2013/08/11 Sun
 目を疑うような判決である。

 91歳の認知症の男性が徘徊し線路内に立ち入り電車と接触し死亡。家族らの安全対策が不十分だったとして、JR東海が遺族らに列車が遅れたことに関する損害賠償を求め訴訟。名古屋地裁は、妻(85歳)と別居の長男に「徘徊防止措置」を怠ったと、請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。

 電車事故にかかる民法上の法的な議論はさておき、介護に関わる立場から言えば、介護者家族をここまで追い詰める損害賠償請求をする会社も会社だが、家族の「監督責任」をここまで求める裁判所には、到底なっとくできない。
 85歳の同居の妻に重度の認知症の夫の「徘徊防止措置」の不適切さを問い、さらに高齢で常時監視ができないなら「介護ヘルパーを依頼せよ」とまで述べたとある。
 どこの介護保険にそんな「常時見守り」をしてくれるようなヘルパーがあるのか。また、別居の長男にまで「事実上の監督者」などと責任を問うている。

 電車に接触し死亡した認知症高齢者の遺族に対し、ここまで追い詰めるJR東海と裁判所。詳細は分からないが記事を読んでいて、血も涙もない「自己責任論」に怒りと悲しみでいっぱいになった。

日経新聞
認知症男性、線路に入り死亡 電車遅れで遺族に損賠命令 2013/8/10 2:12
 認知症の男性(当時91)が線路内に立ち入り電車と接触した死亡事故で、家族らの安全対策が不十分だったとして、JR東海が遺族らに列車が遅れたことに関する損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(上田哲裁判長)は9日、男性の妻と長男に請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。
 判決によると、男性は2007年12月、愛知県大府市のJR共和駅の線路に入り、東海道本線の列車と衝突して死亡。男性は同年の2月に「常に介護が必要」とされる「認知症高齢者自立度4」と診断されていた。
 上田裁判長は、同居していた妻が目を離した隙に男性が外出し、事故が発生したとして「妻には見守りを怠った過失がある」と認定。別居している長男についても「事実上の監督者」とし、「徘徊(はいかい)を防止する適切な措置を講じていなかった」とした。
 男性の家族らは、妻は事故当時85歳で、常時監視することが不可能だったなどと主張。しかし上田裁判長は、介護ヘルパーを依頼するなどの措置をとらなかったと指摘。「男性の介護体制は、介護者が常に目を離さないことが前提となっており、過失の責任は免れない」とした。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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