2012/04/14 Sat
 4月13日の大阪社保協「緊急介護報酬学習会」。

 急な企画だったが、150人の参加者で会場いっぱいになった。

 私のテーマは「報酬改定の問題点と 利用者本位の対応~訪問介護・通所介護を中心に」というもので、これに居宅介護支援も加えて、95分でお話させていただいた。

 もっとも中心に話したのは「訪問介護の時間区分問題」。

 厚労省が突如打ち出し強行した「45分」の時間区分変更。その狙いは
①報酬の切り下げ
②サービスの短時間化
③生活援助の否定への第一歩
④定期巡回サービスに重点
 介護報酬上で事業者を誘導し、この4つの実現を図ることが本当の狙い 

であることは間違いない。

その厚労省が、2月以降は、言い方を「変化」させている。

「これまでどおりの時間可能」「45分は誤解」といったトーンである。2月23日の全国課長会議資料や3月16日のQ&Aもすべてこの内容である。

 とくに3月16日のQ&Aでは「この見直しにより、これまで提供されてきたサービスを利用者の意向等を踏まえずに、新たな時間区分に適合させることを強いるものであってはならず、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、見直し以前に提供されていた60分程度のサービスや90分程度のサービスを45 分以上の生活援助として位置付け、見直し後も継続して提供することは可能
 
 と「90分も可能」と明記した。


 これをどう見て どう対応するか。

 第一は、厚労省の現場実態無視の時間短縮策が破たんしたことである。言いかえれば厚労省の論拠が崩れたこと、そして全国からの抗議と怒り、私たちの声が厚労省を追い詰めていることである。これは、時間短縮させないために「活用」できる側面でもある。
 しかし、第二に、問題点として、口先だけの言い訳と責任逃れにとどまっていることである。自ら打ち出し報酬を切り下げた時間短縮策を、「事業者の誤解」のせいにするという責任逃れである。そして何よりも、報酬区分の45分は撤回も修正もされていないので、現実問題として長時間の提供が困難になっていることである。

 今後の課題として重要になるのは、厚労省説明の「活用」できる部分は徹底して活用し、介護現場での時間短縮による利用者サービス削減をできるかぎりくいとめることである。
 そのためには、各都道府県、自治体が、「これまでどおり時間提供できる」「利用者の意向を無視した短縮はしてはならない」との「周知徹底通知」を行うことである。

 60分程度の生活援助については、これで、事実上短縮を跳ね返すことが可能であろう。

 問題は「90分程度」の扱いである。

 学習会の参加者からも「これまでどおり90分可能」との話には、多くのケアマネジャー、サービス提供責任者からは「報酬が下がっているのにそんなにムリ」と言いたげな表情であった。

 ここからは、国に向けての「報酬切り下げを撤回し、90分サービスが事業者の一方的負担でなく提供できるようにせよ」という「運動課題」と、90分サービスが必要な利用者のサービス時間をどうするか という「対応課題」が絡んでくる。

 私の結論は
 
 少なくとも事業所として一律に「90分はしない」ということを方針化するのはやめるべきである。これは厚労省Q&Aからも明らかである。

 報酬改定を機会に利用者と今後の提供時間を相談するのは必要であろう、その場合、やはり90分程度は必要な利用者にどう対応するか。
 どうしても必要な方には、90分程度提供する という「決断」があってしかるべきだと思う。個々の利用者ごとに「収支」を勘定するのでなく、事業所全体として収支が均衡すればよいのである。

 こうした「利用者本位」の姿勢が根底にあってこそ、社会に対し「ホームヘルプサービスの短時間化反対」と訴え、国に対し「必要な時間提供できる介護報酬にせよ」と要求することができる。

 報酬改定を受けて、先を争うように、時間短縮に走るのでなく、必要な時間は、引き続き提供する、という基本姿勢を明確にして 現実に可能な対応をすること、その上で事業者経営を考えることが大切であろう。


 と、いうような趣旨の話を 私はしたが、学習会参加者からは、一応拍手はあったが、反応はいまひとつ。


 しかし、学習会の後半、「利用者の家族」であり「しんぶん赤旗の記者」でもあるというの両方の立場の方からの発言は、説得力があった。

 遠距離介護していた母親を3月に亡くしたばかりという彼女の発言。

 残された認知症の一人暮らしの父親の生活は、毎日のヘルパーの訪問で成り立っている。にもかかわらず、事業者は4月以降 「これまでの60分を45分に、90分を70分に 短縮する」と言ってきている。

 「父親は認知症だが、ヘルパーといろいろな話をするのが社会との唯一の接点。デイはかごの鳥になるいようで行きたくない、と拒否しているが、毎日来るいろいろなヘルパーと話をすることが父親の生きがいにさえなっている。時間短縮は この貴重な貴重な時間を奪ってしまう

 彼女自身が、記者として取材してきた、厚労省の時間短縮案のエビデンスとなった研究内容のずさんさと合わせて話された この発言には、ケアマネジャー、サービス提供責任者も 共感の拍手であった。

 やはり、「利用者」である。これを二の次にして対応してはならない。 
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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