2012/04/08 Sun
 介護報酬改定のヘルパー生活援助45分問題で、「しんぶん赤旗」暮らし家庭欄 に4月4日・7日の2回に分けて掲載された記事の原稿。


 どうなる生活援助―4月からの介護報酬改定で―
 この4月から介護報酬が改定されました。大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)には、改定に関連したさまざまな質問が寄せられています。大阪社保協の介護保険対策委員、日下部雅喜さんから、改定にともなって、ヘルパーの訪問介護による生活援助はどうなるのか寄稿してもらいました。

 厚労省、時間も報酬も削減 サービス短縮の動き急
「介護保険改正でヘルパーの訪問は45分以内になりました」-こんなことがあちこちで言われ、ヘルパーの援助で暮らしているお年寄りもびっくりさせました。
 「とても無理」と現場のヘルパー
 介護報酬の改定で、これまで「1時間」で区切られてきたヘルパーの生活援助(掃除、洗濯、調理、買物など家事支援)が、「45分」とされました。介護報酬も大幅に切り下げられ、45分未満では1,900円(1単位10円で計算。以下同じ)、45分以上でも2,350円で打ち止めとなりました。(表参照)

表)訪問介護(ホームヘルプ)の生活援助の介護報酬改定
    (3月まで)              (4月改定)
30分~60分  2,190円  →  20分~45分  1,900円
60分以上    2,910円  →   45分以上   2,350円
     ※1単位10円で計算(地域によって1単位10円~11.26円)

 
「今でも訪問で掃除や調理、買物で1時間半でも足りないのに、とても無理」と現場のヘルパーは言います。ある利用者は「自分できないことを週1回のヘルパーさんにやってもらい、残りを毎日必死の思いで暮らしているのに、これからは1時間以上できないと言われた」と悔し涙をうかべました。

 厚生労働省は、報酬改定の審議の中では、「洗濯は平均16.6分」などというデータを出し、「短時間で提供が可能」などと説明していました。今年1月、厚生労働省の審議会で介護報酬改定案が答申され、ヘルパーの生活援助の時間区分が45分にされることが明らかになると、全国から厚生労働省に苦情や問い合わせが寄せられました。こうした関係者の反対の声や運動の広がりに対し、厚労省は「45分以内しかできないというのは誤解」「介護報酬上の時間区分を変えただけで、いままでどおりの時間サービス提供できる」と言い訳に回るようになりました。厚労省が2月23日に開いた全国担当課長会議では、「利用者の意向等を踏まえずに、新たな時間区分に適合させることを強いるものであってはならない」とし、こうした趣旨について周知徹底するように指示しました。

 時間区分変えず 周知徹底もせず
 しかし、介護報酬の時間区分の45分はそのままで報酬額も大幅に下がっていることからヘルパー事業所は、1時間以上のサービスを避けるようになり、要支援の方へのヘルパーの訪問時間までも短縮する動きが急速に広がっています。厚労省が「これまでどおりの時間提供できる」とした説明も、多くの自治体は利用者や事業者に周知せず、ヘルパーの生活時間の強引な切り下げを放置することになったのです。

 「これまでどおりできる」指導する自治体も
 介護報酬改定実施を目前にした3月、ケアマネジャーやホープヘルパーの事業所では、4月からの生活援助のサービス時間をどうするかが問題になりました。一部には「経営上の事情」を優先させて、強引に時間を削る事業所も出ています。
 厚労省は、「45分では生活援助はできない」という現場からの声を受けて、3月16日付けで「介護報酬改定に関するQ&A」を出しました。
 その中では、「適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、見直し以前に提供されていた60 分程度のサービスや90 分程度のサービスを45分以上の生活援助として位置付け、見直し後も継続して提供することは可能である。」と明記しました。また、要支援の方へのホームヘルプサービスの提供時間については「今回の改定において変更はない」とし「サービスの提供に一律に上限を設けること」について「不適切」としています。
 これを受けて川崎市や広島市では、生活援助の時間について、不適切なサービス時間短縮について「指導の対象となります」とした指導通知を出しています。

 これらは、関係者の「生活援助時間を削るな」の声により、行政が動かざるを得なかったことを示しています。しかし、多くの自治体ではこのような周知・指導は行われず、介護報酬の時間区分の45分への短縮により、ヘルパーの生活援助時間が削られています。
 今後、厚労省Q&Aを踏まえて、各自治体に「これまでどおりの時間提供できる」という責任ある指導を行わせることが重要です。そして、何よりも、時間短縮の原因となっている不当な介護報酬の時間区分切り下げを撤回させ、利用者に必要なサービス時間を確保できるために、事業者・ヘルパー・ケアマネジャーと利用者・家族が手を携えて国に向けて運動していくことが大切です。

 【資料】自治体の「指導通知」
川崎市の介護保険課長通知(3月12日)
「例えば事業所側の規定により一律に60分を超える場合には自費徴収を行うとする等の取扱いは認められません。このようなケースは、発見次第指導・監査の対象となります」
広島市の介護保険課長通知(3月22日)
「一律に45分未満のサービス提供へ変更している、との苦情を受けております。このような、利用者等の意向を踏まえない対応は不適切であり、指導の対象となります。」
「介護予防訪問介護のサービス提供時間は、今回の改定において変更はありません。 これまでと同様1回のサービス提供時間に一律に上限を設けることは不適切であり、指導の対象となります。」



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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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