必要がある。
 ◆サービスの提供体制改革◆
 医療機能情報の都道府県への報告制度を早急に導入する必要がある。データに基づき、機能ごとの医療の必要量を示す地域医療ビジョンを都道府県が策定することが求められる。18年度を待たず策定し直ちに実行に移すのが望ましい。地域の医療提供体制に責任を果たせるよう、都道府県の権限・役割の拡大が具体的に検討されるべきだ。
 国民健康保険の財政運営に責任を担う保険者を都道府県とし、都道府県が住民負担のあり方を総合的に検討できる体制を実現すべきだ。都道府県への移行は、(18年度の)次期医療計画の策定前に実現すべきだ。
 要支援者に対する介護予防給付は、市町村が住民主体の取り組みなどを活用しながらサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら、新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべきだ。
 医療・介護の提供体制改革の推進のために消費税増収分の活用が検討されるべきだ。全国一律の診療報酬・介護報酬と、別の財政支援の手法を組み合わせることが必要で、基金方式も検討に値する。
 ◆医療保険制度改革◆
 国民皆保険の維持のため、国保の財政基盤の安定化が優先課題だ。この解決が国保を都道府県に移行する前提条件。財源は後期高齢者支援金の負担方法を全面総報酬割にすることで生じる財源を考慮に入れるべきだ。
 多くの非正規労働者が国保に加入しており、被用者保険の適用拡大を進めることも重要。低所得者に対する保険料軽減措置の拡充を図るべきだ。
 高所得でも保険料の限度額しか負担しない国保の仕組みを改め、限度額を引き上げるべきだ。被用者保険も標準報酬月額上限引き上げを検討すべきだ。
 後期高齢者支援金の負担方法は、15年度から被用者保険者間の案分方法を全面的に総報酬割とし、協会けんぽと健保組合、共済の保険料負担の平準化を目指すべきだ。その際、協会けんぽの支援金負担への国庫補助が不要になるが、生じる税財源は社会保障の機能強化に活用すべきだ。こうした貢献は、国保の都道府県への移行を実現するのに不可欠だ。
 後期高齢者医療制度は十分定着している。現行制度を基本に必要な改善をするのが適当だ。
 医療資源を効率的に活用する観点から、医療機関間の役割分担が必要。大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は「かかりつけ医」への相談が基本。紹介状のない患者の一定病床数以上の病院の外来受診について、定額自己負担を求める仕組みを検討すべきだ。
 暫定的に1割となっている70~74歳の医療費の自己負担の特例措置は、世代間の公平を図る観点からやめるべきで、早期に結論を得るべきだ。新たに70歳になった者から段階的に進めることが適当だ。
 難病対策の医療費助成は、消費税増収分を活用して、対象疾患の拡大や都道府県の超過負担の解消を図るべきだ。
 ◆介護保険制度改革◆
 持続可能性を高めるために、予防給付の見直しのほか、利用者負担の見直しが必要。一定以上の所得の利用者の負担は引き上げるべきだ。
 低所得者の1号保険料で軽減措置を拡充すべきだ。2号被保険者が加入する被用者保険が負担する介護納付金は、被保険者の総報酬額に応じたものにするべきだ。
 【年金】
 基本的に年金財政の長期的な持続可能性は確保されていく仕組みだ。負担も給付も現役時代の所得に応じた形の制度にするのは一つの理想形。しかし、正確な所得捕捉などの条件は整っておらず、実行可能な制度構築を図る観点から政策選択しなければならない。制度の一元化には、委員間で認識の違いが存在した。どんな制度をめざすにも必要な課題解決を進め、将来の制度は引き続き議論するという2段階のアプローチが必要だ。
 マクロ経済スライドは、デフレ脱却をした後でも物価や賃金の変動によっては、調整が十分機能しないことが短期的に生じうる。仮に将来再びデフレが生じても、年金水準の調整を計画的に進める観点から、検討することが必要だ。
 高齢者の働き方と年金受給のあり方をどう組み合わせるかは、今後の検討課題。現在、厚生年金の支給開始年齢を引き上げている途上にあり、直ちに見直す環境にはなく、中長期的課題として考える必要がある。雇用との接続など幅広い観点からの検討が必要で、作業は速やかに始める必要がある。多様な就業と引退への移行に対応できる弾力的な年金受給のあり方について、在職老齢年金も一体で検討を進めるべきだ。
 世代内の再分配機能の強化が求められる。高齢期の所得によって基礎年金の国庫負担相当分の給付を調整するのみならず、様々な方法を検討すべきだ。公的年金等控除など年金課税のあり方を見直すべきだ。
 3号被保険者制度は、短時間労働者の被用者保険適用を拡大するなど、制度の支え手を増やす方向で検討を進めるべきだ。
Category: 介護保険見直し
2013/08/04 Sun
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その5 際限のない介護保険料上昇に無為無策 

