2014/09/24 Wed
9月24日夜 大阪社保協主催で、「要支援外しの新総合事業ガイドラインを考える学習会」が開かれた。


テキストは、拙著「2015『改正』介護保険~要支援外し新総合事業に立ち向かう」であった。


会場は満員

 私が、最初に強調させていただいたこと。
はじめに   あきらめず立ち向かうこと
 今年6月18日に、合計19本もの法律を一括して「改正」する「医療介護総合確保推進法」が、与党のみの賛成で可決・成立し、6月25日に公布されました。わずかな審議時間で野党の賛成も得られないまま強行された法律で介護保険制度始まって以来の大改悪がすすめられようとしています。しかし、その内容は複雑で多岐にわたり、国民には十分に知らされていません。
 介護保険の利用者の方たちの中には「来年からどうなるのだろう」という不安が広がっています。ホームヘルパーの事業所やデイサービスのスタッフの間では、「制度がどう変わるか、戦々恐々としている」という声まで聞かれます。自治体も7月28日の厚生労働省の全国介護保険担当課長会議を受けて、ようやく制度改定への対応に動き出したところが大半です。
今回の介護保険見直しの最大の焦点は、「要支援の保険外し」です。全国統一の介護保険給付から市町村事業(新総合事業)へ移行させるというものです。国は、「住民主体の支援」(ボランティアによる互助サービス)を推奨し、その成否が「地域包括ケアシステム構築」のカギを握っているかのよう説明まで行っています。
しかし、高齢者から高い介護保険料を取りながら、一方で「自助・自立」と「助け合いのボランティア」を押し付けるやり方に多くの国民は疑問を持っています。また、市町村当局も、現行の介護保険サービスの代替になるような「住民主体のボランティア」など多様なサービスが作り出せる展望がある訳ではありません。
2015年4月から改定介護保険の多くが施行されますが、「要支援外し・新総合事業」については、その実施時期も含めてサービスの種類、基準、方法や内容などほとんどが「市町村の裁量」とされました。国が、市町村に丸投げした要支援者のホームヘルプとデイサービスをどう守り、発展させることができるかは、その地域の住民と自治体にかかっています。
このブックレットは、新総合事業を中心に介護保険制度改悪の内容と問題点を解説するとともに、利用者とサービスを守るための課題についてまとめました。
 「わが街でできること」を考え、住民や介護関係者がともに行動することで、自治体を動かすことができます。介護保険の主人公は利用者と住民だからです。
「不安」「あきらめ」からは何も生まれません。「立ち向かう」ことが今求められています。このブックレットがその一助となることを願っています。

2014年9月7日 大阪社会保障推進協議会 介護保険対策委員 日下部雅喜 



今日の学習会が新たな運動の出発になるよう願うばかりである。

ブックレットはそのためにささやかなツールである。

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Category: 介護保険見直し
2014/09/23 Tue
「2015『改正』介護保険~要支援外し新総合事業に立ち向かう」が、完成・入荷しました。


目次です。

明日の大阪社保協「新総合事業ガイドライン学習会」で販売開始です。

7月28日に厚生労働省全国介護保険担当課長会議で、新総合事業ガイドライン案が示されてから、実質ひと月あまりで本にして世に出すことができました。
わずかな時間を見つけ睡眠時間を削って書きましたが、スピードが何よりも大切です。浅学非才で文章力も拙い私ですが、励まし、協力していただいたすべての皆様に感謝いたします。
未曾有の介護保険制度改悪は目前。このささやかな一冊が、地域で介護の未来を憂う多くの人びと、そして、介護現場で汗して働く皆さん、何よりも不安を感じている利用者・家族のみなさんに少しでも役にたてばと願っています。
Category: 介護保険見直し
2014/09/17 Wed
 9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


の⑪ 介護保険料軽減への一般財源投入 国制度は構わないが、市町村独自はダメという身勝手

今回の介護保険法改定で唯一「改善」というべきは、「低所得者の介護保険料軽減への公費投入」である。65歳以上の第1号介護保険料は、所得段階別
定額制だが、低所得者軽減分は他の高齢者の保険料で賄うという「相互扶助」が原則で、減免制度を含む保険料で軽減への公費投入は制度としてはなかった。そればかりか厚生労働省は、市町村が独自に一般財源を繰り入れることについても、「高齢者の助け合いを否定することになり、適切でない」と指導してきた。
それが、今回の改定では、低所得者(非課税世帯)の介護保険料を、最大で 現行5割軽減→7割軽減へと拡大し、その財源に公費投入を行うとした。
財源は消費税増税分であり、消費税引き上げに伴う低所得者対策という側面もあった。ただ、従来の国の「相互扶助主義」を部分的には転換させ、公費投入の穴を開けたことは評価できる。
そこで質問。
5 介護保険料
新法142条の規定により、低所得者保険料軽減の財源を公費(一般財源)で補てんする仕組みが新たに導入されたが、これを超える繰り入れを市町村が行うことについて法的な制約はあるか。また制裁措置等は想定しているか


厚生労働省(介護保険計画課)の回答は次のようなものであった。
回答) 今回の制度改正において、公費を投入して低所得者の保険料軽減を行うことになり、保険料軽減に要する費用を特別会計に繰り入れることにはなる。これは、消費税引き上げによる財源の確保を踏まえ、国、都道府県、市町村がそれぞれ負担を行うとするものである。このため、制度化された以外の保険料減免を行う場合は、被保険者間の公平性の確保、健全な介護保険財政の運営等、財政規律の保持の観点から、従前から申し上げているとおり、保険料減免分に対する一般財源の投入については、適当ではないと考えるため、引き続き、いわゆる「3原則」の遵守に関し、各保険者において適切に対応していただきたいと考えている。ただし、ご質問の「法的な制約」や「制裁措置」があるものではない。


