2011/10/11 Tue
連載2回目
ゴマカシで塗り固めても危険な内容は変わらない
「総合事業」基本事項通知について
 
厚生労働省は、9月30日付けで「介護予防・日常生活支援総合事業の基本事項について」(老振発0930第1号厚生労働省老健局振興課長通知)を発した。
 「総合事業」について、多くの自治体が「国からの詳細が示されていない」ことを理由にその態度を明確にしていなかったが、厚労省は、この基本事項の内容に沿って今後、政省令、告示等の改正を行うとしており、自治体はいよいよ判断を問われる局面に入ったといえる。
 以下にその内容と問題点、今後の課題について述べる。

2 対象者問題

①「コミュニケーション」では選択権保障にならない
 総合事業の対象となる「要支援者」は「市町村又は地域包括支援センター」が「適切なケアマネジメントに基づき判断」という点は、従来通りである。今回の通知ではじめて「本人の意思に反した判断がなされることのないよう、市町村又は地域包括支援センターと利用者が、よくコミュニケーションを取りながら、対象者の決定を行う。」という注意書きを入れた。
 多くの関係者の「要支援者の保険給付取り上げにつながる」という批判を受けて、国会で「要支援認定者が従来の介護予防サービスと同総合事業を選択・利用する意思を最大限尊重すること」という附帯決議をされたため、厚労省は7月11日の「第5期介護保険事業(支援)計画策定に係る全国会議」資料では「本人の意思を最大限尊重しつつ」という文言を付けくわえた。さらに今回はその手段として「よくコミュニケーションをとりながら」を挙げた。
 しかし、対象者を「判断」「決定」する主体は利用者ではなく、「市町村・地域包括支援センター」であることに何ら変化はない。あくまでも「利用者が選択する」という仕組みにはしないのである。
厚労省は、「対象者について、地域の実情に応じて条件等を設定していただくことは可能」としており、市町村が対象者選定に勝手な条件を設けることも自由で、「資産要件」「所得段階」「ひとりぐらしか」などを条件に選別することもありうるのである。
 
 第5期介護保険事業(支援)計画の策定に係る全国会議に関するQ&A【平成23年8月22日時点】
問15)介護予防・日常生活支援総合事業の対象者について、「利用者の状態像に応じて、適切なケアマネジメントに基づき判断」とあるが、市区町村においてケアマネジメントを行う際に例えば、利用者の条件に「ひとりぐらし」「高齢者のみ」「所得段階」「資産要件」等の条件を附すことは可能か
答)介護予防・日常生活支援総合事業の対象者について、地域の実情に応じて条件等を設定していただくことは可能である。

 
 「よくコミュニケーションをとりながら」などという抽象的な表現で、要支援者の保険給付受給権や選択権が保障されないことは明らかである。

②2次予防対象者限定 総合的な生活支援に支障

 厚労省は、今回の通知で改めて、「総合事業の対象者」について「要支援者及び2次予防対象者」に限定している。
 これは、「生活支援サービス」の対象者に新たな排除を持ち込むことになる。現行の地域支援事業や一般施策では、「配食」「見守り」については、要介護者や一般高齢者(1次予防対象者)も対象にしている自治体もあるが、これが総合事業に移し替えられると、要支援者・2次予防対象者以外は除外されることになる。
 「改正」法では、「生活支援サービス」(改正法第115条の45第2項2号)は「1号被保険者及び要支援者である2号被保険者」とされ、本来は全高齢者対象とされているものである。厚労省は政省令・告示や通知レベルで「要支援者・2次予防対象者」に限定するとしている。
 このことをみても総合事業が「利用者の視点に立った柔軟な対応や、既存の枠組みにとらわれないサービス提供が可能」「地域全体で高齢者の自立した生活を支援する」などという説明とはまったく逆の、排除と選別の仕組みであることがわかる。
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索