2012/03/18 Sun
「ついに厚労省もここまで落ちたか」
 
 読んで率直な感想は、落胆、そして軽蔑の念である。


平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(平成24 年3 月16 日)

問10 生活援助における「買い物」サービスについて、利用者宅に訪問する
ための移動中に商品を購入することは可能か。
(答)
訪問介護においては、居宅において提供されるサービスとして位置付け
られており、生活援助における「買い物」サービスを行う場合、訪問介護
員等は利用者の自宅に立ち寄ってから、購入すべき食品又は日用品等を利
用者に確認し、店舗に向かうこととしてきたが、前回訪問時あるいは事前
の電話等により利用者から購入すべき商品を確認した上で、事業所等から
店舗に向い、商品を購入後、利用者の居宅に向かうことができるものとす
る。
なお、この場合の訪問介護の所要時間については、店舗での買い物に要
する標準的な時間及び利用者の居宅における訪問介護に要する標準的な時
間を合算したものとすること。


 訪問介護の生活援助の「時間短縮策」として、厚労省が「買い物の弾力化」を言い出したのは2月15日の介護報酬改定レクチャーの席上であった。
 
厚労省老健局振興課「これまで60分でやってきたものを見直すのは難しいが…買物についても、利用者の自宅に行ってから買物に行くというこれまでの運用について弾力化できないか、検討している」

「買い物の弾力化とはどのようなことを検討しているのか」

厚労省老健局振興課「買物は立地で条件が変わってくるので、運用を弾力化できないか検討している。前回訪問時に買うべき商品を確認して…。これ以上は言えないので『運用の弾力化』ということでお許しいただきたい」

 これが、2月15日のやり取りであった。まさか、訪問前買物のようなアホなことを厚労省が時間短縮策で本気で考えているとは思わなかった。

 そして3月8日のレクチャーの事前質問では、私たちは
「③前回の説明で『検討している』とされた『買物の運用の弾力化』については、利用者訪問前にヘルパーの自己責任でサービスの補完を行うことに繋がりかねない危険があるが、厚労省としてこの点をどう考えるか」 
 として、安易な弾力化をやめるよう指摘した。

厚労省老健局振興課は「前回 買物の運用の弾力化 についてどういったことにするか 検討したいとしたが、基本的には指定訪問介護の一環として行うものになりますから、ヘルパーの自己責任というものにはならない。あくまでも居宅サービス計画、訪問介護計画に位置付けられたものである。その際に不合理なものがあれば弾力化も検討させていただくという趣旨のものであります。」と返答していた。

 しかし、出てきたQ&Aが これである。厚労省は私の指摘に対し、「店舗の買物時間を居宅における訪問介護時間に合算するから、ヘルパーの自己責任でなく給付対象である」と言いたいのだろう。

 しかし、訪問介護の生活援助は家政婦の家事代行とは根本的に異なるはずである。
 「頼まれたものを買ってくる」という 「お使い」であれば、前回訪問時でも電話でも買物内容を聞けばいいであろう。

 しかし、ヘルパーは まず利用者の居宅を訪問し、ようすを観察し、買物についても、一緒に冷蔵庫の中を確認したり、献立を相談したり という 生活意欲を引き出す 自立支援の要素があることが多い。
 生活援助の対象者が独居の利用者が多いことを考えればなおさらこのことは重要である。また、認知症高齢者の場合、買物を依頼したことを忘れている方や、購入品の内容や釣銭など、一つ間違えばトラブルになりかねない。

 厚労省が介護保険スタート当時に出した通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計10号)では、
 生活援助の提供に前後して、
 2-0 サービス準備等
  サービス準備は、生活援助サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であり、状況に応じて以下のよ  うなサービスを行うものである。
 2-0-1 健康チェック  利用者の安否確認、顔色等のチェック
 2-0-2 環境整備  換気、室温・日あたりの調整等
 2-0-3 相談援助、情報収集・提供
 2-0-4 サービスの提供後の記録等

 ホームヘルプの一連の行為が列挙してある。
 その上で、

 2-6 買い物・薬の受け取り
 ○日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
 ○薬の受け取り


 と買物サービスがつづくのである。

 12年前に厚労省が出した通知の趣旨を自ら踏みにじるのが今回の買物弾力化Q&Aである。
 「買い物」という行為だけを取り出し、単に「前回訪問時」や「電話」だけで御用聞きすれば「合理的」などという発想は、ホームヘルプサービスを 厚労省自ら「家政婦化」するものである。
 この発想でいけば、介護保険で提供しなくても「宅配サービスの方が合理的」となり、それこそ、調理は 「配食サービスで」「洗濯は洗濯屋の集配サービスで」と 生活援助をバラバラにして商品化し、介護保険の対象外にしていくことにつながる。

 まさに 生活援助の時間区分の45分の狙いはここにある。安易な短時間化 弾力化は生活援助切り捨ての第1歩であり、危険である。



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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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