法的制約もなく制裁措置もないが、国制度以上のことは不適切という、究極の地方自治否定、中央官庁集権主義の典型のような回答である。

少し角度を変えて質問。
質問)7月28日の会議資料は、保険料の単独減免についてのものであった、第6期介護保険料の基準額そのものについては述べていないが、この点はどうか

厚労省回答
答)単独減免に限らず、一般財源を投入することによって保険料を軽減するのは、同じように望ましくないと考えている。制度そのものでは想定していない。

まことに勝手な回答を繰り返す。国民健康保険では一般会計繰り入れは常態化しており、厚労省も認めている。そこで質問。
質問)改正介護保険法142条は国保法と全く同じつくりになっている。国保では一般財源のからの繰り入れが広く行われているのに介護保険だけ認めないというのはおおかしい。厚労省としてどう整理しているのか。

厚労省は、半ば感情的になって次のような回答。
答)国保にはそのような実態はあるが、介護はそのようにするつもりはない。あくまで介護保険は公費半分で給付と負担の明確化として始まった制度なのでそこを崩すつもりはまったくない。

法律がどうであろうが、国保がどうであろうが、地方自治がどうであろうが、「つもりはない」のひとこと。頑なな厚労省である。この石頭は地方自治の力で打ち破る敷かない。
法的な制約や制裁措置があるものではないことは認めているのであるから、要は力である。

(おわり)
 
Category: 介護保険見直し
2014/09/16 Tue
 9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その⑩ 総合事業の事業費 「上限管理」
 新総合事業は地域支援事業の一部であり、これには事業費に「上限額」が設定されている。 これまで地域支援事業費は、介護給付費の「3%以内」とされていた。ガイドライン案では、「介護予防訪問介護等の移行分をまかなえるよう地域支援事業の上限を見直す」としている。しかし、総合事業の上限については、その市町村の「75歳以上高齢者数の伸び以下」の増加率しか認めないとしている。
 予防給付では、毎年5~6%の自然増予測がなされていたが、後期高齢者の伸び(3~4%)以下に抑え込まれ、市町村は、現行相当サービスから、より費用の低い「緩和基準」のサービスA、さらに安上がりな「住民主体」のサービスBへと利用者を移行させていくことになる。
 もし、事業実施後「結果として上限を超えた場合」どうなるか。ガイドライン案では「一定の特殊事情を勘案して認める」としながら、「多様なサービスへの移行促進を図る等費用の効率化に向け政策努力したが、結果として上限以上となった場合で、その後住民主体の取組等が確実に促進され費用の伸びが低減していく見込みである場合」を一例にあげている。
 まさに、上限管理で、市町村を追い込み、指定事業者サービスから「住民主体サービス」への移行を強要する仕組みである。

 この点について、厚生労働省への質問。
(7)上限管理について
 市町村の総合事業が「上限」を超え、厚労省が「認める」特殊事情にも該当しないとされた場合の財政負担は最終的にどうなるのか。また、その場合、何らかの制裁措置はあるのか


厚生労働省の回答。
 回答)地域支援事業は、市町村の実情に応じた取り組み可能であるが、現行の上限額は介護給付費見込み額の3%、さらに事業ごとで「介護予防事業」、「包括的支援事業・任意事業」それぞれ給付見込み額の2%を上限とされている。現行でも上限を超えた場合は一般会計か1号被保険者保険料を財源として事業を行うとしている。
 今後、どうなるかという質問だが、上限額はガイドライン案122頁に計算式を示している。
総合事業の上限
=【①当該市町村の事業開始の前年度の(予防給付(介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防支援)+介護予防事業)の総額】  × 【②当該市町村の75歳以上高齢者の伸び】
 これを超えた場合、一律に、市町村の持ち出しか、といえば、個別の事情で対応する。事前の判断で上限を超える場合は、一定の事情を勘案して認める。事後についても一定の事情を勘案して認める。とくに施行時は、少し緩やかな範囲で不測の事態に対応する。


 やりとりの中では、「上限管理」を強調しながらも「個別判断する 」 「 施行時は緩やかに対応したい」とあいまいな返答に終始した。

 こちらから改めて質問。
限度額を超えた場合、一般財源から繰り入れることは可能か

これについて、厚生労働省は、第1号保険料を財源とした事業で対応と合わせ、
過去のQAにもあるように一般財源で対応することは可能である。
と回答した。

 いずれにしても、「上限額」を超過した場合は市町村の責任、という態度である。

(つづく)
Category: 介護保険見直し
2014/09/14 Sun
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その⑨ 総合事業の利用手続き 市町村窓口での要介護認定申請の「水際作戦」の危険はないのか

 ガイドライン案は、総合事業を導入することによって、要介護者・要支援者の介護保険利用の「入口」である市町村窓口での相談のあり方を大きく変えようとしている。
 これまで、市町村窓口では、高齢者や家族から相談があった場合は、要介護認定を受ければ介護保険サービスが利用できることを説明し、認定申請を受け付けてきた。ガイドライン案では、窓口担当者は、サービス事業などについて説明した上で、「明らかに要介護認定が必要な場合」は、要介護認定等の申請の手続につなぐが、そうでない場合は、「総合事業によるサービスのみ利用する場合は、要介護認定等を省略して基本チェックリストを用いて事業対象者とし、迅速なサービスの利用が可能」と説明し、誘導するよう図示している。さらに、基本チェックリストを活用し「利用者本人の状況やサービス利用の意向を聞き取った上で、振り分けを判断する」としている。そして、その窓口担当者は「専門職でなくてもよい」としている。


