2011/06/04 Sat
 「介護リンクさかい」の研修会 “どうなる 介護保険”に参加した。

 講師は 厚労省老健局 介護保険指導室長 千田透氏。テーマに「どうなる?介護保険 介護保険の役割と市民・地域社会の責任」と題され、介護保険改正の内容よりも、その背景と“精神”について詳しくお話された。「市民・地域社会の責任」とあるように、介護関係者に対し、「自分たちで考え、意見を言い、行動していく」ことの大切さを訴えておられた。
 研修会後の懇親会で、実に様々なお話を聞かせていただき、介護保険制度の企画に直接携わっておられる厚労省の方の本音や思いをうかがうことができ、いろいろな意味でとても勉強になった。

 研修会後半のシンポジウムでは、私も報告させていただいた。

 以下私の報告メモ


 介護保険改正で事業者と地域はどうなるか
~「地域包括ケア」をめぐって~

1 「総合事業」と要支援者のサービス
  要支援者から介護予防サービス(とくにヘルパー、デイサービス)を排除する仕組みにならないか?
【厚労省の説明】
○ 市町村の判断により、要支援者・介護予防事業対象者向けの介護予防・日常生活支援のためのサービスを総合的に実施できる制度を創設。事業を導入した市町村においては、市町村・地域包括支援センターが、利用者の状態像や意向に応じて、予防給付で対応するのか、新たな総合サービスを利用するのかを判断。
○ 利用者の状態像や意向に応じて、介護予防、生活支援(配食、見守り等)、権利擁護、社会参加も含めて、市町村が主体となって総合的で多様なサービスを提供。
 【財源構成(予防給付と同じ)】  国庫負担:25%   都道府県負担:12.5%  市町村負担:12.5%  1号保険料:20%  2号保険料:30% 
 【サービス提供事業者、利用者負担】  市町村において、地域の実情に応じて決定。
【法律案】(介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案要綱)
介護予防・日常生活支援総合事業の創設
1 市町村は、介護予防及び日常生活支援のための施策を総合的かつ一体的に行うため、厚生労働省令で定める基準に従って、地域支援事業として、次に掲げる事業を行うことができるものとすること。
この場合においては、市町村は、次に掲げる事業の全てにつき一括して行わなければならないものとすること。(第百十五条の四十五関係)
(一)居宅要支援被保険者に対して、介護予防サービス等のうち市町村が定めるもの(指定介護予防サービス等を受けている居宅要支援被保険者については、当該指定介護予防サービス等と同じ種類の介護予防サービス等を除く。)を行う事業
(二)被保険者の地域での自立した日常生活の支援のための事業であって厚生労働省令で定めるもの
(三)居宅要支援被保険者(指定介護予防支援等を受ける者を除く。)の介護予防のため、及び(一)(二)の事業等が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業
2 介護予防・日常生活支援総合事業(介護予防事業、介護予防ケアマネジメント事業及び1(一) から(三)までに掲げる事業をいう。)に係る費用負担は、介護予防事業と同様とすること(第百二十二条の二、第百二十六条等関係)

【予測される危惧】
① 「総合事業」で、財源も体制もととのわないまま不十分な「訪問サービス」「通所サービス」がメニュー化されないか
② 要支援認定者は「地域包括支援センター判断」で大半が、現在の介護予防サービスから排除され、「総合事業」に回されないか
③ 訪問介護事業所、通所介護事業所は利用者減による経営悪化にならないか
※利用者も事業者も犠牲を押し付けられないか?

→【提言】
市町村の裁量なので、「総合事業」そのものを実施せず、介護予防サービスの充実と、地域支援事業及び高齢者施策充実をめざすべき。
平成24年度に地域包括支援センターを大幅再編する堺市は、拙速に実施すべきでない。


2 地域包括ケアと「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
(1)「地域包括ケア」構想は自治体職員の「心の灯」となっているか
  
  ○昨年5月での話
  ○「日常生活圏域ニーズ調査」 大阪ではまったく低調
 ※自治体がやる気になり、やるべきことをやらない限り「地域包括ケア」は実現できない
→【提言】
 ①全日常生活圏域で「全高齢者対象」「郵送・訪問回収」でのニーズ調査を実施させよう
 ②第5期介護保険事業計画作成は 策定委員会に「日常生活圏域部会」を作って住民、事業者、利用者家族の声を反映させよう
 

(2)「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と事業者参入問題
 ①果たしてどのような基準になるのか 「24時間」本当にすぐに訪問可能なサービスなのか
 ②事業者指定問題は今後 注目すべき
 
【厚労省の説明】
 定期巡回・随時対応サービス、小規模多機能等の普及のためには、事業者が日常生活圏域内で一体的にサービスを提供し、移動コストの縮減や圏域内での利用者の確実な確保を図ることが必要。
①市町村の判断により、公募を通じた選考によって、定期巡回・随時対応サービス等(在宅の地域密着型サービス)についての事業者指定を行えるようにする。【公募制の導入】
②定期巡回・随時対応サービス等の普及のために必要がある場合は、市町村と協議をして、都道府県が居宅サービスの指定を行えるようにする。【居宅サービス指定に当たっての市町村協議制の導入】
【政令指定都市・堺市】
介護保険法改正案では、都道府県が処理する事務とされている指定居宅サービス事業者等の指定について、政令指定都市及び中核市に権限移譲されることになっている。
介護保険改正法案
(大都市等の特例)
第二百三条の二この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用があるものとする。
「政令で定める」とされている事務については、
地域主権戦略大綱(平成22年6月22日閣議決定)で、「都道府県知事が処理している指定居宅サービス事業者、指定介護老人福祉施設及び指定介護療養型医療施設の指定並びに介護老人保健施設の開設の許可(介護保険法(平9法123)41 条1項、48 条1項、94 条1項)については、指定都市及び中核市へ移譲する。」とされているところから、指定居宅サービス事業者等の指定に関する事務が規定されることになろう。

【予想される危惧】
 定期巡回・随時対応型訪問介護看護などのサービス事業者の選考・指定が公正におこなわれるか。小規模経営の事業者が締め出される結果にならないか。
 利用者にとっては、日常生活圏域で事業者が選べなくなる可能性が出てこないか
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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