2013/08/03 Sat
8月2日の第19回社会保障制度改革国民会議公表された各論報告書案の中から介護保険制度にかかわる部分を分析してみた。

その4 特養からの軽度者追い出しとデイサービス切り捨て

 国民会議報告書案は、
介護を要する高齢者が増加していく中で、特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、併せて軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保を推進していくことも求められている。
 と決めつけている。

 現在でも、軽度者(要介護1、2)に人は、特養への新規入所は絶望的であるが、さまざまな事情で在宅生活ができない人など10数パーセントの軽度者が入所している。もともと介護保険法は施設サービスを利用する権利(受給権)は要介護1から認めているから当然である。
 国民会議報告書案は、要介護高齢者が増加していくから、もはや軽度者の居場所は特養には与えられない、と一方的に線引きをはかることを宣言している。そして、軽度者については「住まい」の問題として矮小化し、低所得者の住まいが確保できれば特養入所は不要になるかのように決めつけているのである。
 要介護1や要介護2であっても常時見守りや声かけ、介護が必要な高齢者はいくらでも例がある。これらの人々は単に「住まい」さえ与えれば自立生活ができるというものではない。特養の持つ介護環境と常時の介護と相談員などの援助が欠かせない人々を施設から放り出すような改悪は到底認められない。
 
 特養への軽度者利用を排除しようとすれば、場合によっては法改正も必要になるが、省令・告示での対象要件を狭めることや、かつて厚労省が示した、施設利用者の給付のうち居宅の利用限度額超過相当分の負担割合を引き上げるなどさまざまな手法が考えられる。
 どれひとつ具体化させないために、これも2025年4月直前までの粘り強いたたかいが必要になる。何よりも施設関係者が利用者の声なき声を代弁して立ち上がることが求められている。

いわれなきデイサービス切り捨て

 国民会議報告書案は、
また、デイサービスについては、重度化予防に効果のある給付への重点化を図る必要があろう。
 と、とってつけたように、デイサービスに大ナタを振るって切り捨てることを提言している。この前後にはなんの脈略もない。

 それもそのはず、デイサービス(通所介護)については、政府の資料で、「通所介護の給付費が急増し、介護老人保健施設の給付費を抜いた」という、ことだけを問題意識にしているからである。急増するサービスは抑え込むという単純かつ貧困な発想しかない。
 2012年介護報酬改定では集中的に切り下げられたデイサービスであるが、一方で介護者のレスパイトに資するとして長時間化(12時間まで)が図られてきた。また、脱法サービスであるが、行き場のない高齢者を対象に「お泊りデイ」も増加している。
 国民会議の「有識者」たちは、このような実態は全く無視し「重度化予防に効果のある給付への重点化」=重度化予防に効果のないデイサービスは給付削減か対象外 という暴論を書きこんだのである。そもそもデイサービスは通所リハビリテーションと機能は違う。「預かり」「お世話をする」ということが基本的な機能である。これをとってつけたようにいきなり「重度化予防に効果のある給付」に限定するような提言は断じて認められない。

 通所介護(デイサービス)の切り捨てと変質は、2015年度報酬・基準改定まで継続する課題である。ぜひ、デイサービス関係者がこの不当な評価と切り捨て攻撃に対し、利用者家族とともに反対運動に立ち上がっていただきたい。
 2012年度報酬改定では、提供時間で線引きされ、今回は「重度化予防」でふるいにかけられる。地域に必死にニーズにこたえるためがんばってきたデイサービス関係者をこれ以上、政府の好き勝手な施策で翻弄することは許されない。

(つづく) 
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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