専門職でない窓口職員が、介護保険利用希望者の要介護認定申請を封じ込めたまま、総合事業へ誘導し、介護保険サービスを使わせないという事態が引き起こされる危険性がある。
 私は、市町村窓口での非専門職による「基本チェックリスト」「振り分け」については、実施せず、これまで通り要介護認定申請を受け付けた上で、総合事業利用希望者は地域包括支援センターへつなぎ、基本チェックリストは地域包括支援センターの専門職が行う、という対応私案を示してきた。

 そこで、厚生労働省への事前質問
(3)利用手続きについて
 市町村窓口において、非専門職が「基本チェックリスト」を実施し、「判断」「振り分け」を行うことは不適切として、市町村窓口で基本チェックリストを一切取り扱わず、現行どおり要介護認定受付を行い、基本チェックリストは地域包括支援センターで一元的に行うことは差し支えないか


これに対し、厚労省の回答は、市町村窓口での基本チェックリスト実施にこだわるものであった。
回答)ガイドライン55頁に記載しているとおり。 チェックリスト を 市町村でやらなくていいかという質問だが、市町村窓口でちょっとした困りごとの相談の場合は、 その場でのチェックリストで対応可能であるし、総合事業を利用しながら要介護認定申請も可能である。厚労省としては、窓口でチェックリストをやらないというのはサービス利用者の利便を損なうので市町村窓口でもやっていただきたいと思う。

 そういう問題ではない。「利便」というが、総合事業サービスは、チェックリストだけでは利用できない。その後地域包括支援センターへ回され、介護予防マネジメントに同意し、ケアマネジメント依頼書を市町村に提出しないと利用できない。市町村窓口では、さっさと、要支援認定申請を受け付け、直ちに地域包括支援センターに回せば、そこで基本チェックリストも予防マネジメント説明も一度にできるではないか。
 
 厚労省の狙いは、市町村窓口での「振り分け」の実施にある。
 厚労省のガイドライン案でも

① 相 談
  ↓---------------------------↓-----------------↓    
② 基本チェックリスト/(明らかに)要介護認定等申請/(明らかに)一般介護予防


となっており、相談を受けた市町村窓口職員(非専門職)が、振り分けを行うことになっている。また、「基本チェックリストは、従来のような二次予防事業対象者の把握のためという活用方法ではなく、相談窓口において、必ずしも認定を受けなくても、必要なサービスを事業で利用できるよう本人の状況を確認するツールとして用いる。」とも明記されている。
 圧倒的な相談者は、市町村窓口に相談した段階で、「振り分け」対象になってしまう。
  
 そこで改めて質問。
「市町村窓口で実施」とあったが、法令で、実施場所まで国が縛ることができるのか

 厚労省の回答は
 チェックリストの実施方法は、告示で定めることを考えている。その中で「市町村が行うチェックリスト」というような表記になった場合は、市町村窓口でチェックリスト実施ということになる。

 市町村が行うにしても、市町村窓口職員が直接実施する方法のほか、市町村から委託を受けた地域包括支援センターが実施する方法もあるはずである。
 この点を厚生労働省にさらに突っ込むと
チェックリスト実施については、自治体から多数の質問がきている。チェックリストと要介護認定申請の関係など、整理して行きたい
 
 ときわめてあいまいな回答であった。

 また、非専門職が振り分けを行う問題について、レクチャー参加者からの質問。
質問)基本チェックリストは、客観的な物差しなので専門職でなくても判断できるというような説明があったが、具体的な基準などを示されるのか
厚労省の回答は
答)基本チェックリストは、内容、判断基準も含めて現行と全く同じである。ガイドラインには、その運用についても留意事項を記載している。
と、あっさりしたものであった。

 現実問題として、市町村窓口で、そのような「振り分け」に至るまで突っ込んだ面談ができるような職員は限られている。また、介護について知識を持たない職員や、非正規職員も窓口に多く配置されている中で、現実の問題として十分な相談体制をつくることは困難となっている。これまでも、介護の具体的な相談は「何でもケアマネへ」「何でも地域包括へ」と振ってきたの市町村窓口である。
 これを一転、「基本チェックリストで振り分けを」というのは、きわめて危険である。

(つづく)

Category: 介護保険見直し
2014/09/13 Sat
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その⑧ 総合事業のケアマネジメント A・B・Cの3ランク
 
 これまで、要支援者のケアマネジメントは、地域包括支援センター(指定介護予防事業所)が実施し、居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)にも一部委託してきた。
 新総合事業が実施されると、訪問看護など予防給付に残ったサービスを利用せず、総合事業サービスのみ利用する要支援者等は、総合事業のケアマネジメントの対象になる。
 厚生労働省の新総合事業ガイドライン案は、ケアマネジメントについて、「サービスの多様化」に対応して ①原則的なプロセス(ケアマネジメントA)、②簡略化したプロセス(ケアマネジメントB)、③初回のみのプロセス(ケアマネジメントC)の3ランクに分けた。
 訪問・通所サービスは、現行相当、A型、B型、C型と分けられ、さらにケアマネジメントもA・B・Cと、ややこしいことこの上ない。「サービスA=ケアマネジメントA」ではない。
 荒っぽく言うと
  現行相当サービス及びサービスA(指定事業者)とサービスC ⇒ ケアマネジメントA(原則的プロセス)
  サービスA(委託方式)                        ⇒ ケアマネジメントB(簡略化プロセス)
  サービスB(住民ボランティア等への補助方式)          ⇒ ケアマネジメントC(初回のみ)
 という対応関係と読み取れる。しかも、ケアマネジメントの事業単価もそれぞれ異なる。