国民会議報告書案は、介護保険料については
 「低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制」する観点からは、今後の高齢化の進展に伴う保険料水準の上昇に対応するため、低所得者の第1 号保険料について基準額に乗じることにより負担を軽減している割合を更に引き下げ、軽減措置を拡充すべきである。
 としている。

 一見すると、負担能力に応じて介護保険料を軽減する提言のように読める。しかし、現行の介護保険料の仕組みのもつ根本的問題について、全く手をつけないまま、わずかな「低所得者対策」で問題をごまかそうというものである。
 65歳以上の第1号保険料については、基準額で月4972円(第5期全国平均)に達し、高齢者の負担の限界となっている。これが、厚労省の「改革」後の試算でも2025年には月8200円に上昇するとしている。
 介護保険料は、高齢化が進展し介護サービス利用者は増大すればこれとリンクして高齢者の介護保険料が際限なく引き上げられる仕組みである。「給付と保険料負担」の連動が保険料上昇の原因であり、保険料上昇を抑えるためには、国庫負担をはじめ公費負担を増やす以外に方法はない。
 しかし国民会議報告書案は、社会保険方式を「自助の共同化」などといって、公費負担の拡大を否定している。現在、介護保険では低所得者の第1号保険料は、最低ランク(生活保護・非課税世帯の年金80万円以下)でも基準額の0,5を徴収することになっている。国民健康保険料が0.3、後期高齢者医療保険料であれば0.1までの低所得者軽減の仕組みを持ち、さらにその財源が公費であることを考えると、介護保険料の低所得者軽減は社会保険制度のなかで最悪であろう。
 低所得者の割合を「更に引き下げ、軽減措置を拡充すべき」というのは当然すぎることである。これから際限なく上昇しようとする介護保険料を前にこれ以上無為無策をつづけることは許されないからである。
 そもそも、昨年の社会保障税一体改革で、消費税10%への増税時の「低所得者対策」として、すでに第1号保険料の低所得者軽減はメニューに入っている。国民会議報告書案のいう低所得者軽減がこれを超えるものを指しているか疑わしい。

 介護保険料の低所得者軽減の最大の問題は、どれだけの対象者にどれだけ下げるか、その財源のために公費をどれだけ負担するかである。これについては、報告書案はまったく触れていない。しかし、国民会議の議論の中で、「低所得者」のとらえ方について、「所得だけでなく資産も」といった主張が公然と行われ、施設利用者の食費・居住費負担ではこれが報告書案に明記された。このことを考えると、保険料の「低所得者軽減」もその低所得者の要件に、資産等(自宅・預貯金)がつけられる可能性がある。現に、一部の自治体で行われている低所得者の独自減免制度の多くは、資産、扶養をその要件としている。これをたんに国制度に付け替える程度の水準の低所得者軽減にしてはならない。

