2011/04/03 Sun
全国老人福祉問題研究会の月刊誌「ゆたかなくらし」の執筆依頼を受けた。350号記念白書「高齢者福祉の現状と課題」という企画で、「高齢者福祉白書」というべき総合的な内容である。

私に与えられたテーマは「地域包括支援センター」。

 2006年の介護保険制度改定で導入された地域包括支援センターは5年が経過した。

 今回の見直しの「目玉」は「地域包括ケア」。

 しかし、地域包括支援センターのきちんとした総括のないまま、今度は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」なるものを「地域包括ケアの基礎的サービス」と位置づけた。

 設置後5年を経た地域包括支援センターの現状はどうであろうか。
 私なりの問題点の整理は次のとおり。
第一に、設置数の問題である。2010年4月時点で、地域包括支援センターは全国で4065ヶ所設置されている。全国で約1万とされる中学校区数と比べると半数以下の設置数にとどまっており、いくつかの中学校区を1ヶ所のセンターが担当し、地域に十分な目配りができなかったり、なかには広大な区域を担当し、「地域を包括できない」と嘆いているセンターもある。
 第二に、行政責任と自治体の福祉機能との関係である。地域包括支援センターは、市町村の責任による設置とされながら、直営は1208ヶ所と29.7%に過ぎず、委託が2810ヶ所で7割を占める。市町村の中には、高齢者の総合相談、ケアマネジャーへの支援、虐待防止、権利擁護等について、事業を委託している地域包括支援センターに「丸投げ」に近いところもある。
 第3に、地域包括支援センターの「予防プランセンター化」の問題である。2006年度制度改定で、給付抑制のために要支援1、要支援2の人については、そのケアプラン(介護予防プラン)作成は、地域包括支援センターに一元化され、地域包括支援センターは、居宅サービス利用者の半数近くを占める軽度者のサービスを管理する役割を持たされた。この「介護予防プラン」作成は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに一部委託できるが、「ケアマネジャー1人8件」という委託制限があり、さらに介護予防プランの報酬が要介護者のケアプランの半額以下と低額で、事業所から敬遠され、委託も困難な状態にある。これまで、多くの地域包括支援センターは、業務の多くを介護予防プラン作成と給付管理に忙殺され、「地域包括ケアどころではない」といった声が聞かれるほどであった。
 「地域包括ケア」の拠点となるための課題 
 2012年度の介護保険改定に向けた検討の中では、地域包括支援センターについて、「全中学校区(1万箇所)」の整備目標と、「機能強化」が打ち出されているが、そのための方策は、「市町村が包括的支援事業の実施に係る方針を示すこと」、「関係者間のネットワークの構築について、地域包括支援センターが責任をもって進めていくことを改めて徹底すべき」と述べるだけである。「予防プラン問題」についても、「柔軟に業務委託できるように」「連携方策を工夫」と解決策らしいものはない。
 地域包括支援センターが、その機能を発揮するためには、設置根拠を老人福祉法や社会福祉法に明記し、法的にも財源的にも介護保険制度の枠を超えた機関にするとともに、自治体の責任と機能を抜本的に強化することが不可欠であろう。

スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索