2013/08/03 Sat
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その3 低所得の施設利用者の負担増
 
 国民会議報告書案は、利用者負担割合引き上げに続いて、
施設入所の場合には、世帯の課税状況や課税対象の所得(フロー)を勘案して、利用者負担となる居住費や食費について補足給付により助成を受けることとなっている。その結果、保有する居住用資産や預貯金が保全されることとなる可能性があり、世代内の公平の確保の観点から、補足給付に当たっては資産(ストック)も勘案すべきである。また、低所得と認定する所得や世帯のとらえ方について、遺族年金等の非課税年金や世帯分離された配偶者の所得等を勘案するよう、見直すべきである。
 と書き立てた。

 2005年の介護保険改悪により、それまで保険給付の対象としていた介護保険施設(特養、老健、療養型)利用者と短期入所使用者の食費・部屋代を自己負担とした。しかし、低所得(住民税非課税世帯)の利用者については、軽減措置(補足給付)を行うこととした。
 例えば、食費は、1日3食にで基準額は1380円(実際はこれ以上)が、非課税世帯の利用者は1日3食650円、ひ会税世帯で年金80万円以下であれば390円となる。これによって、低年金者でも施設に入所することができている。

 国民会議報告書案では、低所得であっても「資産」を勘案して軽減の対象外とするべきとしているのである。高齢者が保有しているささやかな自宅、長年かかって蓄えたわずかな老後の備えの預貯金が「保全」されるのがケシカランというのである!
 施設利用者の圧倒的多数は重度の要介護者である。年金も少なく低所得で重度の要介護状態となった人たちに対し、何と冷たい仕打ちであろうか。自宅も売り払い、預貯金も使い果たさないと介護保険施設で暮らすことは許さないという極悪非道な改悪案である。
 もし、補足給付対象から外されれば、特養利用者であっても個室であれば月10数万円の食費・部屋代徴収となり介護サービス利用料と合わせれば15万円程度の自己負担となり、少ない年金では到底負担できない額となる。

 さらに重大なことに、報告書案は、「低所得と認定する所得や世帯のとらえ方」についてかつてない踏み込んだ見解を示していることである。
 現行税制上は、所得の対象とならない遺族年金等について、所得に含めるように提言し、さらに「世帯分離前の配偶者の所得」までその対象にするというのである。特養入所者であれば、夫婦であっても「転居」となり、住民基本台帳上では自動的に別世帯である。また、住所が同一であっても生計が別であれば住民票は別個の世帯となる。これは、憲法が国民に保障した「居住の自由」にかかわることである。これをわざわざ無視し、所得を課題に評価し低所得者の範囲から除外しようとするのは、許しがたい暴挙である。

 これらの改悪内容は、必ずしも介護保険法の規定を変更しないでも厚生労働省令・告示の改定で実施できることを以前厚労省の担当課の職員は認めていた。したがってこの低所得の施設利用者負担増は、場合によっては、介護保険法「改正」前にも強行される可能性もゼロでない。また、見方を変えれば国会で介護保険法「改正」が強行されたとしても、厚生労働省内部での省令・告示や予算案の段階(もっとも遅ければ2015年1月頃まで)までの争点となりうる。
 もっとも困難な人々を情け容赦なく負担増攻撃にターゲットにするこの改悪を許さないため、施設関係者をはじめ多くの人々の共同した反対運動が急務である。

(つづく)
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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