 第2号保険者(40歳~64歳)の「介護納付金」について国民会議報告書案は
 第2 号被保険者の加入する医療保険者が負担する介護納付金については、現在、第2 号被保険者の人数に応じたものになっており、負担の公平化の観点から、被用者保険について、被保険者の総報酬額に応じたものとしていくべきであるが、後期高齢者支援金の全面総報酬割の状況も踏まえつつ検討すべきである。
 としている。

 これは、介護納付金そのものを拡大するのでなく、医療保険者間での負担の配分の問題である。現行の人数割から総報酬割にすれば、平均給与の高い企業の健保組合ほど負担が重くなり、協会けんぽの負担が軽減される分、協会健保への国庫補助が不要になる。
 この国庫補助削減分を当て込んで、先の低所得者の第1号保険料の「軽減措置」の財源としようという魂胆である。厚生労働省によれば、消費税増税時の低所得者の保険料軽減の財源の所要額は1300億円という。まさに現役世代の負担増で、低所得高齢者の保険料軽減の財源をねん出しようというさもしい方向である。こうした方策からは「現役世代に負担を求める以上、高齢者の給付も削減し利用者負担も求めるべき」(厚生労働省)ということになる。
 しかも、この介護納付金の総報酬割への移行については、後期高齢者支援金の全面報酬割移行とセットであり、大企業中心の健保組合の反発は必至であり、実現可能性に疑問がもたれている。

 なりゆきによっては、介護納付金の総報酬割移行ができなかったので、第1号保険料の低所得者軽減も見送りというペテンのような事態になりかねない。
 
 
 介護保険料をめぐっては、給付増がストレートに介護保険料上昇とならないよう公費負担を拡大すること、そして、低所得者については、資産・扶養等に要件をつけさせず、少なくとも後期高齢者医療保険料なみの0.1程度まで引き下げさせるよう要求していく必要がある。

 
 おわりに

 「社会保障制度改革国民会議」は、昨年の自民・公明・民主の3党による合意により成立した社会保障制度改革推進法によって設置され、消費税増税とセットで社会保障制度全体を「改革」(その実態は社会保障の解体)のために政府が講じるべき「法的措置」の内容を検討するための会議である。
 国民会議などと称しているが、そのメンバーは政府がかってに任命した有識者15人だけである。経済界など「各界代表」の意見を聞き、5月に一度パブリックコメント行っただけで社会保障を利用している当事者の意見はただの一度も聴いていない。また、この「報告書案」は、参議院選挙が終わるまでは一切報道されず、選挙が終わった直後の7月26日からいっせいに素案内容が報道されたが、「各論」の報告書案が公表されたのは8月2日、そして8月5日に承認、6日に安倍首相への「提出」と、まさに選挙後のどさくさにまぎれて国民の意見も聞かないままとりまとめられるものである。

 介護現場にも、そして高齢者の暮らしの場にも一度も足を運ぶことなくまとめられる「国民会議報告書」なるもので、これからの介護保険制度が決められてはならない。

 今後、政府の講じる「法的措置」をさせないことが課題となる。そして、厚労省の社会保障審議会の介護保険部会、介護給付費分科会などで具体的検討や、政府の法案検討へと舞台は移っていくことになる。

 私たちのたたかいはこれからである。
 

Category: 介護保険見直し
2013/08/03 Sat
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その4 特養からの軽度者追い出しとデイサービス切り捨て

 国民会議報告書案は、
介護を要する高齢者が増加していく中で、特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、併せて軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保を推進していくことも求められている。
 と決めつけている。

 現在でも、軽度者(要介護1、2)に人は、特養への新規入所は絶望的であるが、さまざまな事情で在宅生活ができない人など10数パーセントの軽度者が入所している。もともと介護保険法は施設サービスを利用する権利(受給権)は要介護1から認めているから当然である。
 国民会議報告書案は、要介護高齢者が増加していくから、もはや軽度者の居場所は特養には与えられない、と一方的に線引きをはかることを宣言している。そして、軽度者については「住まい」の問題として矮小化し、低所得者の住まいが確保できれば特養入所は不要になるかのように決めつけているのである。
 要介護1や要介護2であっても常時見守りや声かけ、介護が必要な高齢者はいくらでも例がある。これらの人々は単に「住まい」さえ与えれば自立生活ができるというものではない。特養の持つ介護環境と常時の介護と相談員などの援助が欠かせない人々を施設から放り出すような改悪は到底認められない。
 
