2013/01/23 Wed
 給付適正化指導の業務のために 堺市に非常勤職員として雇用されていたケアマネジャーが、かつて勤務していた事業所での不正関与を一方的に疑われ、仕事取り上げ、解雇通告を受けた上、精神的追い詰められ、不安抑うつ症を発症し、雇い止め解雇された事件。私は、ケアマネ公務災害裁判と名付け、支援してきた。

 今日は、原告本人の尋問があった。

 いまだ不安抑うつ症がなおっておらず、人ごみの中に出ることができないKさんが、勇気を持って 証言台に立ってくれた。

 主尋問、反対尋問、裁判官の尋問と 2時間以上の尋問に耐えて、事件の経過を見事にかたったKさんにまずは拍手である。

 詳細は書くことができないが、彼女が、2006年当時の 介護保険事業者指導で、後にいじめを受けることになる先輩ケアマネと対立した 場面の 証言 が実に リアルだった。

 ホームヘルパーの通院介助の途中での買物介助の妥当性が問題になったという。

 「通院帰りの買物への寄り道なんか介護保険では認められん!報酬返還や」という 先輩に対し

 「車いすの利用者で、狭小な玄関で坂を降りないと門まで出ることができない利用者の住環境を図まで描いて示し『あえて通院の際に買物も介助することとする』と明記されたケアプランを見て、ここまできちんとされていれば不適切といえないのでは」と 意見を述べて対立したという。

 給付適正化調査の場で 事業者の面前で 言い合いになり、その先輩ケアマネから何度も「こんなもん返還や言うてるやろ!」と罵倒されたという。

 この意見対立は、ケアマネジャーとして要介護者の生活に向き合ってきた立場から事業者指導にあたろうとしたKさんと、行政の画一的・機械的解釈で報酬返還を指導しようとした当時の堺市の事業者指導のスタンスの違いの表面化でもあったと思う。

 当時、堺市は「通院帰りの買物は認められない。その時間の介護報酬は返還対象になる」という指導を徹底するようになった。
 しかし、その後2009年4月に大阪府が態度を一転させ、「必要性・合理的理由があるものとして保険者が判断すれば、ケアプランに位置づけ保険給付の対象となる」とした。
 堺市も方針転換を行い、通院帰りの買物を保険給付の対象とするようになった。これは、外出介助は通院目的ならば通院に限定され、途中の立ち寄りは一切認めないとする画一的・機械的な解釈が介護保険利用者の実態に合わないものであったことから当然のことである。

 当時の堺市の給付適正化指導の問題点について、私は次のような指摘をしていた。
「『給付適正化』と称して、利用者にとって必要なサービスまで『不適正』とされ報酬返還(過誤調整)指導される事例もある。また、適正化指導といいながら、事業者に対する説明や指導なしに、実地に調査に入り、報酬返還のみを迫る指導のあり方には多くの事業者が萎縮し、サービス提供にも支障が生じるおそれがある。」(堺市の介護給付費適正化事業の状況(第1次報告)2006年12月  福祉・介護オンブズネットおおさか)

 ケアマネ公務災害裁判は さまざまな問題を投げかけているが、Kさんへの不当な仕事取り上げ、解雇通告など組織ぐるみのパワハラの背景には歪んだ事業者指導があったことも一つの背景である。

 この意味で、この事件はKさん一人の名誉と健康だけの問題でなく、堺市の介護保険行政自体が問われるという性格もある。

 メンタル障害を必死の思いで乗り越えて 裁判、そして今日の証言 と闘い続けた原告Kさんの苦労に報いる裁判結果となるよう期待するばかりである。

 4月10日は最終弁論である。
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プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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