 そこで、事前質問
(2)ケアマネジメントについて
 ①介護予防ケアマネジメントについて、ケアマネジメントB(簡略化型)の単価について、具体的にどのような額を想定しているか


厚生労働省の回答は丁寧に説明してくれた。
 回答)ケアメネジメントもサービスの多様化の濃淡に応じてA~Cに分類した(ガイドライン案66頁)。現行相当サービスは現行と同じような「ケアマネジメントA」。サービスB型利用(住民主体の支援)につなげていく場合は、初回のみでモニタリングは行わない「ケアマネジメントC」で対応する。これはある程度自己管理できる方を想定している。
 サービス A型またはサービスB型を利用して、ケアマネジメントCまで簡素化できない多様なサービスについては、一定簡素化した「ケアマネジメントB」で対応と考えている。
総合事業の対象者は、現行の要支援者であるので、すべて地域包括支援センターがケアマネジメントを担当する。一定の範囲で居宅介護支援事業者に委託できるが、できるだけ、予防促進のため、地域包括支援センターが関与することが望ましいと考えている。
質問については、「ケアマネジメントB」は、ガイドライン72頁記載のとおり基本報酬からサービス担当者会議分とモニタリング分を差し引くとあるが、それが具体的にいくらになるかは、7月28日の課長会議では、適宜市町村が設定していただくという考え方をお示しした。


 ケアマネジメントBというのは、サービス担当者会議を省略したケアプランの作成と、モニタリングは3ヶ月以上の間隔をあけるという簡略化したケアマネジメントである。この「手抜き」ケアマネジメントは、指定事業者以外の主体が市町村からの委託を受ける「サービスA」(緩和基準サービス)と、「サービスB」(住民ボランティア)など補助による事業に対応したものである。毎月の給付管理がなく、ケアマネジメントに対する「報酬」は基本報酬からサービス担当者会議とモニタリングの分を差し引いた金額になるとされたが、この厚労省の回答は、いくら差し引くかは「市町村判断」ということになる。
 そんないい加減なことで、すまないと思うので、多分、今後「差引額」も目安を示すことになるとは思うが、この場では厚労省担当者(振興課)は一切言わなかった。

 ガイドライン案は、表がたくさんあって、しかも微妙に食い違いがあり、分かりにくいので、私の方で、多少乱暴になるが、総合事業の訪問・通所サービス類型とケアマネジメントについて、一つの表にまとめ、事前質問とともに、厚労省に見てもらい、「こういう整理でよいか」と質問してみた。
②訪問型サービス等内容ごとに対応するケアマネジメントは下表のようなものと考えてよいか
訪問型サービス通所型サービスの内容ごとの実施方法


厚労省の回答は次のようなものだった。
回答)概ねこの整理で構わないと考える。補足をさせていただく。
①A型 無資格者可 ではあるが、一定の研修を受けていただくということを 補足させていただく。
②ケアマネジメントBの欄はサービス担当者会議も適宜省略して構わないということである。
③ケアマネジメントCだが、モニタリングは基本的にないが、状態の変化を見逃さない仕組みを一緒にやっていただきたい。突然の利用中止で連絡が取れないなどの場合は地域包括支援センターに連絡をとる態勢を作っていただきたい。そうした取り組みとセットでケアマネジメントCをやっていただくということである。


 概略的に言えば、私の整理した表のとおりだと言う。 補足説明も厚労省の「心配」がにじみ出ている。
 厚労省は「無資格者」という表現は、「一定の研修受講者」とどうしても言い替えたいらしい。
 また、ケアマネジメントCについては、いかにも言い訳がましい。
 ケアマネジメントCなどというが、プランは作成しない。アセスメントを実施し、ケアマネジメントの結果(「本人の生活の目標」「維持・改善すべき課題」「その課題の解決への具体的対策」等を記載」)を利用者に説明し、理解してもらった上で、住民主体の支援等につなげるというものだ。ケアプランもなし、その後のモニタリングも行わず放置するもので、おおよそケアマネジメントなどと呼べる代物ではない。これを、「状態の変化を見逃さない仕組みを作ってモニタリングの代わりにしてほしい」というのである。住民ボランティアにそこまで求めるか!と言いたくなる。

(つづく)

Category: 介護保険見直し
2014/09/12 Fri
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その⑦ 訪問型サービス・通所型サービスの事業単価と利用者負担  単価は現行以下、利用者負担は現行以上?

 予防給付から、総合事業に移行すると、介護報酬の替わりに「事業支給費」というものが事業者に市町村介護保険会計から支払われる(指定事業者については、審査支払は国保連に委託できる)。その事業費単価は、市町村が定めることになる。現行と同じ人件費をかけて、現行基準相当サービスを事業者が提供したとする、市町村が今より高い単価を設定することは可能か。市町村裁量というなら可能なはずではないか。
 そこで、事前質問では、あえてこうきいてみた。
(4)事業単価について
①現行基準相当サービスの事業支給費単価について、市町村が独自に現行より高い単価を設定することは法的に制約があるか


 市町村裁量ををどこまで認めるか。しかし、厚生労働省の回答は次のとおり。
回答)今後、省令・告示に現行相当サービスについては現行予防給付の単価とするように位置付ける予定であるので、法令に抵触するという関係になると考えている。
 省令・告示で現行予防給付単価を設定するから、それを上回る単価設定を市町村が決めるのは、告示・省令に抵触するからダメという返答である。それ以下は構わないという。
 まことに身勝手な「市町村」任せではないか。、