 特養への軽度者利用を排除しようとすれば、場合によっては法改正も必要になるが、省令・告示での対象要件を狭めることや、かつて厚労省が示した、施設利用者の給付のうち居宅の利用限度額超過相当分の負担割合を引き上げるなどさまざまな手法が考えられる。
 どれひとつ具体化させないために、これも2025年4月直前までの粘り強いたたかいが必要になる。何よりも施設関係者が利用者の声なき声を代弁して立ち上がることが求められている。

いわれなきデイサービス切り捨て

 国民会議報告書案は、
また、デイサービスについては、重度化予防に効果のある給付への重点化を図る必要があろう。
 と、とってつけたように、デイサービスに大ナタを振るって切り捨てることを提言している。この前後にはなんの脈略もない。

 それもそのはず、デイサービス(通所介護)については、政府の資料で、「通所介護の給付費が急増し、介護老人保健施設の給付費を抜いた」という、ことだけを問題意識にしているからである。急増するサービスは抑え込むという単純かつ貧困な発想しかない。
 2012年介護報酬改定では集中的に切り下げられたデイサービスであるが、一方で介護者のレスパイトに資するとして長時間化(12時間まで)が図られてきた。また、脱法サービスであるが、行き場のない高齢者を対象に「お泊りデイ」も増加している。
 国民会議の「有識者」たちは、このような実態は全く無視し「重度化予防に効果のある給付への重点化」=重度化予防に効果のないデイサービスは給付削減か対象外 という暴論を書きこんだのである。そもそもデイサービスは通所リハビリテーションと機能は違う。「預かり」「お世話をする」ということが基本的な機能である。これをとってつけたようにいきなり「重度化予防に効果のある給付」に限定するような提言は断じて認められない。

 通所介護(デイサービス)の切り捨てと変質は、2015年度報酬・基準改定まで継続する課題である。ぜひ、デイサービス関係者がこの不当な評価と切り捨て攻撃に対し、利用者家族とともに反対運動に立ち上がっていただきたい。
 2012年度報酬改定では、提供時間で線引きされ、今回は「重度化予防」でふるいにかけられる。地域に必死にニーズにこたえるためがんばってきたデイサービス関係者をこれ以上、政府の好き勝手な施策で翻弄することは許されない。

(つづく) 
Category: 介護保険見直し
2013/08/03 Sat
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その3 低所得の施設利用者の負担増
 
 国民会議報告書案は、利用者負担割合引き上げに続いて、
施設入所の場合には、世帯の課税状況や課税対象の所得(フロー)を勘案して、利用者負担となる居住費や食費について補足給付により助成を受けることとなっている。その結果、保有する居住用資産や預貯金が保全されることとなる可能性があり、世代内の公平の確保の観点から、補足給付に当たっては資産(ストック)も勘案すべきである。また、低所得と認定する所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金や世帯分離された配偶者の所得等を勘案するよう、見直すべきである。
 と書き立てた。

 2005年の介護保険改悪により、それまで保険給付の対象としていた介護保険施設(特養、老健、療養型)利用者と短期入所使用者の食費・部屋代を自己負担とした。しかし、低所得(住民税非課税世帯)の利用者については、軽減措置(補足給付)を行うこととした。
 例えば、食費は、1日3食にで基準額は1380円(実際はこれ以上)が、非課税世帯の利用者は1日3食650円、ひ会税世帯で年金80万円以下であれば390円となる。これによって、低年金者でも施設に入所することができている。

