2013/08/03 Sat
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その2 利用者負担増

 国民会議報告書案は、利用者負担について
前略)利用者負担等の見直しが必要である。介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである。その際、介護保険は医療保険と異なり、利用者自身が利用するサービスの量を決定しやすいことなど、医療保険との相違点に留意する必要がある。
 と記述した。

 現行の介護保険の利用者1割負担は、高額介護サービス費を除けばほとんど低所得者軽減制度がない中では、低所得の年金生活者には大きくのしかかり、サービス利用を抑制する結果となっている。これをさらに「一定の所得のある」場合は、引き上げるというのである。この「一定の所得」とはどのようなものなのか。
 かつての介護保険見直しの議論の中では、当初「高所得の利用者負担見直し」でスタートした。ところが、厚生労働省が2010年11月社会保障審議会介護保険部会で示した試算では「合計所得200万円以上の自己負担2割」というものであった。とても「高所得」とはいえない所得を対象としたため、その後は「一定の所得」と言い替えてきた経過がある。後期高齢者医療では「現役並み所得」として「収入383万円以上」は3割負担であるが、国民会議報告書案は「一定の所得」というだけでその水準は一切示していない。また、負担割合についても言及していない。
 国民会議の議論の中で出されていた「医療との整合性」(現役並み3割、70歳~74歳は本則2割)については、報告書案では、「医療保険との相違点に留意」と表現した。機械的な整合性論の立場はとらなかったようだが、介護保険は、「利用者自身が利用するサービス量を決定しやすい」という記述は微妙である。低所得の人は、必要なサービス利用が制約されているというのが実態だが、給付抑制論者から言えば「1割負担にとどめると利用者がサービス量を決めやすい介護保険では給付が抑制できないので引き上げの対象を拡大すべきでだ」という口実にされかねない。

 国民会議報告書案は、引き上げの時期については明記していないが、8月2日の会議後の記者会見で清家篤会長(慶応義塾長)は「少なくとも中長期の話ではない」と述べ、短期的に実行すべきとの考えを示した。

 短期とは、次期介護報酬改定・第6期事業計画期間(2015年度)を意味することは明らかである。

 この負担割合引き上げは、介護保険法「改正」を必要とすることから、今後、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会に検討が引き継がれ、来年1月からの通常国会での法「改正」をめざし、年末までの政府厚労省内での検討が一つの山場となる。
 負担割合の引き上げを阻止するための関係者が一致した運動が求められている。

(つづく)

 
 



スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索