2011/02/12 Sat
2012年度介護報酬改定を議論する「社会保障審議会介護給付費分科会」の検討がスタートした。

 昨日の「2・11介護シンポジウム」で、同分科会の委員である勝田登志子さん(認知症の人と家族の会)も「とんでもない調査報告が出されている。独り歩きすると大変なことになる」と警告されていた。

 介護保険見直しの課題の一つに、在宅サービス利用者の「区分支給限度基準額」問題がある。介護保険開始当初から「この限度額では十分な在宅介護はできない」「超過分は全額自己負担となり利用者は耐えられない」など多くの指摘があった。にもかかわらずこの11年間一切の見直しがなく、2009年度介護報酬改定で報酬引き上げがあったにも関わらずこの限度額が据え置かれたために、限度額超過となることを恐れてサービスを控えることが多発した。

 昨年11月30日の社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度見直しに関する意見」では、

区分支給限度基準額)
○ 区分支給限度基準額については、その引き上げ等を求める意見があり、まず、現在、限度額を超えてサービスを利用している人の状態や利用の状況等の実態を把握、分析することが必要である。
○ その上で、区分支給限度基準額を超えているケースについては、
・ ケアプランの見直しにより対応が可能なのか
・ 加算等の仕組みがあることによるものか
・ 今後の新たなサービスの導入等による影響をどう考えるか
などについて、次期介護報酬改定に向け検証を行い、介護給付費分科会において必要な対応を図ることが望ましい。


 とされていた。

 今回報告された「区分支給限度額基準額に関する調査結果の概要」は、

「超過者の週間ケアプランについて、市町村におけるケアプランの点検者における評価によると、「見直す余地がある」との意見が9割であった。」「担当のケアマネジャーに対するアンケート結果では、訪問介護の利用内容をみると、身体介護に比べ、生活援助の利用が多かった。「また、家族等で介護が補えないため」、「利用者本人や家族から「強い要望があるため」区分支給限度基準額を超えたケアプランを作成している例が多かった。」

として、

「区分支給限度基準額については、まず、ケアマネジメントの実態を踏まえた上で議論をすべきではないか。」

と結論づけている。

 まさに、限度額超過は、利用者・家族のわがままと不適切ケアプランにその責任があるかのような言い草である。

 しかし、たとえば、「区分支給限度基準額を超えたケアプランを作成している理由」では、

 ①家族等で介護が補えないため 77.5% 
 ②利用者本人や家族からの強い要望があるため 47.7%
 ③利用者の認知症が進行しており、多くのサービスが必要なため 38.2%
 ④利用者の状態(認知症を除く)から判断して、多くのサービスが必要なため 36.7%

 在宅の利用者の生活の大変さや家族の介護の負担の大きさ、区分限度額を超過して多大な自己負担に苦しんでいることが この数字からでも 容易によみとれるではないか。家族だけでは支えきれない利用者家族が、多大な自己負担を覚悟で「強い要望」をすることが何か問題なのか、と言いたい。限度額超過分は一切保険給付が行われていないのだから。「経済的に余裕がある」という回答はわずか24パーセントである。

 また、訪問看護やリハビリなど医療系サービスが少ない と問題視しているが、それこそ区分支給限度額や、負担の重さ、医療系サービスの提供体制にも大きな原因があるのでないか。

 市町村の評価者の評価を主要な論拠に「ケアプランの見直しが必要」が大多数と決めつけているが、その内容はまともに分析されておらず、同じ評価者でも医療関係職と福祉関係職で大きく傾向が異なるなど、分析なしには結論付けられないものである。まさに「いいとこどり」の調査結果利用である。

 過去にも、「訪問介護の過度な利用が廃用症候群を引き起こしている」とか「介護サービスの利用が状態に改善につながっていない」などという意図的な調査結果をもとに、強引に「新予防給付」を導入した「前科」がある。

 意図的な「調査結果」を公表し、「一人歩き」させ、サービスの切り捨ての世論を誘導していく、まさに悪質な詐欺的手法である。
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索