2013/02/10 Sun
京都ヘルパー連絡会がよびかけた「ヘルパー生活援助45分大実験会」に参加しました。

ヘルパーさん、ケアマネさんのほかに、大学教授お二人、新聞記者も二人参加して本格的な実験です。京都と大阪の参加者の大半ですが、遠く愛知県から来られた方もいました。
モデルになる利用者さんは。脳梗塞の後遺症で左側に麻痺がある方です。
4打ち合わせ

ヘルパーの作業状況は、時間記録付のビデオで記録し、各サービス行為ごとにかかった時間を計測します。
部屋の真ん中には 大きな時計もおいて時間を計ります。
1時計

厚生労働省が、2011年10月の社会保障審議会介護給付費分科会に提出した資料。
「生活援助については複数行為を組み合わせて行われることが多いが、一つの行為は15分未満ですむ場合もあり、組み合わせによっては30~40分程度になる。」
と決めつけています。
生活援助時間例

ホンマにこの図のように「調理」が15分、「洗濯」が15分で終わるのか、もし15分で調理したらどんなものができるのか。これを検証するのが今回の大実験の目的です。

 
洗濯 

 厚生労働省は、「ヘルパーの訪問前に、利用者があらかじめ洗濯機のスイッチを入れておけば良い」と説明していました。
そこで、ヘルパーの訪問前に、利用者に洗濯物をまとめて洗濯ネットに入れて運んでもらいました。片麻痺の方でネットに入れるのもネットのファスナーを閉めるのも一苦労です。閉めたと思ったら靴下の片方がポロリ、入れ忘れです。
 転倒しそうになりながら廊下を歩いて洗濯機まで運びました。洗濯機のセットや洗剤と柔軟剤を入れるのは利用者さんを1人ではできません。ヘルパーさんがやって利用者さんにはスイッチだけ押してもらいました。
 ヘルパーの訪問前に業者さんが全部洗濯機をセットするのは無理です。結局ヘルパーの訪問後の時間からカウントすることになります。
 利用者さん 「私、洗濯機に洗い物入れておいてもスイッチなんて入れるの忘れてしまうわ」
6洗濯物ネットいれ



洗濯機は自分でゴトゴトと回っています。この時間は、ヘルパーさんはほかのことができるので、カウントは重複です。
しかし15分では、洗い終わりません。
結局洗濯機は40分ほど回っていました。干す時間を加えると絶対に15分ではできません。しかも乾いた洗濯物を取り込む時間は入れていません。
5お洗濯機は30分たってもまだ回ってる
 どんなに頑張っても 洗濯は15分ではできません。


それでは、訪問介護の現場再現です。
訪問、片付け、買物へ
玄関前ピンポーン。ご挨拶してヘルパーさんが訪問します。
8玄関でこんにちは



利用者さんのお家の台所。洗い物がたまっていました。これを片付けるところからヘルパーの仕事は始まります。
11台所


食材の買物です。まず冷蔵庫の中を一緒に確認。「あれがない、これはある」。利用者さんのペースでは、結構時間がかかります。
7冷蔵庫の中の確認

買ってきて欲しいもの聞き取りながらメモにして確認します。
ヘルパーさん「食材のほかに何かいるものありますか? 」
利用者さん「うーん」としばらく考え込んで「そんなん急に言われてもわからんわ」
10買物注文確認
訪問してから買物に出掛けるのに20分以上かかってしまいました。