 国民会議報告書案では、低所得であっても「資産」を勘案して軽減の対象外とするべきとしているのである。高齢者が保有しているささやかな自宅、長年かかって蓄えたわずかな老後の備えの預貯金が「保全」されるのがケシカランというのである!
 施設利用者の圧倒的多数は重度の要介護者である。年金も少なく低所得で重度の要介護状態となった人たちに対し、何と冷たい仕打ちであろうか。自宅も売り払い、預貯金も使い果たさないと介護保険施設で暮らすことは許さないという極悪非道な改悪案である。
 もし、補足給付対象から外されれば、特養利用者であっても個室であれば月10数万円の食費・部屋代徴収となり介護サービス利用料と合わせれば15万円程度の自己負担となり、少ない年金では到底負担できない額となる。

 さらに重大なことに、報告書案は、「低所得と認定する所得や世帯のとらえ方」についてかつてない踏み込んだ見解を示していることである。
 現行税制上は、所得の対象とならない遺族年金等について、所得に含めるように提言し、さらに「世帯分離前の配偶者の所得」までその対象にするというのである。特養入所者であれば、夫婦であっても「転居」となり、住民基本台帳上では自動的に別世帯である。また、住所が同一であっても生計が別であれば住民票は別個の世帯となる。これは、憲法が国民に保障した「居住の自由」にかかわることである。これをわざわざ無視し、所得を課題に評価し低所得者の範囲から除外しようとするのは、許しがたい暴挙である。

 これらの改悪内容は、必ずしも介護保険法の規定を変更しないでも厚生労働省令・告示の改定で実施できることを以前厚労省の担当課の職員は認めていた。したがってこの低所得の施設利用者負担増は、場合によっては、介護保険法「改正」前にも強行される可能性もゼロでない。また、見方を変えれば国会で介護保険法「改正」が強行されたとしても、厚生労働省内部での省令・告示や予算案の段階(もっとも遅ければ2015年1月頃まで)までの争点となりうる。
 もっとも困難な人々を情け容赦なく負担増攻撃にターゲットにするこの改悪を許さないため、施設関係者をはじめ多くの人々の共同した反対運動が急務である。

(つづく)
Category: 介護保険見直し
2013/08/03 Sat
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その2 利用者負担増

 国民会議報告書案は、利用者負担について
前略)利用者負担等の見直しが必要である。介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである。その際、介護保険は医療保険と異なり、利用者自身が利用するサービスの量を決定しやすいことなど、医療保険との相違点に留意する必要がある。
 と記述した。

 現行の介護保険の利用者1割負担は、高額介護サービス費を除けばほとんど低所得者軽減制度がない中では、低所得の年金生活者には大きくのしかかり、サービス利用を抑制する結果となっている。これをさらに「一定の所得のある」場合は、引き上げるというのである。この「一定の所得」とはどのようなものなのか。
 かつての介護保険見直しの議論の中では、当初「高所得の利用者負担見直し」でスタートした。ところが、厚生労働省が2010年11月社会保障審議会介護保険部会で示した試算では「合計所得200万円以上の自己負担2割」というものであった。とても「高所得」とはいえない所得を対象としたため、その後は「一定の所得」と言い替えてきた経過がある。後期高齢者医療では「現役並み所得」として「収入383万円以上」は3割負担であるが、国民会議報告書案は「一定の所得」というだけでその水準は一切示していない。また、負担割合についても言及していない。
 国民会議の議論の中で出されていた「医療との整合性」(現役並み3割、70歳~74歳は本則2割)については、報告書案では、「医療保険との相違点に留意」と表現した。機械的な整合性論の立場はとらなかったようだが、介護保険は、「利用者自身が利用するサービス量を決定しやすい」という記述は微妙である。低所得の人は、必要なサービス利用が制約されているというのが実態だが、給付抑制論者から言えば「1割負担にとどめると利用者がサービス量を決めやすい介護保険では給付が抑制できないので引き上げの対象を拡大すべきでだ」という口実にされかねない。

