2012/03/30 Fri
 「財政危機」の大阪府泉佐野市。市長をはじめ特別職の給与カット、退職金の廃止、職員給与のカット、議会議員の報酬のカットなど経費削減が相次いでいる。最近は、新たな歳入確保を目的に「自治体名」の命名権(ネーミングライツ)などの売却方針を打ち出したことでマスコミの注目を集めているが、3月の市議会の争点はむしろ別ににあった。
 市長が介護保険料の「据え置き」を条例提案したのである。

 泉佐野市は、大阪府内で唯一第4期介護保険財政が赤字となり、大阪府財政安定化基金から借り入れを行う。昨年11月に厚労省に報告した第5期介護保険料の基準額の見込額でも月額4812円→5848円とべらぼうな引き上げであった。大阪市と並んで大阪府内でトップ水準であった。

 昨年12月市議会で、共産党の議員が、一般会計の繰入で保険料軽減を求めたが、市当局は、「一般会会計からの繰り入れについては、保険制度という基本的なところで、非常に制度的な問題があります」と否定的な答弁を行いながらも「保険料は、何らかの手法を検討しながら、引き上げずに据え置きたいと考えています」と答えていた。

 そして、今年2月、泉佐野市長は、介護保険料を現行のまま据え置く条例案を提案。

 私たち「介護保険料に怒る一揆の会」からすれば、「大歓迎・大英断」と評価したいところであるが、一般会計繰入れという財源確保なしの据え置きという 致命的欠陥をもっていた。

 このため、3月15日の市議会厚生文教委員会では、共産党など3人が据え置き条例に賛成したものの、公明党などが4人が反対、少数否決された。
 さらに3月19日予算特別委員会では、介護保険料据え置きの介護保険特別会計予算案が、裁決の結果賛成2、反対6で否決。
 3月27日の市議会本会議では、介護保険料据え置き条例・介護保険特別会計予算案は、いずれも賛成5、反対11人で否決されてしまった。
 そして、28日に最終本会議では、公明党など4会派が提案した介護保険料引き上げ条例案が、17人中、賛成10、退席1で可決成立してしまった。

 泉佐野市介護保険課に電話で聞くと
    基準額 現行 4812円 → 5578円 
 の引き上げで、この額は、2月に介護保険運営協議会が出した額であるという。

 破たん寸前の市財政危機と介護保険財政赤字の中で、「介護保険料据え置き」を打ち出した泉佐野市の千代松大耕市長の提案そのものは、評価できるし、これを否決し、葬り去った市議会の多数派の「反市民的」な介護保険料引き上げ条例の可決は 許せない。

 一般会計繰入れという財源的裏付けを持たない無展望な提案であったとはいえ、6~8億円の財源不足を見込ながら「介護保険料据え置き」を提案したこの泉佐野市でのできごとは、大きな問題提起であろう。

 とくに、5000円を超える高額な介護保険料を平気で議会提案し、議員も形ばかりの反対はあってもさしたる抵抗も市民運動もなくやすやすと引き上げ条例可決を許しているところが多い中で、衝撃的である。

 比較的安定した自治体財政と黒字の介護保険財政でありながら、大幅な介護保険料引き上げを行った自治体は、泉佐野市での事態を直視すべきであろう。

 


 
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Category: 介護保険料
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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