2011/06/18 Sat
 介護保険見直しの議論の中で「ケアマネジメントの機能強化」が言われているが、当事者のケアマネジャーの思いはどうであろうか。

 ケアマネジャーを対象とした行政によるそれなりの規模の調査がある。
 広島県介護支援専門員実態調査 である。

 広島県介護保険課が、平成22年2月1日現在,広島県に介護支援専門員登録を行っている者13,488人を対象に,アンケート調査を行い,6,105人(回収率45.2%)から回答があったというものである。

 直接ケアマネジャーに郵送で行政が行っていること、対象1万3千人、回答6千人という規模の大きさもこの種の調査としてはかなり信頼性が高く、「広島県」という地域限定ではあるが、ケアマネジャーの傾向をかなり把握できるものだろう。
 
 回答者のうち、実際にケアマネ業務に従事している人は2311人。基礎資格は 介護福祉士が47.0%、看護師が19.2%、准看護士が7.3%。
 雇用形態は 正規職員  82.4%、 月給平均 26万9703円
       非正規職員 17.6%、 月給平均  17万4989円

 同報告書の25頁に 「今後も介護支援専門員の業務を続けたいと思うか」
  1 続けたい    955人 (41.3%)
  2 続けたくない  652人 (28.2%)
  3 わからない   670人 (29.0%)
   無回答       34人  とある。  ※()内のパーセンテージは追加で計算

 なんと ケアマネ業務を続けたい人は4割そこそこで、3割近くは「続けたくない」と思っている。

 これはある意味でケアマネジメントの危機であろう。

 その「理由」は
 トップは 「仕事がきついため」がトップで385人(続けたくない人の59.0%)で、6割以上がケアマネ業務が「きつい」ため、続けられないと 回答していることになる。

 そこで、同報告書32頁のケアマネ従事者の意識調査では、「負担感」について
  「非常に負担に感じる」は、1位「サービス担当者会議の開催」707人(従事者2311人の30.6%)、2位が「月1回のモニタリング」579人(25.1%)、3位が「モニタリング訪問時の記録」574人(24.8%)である。
 
 逆に「負担は感じない」のトップは「サービス担当者のケアプランの交付」1058人(45.8%)、2位は「ご利用者・家族へのケアプランの説明・同意」1027人(44.4%)、3位は「サービス担当者への意見聴取」870人(37.6%)である。

 運営基準上の減算項目であるケアプラン作成・変更時の「サービス担当者会議」開催や、「月1回のモニタリング」とその記録など、この間の実地指導やケアプラン点検を通じてチェックされてきたことの反映であろう。

 私の知っているあるケアマネジャーは「記録と書類に追われて書類に殺されそう」と悲鳴を上げていたことを思い出す。

 同報告書22頁で、ケアマネ従事者が望む労働環境の改善項目のトップは「作業書類の軽減等、事務作業の効率化・省力化を図る」1220人(52.7%)であった。

 ケアマネを離職・転職に追い込むような厳格な指導や点検が はたしてケアマネジメントの向上になるのであろうか。


cf この報告書の分析は 福祉のひろば3月号 小川先生の論文 参照

 
 
 
 
 
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Category: 介護保険見直し

どりーむ >>URL

書類はつきもの

「記録と書類に追われて書類に殺されそう」と言う声は、
介護保険制度開始以来、聞かれていますね。

確かに、記録や書類にかかわる負担感が、
行政のためにあることや、
雲煙基準が、業務手順とあわないが故のものであることも多いと、
私も感じています。

しかし、記録や書類の作成・整理について、
ケアマネジャー自身が、
どうすれば、効果的・効率的に取り組む事ができるか、について、
他力本願すぎるんじゃないか?
工夫するスキル、努力もせずにいる、
そんな現実もあるんじゃないかな・・・と、
思う時もあります。

記録、書類の山と戦っているのは、
ケアマネだけではないのですが、
なぜ、ケアマネは、ここまで問題になるんでしょうね。
(いくつかの答えは持っていますが・・・)

Edit | 2011/06/18(Sat) 21:23:51

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき) >>URL

Re: 確かにそうなんですが

 記録、書類を効率化する努力やスキルアップ。確かにそのとおりだと思います。
 ただ、「仕事をつづけられない」という気もちにまでなるのは、その記録、書類の 意味が見いだせていない 行政向け 減算逃れ としか認識されていない ことに 問題があるように 思います。

 行政の 記録だけ 細かくチェックする 指導や ケアプラン点検 が 生み出した マイナス面でしょう。

 効率化の 努力は 行政にも求められると思います。

 「ケアマネは記録してなんぼのもんや」(大阪弁ですみません)と公言するケアマネさんもいます。「利用者の支援もいいけど、それより書類だけはしっかりね」という特定事業所の管理者もいます。

Edit | 2011/06/19(Sun) 12:31:58

 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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