 住民ボランティアによる、サービスは、「有償」であっても、経費は安上がりである。これにもし、補助されるならば、かなり安いサービスが可能となる。
 そこで事前質問を投げかけた。 
②住民主体サービスについて、「運営費のための事業経費を補助」とあるが、従事者(サービス提供者)の人件費等は含むと想定しているか

 厚生労働省の回答は
回答)団体の自主的活動を損なわない程度の補助を考えている。ボランティアの人件費は団体の年会費や一回あたりの利用料で賄っていただく。間接的な経費(直接ボランティアの経費でなく調整役の人件費等)を補助することを想定している。 
 ボランティアに対する謝礼などは、補助の対象にならないというのである。


 視点を変えて、現行サービス相当の利用者負担はどうなるのか。
 事前質問。
(5)利用者負担について
 ①現行基準相当サービスの利用者負担について、市町村の判断により、1割負担とせず、負担割合を引き下げて設定することは法的に制約があるか


厚生労働省回答
回答)今後、省令・告示に現行相当サービスについては「1割負担、一定の所得者は2割負担」とするように位置付ける予定であるので、法令に抵触するという関係になると考えている。
 ここでも現行相当サービスは、国が告示・省令の定める1割負担以下はダメというのである。

 住民主体サービスの有償ボランティアの利用料はどうなるのか。もし現行サービスと同じように9割給付なら利用者負担は1割になる。1時間1000円の有償ボランティアに9割給付してくれれば、利用者負担は100円。
 あえて聞いてみた事前質問。
②住民主体サービスの利用者負担について、有償ボランティアによるサービス利用の場合も「有償額」の1割負担とし、9割を市町村が負担する方式を行っても差支えはないか

 厚生労働省の回答
回答)基本的にサービスB型については、団体の年会費や一回あたりの利用者負担を基本としているので、一律に1割負担とすることは考えていない。1割負担とするサービスは、現行基準相当サービスとA型サービスのみを想定している。
 
  さきのボランティアには補助しないということと同一だが、有償ボランティアに対する利用者の負担や会費は全く補助がなく、利用者は10割負担ということである。

(つづく)
Category: 介護保険見直し
2014/09/11 Thu
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その⑥ 送迎なき通所型サービスBと移送サービス(訪問型サービスD)

厚生労働省の7月28日全国介護保険担当課長会議で、新総合事業ガイドライン案とともに示されたには、「訪問型サービスD」なるものがあり、移送支援の内容となっている。ただ、「訪問型サービスBに準じる」とされており、これも「住民主体の支援」=ボランティアである。
よくわからないので、次の事前質問を出しておいた。
④訪問型サービスDについて
・「介護予防・生活支援サービスと一体的に行われる移動支援や移送前後の生活支援」とされているが、移送支援のみ単独で利用することは想定しているか
・基準等は「訪問型サービスBに準じる」とされているが、「住民主体サービス」で車両の運行なども含めたサービスを想定しているのか


厚生労働省の回答は以下のとおり。
回答) 車両の運行、移送本体は現行の福祉有償運送を使っていただき、移送前後の支援を想定している。例えばデイサービスについては送迎がセットだが、今後の多様なサービスの「通いの場」は基本的には歩ける範囲での通いを想定している。しかし、中には歩くことを支援する必要がある方もいるので、そうした方の送迎の移動支援や、現行の通院等乗降介助を単品で利用したいというニーズをこちらで対応するというイメージである。

車両運行そのものはNPO等が、「福祉有償運送」として運輸局に登録して、実費で行い、移送前後の「支援」をボランティアが行う、ということであろうか。要介護者対象の「通院等乗降介助」に限りなく近い。違うのは、担い手が、ボランティアであるということ。私の質問は、ボランティアに車両運行をさせるサービスをさせるのか、という点にあったが、この点は現行の福祉有償運送の手続きでクリアということのようである。
これは、通所型サービスの送迎にも対応するとの回答であったが、その通所型サービスの送迎についての当方の事前質問。

⑤通所型サービスA及びBについては、送迎についてはどのように位置付けているか


現行の通所介護(デイサービス)よりも、大幅に基準緩和される「通所型サービスA」、住民ボランティアによる「通所型サービスB」の通所手段についての厚生労働省の回答は以下のとおり。
回答)歩いて通える地域での実施を想定しているが、送迎が必要な方は訪問型サービスDを合わせて活用していただくになる。

多様な「通いの場」は、 基本的に歩いていける範囲に整備されるということのようである。しかし、要支援2の方などは、全く外出が一人でできない人も多い。そこで、むつかしい場合は訪問型サービD(ボランティアによる移動支援サービス)で対応というのである。
しかし、通所型サービスと移動支援サービス(訪問型サービスD)が同じ主体でない場合、連携がややこしい上に、それぞれに利用料(実費負担)がかかる。さらに車両を使えば福祉有償の費用もかかる。現行の送迎一体のデイサービスとは大違いである。
厚生労働省は、要支援者が「自力で
歩いて通える」ような近隣に多数の通いの場」ができると想定しているのだろうか。自力で歩いていけない利用者が移動支援の費用、福祉有償運送の費用も負担して毎週通ってくると考えているのであろうか。
彼ら厚生労働省の担当者たちの頭の中に描いている、住民主体の多様な助け合いが「花開く」地域社会の光景はおめでたい限りであある。
(つづく)
Category: 介護保険見直し
2014/09/10 Wed
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。



その⑤ 訪問型サービスの内容 短時間サーヒス
、無資格者への研修


厚労省が7月28日に示した新総合事業のガイドライン案には、訪問型サービスにこれまでなかったタイプが盛り込まれている。別表に出てくる「短時間サービス」がそれである。よくわからないので、事前質問では以下のように問いかけた。
②訪問型サービスの「短時間サービス」については、現行の指定事業者による20分以下のサービスを想定しているのか

