2012/01/26 Thu
 1月25日、社保審・介護給付費分科会で諮問・答申された2012年度報酬改定案。

 私なりの批判 連載3回目。


 訪問介護


 これまで、「1時間」を基本的な区分とされてきた生活援助を、「45分」の区分とした。報酬審議の中では一切でていなかったが「20分以上45分未満」が基本的な区分とされ、身体介護と組み合わせるときは20分、45分、70分の区分とされた。
 
 
 生活援助
                            20分以上45分未満 190単位/回 
 30分以上60分未満 229単位/回       
 60分以上 291単位/回            ⇒ 45分以上 235単位/回


身体介護に引き続き生活援助を行う場合の時間区分の見直しを行う。
30分以上 83単位/回         ⇒ 20分以上 70単位/回
60分以上 166単位/回         ⇒ 45分以上 140単位/回
90分以上 249単位/回         ⇒ 70分以上 210単位/回


単位数も、それにともない大幅に減少した。

「45分未満」では、現行の60分未満とくらべ39単位も減少、「45分以上」は235単位しかなく、現行の60分以上と比べると56単位も少ない。 せいぜい70分程度のサービス時間分しかない単位数である。
 身体介護に引き続き生活援助を行う場合の時間区分で明らかなように、生活援助はせいぜい「70分程度」が事実上サービス提供の相場となってしまう可能性がある。

 この時間縮小を口実とした単位切り下げにより、事業所は大幅な減収となり、ヘルパーもいっそうの短時間に多数訪問を余儀なくされることになる。

 厚生労働省は、もっともらしく
生活援助の時間区分について、サービスの提供実態を踏まえるとともに、限られた人材の効果的活用を図り、より多くの利用者に対し、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から時間区分の見直しを行う。
 などと改定理由をならべているが、まさにとってつけた理屈であり、利用者は必要なサービスは受けられなくなり、ヘルパーも賃金ダウン、多忙化するだけである。

 まさに、生活援助切り捨てのための 改定である

 介護予防訪問介護は、理由なき不当な切り下げである

 介護予防訪問介護については、サービスの提供実態を踏まえるとともに、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、利用者の自立を促すサービスを重点的かつ効果的に提供する観点から見直しを行う。
介護予防訪問介護費(Ⅰ) 1,234単位/月 ⇒ 1,220単位/月
介護予防訪問介護費(Ⅱ) 2,468単位/月 ⇒ 2,440単位/月
介護予防訪問介護費(Ⅲ) 4,010単位/月 ⇒ 3,870単位/月


 そして、今回、親切された 「20分未満」の身体介護は、複雑怪奇である。

 身体介護の時間区分について、1日複数回の短時間訪問により中重度の在宅利用者の生活を総合的に支援する観点から、新たに20分未満の時間区分を創設する。
            (新規) 20分未満 170単位/回
30分未満 254単位/回 ⇒ 20分以上30分未満 254単位/回
60分以上 291単位/回
 


 20分未満の身体介護については、現場は一定のニーズがあったのであながち不当な改定とはいえない。しかし、問題はその算定の要件である。
 
 ①夜間・深夜・早朝(午後6時から午前8時まで)に行われる身体介護であること。

 とされている。午後6時から翌朝の午前8時までは20分未満の短時間ニーズに対応して身体介護を行っても算定可である。

 ところが、日中(午前8時から午後6時まで)は多くの「要件」がつけられた。

 ②日中(午前8時から午後6時まで)に行われる場合は、以下のとおり。
<利用対象者>
・要介護3から要介護5までの者であり、障害高齢者の日常生活自立度ランクBからC
までの者であること。
・当該利用者に係るサービス担当者会議(サービス提供責任者が出席するものに限る。)
が3月に1回以上開催されており、当該会議において、1週間に5日以上の20分
未満の身体介護が必要であると認められた者であること。
<体制要件>
・午後10時から午前6時までを除く時間帯を営業日及び営業時間として定めている
こと。
・常時、利用者等からの連絡に対応できる体制であること。
・次のいずれかに該当すること。
ア 定期巡回・随時対応サービスの指定を併せて受け、一体的に事業を実施している。
イ 定期巡回・随時対応サービスの指定を受けていないが、実施の意思があり、実施
に関する計画を策定している。


 対象者は要介護3の中重度者に限定し、事業所の「体制要件」をつけた。これらは何も日中も短時間身体介護と直接関係のないものばかりである。厚労省の本音は、一番最後の「定期巡回・随時対応サービス」のところにある。もともと、この20分以下の身体介護の新設については、厚労省は「定期巡回・随時対応サービスをりようすればよい」と否定的であったのが、審議過程で委員から求められて新設に至った経過がある。そのため、日中に提供しようとすれば、定期巡回・随時対応サービスの指定を受けるか「指定を受けていないが、実施の意思があり、実施に関する計画を策定している」というヘンテコな体制要件をつけたのである。
 「普通の訪問介護事業所はダメ、定期巡回・随時対応サービスをめざす事業所にだけ認めてあげますよ」ということである。
 定期巡回・随時対応サービスを普及させたいがためのイヤガラセのような要件である。



 現場の必要性よりも政策的意図を優先させた改定である

 「自立支援型のサービスの提供を促進」を名目に「生活機能向上」のためと称してあらたな生活機能向上加算が新設された。訪問リハビリテーション実施時にサービス提供責任者とリハビリテーション専門職が、同時に利用者宅を訪問し、両者の共同による訪問介護計画を作成することが要件であるが、月にたった100単位である

生活機能向上連携加算(新規) ⇒ 100単位/月

 あとは、減算ばかりである。

2級訪問介護員のサービス提供責任者配置減算
 サービス提供責任者配置減算(新規)⇒所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定


 平成25年3月31日までは、経過措置があって、平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合は、当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の資格取得するか、実務者研修介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれるとして都道府県知事に届け出ている場合に、本減算は適用されない とされている。
 
 事業所はいまでも確保が困難なサービス提供責任者の配置に苦労することになる。

 さらに、指定基準の見直しでは、
 サービス提供責任者の配置について、
・常勤の訪問介護員等のうち、利用者(前3月の平均値(新規指定の場合は推定数))が40人又はその端数を増す毎に1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこと(平成25年3月末までは従前の配置で可)。 

 とされており、「利用者40人に一人」とされるので、事業所によっては増員の必要がでてくるところもあろう。


また、「同一建物訪問減算」もりこまれた。

同一建物に対する減算(新規)⇒ 所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定
 利用者が居住する住宅と同一の建物に所在する事業所であって、当該住宅に居住する利用者に対して、前年度の月平均で30人以上にサービス提供を行った場合、10%減算となる。しかし(当該住宅に居住する利用者に行ったサービスに対してのみ減算とされており、また、近くでも別建物であれば対象にならない可能性があり、囲い込み防止というよりも、一定の減算と引き換えに「囲い込みサービス合法化」に道を開くことになりかねない。

 (つづく)
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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