2012/09/02 Sun
維新・「大阪都」構想の介護保険版 
    「ワン大阪」「グレートリセット」でどうなる 


大阪府が、8月末に「介護保険の広域化に関する研究会報告書」なるものを公表した。もっとも報告書といってもパワーポイントのプレゼン資料17頁だけで、成文化されているわけでない。

 その内容は題名通り、現在「市町村」を保険者として運営されている介護保険制度を、大阪府全体で「一つの保険者」とし、「単一の保険料」で運営しようというものである。案1が「市町村が設立する広域連合が保険者」、案2は「大阪府が保険者」である。広域連合案は現行法で可能だが、府=保険者案は法改正なしにはできない。

 この報告書は、「まとめ」のところで、「国への提言事項案」として、
●市町村との適切な役割分担のもと、「都道府県が保険者となり制度運営を担うことを可能とする案」について検討されたい
 をあげている。

 どうやら、大阪府=保険者が「本命」のようである。

 なぜ今頃「大阪府」なのか。
 これは、橋下・維新の会が強引にすすめ、国政進出で与野党を揺さぶって国会での法改正までこぎつけた「大阪都」構想(法改正では「都」の名称でなく府のままであるが)と密接に関連する。

 報告書では、
府市統合の動き
*大阪府・大阪市にあっては、新たな大都市制度の検討が進められているが、その場合、
 新たに設置される特別区が介護保険の保険者としての役割を担うこととなる。
*超高齢社会を見通し、より強固な財政基盤による運営や高齢者の居住流動に適応できるよう、
 新たな大都市制度における介護保険制度の運営を見直す必要。

 と冒頭で述べている。

 橋下・維新の会のすすめる「大阪都」構想によって、大阪市は解体され、「大阪都」(大阪府)に吸収され、現行大阪市24行政区は8~9の「特別区」に再編されることになっている。この「特別区」は内部団体とはいえ、市町村と同様の基礎自治体の権能を有する。当然、「特別区」は介護保険の保険者となる。

 この「特別区」の権限・財政を渡さず、「大阪都」(大阪府)に一本化するのが、「広域化」である。さらに、保険料上昇にあえぐ大阪府内市町村長も抱き込んで、府内全市町村の保険者機能を「大阪都」(大阪府)に集中させようというのである。
 報告書によれば、「広域化した場合の役割分担案」として
会計等に関わる事務
○特別会計の設置・予算・収入・支出
○費用負担、国・府・市町村負担分の収納
○保険料の収納
○財政安定化基金への貸付申請・借金返済
○統計事務
 
はすべて、大阪府(または広域連合)に一本化され、

 特別区・市町村は
○費用負担
 だけである。

 保険料設定に関する事務
○介護保険事業計画の策定
○保険料の設定、第1号被保険者の保険料率の設定
 
もすべて、大阪府(または広域連合)で決められ、

 特別区・市町村は
*計画策定に協力
(地理的条件、現状の介護サービスの供給体制等を勘案し、
 最適な日常生活圏域設定、今後のサービス量見込について府等に提案。日常生活圏域ニーズ調査の実施等)

 と、完全な下働きである。

 また、市町村・特別区には
○普通徴収(収納事務の私人委託、生保実施機関による直接納付の事務代行)
○特別徴収(対象者の確認・通知等)
○督促・滞納処分

 といった保険料徴収事務はしっかり押し付けられる。

 
 財政・権限を基礎自治体から奪い、「大阪都」(大阪府)に集中させるという、構図であり、地方自治も住民自治もあったものではない。
 まさに、橋下・大阪維新の会の「ワン大阪」「グレートリセット」の介護保険版である。
 
                                     (つづく) 
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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