 国民会議報告書案は、引き上げの時期については明記していないが、8月2日の会議後の記者会見で清家篤会長(慶応義塾長)は「少なくとも中長期の話ではない」と述べ、短期的に実行すべきとの考えを示した。

 短期とは、次期介護報酬改定・第6期事業計画期間(2015年度)を意味することは明らかである。

 この負担割合引き上げは、介護保険法「改正」を必要とすることから、今後、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会に検討が引き継がれ、来年1月からの通常国会での法「改正」をめざし、年末までの政府厚労省内での検討が一つの山場となる。
 負担割合の引き上げを阻止するための関係者が一致した運動が求められている。

(つづく)

 
 



Category: 介護保険見直し
2013/08/02 Fri
 8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議でやっと「各論」部分(少子化対策分野、医療・介護分野、年金分野)の案が公表された。7月29日の第18回会議で公表された「総論」部分と合わせ、政府が講じるべき社会保障改革の方向性が示されたことになる、あとは8月5日の国民会議での報告書了承、8月6日に安倍首相へも提出という段取りと報じられている。(一部新聞は、社会保障改革推進法の「法施行後1年以内の法的措置」として、8月21日までに「改革プログラム法案」の大綱閣議決定を報じているが現時点では確認できない)

 ようやく公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その1 要支援者の保険給付外し

 国民会議報告書案の中で介護保険の要支援者については、
「地域支援事業については、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として再構築するとともに、要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていくべきである。」
 と表現された。

①現行の地域支援事業を「地域包括推進事業(仮称)」に再編
②要支援者に対する予防給付は地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていく
 というものである。目新しいと言えば、地域支援事業を地域包括推進事業(仮称)に再編する という点である。2011年の介護保険法「改正」で地域支援事業の中に「介護予防・日常生活支援総合事業」を設け、要支援者を予防給付から移行させる受け皿としたばかりである。しかも、「仮称」であっても具体的な事業名まで登場したこの地域包括推進事業(仮称)なるものは、厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会で提案もされたことのない代物であり、この国民会議の「頭ごなし」のものである。

 国民会議報告書案は、医療・介護分野の改革の中で「医療・介護サービスの提供体制改革」として、
「医療から介護へ」、「病院・施設から地域・在宅へ」という流れを本気で進めようとすれば、医療の見直しと介護の見直しは、文字どおり一体となって行わなければならない。
 としている。
 具体的には、高度急性期医療から始まる医療を「川上」、在宅介護を「川下」と表現し、患者(要介護者)の早期退院、在宅化を徹底して推進しようというのだ。費用のかかる「川上」から安上がりの「川下」へ早く流れていくよう、在宅医療・在宅介護の体制を整えようというのである。
  報告書案では「川上」の医療病床機能の再編とセットで「川下」の退院患者受け入れ体制描き、この中に「地域包括ケアシステム」を位置づけている。
 そして、介護サービスについては、24 時間の定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型サービスの普及など、退院患者の受け皿となりうる重度者向けの基盤整備とともに、要支援者・軽度者については、保険給付からの追い出しを図ろうというのである。
 「介護保険給付と地域支援事業の在り方を見直すべきである」として登場させたのが、地域包括推進事業(仮称)である。「市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的」に行うという地域包括推進事業(仮称)は、現行の予防給付に代わって要支援者の受け皿になりうるだろうか。
 断じて否である。

 第一に、その内容の無責任さである。「柔軟かつ効率的」と言えば聞こえはいいが、柔軟=人員設備基準なし、効率的=安上がり ということに他ならない。現行の地域支援事業も財源の上限が保険給付の3%以内とされていることから、介護保険の指定サービスである予防給付のサービスとは比べようのない劣悪で低水準なものとなるであろう。
 第二に、この事業そのものが本当に全国に普及するかどうか疑わしいことである。市町村が「地域の実情に応じ」とは、基本的に市町村任せである。また、「住民主体の取組の積極的活用」とは、地域住民の互助などボランティア、NPOなどに委ねるということである。現行の「介護予防・日常生活支援総合事業」は、市町村判断で実施とされたこともあり、2013年3月時点で全国わずか37自治体でしか実施されていないという惨憺たる状況である。これを法で義務化したとしても、介護保険のヘルパーやデイサービスに代わる事業を担うボランティアなど「住民主体の取組」を市町村が育成できるかどうかは、はなはだ心もとない。とうよりどう考えても不可能であろう。
 