厚労省の回答は、
回答)短時間サービスの類型は、現行の指定事業者を担い手とするサービスを想定している。予防給付の訪問介護・通所介護は現行は月単位の包括報酬になっている。総合事業では同じように月単位も可能だが、一回いくらという報酬設定を市町村がしても構わないとガイドラインには書いた。短時間のサービスも可能ということ類型化でお示しした。これも必ずしもなければいけないということではない。

まあ、これは、現行の指定事業者のサービスで、新たに「短時間」サービスも類型化して導入するという趣旨らしい。
しかし、月単位の包括報酬設定の中にこの短時間サーヒスが含まれるのか、それとも、出来高報酬を設定しないと短時間サーヒスはできないのか、やり取りの中でも釈然としなかった。ただ、厚労省は、「現行相当の訪問型サービスを月単位とするか出来高方式とするかは、市町村単位でどちらか決めて欲しい」とは言っていた。厚労省の表の書きぶりからすると、短時間サーヒスはどう見ても月単位でなく一回いくらという出来高報酬であろう。

無資格者の「一定の研修」とは
緩和基準サーヒスと住民主体サービスは、ヘルパー資格を持たない無資格者によって訪問サービスが提供できる。厚労省は、「一定の研修」を前提とする、としているが、果たしてどの程度の研修か。

当方の事前質問。
③訪問型サービスA及びBの「一定の研修受講者」とあるが、どの程度の研修を想定しているのか

厚労省の回答は
回答)訪問 B型は、生活上の困りごとを住民の支え合いの担い手になっていただくための研修である。ガイドラインの36ページが参考例を示している。A型は、ガイドライン103ページに「一定の研修受講者」と記載しているが、多数質問が寄せられているので今後文書でお示しする予定。身体介護を基本的に含まず、調理や掃除、買物代行等の生活援助サービスを行うことになっているので、サービスを提供する上での基本的理解や高齢者の理解などの一定の研修を考えている。
イメージとしては、住民の支え合いの研修プラス旧訪問介護員研修3級課程(50時間程度)を目安とする研修を各事業者が職員向け研修として行っていただくことを検討している。


サービスB=住民主体(ボランティア)は、各地の自治体が実施している一日か二日程度の研修だけである。
サービスA=基準緩和サービスの方はそれに、今は廃止されたヘルパー3級課程を加えるという。50時間程度の研修ということか。しかし、「事業者が職員向け研修」として行う、というのがポイントである。無資格者を雇ったら、自前で研修せよ、ということである。
やり取りの中では、自治体からも多く質問があるので、近く厚労省として考え方を示したいとのことであった。

身体介護含まないことを想定しているので、生活援助を提供するのに必要な一定の研修受講 プラス旧の3級ヘルパーを参考に示したい


(つづく)
Category: 介護保険見直し
2014/09/09 Tue
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。



その④ 新総合事業のサービス類型 指定事業者の「基準緩和サービス」は設けなくても可

 改定介護保険の最大の「目玉」=要支援の訪問介護・通所介護の保険外しと「新総合事業」。中でも、新たな通所型サービス、訪問型サービスは、何が何だか分からないという声をよく聞く。

 厚生労働省が7月28日に示したガイドライン案では、予防給付の訪問介護(ホームヘルプサービス)と通所介護(デイサービス)の移行先となる「訪問型サービス」「通所型サービス」について4タイプに分け、その提供主体と実施方法を示した。
①現行の訪問介護等に相当するサービス 【指定事業者】
②緩和した基準(訪問型・通所型サービスA) 【指定事業者または委託】
③ボランティアなど(訪問型・通所型サービスB) 【補助】
④保健師などによる従来の2次予防事業相当(サービスC)【直営または委託】
 
「現行基準相当サービス」は、指定事業者による、事実上のサービス継続であるが、もうひとつ「緩和した基準によるサービス」なるものがある。(訪問サービスA、通所サービスA)

 これは大問題である。 この「緩和した基準によるサービス」(サービスA)が、専門性を問わない「無資格者」を大量に雇用(登録)することを奨励していることである。「訪問サービス」では、「一定の研修」さえ受ければ、ヘルパー資格なしで訪問サービスができ、「訪問事業責任者」も無資格者でも可でとされている。「通所サービスA」にいたっては、看護職員も生活相談員も機能訓練指導員もおく必要がなく、単に「従事者」(資格不問)が「利用者15人に1人」とされているのみである。この「サービスA」は、ホームヘルプ・デイサービスに「無基準」・「無資格者」によるサービスを混入することによって、専門性を薄め、掘り崩していくことになる。

そこで、当方の事前質問

4 総合事業
(1)サービスの類型について
①サービス類型については市町村が基準を定めることになっているが、「緩和した基準によるサービス」については、指定事業者の中に混乱を招く恐れがあるとして、まったく設けずに「現行基準相当サービス」のみの指定とすることはできるか


厚労省の回答は、次のとおり。
回答)①現行相当サービスは、経過措置によるみなし指定はにより、総合事業実施後もこれまでと同じように実施できる。②訪問型サービスA、通所型サービスAは、事業者指定によることができるほか、委託事業としても実施できることを考えている。③訪問型サービスBと⑤訪問型サービスDは、住民団体の自主的活動を損なわない程度の一定の補助により実施することを想定している。
今回のサービスの類型として、示している類型は典型例であり、すべて設けなければいけないということではない。したがって、「②緩和した基準サービス」だけを設けない、ということは制度的には可能である。
ただし、予防給付の見直しは、多様なニーズに応えるサービスの創出や元気な高齢者の社会参加促進という支え手に回っていう目的もあるので、出来るだけ多様な類型を多く設定していただきたいと考えている。経過措置期間を活用しながら事業設計していただきたい。


