2012/08/31 Fri
 大阪府の介護保険の指導監査のデタラメが招いた事件である。

 ケアマネ公務災害裁判 焦点は「不正関与疑惑」

 大阪府の公表資料「平成18年度指定取消等事業者一覧」によると

 「有限会社はるか在宅サービス」が運営する訪問介護事業所「はるか在宅サービス」が、実際には提供していないサービスについて「不正に報酬を請求した」として、平成18年11月9日指定を取り消され、約65万円の返還を命じたとある。
 しかし、同じ有限会社が併設していた居宅介護支援事業所については、同年4月1日に事業所廃止のため指定取消処分はなかった。

 今回、大阪府が、裁判所の調査に対し、当時大阪府が「調査対象」したのは、訪問介護とともに「立入検査時には既に廃止されていた指定居宅介護支援事業所にかかる運営状況及び報酬請求全般である」と回答している。

 Kさんが「不正関与」を疑われたのは、この居宅介護支援事業所にパートとして勤務していたためである。当時Kさんは、堺市で週3日の非常勤の認定調査員として働いていたため、この事業所では「常勤」として勤務することは不可能であった。ところが、同社は、Kさんを唯一の「常勤ケアマネジャー」として2004年6月に大阪府に指定申請し、指定をうけたのである。居宅介護支援事業所は「1人以上の常勤」ケアマネジャーの配置が指定基準であり、基準違反のまま指定を受けたのである。

 大阪府に提出された指定申請書には、Kさんが1日8時間、月~金の週5日間、9:00~18:00勤務する「勤務体制・勤務形態一覧表」が添付されている。同時期に週3日(月・火・木、9:00~17:15)堺市の区役所で勤務しているKさんが週5日フルタイムで勤務できるわけがなく、完全な虚偽の申請による不正な指定の受領である。したがって、この居宅介護支援事業所が受け取った介護報酬は全てが不当利得であり、本来全額返還+40%の加算金である。

 ところがである。
 当時の大阪府の監査調書によると、「サービス提供を行っていないにも関わらず、居宅介護サービス計画書等を偽造し、介護報酬を不正に請求した」として、1件分のみを不正とし、虚偽の指定申請による不正請求については、全く不問にしているのである。
 
 当時の大阪府監査の関係者(同社取締役)に対する質疑応答記録によると
 
 府の質問)Kさんは、はるか在宅サービスに雇用されるにあたって勤務形態はどのようになっていましたか
 取締役の回答)常勤です。…(中略)…ただし常勤として週3日程度ならいいものだと思っていました。

 府の質問)Kさんは週3日で常勤という認識という発言がありましたが、指定申請書では週5日になっています      がどうお考えですか。
 取締役の回答)当時は人員着基準を理解していなかったので、申請のときにひな型どおりに作成すればいいとい      う認識しか持っていなかったです。(以下略)


 まるで、茶番劇である。「週3日でも常勤と思っていた」としゃあしゃあと開き直り、指定申請書に「週5日勤務」と虚偽の記載をしたことについても「理解していなかった」「ひな型どおり作成すればいいと思っていた」とうそぶく。
 どこの世界に週の半分も勤務しない3日勤務で「常勤」という解釈が成り立つのか。週5日勤務の虚偽の勤務表を作成して指定申請しながら、「理解不足で、ひな型どおり作成した」というような話を信じる人間がいるのか。

 監査の場で、こんな答弁をするだけで通用し、虚偽指定申請を不問にされ、報酬返還もないのであれば、不正などやり得である。
 
 大阪府は訪問介護の架空請求1名分に係る居宅介護支援の架空請求については、不正として返還を命じながら、虚偽の申請による不正な指定受領については、「監査調書」でもまったく問題にしていない。

 Kさんは、パートとして勤務したにもかかわらず、本人が知らない間に勝手に「常勤」として大阪府に届け出られ、本人が作成しないケアプランにも名前を使われたのである。
 
 Kさんは「被害者」である。にもかかわらず、Kさんが、堺市当局から、「不正関与疑惑」をもたれ、事業者指導の仕事を取り上げられ、雇い止め通知までうけたのは、この居宅介護支援事業所の、虚偽指定申請の全容をが解明されていないことに最大の原因がある。

 まともな監査も行わず不問にした大阪府、そして、数百万円にのぼる介護報酬を支払いながらその返還も求めず、たった1件の不正請求摘発で幕を引いた堺市の責任は重大であろう。
 

 
 
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プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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