2011/11/12 Sat
 「一時的な交付金よりも、恒久的な介護報酬の方が安定的な処遇改善が可能」

 こんな主張が労組関係者の一部からなされているという話を聞いた。

 10月17日の社会保障審議会介護給付費分科会では、介護報酬において処遇改善を実施する場合の「処遇改善加算(仮称)創設」が示されている。

 
 介護報酬単位×加算率×単価(地域差)=加算額というもので、

算定要件(賃金)については、
「平成24年度当初の職員構成を基準として、同じ職員構成で比較した場合に、報酬改定前(平成23年度末)の
賃金額を下回らない給与を支給すること」
 との要件があり、現在の給与水準を保障するというものである。

 また、新たに追加される要件として、
 「『処遇改善加算(仮称)』のうち、本給で支給する割合を一定割合以上とする。」ということも盛り込まれた。

 一部の労組関係者は、これで「現在の給与水準は確保される」と飛びついたのであろう。

 しかし、問題は、もっと本質的なところにある。

 処遇改善交付金は、全額国庫負担で、介護保険料にも地方負担にも、そして利用者の利用料負担に一切影響を与えず、賃金改善を国が直接行うというものである。

 これに対し、介護報酬の「処遇改善加算」は、国庫負担は全額(100%)→4分の1(25%)へと激減する。
 のこりの75%は、地方負担と介護保険料負担に肩代わりされ、さらに利用者負担も加算分は増加する。

 厚労省の試算では 
   交付金の場合は 単年度国庫負担は1900億円
   介護報酬の場合は 単年度国庫負担は500億円
  のこり1400億円は 介護保険料・地方・利用者の負担となる。

  国だけが得をして、他はみんな大幅負担増、そして介護職員は、その負担で賃金改善の恩恵を受ける。

  こんな構図である。

 そればかりか、厚労省は、その500億円の負担の財源として、一定の所得のある利用者負担倍増、ケアプラン有料化、要支援者負担倍増、要支援サービスの切捨て、多床室利用者からの室料負担導入など、社会保障・税一体改革の「負担増メニュー」をあてこんでいるのである。

 これで、介護労働者の処遇改善策は、高齢者や利用者の支持が得られるであろうか。

 介護労働者は、貴重な介護の担い手であり、その処遇改善=大幅賃上げは、今後の介護の担い手が確保できるかどうか、介護の未来がかかった国民的課題である。

 国にその財政的責任を求めていくのが大原則である。

 処遇改善交付金は、自公政権末期に措置されたこの処遇改善交付金、民主党は09年8月の政権交代総選挙時のマニュフェストで、「介護労働者4万円の賃上げ、8000億円の公費投入」を公約していたではないか。

 わずか1万5千円の賃金改善すら、介護報酬化し、その負担を高齢者や利用者に転嫁する、こんな政策を前提として「現実的」賃金確保だ、などという労組幹部は、もはや裏切り者であろう。

 介護労働者は、自らの賃金改善と高齢者、利用者の利益の擁護を一体のものとして、そして国民的支持のもとにたたかってこそ未来がある。

 私の提唱

 介護職員処遇交付金廃止・介護報酬化に反対し、全額国庫負担での処遇改善を求めて、全介護労働者は、ストライキと国会包囲デモを打ち抜いてはどうか。
 「99%」を合言葉にウオール街を占拠したアメリカの若者たちのように!
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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