質疑のなかで、さらに念押しで聞いた。
質問)質問の趣旨は、多様なサービス全体のことでなく、指定事業者について②の「緩和基準サービス」を設けないことは制度的に可能か、ということである。この点はどうか。

厚労省は、あっさりと、
答)制度的には可能である。ただし、多様な担い手を増やすという意味では意味があると考えている。雇用かボランティアでいくかという選択肢だと思う。

さらにしつこく質問。
質問)現行相当サービスは、制度実施時は「みなし指定」となるが、基準緩和のサービスAは、市町村がその基準を作って指定しないと実施できない。そして、市町村の判断で実施しない場合もありうる、こういう理解で良いか。

答)そのとおりである。

(つづく)
Category: 介護保険見直し
2014/09/08 Mon
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。



その③ 特別養護老人ホーム 要介護1,2の特例入所 市町村関与はバラバラ?

 介護保険法改悪によって、2015年4月以降は、原則として特別養護老人ホームは「要介護3」以上でないと入所できなくなる。
 しかし、要介護1.2でも「特例入所」がある。
 7月の全国介護保険担当課長会議では、要介護1、2の人については「やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の関与の下、特例的に、入所を認める」とした。
 その例として①知的障害・精神障害等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難②家族等による虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠③認知症高齢者であり、常時の適切な見守り・介護が必要 をあげ、「詳細については今後検討」としている。
 厚労省は、「市町村の関与」の具体的方法について、施設が要介護1,2の入所申込者を市町村に報告し、市町村はそれに対し「意見を表明」するとしてる。市町村が入所申込者(待機者)の具体的な状況を把握していない限り、的確な「意見表明」はできない。

 そこで当方が出した事前質問

3 特別養護老人ホームの重点化について
 「市町村の意見書」の内容はどのような記載内容を想定しているのか



回答) 今回の法改正によって27年4月から、原則 要介護3以上で特別養護老人ホーム入所対象者は線引きさせていただくが、要介護1、2でも止むを得ない事情等がある場合は、市町村の関与の下に特例入所が認められることになった。ただ、措置でなく契約なので止むを得ない事情も含めて入所は施設の判断になる。公平性を確保するために市町村の関与が必要になる。7月の全国介護保険担当課長会議では、その関与の一例として市町村が意見書を提出する方法を示した。市町村の職員が施設の入所検討委員会に出席して意見を述べることも可である。意見書以外の連絡ツールに載せて行くことも可能と考えている。具体的な形をどうするかは、これから関係者の方と引き続き検討していくことにしているので、意見書の内容をどうするかは、詰まっていない。

と、はなはだ中途半端な回答である。
こちらが、聞きたいのは、どんな意見書の様式かということでない。市町村が意見を述べようと思えば、特養入所申込者の状況を把握していなければならない。しかし、現状では、特養入所は、個人で申込み、契約するしくみのため、市町村はその実状さえ把握しない。「自己責任」化している。
厚労省の今年3月の公表でも特養入所申込者は52万人。そのうち要介護1、2は、17万8000人で、34%を占める。
市町村が特養入所申込者の状況を責任持って把握すること。そして、特養の整備を含めた放置しない対応が求められる。

やりとりの末の厚労省回答は次のようなものであった。
回答)回答)市町村がしっかり判断すべき という意見もあるが、施設が判断するという作り付けなので 入所指針を改正して、実施していただくことになるが、制度的にはバラバラになる可能性があると思っている。 技術的助言として勘案事項は示すが 省令になるか ガイドライン になるかはわからない。

52万人もの入所待機者を放置しておきながら、市町村で「バラバラ」な対応になるとは、お気楽なものである。

(つづく)






Category: 介護保険見直し
2014/09/03 Wed
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。



その② 「補足給付」の預貯金等調査 利用者を悪人扱い 「抑止力論」の発想

 これまで、低所得(非課税世帯)というだけが、給付の要件であった介護保険施設利用者の食費・部屋代補助(補足給付)について、「資産等」が追加された。具体的には預貯金等が1000万円以上の場合は、対象外とされる。
ところが、行政が預貯金等の額を一元的に把握できる仕組みがないことから、申請にあたって預貯金等額の「申告」をさせ、「預貯金等通帳の写し」の添付なども求める。不正申告を防止するためとして、偽りの場合は「最大200%」の加算金まで法律に盛り込んだ。
そして、市町村には預貯金等調査のための「金融機関等への照会」事務が生じる。
私が事前に厚労省に出していた質問事項
2 補足給付の見直しについて
金融機関への預貯金の照会は「必要に応じ」としているがどの程度を想定しているか。市町村が必要なしと判断すればまったく実施しなくても差し支えないか


厚労省資料にもサンプル調査と記載している


厚労省介護保険計画課の回答は次のようなもの。
回答)金融機関等の預貯金照会は全件行うことは想定していない。サンプル調査、不正受給が疑われる場合など申請内容の真偽を確認したいような場合に行うことを想定している。また、サンプル調査の基準等を明らかにした場合、「抑止力」としての効果が失われることがあったり、保険者によって数が異なることもあるので、一律に基準を示すことは考えていない。各保険者において必要となる数を実施していただくことになると考えている。

