2011/03/05 Sat
 今日は午後から、「高齢者の居場所づくりをすすめる連絡会」の介護保険改定学習会。

 私も役員のはしくれなので講師を仰せつかった。テーマは「どうなる介護保険・地域包括ケア」。

 参加者は、施設づくりや宅老所づくりを取り組んでいる方、零細な介護事業所やそのスタッフの方が大半。

 「地域包括ケア」を中心に、主に 地域おける介護の提供体制がどう変わるかについて、お話させていただいた。

 やっと最終報告書が公表された「24時間定期巡回・随時対応型サービス」を中心に、この間のいくつかの報告や文書をつなぎ合わせて考えてみた。
 
 ①24時間地域巡回型訪問サービスあり方検討会報告書 (厚労省はすでにこの名称でなく「24時間定期巡回・随時対応型サービス」と呼んでいる)
 ②区分支給限度基準額に関する調査結果報告
 ③介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方について中間まとめ
 ④高齢者住まい法改正案
 ⑤全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料
 
 「在宅限界点を高める」として、要介護3~5の中重度要介護で単身者でも、在宅介護を可能にするという「地域包括ケア」。
 その「基礎的なサービス」とされているのが、「24時間定期巡回・随時対応型サービス」である。このサービスは、看護と介護の一体的提供、短時間の定期巡回と随時対応を組み合わせる というのが特徴だ。①24時間地域巡回型訪問サービスあり方検討会報告書 をみればわかるように「コスト論」「効率的運営」の一辺倒である。事業実施のイメージ図では、夜間対応するオペレーターは、同一法人であれば3事業所をまとめて1ヶ所で対応もOK。さらに入所施設の夜勤職員が兼務してもOK、単独事業所ではオペレーターをおかず携帯電話を職員が持つだけでもOK、という、超安上がりな構想である。利用者は「24時間対応の安心感」を与えられるというが、「電話の向こうのオペレーターは自宅で携帯電話で対応」ということを知っても利用者は安心するであろうか。
 
 問題なのは、居宅介護支援事業所のケアマネジャーとは、別の「継続的アセスメント・モニタリング」を行うとされており、その担い手はケアマネジャーでなく「看護職員」とされている点である。(報告書9頁)
 これは、②区分支給限度基準額に関する調査結果報告
で、ケアマネジャーのプランが「医療系サービスが少ない」「9割が見直しが必要なプラン」などと批判されたことと結びつく。福祉職系ケアマネジャーに対する言われなき偏見と誹謗中傷がここでも独り歩きしている。24時間定期巡回・随時対応型サービスのアセスメント・モニタリングはケアマネでなく看護職員という位置づけもこれと共通の発想なのだろう。
 利用者の「望む暮らし」でなく、医療・看護に一面的に傾斜したアセスメント・モニタリングを期待している向きがある。ケアマネジャーとは「共同マネジメント」とされているが、実際のサービス現場では、24時間巡回型サービスでケアを包括される利用者についてケアマネジャーの出番は限りなく少なくなるであろう。
 危険で意図的な「ケアマネ不要論」の第一歩である。

 ところが、そのように重要なはずの看護職員もまともに配置されない。24時間地域巡回型サービスの事業実施の「イメージ図」(報告書18頁)では、介護職員22.8人に対し、看護職員は1.71人で、10人に一人に満たない。これで看護と介護の一体的提供をどうするのか。
 
 そこで、③介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方について中間まとめ に示される、基礎的な医療ケア実施の介護職員へのシフトである。経管栄養の管理もたんの吸引も、ほとんどは介護職員が行うことになろう。少数の看護職員がアセスメント・モニタリングを行い、実際に定期巡回訪問する介護職員(ヘルパー)に指導(療養上の助言、判断)を行うことになるであろう。それどころか、「介護サービスと看護サービスを一体的に提供」がうたい文句でありながら、24時間地域巡回型サービス事業所に看護職員の配置が困難な場合は外部の訪問看護ステーションとの「連携」でもOKという超手抜きも許される構図となっている。

 そして、コスト上最大の課題である「移動時間」については、「高齢者向け住宅」を「本サービスと一体的に整備し、地域に展開することにより、効率的なサービス提供が期待できる」(報告書11頁)とし、利用者の住まいを「集合住宅化」することで解決しようとしている。
 そこで、④高齢者住まい法改正案 の登場である。「サービス付高齢者向け住宅」をどんどんたて、その「見守りサービス」に依存しながら、ポイントポイントで、24時間定期巡回サービスを短時間おこなえば効率的、ということである。

 さらに、⑤全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料 では、24時間定期巡回・随時対応型サービスを地域密着型サービスとし、市町村は、「公募・選考」で指定ができるようにする、また、「定期巡回・随時対応型サービスの普及のために必要なときは、都道府県が指定する際に市町村と協議するルールも導入するとしている(会議資料17頁)。
地域包括ケアの「地域」を定期巡回・随時対応型サービスを実施する事業所に「丸投げ」し、他の居宅サービス事業所を排除することも可能になる。

 ひとつひとつは分かりにくい 今回の介護保険改定であるが、一連の報告書・資料を並べてみれば、その意図する姿がありありと見えてくる。

 介護関係者に、改定案の全体像、そしてそれによって介護の現場と地域、利用者がどうなるのかを 分かりやすく具体的に明らかにしなければならない。
 
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Category: 介護保険見直し

いわどーーーー >>URL

それでも家族介護は無くならない

モデル事業の結果、頻回のケアをしても重度の方は家族の介護が無くならない傾向があるという趣旨のくだりが出てきます。現状のままでは本当に高齢者は救われない

Edit | 2011/03/05(Sat) 22:45:40

 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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