 結局のところ、これが強行されれば、受け皿があろうがなかろうが、要支援者の予防給付を各自治体が取り上げていくということになる危険性が極めて高い。国民会議報告書案は「受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に段階的に移行させていく」などとしているが、現実には大多数の市町村は住民主体の取組もまともに組織できず、申し訳程度の「ボランティア事業」「民間活用」などのメニューを作ったことを口実に片っ端から要支援者を介護保険給付から追い出していくことになろう。

 国民会議報告書案は、「平成27 年度からの第6 期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ、各種の取組を進めていくべき」と市町村に何としても実施させるようはっぱをかけている。

 要支援者のサービス取り上げ問題は、断じて具体化させてはならない改悪内容である。

 要支援者の予防給付問題は、介護保険法「改正」のなかでどのように規定されるか、内容・対象など政令・省令・告示、通知などでどのようになるか。さらに現場である各市町村の第6期事業計画でどのようになるか、まさにこれから1年半近い政府・厚生労働省、国会、地方を通じての一大攻防戦となるであろう。

第19回 社会保障制度改革国民会議 資料1-2 各論部分(医療・介護分野)(案) 



参考 第19回 社会保障制度改革国民会議 資料1-2 各論部分(医療・介護分野)(案) の一部抜粋

Ⅱ 医療・介護分野の改革
(略)
2 医療・介護サービスの提供体制改革
(略)
(4)医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築
「医療から介護へ」、「病院・施設から地域・在宅へ」という流れを本気で進め
ようとすれば、医療の見直しと介護の見直しは、文字どおり一体となって行わな
ければならない。高度急性期から在宅介護までの一連の流れにおいて、川上に位
置する病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備という
川下の政策と同時に行われるべきものであり、また、川下に位置する在宅ケアの
普及という政策の展開は、急性増悪時に必須となる短期的な入院病床の確保とい
う川上の政策と同時に行われるべきものである。
 今後、認知症高齢者の数が増大するとともに、高齢の単身世帯や夫婦のみ世帯
が増加していくことをも踏まえれば、地域で暮らしていくために必要な様々な生
活支援サービスや住まいが、家族介護者を支援しつつ、本人の意向と生活実態に
あわせて切れ目なく継続的に提供されることも必要であり、地域ごとの医療・介
護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク、すなわち地域包
括ケアシステムづくりを推進していくも求められている。
 この地域包括ケアシステムは、介護保険制度の枠内では完結しない。例えば、
介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、
訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導な
どの在宅医療が、不可欠である。自宅だけでなく、高齢者住宅に居ても、グルー
プホームや介護施設その他どこに暮らしていても必要な医療が確実に提供される
ようにしなければならず、かかりつけ医の役割があらためて重要となる。そして、
医療・介護サービスが地域の中で一体的に提供されるようにするためには、医療・
介護のネットワーク化が必要であり、より具体的に言えば、医療・介護サービス
の提供者間、提供者と行政間などさまざまな関係者間で生じる連携を誰がどのよ
うにマネージしていくかということが重要となる。たしかに、地域ケア会議や医
療・介護連携協議会などのネットワークづくりの場は多くの市町村や広域圏でで
きているが、今のところ、医療・介護サービスの提供者が現場レベルで「顔の見
える」関係を構築し、サービスの高度化につなげている地域は極めて少ない。成
功しているところでは、地域の医師等民間の熱意ある者がとりまとめ役、市町村
等の行政がそのよき協力者となってマネージしている例が見られることを指摘し
ておきたい。