買い物は歩いて5分ほどのスーパー。早足で歩きます。
頼まれたゴボウがありません。探し回ったあげく仕方なくごぼうと人参のカットした水煮の袋を買いました。
1買物

買い物の時間は利用者さんの家からスーパーへ行って帰るまででちょうど15分でした。ヘルパーさん大急ぎです。

ただいまー。利用者さんに買ってきたものを確認しておつりを確認します。

 ゴボウがなかったんで代わりに水煮のパックにしたとヘルパーさんが説明すると
 利用者さん「この水煮には保存するためのご合成保存料が入ってるから私は食べられへんの。 ちゃんと生のゴボウを買うてこんと…」。
 買い物は利用者さんの好みやこだわりもありその場で確認しないとトラブルなります。厚生労働省は事前に注文を聞いて訪問前にヘルパーが買い物に立ちよればばいいといますが実際は無理なケースも多いでしょう。
12買物釣銭確認


時間との勝負!調理
 厚生労働省の資料では「調理時間15分」となっていますので15分以内に作ることが目標です。
 献立は野菜の煮物です。大根、ニンジン、小芋と順番に切って次から次えとお鍋に入れていきます。
調理

 利用者さんはこのヘルパーさんに野菜のことや季節のこといろいろ話しかけます。ヘルパーさんは、手も休めず、後ろを振り向かず、受け答えし会話をしています。
「本当は正面を向い相手の顔を見ながらゆっくり様子を伺うのがいいんですがねぇ。」とヘルパーさん。

 15分では時間が不足。下ゆでは早々に切り上げ、味付けを始めます。火がなかなか通りません。最近ヘルパーさんは少しても早く開通りように食材を細かく切るようになったということです。

ヘルパーさん「鍋のふたありませんかー? 」
利用者さん「そんなもんないー。 」
 ヘルパーさんは、皿を鍋に放り込んで落とし蓋に。
3鍋皿のふた

 利用者さんのおうちにきちんとした鍋や包丁がないこともよくあるそうです。
 あるヘルパーさんいわく「包丁が切れへんから、私よくお茶碗の底で包丁を研いだりします。 」

 出来上がった野菜の煮物。湯気がたって美味しそうですが、15分しかかけてないので本当に煮えているか心配です。
15分の煮物

 今回の「調理」では、この1品だけで、ご飯を炊くことも味噌汁をつくることもしていません。

 洗濯、買物、調理の各行為の時間を合計していくと45分どころかこれだけバタバタ急いでも1時間以上は絶対にかかります。
 しかも、今回は掃除が全くありません。これに掃除を加えれば1時間半ぐらいは軽くかかります。

 実験のあとは、できた調理の試食会です。

 あらかじめ、同じヘルパーさんにしっかり時間をかけた野菜の煮物も作っておいてもらいました。 15分で作った煮物としっかり時間をかけたけものと食べ比べてみます。
13料理比べ

 15分の煮物。大根はまだシャキシャキしています。にんじんもまだ硬いままです。特に小芋は完全な生煮え状態、まずくて食べられたものではありません。
 
 「この15分調理の生煮えの煮物、厚生労働省の役人さんに食べてもろたらええ!」と皆さんの声しきりです。

 時間をかけて炊いた煮物は、大根も人参も小芋も柔らかくとろけるような味わいがあります。ダシもきちんととっているためとても薄味で美味しい味わいがあります。


 1週間分(7食)で配送料込みで5,410円の冷凍の宅配サービスも試食しました。1食772円しかもご飯は別という高いものです。
 電子レンジで8分以上かかります。しかもフイルムでしっかり密封してあるため、片まひの利用者さんは自分で
開けることができません。

 厚生労働省のいう「調理15分」とは、ヘルパーがこうした冷凍食品をレンジで加熱したり、湯煎することでを想定しているのでしょうか。
 この冷凍食品は、あじつけはとても濃く、辛いものが多く、これを1週間食べ続けるのは私でもムリです。 (ただし、濃い味なのでお酒のあてにはちょうどいいかもしれません)
2冷凍食品の宅配


 厚生労働省が2011年の10月に社会を省審議会介護給付費分科会に出した資料のデタラメさがこのわずかな半日の実験で実証されました。

 生活援助45分が、利用者とヘルパーになにをもたらしているかが改めて浮き彫りになった「実験」でした。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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