2013/01/24 Thu
 ケアマネ公務災害裁判の内容について、知りたいという声があるので、私が、2012年末に 大阪地方裁判所第5民事部に提出した陳述書を順次紹介します。

陳述書 日下部雅喜  その②

2 事業者指導室の業務の性格とKさんの立場及び役割
 Kさんが勤務していた事業者指導室の状況と業務内容等について述べます。
①介護保険給付適正化事業開始までの経過
 2000年度から介護保険制度がスタートしましたが、介護サービスを利用する人が急増し、介護サービスの費用(介護給付費)が急激に増加しました。
 介護保険は、自治体ごとに3年に一度介護保険事業計画を作成し、介護サービス利用者数の推計を行い、必要な介護給付費を計算し、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)の介護保険料を決定します。堺市では、介護給付費増加のため、2003年度に介護保険料を9.9%引き上げました。当時は、毎年度10%程度の給付費の伸びが続いており、その後も大幅な介護保険料引き上げが懸念されていました。
 一方で、堺市内で事業者による大規模な介護報酬不正請求が2004年2月に発覚したこともあり介護給付の適正化の必要性が指摘されていました。こうした事情から、堺市は2004年12月「給付適正化指導」を開始しました。
②給付適正化指導の内容
堺市では、介護給付費の1%程度は「不正・不適正」な給付として位置づけ、適正化の専門職員による指導・調査を行うこととしていました。
 事業内容は「介護給付費調査員  国保連合会介護給付費適正化システムの活用若しくは通報等により発覚した不適正事業所に対し、立ち入り調査を行う。また、大阪府の実地調査にも同行して調査を行う」というものです。
 事業開始後、Kさんが採用されるまでの経過は以下のとおりです。
  2004年12月  介護保険課内に「介護給付適正化推進チーム設置」
        正職員3人(兼務) 非常勤ケアマネジャー3人 
  04年度実績  調査実施  5事業所  
          返還件数  5事業所
          返還金額  25,130,956円
  05年度実績  調査実施  32事業所
          返還件数  32事業所
          返還金額  54,532,142円
③ 事業者指導室の設置
2006年4月、堺市は、介護保険課から、給付適正化指導の業務を切り離し、新たに「事業者指導室」を設置し、Kさんは、介護給付費調査員として採用・配属されました。
 介護保険課と切り離し、「室」として専門の組織としましたが、不適切介護報酬の返還件数はかえって減少しました。
 事業者指導室 指導Ⅰグループ 給付適正化指導を担当
(正職員2人 非常勤7人) 
 06年度実績   調査実施  110事業所
          返還件数   60事業所
          返還金額   20,449,698円
07年 4月  事業者指導室 改組 指導グループ(正職員4 非常勤6)
 07年度実績  調査件数  101事業所
          返還件数   18事業所
          返還金額   20,658,285円
 2008年4月には、事業者指導室を法人指導担当課に吸収し、「監査指導課事業者指導係」として正職員2のみに縮小しました。堺市の説明では、「不正摘発・給付費返還」というスタンスを改め、「従業者育成支援・事業所運営の質向上」に重点を移すというものです。事業者指導室がおこなっていた、事業所の定期訪問調査の取りやめ、実地調査は通報・苦情等の場合に限定するとのことでした。
④介護給付費調査の業務
 Kさん(介護給付費調査員)の主業務は「給付費実地調査」であり、介護保険事業所を訪問し調査を行うことでした。これまで居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして勤務した知識・経験を活用し介護給付の内容調査を行うことが期待されていました。
 Kさんは、2006年4月配属後、長男の介護のため休暇をとった6月までの間は事業所実地調査に従事していました。

 (つづく)
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プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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