 こうした地域包括ケアシステムの構築に向けて、まずは、平成27 年度からの第
6 期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ、各種の取組を
進めていくべきである。
 具体的には、高齢者の地域での生活を支えるために、介護サービスについて、
24 時間の定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型サービスの普及を図るほ
か、各地域において、認知症高齢者に対する初期段階からの対応や生活支援サー
ビスの充実を図ることが必要である。これと併せて、介護保険給付と地域支援事
業の在り方を見直すべきである。地域支援事業については、地域包括ケアの一翼
を担うにふさわしい質を備えた効率的な事業(地域包括推進事業(仮称))として
再構築するとともに、要支援者に対する介護予防給付について、市町村が地域の
実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用しながら柔軟かつ効率的にサービ
スを提供できるよう、受け皿を確保しながら新たな地域包括推進事業(仮称)に
段階的に移行させていくべきである。
 また、地域包括ケアの実現のためには地域包括支援センターの役割が大きい。
かかりつけ医機能を担う地域医師会等の協力を得つつ、在宅医療と介護の連携を
推進することも重要である。これまで取り組んできた在宅医療連携拠点事業につ
いて、地域包括推進事業として制度化し、地域包括支援センターや委託を受けた
地域医師会等が業務を実施することとすべきである。
 さらに、中低所得層の高齢者が地域において安心して暮らせるようにするため、
規制改革等を進めつつ、地域の実情に応じ、介護施設等はもとより、空家等の有
効活用により、新たな住まいの確保を図ることも重要である。
 なお、地域医療ビジョン同様に、地域の介護需要のピーク時を視野に入れなが
ら2025 年までの中長期的な目標の設定を市町村に求める必要があるほか、計画策
定のために地域の特徴や課題が客観的に把握できるようにデータを整理していく
仕組みを整える必要がある。また、上記(1)で述べた都道府県が策定する地域
医療ビジョンや医療計画は、市町村が策定する地域包括ケア計画を踏まえた内容
にすべきであるなど、医療提供体制の改革と介護サービスの提供体制の改革が一
体的・整合的に進むようにすべきである。
 いずれにせよ、地域包括ケアシステムの確立は医療・介護サービスの一体改革
によって実現するという認識が基本となる。こうした観点に立てば、将来的には、
介護保険事業計画と医療計画とが、市町村と都道府県が共同して策定する一体的
な「地域医療・包括ケア計画」とも言い得るほどに連携の密度を高めていくべき
である。
 なお、地域包括ケアシステムを支えるサービスを確保していくためには、介護
職員等の人材確保が必要であり、処遇の改善やキャリアパスの確立などを進めて
いく必要がある。また、地域医師会等の協力を得ながら、複数の疾患を抱える高
齢者が自分の健康状態をよく把握している身近な医師を受診することを促す体制
を構築していくことも必要である。



(つづく)
Category: 介護保険見直し
2013/08/01 Thu
「介護保険改悪と不服審査請求運動学習会」は100人以上の参加で盛況。椅子も追加しました。私も報告につい力が入りました。今年は、介護保険料などだけでなく、新たに不服審査請求運動が広がりました。しかも全国規模で!一つは生活保護切り下げに対する審査請求。これは全国生活と健康を守る会連合会(全生連)や反貧困ネットワークなどが呼びかけています。そして、もう一つは年金切り下げに対する集団審査請求。こちらは全日本年金者組合が方針化した。私たちが14年に大阪で介護保険料不服審査請求運動を始めた時は、孤軍奮闘状態だったが、今や不服審査請求は、未曽有の社会保障大改悪攻撃に対する集団的な抗議闘争の戦術となりました。学習会ではそれぞれの不服審査請求運動を報告し合い年金者組合と生健会と一揆の会がガッチリと連帯しました。

不服審査請求学習会
Category: 社会保障問題

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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