そこで、さらに質問してみた。
質問)そこの市町村が、全件預貯金等調査は必要ない、と判断した場合には、1件の調査もしなくても可能か

厚労省は、
答)そういう判断をされたのであれば可能である。自治体としてどう考えるか、という問題である。しかし、その自治体が「調査しない」というようなことを公言してしまった場合、申請者にとっては「調査しないのだったら正確に申告しなくてもよい」となってしまい、抑止力に問題が生じる。金融機関調査は、調査をする、ということによって、正確な申告を促すという抑止力があることを考えて欲しい。

ここでも、「抑止力」を繰り返す。こちらが心配しているのは、「律儀」な市町村が、あえてしなくてもよい「全件金融機関調査」をしたり、その結果が出てからでないと補足給付を決定しないような事態である。急なショートステイ利用が経済的にできないなどの事態も発生しかねない。

厚労省は、全件金融機関調査については
「それをすることが何か問題ですか」
という返答であった。
まさに、施設利用者は、「虚偽申告」をするかもしれないから、「金融機関調査を全件やるぞ」「もし不正があったら2倍の加算金をとるぞ」と脅しつけないと「抑止力」が働かない、という発想であろう。

厚労省の担当者が発した「補足給付は、本来は全額自己負担の食費・居住費を、経過措置的に給付している福祉的なもの。生活保護が厳しく調査しているのに、こちらだけ何もしないのでは不公平」という発言がすべてを物語っている。

この補足給付問題は、非課税の低所得者が対象だが、「福祉的措置」という理由で、「世帯分離しても配偶者がかぜいだったら対象外」とか「段階決定にあたっては、非課税年金も算入する」など、極めて厳しい要件を追加した。検討課題となっているが「自宅保有」も将来は、要件に追加したされる可能性がある。
このような極悪な制度改悪を企画した連中の本音が聞こえるようなやり取りであった。

(つづく)



Category: 介護保険見直し
2014/09/02 Tue
 9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その① 2割負担の根拠語らず、詭弁と開き直り

1. 「一定以上所得者の利用者負担の見直し」について
(1)利用者負担を2割にする基準を「合計所得金額160万円以上」とすることについて、「平均的な年金額と比較して100万円収入が多い」「一般的には一定の預貯金等を保有すると考えられる」等を理由に負担可能と説明されている(7月28日全国介護保険担当課長会議資料140頁)。
①無職夫婦高齢者世帯の収入と支出の状況(同資料141頁)から見ても、すべての収入階層の世帯は、「収入不足」であり、預貯金の取崩し等で補てんしないと生活できない状態であるが、このことをどう説明されるのか。

回答)介護保険計画課
年金収入359万円の世帯が、消費支出257万円の水準の生活をする場合には、預貯金等の取り崩しをせずに、介護の費用を賄うことは可能である。介護保険の世帯ごとの上限額56万円を負担したとしても預貯金等の取り崩しをしないで負担することは可能と考えている。仮に年金収入359万円世帯がこの収入水準に対応した消費支出を行っている場合には、56万円の介護費用負担をするためには預貯金等の取り崩しを行う必要がある。しかし、収入の高い世帯は通常、教養娯楽その他の支出も多く、要介護状態になった場合は支出の内容に変化が生じ、介護等の自己負担も可能になると考えている。


これは、今年5月までの厚労省説明を都合よく「修正」したものである。参議院厚生労働委員会で、「モデル世帯」の可処分所得と比較した「消費支出」が、実は、モデル世帯よりも100万円あまりも収入の低い所得階層のものであることが、総務省家計調査データから暴露され、「データのごまかし」と批判され、厚労大臣は、資料を撤回した。
今回の厚労省説明は、要するに「切り詰め」「やりくり」をし、預貯金等を
取り崩せば、「2割負担に耐えられる」
というものである。

質疑応答で、
質問;支出の低い世帯の水準に消費支出を切り詰め、教養娯楽費などを削れば払える、ということか
答)まあ、そういうことになる。
としゃあしゃあと回答している。

ただ、批判の声の前に、若干の「配慮」も見せた。

厚労省説明) 今回、世帯を勘案して配慮するという規定を検討している。個人の所得で160万円以上の人は2割負担となるが、年金収入以外の収入の場合、実質的な所得が200万円に見たないケースがある。また、夫婦の場合、配偶者の年金が低くて世帯としての負担能力の低いケースがあること 世帯の1号被保険者の年金収入とその他の合計所得の合計が単身280万円、その他の世帯は、346万円未満の場合には1割負担に戻すことを検討している。(介護保険計画課8月27日事務連絡)

すかさず、今後のたたかい次第で、厚労省は、さらなる譲歩をする腹があるのかと質問してみた。

質問)来年8月の実施までに、さらに「配慮」は出てくるのか

残念ながら、厚労省は、
答)政令で決まるまでは検討段階なので、何とも言えない
さらなる譲歩があるのかは語らず。

さらに、今回、「預貯金等を保有」
が負担可能の根拠にされたので、
こう質問してみた。
質問)今回始めて負担可能の根拠に
「一定の預貯金等を保有すると考えられる」と説明しているが、この所得階層の預貯金等を調査したのか

厚労省は
答)調査はしていないので、あくまで「保有すると考えられる」ということである。預貯金等の額は根拠はとくにない。

と、お気楽かつ無責任に、預貯金等はあるはずだ、と決めつけている。

さらに、事前質問

②政令で基準を定めるにあたっての実態調査実施について、本年4月のレクチャー時には、「統計調査での高齢者の平均的消費支出との比較で基準収入は余裕があるという数字が出ている」との理由で、調査は予定していないと回答されたが、この点は今も変わりはないか。

回答)前回のレクチャーのときと変わりない。

国会であれだけ叩かれ、参議院では付帯決議まであるのに、まったく無視である。

(つづく)


Category: 介護保険見直し

プロフィール

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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