2011/03/09 Wed
介護保険法改正案の要綱が 2月23日の民主党厚生労働部門会議で示され、民主党議員のHP上でも公開されている。

 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案要綱 は 予定では3月11日に閣議決定されるという。


法律案要綱では、
 「三新たなサービスの創設
 1 地域密着型サービスへの追加 
 地域密着型サービスに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」及び「複合型サービス」を追加する

 と書かれた。

 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

 もともとは、検討会の名称にあるように、「24時間地域巡回型訪問サービス」という名前であった。「24時間」「訪問」というイメージが強く打ち出されたもので、現行の夜間対応型訪問介護との共通性も見られた。

 それが昨年11月の社会保障審議会介護保険部会の「見直し意見」最終報告書では「24時間定期巡回・随時対応型サービス」という表現に変った。
 「定期巡回訪問」と「随時対応」。その随時対応は、必ずしも訪問を意味しない。コールに答えて話を聞くだけでも随時対応である。

 2月に公表された「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」報告書では、「1.本サービスの呼称について ○ 本調査研究では「24 時間地域巡回型訪問サービス」と仮称したが、普及にあたっては、利用者や国民が正確にその意義やサービス内容を理解できるような呼称を工夫すべきである」と、24時間地域巡回の呼称にこだわらないことを強調した。

 そして、法律案要綱では、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」である。「24時間」の文字は姿を消した。

 検討会報告書では、「実際の訪問ニーズは、基本的に利用者が起きている日中の時間帯に集中しており、深夜帯等のケア提供の回数は、限られた規模になると考えられる。」
 ときわめて安易に「日中」を中心とした定期巡回で在宅生活が支えれることを強調している。

 そして「随時対応」では、検討会報告書では、
「随時の対応のための職員配置(オペレーター)○ 利用者からのコールに対しては、オペレーターが利用者の日頃の状態を把握し、電話等での対応を通して適切に解決を図ることが重要である。モデル事業の結果によれば、利用者からのコールは、時間帯を問わず発生するものの、一ヶ月に発生する一人あたりのコール数は限定的であり、また、回数が多い場合でも、大半が実際に訪問することなく、通話(会話)で利用者のニーズへの対応が図られている。

 と大半は電話での会話対応事足りるような言い方である。

 法律案要綱では、

定期巡回・随時対応型訪問介護看護
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは、次のいずれかに該当するものをいうものとすること
(介護保険法第八条第十五項関係)
(一)居宅要介護者について、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、その者の居宅において、介護を行うとともに、看護を行うこと。
(二)居宅要介護者について、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、訪問看護を行う事業所と連携しつつ、介護を行うこと。
 

 問題は、(二)である。「訪問看護を行う事業所と連携しつつ」であり、看護職員を配置しないタイプも法律上規定する。

 これに連動する動きは二つである。
1つは、介護職への医療ケアの「法的解禁」である。

 法案要綱では、
 「第六社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正
 一介護福祉士による喀痰吸引等の実施
1 介護福祉士は、喀痰吸引その他の身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。)を行うことを業とするものとすること。」
 

 と社会福祉士の本来業務にたんの吸引等が入れられる。

 さらに、それ以外も介護職については、
「二認定特定行為業務従事者による特定行為の実施
1 介護の業務に従事する者(介護福祉士を除く。)のうち、認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けている者は、保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として、医師の指示の下に、特定行為(喀痰吸引等のうち当該認定特定行為業務従事者が修了した喀痰吸引等研修の課程に応じて厚生労働省令で定める行為をいう。以下同じ。)を行うことを業とすることができるものとすること。」


 「認定特定行為業務従事者」という新しい資格を作り、医療職でなくても医療ケアができる仕組みとした。

 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスが、看護職員を配置しなくても医療ケアを提供できる法的な枠組みである。

 さらにもう一つの動き。
 政府の行政刷新会議が3月6日から2日間の日程で「規制仕分け」を行ったが、その中で訪問看護ステーションの開設要件の1事業所につき2.5人以上の看護師が必要とする現行の基準を、緩和する結論を出したこと。「訪問看護ステーション」の開業要件について「看護師1人でも開業できるように緩和すべきだ」と結論づけた。
 CBニュース参照
 こうして乱造される「一人訪問介護ステーション」と、既存の訪問介護事業所が「連携」すれば、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」事業所は大量に出現する条件が整う。

 一方でおろそかにされ、捨て去られるのは「24時間」の在宅生活を支える責任ある体制である。

 「24時間」の文字が法律案から消えた意味は大きい。
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Category: 介護保険見直し

どりーむ >>URL

No title

新サービスの名称について、
「24時間」が抜けたこととともに
「看護」が加わった意味も大きいですね。

Edit | 2011/03/10(Thu) 00:31:02

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき) >>URL

Re: No title

そうですね。ドリームさんもブログで触れておられましたように、地域包括ケアの中心は「訪問看護」という論調が強まっている中での「看護」です。看護職員がアセスメント・モニタリングをするということも併せて考えると ケアマネジャーと訪問介護 という コンビネーションが 意図的に否定されようとしているように思えます。

Edit | 2011/03/10(Thu) 21:02:35

 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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