2011/11/03 Thu
たった53円程度の保険料軽減効果
大阪府「財政安定化基金取崩し試算値」
   今こそ、高齢者も市町村も大阪府へ声を上げよう

2011年11月3日 介護保険料に怒る一揆の会 日下部雅喜

介護保険法「改正」により、都道府県の介護保険財政安定化基金の取崩しによる介護保険料軽減が可能となった。
財政安定化基金は、市町村の介護保険財政の資金不足が起きた時のために設けられた制度である。市町村と都道府県、国がそれぞれ3分の1ずつを拠出しているが、市町村からの拠出分は全額が高齢者の第1号介護保険料である。05年の介護保険制度改悪とその後給付抑制により、市町村の介護保険財政が黒字になったため、現在は、財政安定化基金は、ほとんどが使われずため込まれたままの「埋蔵金」と化している。
09年度の全国の実績では、財政安定化基金の貸付状況は、1587自治体のうち、わずか9自治体しか貸付けを受けておらず、その率は0.6パーセントである。全国の基金積立総額2848億71百万円のうち、実支出額は81億41百万円で、わずか2.8%しか支出されていない(09年度)。大阪府でも同様で、194億円余りの基金を保有しているが、09年度、10年度と貸付は皆無である。
私たち大阪・介護保険料に怒る一揆の会は、こうした「埋蔵金」を取り崩し、高齢者に還元せよ、と3年前から要求してきたが、今回の法「改正」でようやくそのことが可能になった。

大阪府、「取崩し・交付」試算値を通知 
大阪府は府内の市町村に対し、「財政安定化基金取崩しによる交付額」試算値を通知している。
 それによると、基金 194億4949万4527円のうち、82億7751万5965円を「必要額」として温存し、111億7197万8562円を取崩し、その3分の1にあたる、37億2399万2854円を府内の41市町村に介護保険料軽減財源として交付するというものである。
 
 府 基金  194億4949万4527円
      
※ 82億7751万5965円を「必要額」として温存
 
 取崩し額  111億7197万8562円 
 
その3分の1相当 37億2399万2854円を市町村に交付

→37億2399万2854円の保険料軽減効果は
   第1号被保険者数 195万1124人(2011年7月)
           一人当たり 1,908円  
第5期介護保険料3年間の軽減にあてはめると
第1号被保険者数を同じとしても 1908円÷36月=53円程度
(実際は3年間で第1号被保険者数は増加するので、一人当たり軽減額はもっと少なくなる)

※もし、194億円全額を取崩し、その全てを保険料軽減に回せば、第1号被保険者一人当たり 9,968円  月277円程度の軽減になる。 大阪府の「試算値」ではその5分の1の軽減効果しかない。

不当性1 大阪府に82億円もの基金温存の必要なし
大阪府は、取崩し額の計算にあたって、厚労省の示す計算方法である「過去最大の貸付率」を基本とする方法で「残すべき必要額」を計算しているため、82億7751万円もの過大な基金を残し、取崩し額が111億円にとどまる。
 大阪府では、第2期(03年度~05年度)までは、一定の貸付け実績があったが、貸付額については、全額第3期に市町村から返還されている。ちなみにその財源は全額第1号介護保険料であり高齢者の負担である。
介護保険制度改悪と給付抑制により、府内市町村の介護保険財政は黒字になり、06年度以降は、ほとんど貸付け・交付はなくなった。わずかに06年度に9645万円の貸付け(2市)が合ったのみであとは4年連続ゼロである。府は11年度の貸付・交付見込みを6253万円としているが、これを加えても06年度以降6年間の貸付け・交付はわずか1億5899万円であり、現在の基金積立総額194億4949万円の0.8パーセントの実績にすぎない。このような実態からすれば、現在の基金の42.5パーセントにのぼる82億7751万円もの基金を温存する必要性はまったくない。
 近年の実態を踏まえれば、現存基金の大部分を取り崩すことは十分に可能である。

不当性2 高齢者の保険料からの拠出分の4割以上は返還されない
取崩し額111億7197万8562円のうち、介護保険料軽減のために市町村に交付されるのは、その3分の1にあたる37億2399万2854円に過ぎない。もともと基金への市町村拠出分はその全額が第1号被保険者から徴収した介護保険料である。したがって高齢者からすれば自分たちが過去にだした保険料の一部が返され保険料軽減に使われるだけのことである。
これまで、2000年度~2008年度までに、府内の第1号被保険者の保険料から基金に拠出された金額は、65億5122万2508円にのぼるが、今回の交付額ではその56.8パーセントしか返還されたことにならない。4割以上は基金として大阪府に残されたままである。

不当性3 大阪府と国への返還額は一般会計へ 
取崩し額の残り3分の2にあたる74億4798万5652円は、国と大阪府に返還されるが、それぞれの一般会計に入ってしまう。現時点で大阪府はその使途についていっさい明らかにしていない。国においても同様である。
「改正」介護保険法では、介護保険に関する事業に要する経費に「充てるよう努めなければならない」と、努力義務を規定している。しかし、本来は、国・府への返還分についても全額介護保険料軽減にあてるべきである。そもそも、財政安定化基金は、市町村介護保険財政の資金不足(具体的には第1号保険料の不足)に対応するために国・都道府県も拠出する仕組みである。市町村介護保険財政への貸付けの必要性はほとんどなくなったが、介護保険料は、全国平均基準月額が、4160円から 5000円超へと大幅に上昇しようとしている。高齢者の負担の限界を超えようとしているのである。
このようなとき、国・都道府県が、いったん拠出した資金を、自らの一般会計に取りこんでしまい、介護保険料軽減に使わないという行為は許されるものでない。

今こそ、全高齢者の声を
 不当に多額の基金を温存し、わずかな額しか保険料軽減に回さない大阪府に対し、高齢者は怒りの声を上げるべきである。

 介護保険料に怒る一揆の会・年金者組合大阪府本部・全大阪生活健康を守る会連合会が今年7月1日に大阪府知事に提出した共同要求
1 大阪府に積み立てられている財政安定化基金は全額取り崩すこと
2 市町村拠出分については直ちに保険料軽減財源として市町村に返還すること
3 大阪府拠出分については、保険料軽減に充てることとし、府内市町村に交付すること
4 国拠出分についても、保険料軽減に充当するよう大阪府として国に求める
こと

府内各市町村への提言 保険料軽減のために大阪府へ要求を
第5期介護保険事業計画策定作業が行われているが、自治体によっては、今後の給付見込み額の増加のために介護保険料の大幅な上昇が見込まれるところが少なくない。法改正によって保険料軽減のための財源とされた財政安定化基金取崩し措置である。
大阪府が必要もないのに多くの基金を温存し続け、市町村にはわずかな額しか交付せず、府拠出分は1円も交付しない という事態は、自治体にとっても納得しがたいことである。
今こそ、大阪府に対し、市町村側から
「①第5期保険料軽減のためにもっと多くの基金取崩しを行え
 ②府拠出分も保険料軽減のため市町村へ交付せよ
 ③国拠出分も保険料軽減のため市町村に交付するよう求めよ」
という要求を行うべきであろう。

介護保険料を安易に引上げ、声なき高齢者に負担を転嫁する前に、自治体として、大阪府と国に声を上げるべきではないか。 
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Category: 介護保険料
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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