2011/11/24 Thu
11月24日、社会保障審議会介護給付費分科会で「介護報酬に関する審議報告案」が厚労省から示された。
 介護職員処遇改善問題は、現行の交付金方式を継続せず、「介護報酬において対応」とした。
 全額国庫負担による処遇改善方式をあっさり否定し、「安定的・継続的な事業収入が見込まれる、介護報酬において対応することが望ましい」としながら、新たに設ける介護報酬の「加算」については、「次期介護報酬改定の際に見直すべき」とし、事実上3年間の時限措置である。
 国庫負担方式を廃止したあげく、処遇改善加算も「当面の措置」という、介護職員処遇改善からの撤退につながる。介護報酬化されれば、国庫負担は交付金方式の100%から25%負担に激減し、その分は介護保険料と地方負担に転嫁され、さらに利用者負担も上昇するという国だけが得をして、それ以外はみんな大幅負担増になるという改悪であり、断じて認められない。

社保審介護給付費分科会「平成24年度報酬改定に関する審議報告案」
介護職員処遇改善
介護職員の根本的な処遇改善を実現するためには、補正予算のような一時的な財政措置によるのではなく、事業者の自主的な努力を前提とした上で、事業者にとって安定的・継続的な事業収入が見込まれる、介護報酬において対応することが望ましい。
介護職員の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決決定されるべきものである。他方、介護人材の安定的確保及び資質の向上を図るためには、給与水準の向上を含めた処遇改善が確実かつ継続的に講じられることが必要である。そのため、当面、介護報酬において、事業者における処遇改善を評価し、確実に処遇改善を担保するために加算を設けることはやむを得ない。この加算は介護職員の処遇改善が定着したかを検証した上で、次期介護報酬改定の際に見直しを行うべきである
 

訪問介護の生活援助の「45分」への切り下げ案はそのまま盛り込まれている。時間短縮の根拠もあいまいで、15分短くすれば「より多くの利用者に訪問できる」などという机上のへ理屈で生活援助を切り下げることは許されない。
生活援助サービスの後退により利用者の生活に支障を来すこの改悪案は撤回するべきである。


社保審介護給付費分科会「平成24年度報酬改定に関する審議報告案」
訪問介護
生活援助の時間区分について、サービスの提供実態を踏まえるとともに、限られた人材の効果的活用を図り、より多くの利用者に対し、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から、45分での区分を基本とした見直しを行う。


居宅介護支援費の運営基準減算を、1月目からいきなり「50%カット」、さらに2月継続すれば「100%カット」という前例を見ない「厳罰主義」のケアマネジャーの減算強化もそのまま盛り込まれている。ケアマネジャー敵視の減算強化案は、その発想において、「ケアプラン有料化」と同根のものであり、断じて許すことはできない。

社保審介護給付費分科会「平成24年度報酬改定に関する審議報告案」
居宅介護支援
居宅介護支援については、自立支援型のケアマネジメントを推進する観点から、特定事業所加算により引き続き質の高い事業所について評価を行うとともに、サービス担当者会議やモニタリングを適切に実施するため、運営基準減算について評価の見直しを行う。



 新サービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」について厚労省が示してきた基準案のうち、深夜の定期巡回とオペレーター業務、終日の随時訪問の別事業所への委託などは明記されなかったが、包括報酬や施設の夜勤職員の兼務容認などは盛り込まれている。
 このサービスが在宅の利用者の24時間の生活を支えるものになるためには、少なくとも①訪問介護サービスとの併用が可能 ②訪問実績に応じた報酬 ③責任ある24時間体制 が不可欠であり、大幅な改善が必要である。

社保審介護給付費分科会「平成24年度報酬改定に関する審議報告案」
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
利用者が、必要なタイミングで必要なサービスを柔軟に受けることを可能にするとともに、事業者の安定的運営を図る観点から要介護度別・月単位の定額報酬を基本とした報酬を設定するとともに、必要な人員・設備・運営基準を設定する。
人員基準については、訪問介護員等及びオペレーターについて、それぞれ常時1名を配置することとし、看護職員については、医療・看護ニーズへの対応のため、常勤換算 2.5名以上の配置に加え常時オンコール体制を義務付ける。なお、定期巡回・随時対応サービス事業所と訪問介護・夜間対応型訪問介護・訪問看護事業所が一体的に運営される場合の職員の兼務を可能とする。
オペレーターの任用要件については、現行の夜間対応型訪問介護と同様の有資格者を配置することとした上で、地域の実情に応じて人材確保が可能となるよう訪問介護事業所で3年以上サービス提供責任者として従事した者を一定程度認める。
また、特に夜間等における人材の有効活用を図る観点から特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の施設・事業所に従事する夜勤職員について、利用者の処遇に影響のない範囲内において定期巡回・随時対応サービスのオペレーター等との兼務を可能とする。
また、区分支給限度額の範囲内で柔軟に通所・短期入所系サービスを利用者の選択に応じて提供することを可能とするための給付調整を行う。これらのサービス利用時には日割り計算を実施する。
サービス付き高齢者向け住宅等の集合住宅に併設する事業所が当該住宅に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合、地域包括ケアの推進の観点から地域への展開を義務付ける。
なお、サービス付き高齢者向け住宅や、定期巡回・随時対応サービスの実施状況について、適切に実態把握を行い、必要に応じて見直しを行う。


 明記されなかった改悪案
 厚労省が「月8000円の室料徴収」案を示していた特別養護老人ホームなど介護保険施設の多床室利用者に対する室料負担の導入は明記されなかった。


 厚労省は、次回12月5日の介護給付費分科会で取りまとめを行いたいとしており、介護報酬をめぐる攻防はいよいよ大詰めである。
 このままとりまとめさせてはならない。今こそ、声を厚労省にぶつけよう!
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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