2012/09/10 Mon
 9月10日午前、ケアマネ公務災害裁判の口頭弁論が大阪地裁であった。

 この裁判は、堺市の介護保険事業者指導室(当時)で、給付費調査員として採用された非常勤ケアマネのKさんが、かつて勤務していた事業所での「不正関与」の濡れ衣を着せられ、仕事取り上げ、解雇(雇い止め)通告などにより不安抑うつ症を発症させられたことを争う裁判である。
 
 詳しい経過は http://ombudsman.blog61.fc2.com/blog-entry-464.html

 原告側は、当時指導監査を担当していた大阪府に対し、裁判所を通じて調査嘱託を行った回答をもとに改めて、原告が不正事件を一切かかわりがないことを明らかにした。

 以下、原告側準備書面抜粋。

1 有限会社はるか介護サービスの不正に原告が関与していないこと
(1)はるかの行っていた不正行為の内容
平成24年8月6日付民事訴訟法第186条に基づく調査嘱託について(回答)(以下,「回答書」という。)の調査事項4によれば,調査の結果明らかとなった有限会社はるか介護サービス(以下,「はるか」という。)の不正行為の内容は,①はるかが運営していた指定訪問介護事業所は,平成17年10月から平成18年1月までの間,利用者1名に係る指定訪問介護について,実際には提供していないサービスを提供したものとして介護給付を不正に請求した,②はるかが同じく運営していた指定居宅介護支援事業所についても,同利用者1名に対し実際には提供していないサービスを提供したものとして介護給付を不正に請求した,というものである。
 すなわち,問題となったはるかの不正行為は,いずれも介護給付を不正に請求したという「不正請求」である。
(2)原告は請求事務に携わっていない
 原告は,平成16年7月から平成17年12月まで,はるかの居宅介護支援事業所において,介護支援専門員として,居宅サービス計画の作成,モニタリング,上記指定訪問介護事業所を含む居宅サービス等の給付管理業務を行っていたが,はるかの指定訪問介護事業所の介護給付費の請求事務には携わっておらず,大阪府による調査でも,原告が請求事務を行っていた事実は確認されていない(回答書・調査事項3)。
 以上のように,原告は,はるかの不正行為の内容となっている「不正請求」の「請求業務」には,そもそも携わっていない。
(3)はるかの管理者が架空請求を行ったことを認めている
 他方で,平成17年10月から平成18年1月までの間,利用者1名に係る指定訪問介護については,元代表取締役で指定訪問介護事業所及び指定居宅介護支援事業所の管理者が架空請求を行ったことについては認めている(回答書・調査事項5)。
(4)小括
 以上のように,本件で問題となったはるかの不正行為は,「不正請求」であり,原告は請求事務に関わっていない一方で,管理者が架空請求を行ったことを認めており,原告がはるかの不正請求に関与していないことは明白である。

2 仮に,大阪府による調査の結果,原告がはるかの不正に関与していなかったことが明確にならなかったとしても,原告が不正に関与したこともまた明確になっていない。にもかかわらず,被告みずから原告に聞き取りをするなどして調査を十分にしないまま,一方的に原告を調査業務から外したものである。

3 プランニングをしていない利用者の分まで給与の対象にするよう指示を受け,その給与を受け取っていたことは,法的にも何ら問題はなく,不正請求とも無関係である
(1)原告は,プランニングをしていない利用者の分まで給与の対象にするよう,はるかの実質的なオーナーであるYから指示を受け,その給与を受け取っていた。
 しかし,以下に述べるとおり,上記事実は法的に何ら問題はなく,不正請求とも無関係な事実である。
(2)はるかのような介護サービスを行う事業者は,訪問介護事業により介護サービスを提供したり,居宅介護支援事業によりケアプランを作成した場合,保険者に対して保険請求を行い,報酬を受領する。かかる報酬と利用者から受領する利用料が事業者の主な収入となる。ここから,事業者は給与を含めた経費を支出することになる。したがって,従業員の給与は,得られた収入から支出をしても事業者に利益が残るように考慮した上で,事業者と従業員の雇用契約により自由に設定されるものであって,給与はかならずしも保険者から得られた報酬と連動しているわけではない。ケアマネージャーの給与についても,ケアプランの作成数に応じた歩合給とするか,固定給とするかは,事業者と従業員の雇用契約により定められる。
 特に,居宅介護支援事業所におけるケアプランの作成は,同一法人の訪問介護事業の利益も上げる結果となることが多く,ケアプラン作成によって保険者から得られる報酬と,法人にもたらされる利益との乖離は顕著である。
(3)原告は,当初はケアプラン作成1件につき6000円の歩合給で就労していたが,はるかの実質的オーナーであったYから,それでは不足だろうから,いくらほしいかと尋ねられた。そこで,原告は,少なくとも月に15万円から20万円はほしいと言ったところ,Yは,その程度の月給になるように,プランニングしていない利用者の分も歩合計算の対象として給与計算の担当者まで報告するよう原告に指示をした。
 このように,原告の給与は,月額20万円弱の固定給に変更となったが,給与計算の便宜上,歩合給の形式を取り続けた。その結果,プランニングしていない利用者の分も歩合計算の対象としていたが,これは前述のように,あくまで事業者内部の給与の支払い形式の問題であって,不正請求とは全く無関係である。
 被告も準備書面で原告がプランニングをしていない利用者の分まで給与の対象にするよう,はるかの実質的なオーナーから指示を受けた事実は指摘しているが,かかる事実とはるかの不正請求との関係については一切主張していない。この点,上記事実がはるかの不正請求に原告が関与したことを疑うにたりる事実であると被告が主張するのであれば,どのような理由から原告の関与を疑うのかについて明確にするよう釈明を強く求める。
 

 堺市に対して「どのような理由で原告の不正関与を疑うのか明確にせよ」という釈明要求に対し、堺市側は次回の弁論で釈明すると答えた。

 裁判はいよいよ山場である。
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プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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