2011/12/06 Tue
 社会保障審議会介護給付費分科会が12月5日に「審議経過報告」を了承したとの報道。
 12月に予定されていた15日と28日の分科会日程はどうなるのであろうか。あまりにも拙速な審議ではないか。まともな議論もせず、徹底的に介護現場と当事者(利用者家族)を無視した取りまとめである。

CBニュースより
12年度介護報酬改定の審議報告案を了承- 介護給付費分科会

 社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)は5日、厚生労働省が示した「2012年度介護報酬改定に関する審議報告案」を、分科会の取りまとめとすることを了承した。11月24日の前回会合で示された素案を修正したもので、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)のオペレーター要件などが追記・変更されている。
■24時間訪問サービスのオペレーター要件を修正
 5日に改めて示された取りまとめ案では、12年4月に新設される24時間訪問サービスのオペレーターの任用要件について、「夜間対応型訪問介護と同様の有資格者を配置することとした上で、地域の実情に応じて人材確保が可能となるよう訪問介護事業所で3年以上サービス提供者として従事した者を一定程度認める」を、▽夜間対応型訪問介護と同様の有資格者を1人以上配置▽夜間対応型訪問介護と同様の有資格者が配置されていない時間帯については、訪問介護のサービス提供責任者として3年以上の経験がある人の配置を認める―などに修正した。
■特養の報酬「ユニット、従来個室、多床室の順に」
 特別養護老人ホームについては、ユニット型個室の整備促進を図るため、▽ユニット型個室、従来型個室、多床室の順となるように報酬水準を適正化する方向とする▽ユニット型個室の第3段階の利用者負担を軽減することを検討-を追記。また、12年4月1日より前に設置された多床室については、「当面、新設のものと比して報酬設定の際に配慮した取扱いとする」という条件も付け加えられた。介護療養型医療施設については、適切に評価するとした上で、認知症が悪化し、在宅での対応が難しくなった場合の受け入れは「評価を行う」としている。
■事務所と同一建物への訪問の評価を適正化
 集合住宅などに併設された訪問系サービス事業所が、同じ建物内の住人にサービスを提供する場合については、「当該住宅などに居住する一定数以上の利用者に対し、サービスを提供する場合の評価を適正化する」とする文言も追加。小規模多機能型居宅介護についても、同様の見直しを行うとする一文も加えられた。また、一定割合の空きベッドを確保している短期入所系サービスへの評価については、「常時空床がある事業所については算定しない仕組みとするなど、必要な要件を設定する」が追加された。
■処遇改善の継続案「必要な対応、やむを得ない」
 介護職員処遇改善交付金の終了に伴う処遇改善の継続案を加算で実現するとした素案に委員からの反発が大きかったことから、文言を修正。介護報酬内で「必要な対応を講ずることはやむを得ない」とした。また、「(必要な対応は)介護職員処遇改善交付金相当分を介護報酬に円滑に移行するために、例外的かつ経過的な取扱いとして設けるもの」と追記した。


 分科会の中で、唯一 当事者の立場で奮闘した認知症の人と家族の会の勝田さんからは、怒りを込めた「再び介護保険が危ない」のメッセージが届いた。
そのとおりである。


再び、介護保険が危ない!
 介護保険部会、介護給付費分科会の審議を通しての見解2011年12月5日
公益社団法人 認知症の人と家族の会

「家族の会」は昨年12月、介護保険部会の「制度の見直しに関する意見」に対して、「介護保険が危ない!」と題する見解を明らかにしました。その内容は、同部会が両論併記という形を取りながらも、介護サービスの充実なしに利用者の負担だけが増える方向を示唆することに対する警鐘でした。具体的には、①要支援・軽度の要介護の者の生活支援を給付の対象からはずす、②要支援・軽度の要介護の者の利用者負担割合を2割に引き上げる、③ケアプランの作成に利用者負担を導入する、④一定の所得がある人の利用者負担割合を2割に引き上げる、の4点についてでした。
その後、法改正が行われ、①については、介護予防・日常生活支援総合事業が新設されましたが、「家族の会」は、利用者が選択できるように要望しています。しかし、②、③、④については、実施はされなくなったものと思っていました。
しかるに、今年10月から急遽再開された同部会では、「社会保障・税一体改革における介護分野の見直し」として議論がされましたが、そこに出された「論点」も「まとめ」も昨年の再現のようでした。

「家族の会」は、この経過を踏まえて、あらためて今日時点で次の点を要望するとともに、見解を表明するものです。
1 介護保険法改正に伴う、介護予防・日常生活支援総合事業の利用については、利用者が選択できるものとすること
2 定期巡回・随時対応型サービスを新設後も、認知症の人に有効に対応するため従来の滞在型も強化すること
3 従事者の処遇改善は、利用者の負担を増やすことなく行うこと。そのため処遇改善交付金は一般財源で継続すること
4 総報酬割、給付に応じた自己負担割合、ケアプランの利用者負担、一定以上の所得者の負担、多床室利用者の負担、補足給付の資産の勘案など、利用者・被保険者の負担増につながる事項が目白押しであるが、これ以上負担が増えれば「高福祉応分の負担」の限界を超えるものとなり、認めることはできない。
5 サービス提供体制の効率化・重点化として、要支援者への給付の検証なども記載されているが、自立支援の名目で認知症の人に対する給付が削減されることなどがあってはならない。

東日本大震災、福島原発事故などの被害に加え、家族人数の減少、老老介護などの進行による家族の介護力の低下、雇用状況の悪化などによる家計の不安定化など、認知症の人も介護する家族も暮らしてゆくことそのものが困難に直面しています。困難な境遇に陥ることに対し大きな不安があっては、人は安心して暮らすことができません。困難の度が増すほど負担が増える制度の下で、どうして安心して暮らすことができるでしょうか。不安をできるだけ少なくし、また解消する役目を果たせない介護保険制度であっては、保険の意味を成しません。
このような時期こそ、「家族の会」の「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書」(2011.4.13厚生労働大臣に申入れ)の内容が実現されることを求めるものです。
                                   
以 上
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索