2013/11/16 Sat
 「要支援外し」を考える ①予防給付廃止方針の「修正」をどう見るか 

 介護保険見直しで最大の焦点となっている「要支援者の保険外し」は、重大な局面を迎えている。
 
 11月14日開かれた社会保障審議会介護保険部会(第52回)で、厚労省はわずか2週間前の前回会議で示していた要支援者に対する介護保険給付(予防給付)の全面廃止方針を「修正」、予防訪問介護と予防通所介護のみを予防給付を廃止し、訪問看護など他のサービスは現状のまま予防給付に残す案を示した。

 当初の予防給付全面廃止案は、介護保険制度の根本的改変であった。認定者のうち「要支援1.2」を保険給付から排除するものであり、現行介護保険法の第4章第4節予防給付第52条―第61条の4)までをごっそり削除するものであった。
 今回の案は、これらの条文は残しつつ、予防訪問介護・予防通所介護に関する規定だけを削除するものであり、当初案から比べれば「予防給付廃止方針の撤回」と言えるものである。
 その意味で、「要支援者の保険外し反対」の声が厚労省を追い詰めた到達点ということはできる。一部には、早くから訪問看護など医療系サービスを保険給付から除外するのは困難だとか、短期入所を外すのは技術的に無理があるとか指摘がああったが、訪問介護・通所介護の2種類のサービス以外をすべて残すことを厚生労働省に「決断」させたことの意味は大きい。

 しかし、予防訪問介護は、利用者59万5千人、予防通所介護は60万7千人にのぼり、介護予防サービス費では、それぞれ23.1%、36.8%を占め6割にあたる。厚労省案では、これをごっそり予防給付から廃止し、地域支援事業で「多様な主体、多様なサービス」へと置き換えるのである。名称も「訪問型サービス」、「通所型サービス」となり、既存の事業所に加えボランティアによる提供まで想定されている。

11月14日の第52回介護保険部会資料から、現時点の厚労省案を見てみよう。

介護予防・生活支援サービス事業の概要
1) 事業の内容: 多様なサービス提供の実現のために、介護予防・生活支援サービス事業として、訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービス(配食・見守り等)を実施。
2) 実施主体: 市町村(事業者への委託、市町村が特定した事業者が事業を実施した費用の支払等)
3)対象者: 要支援者及び介護予防・生活支援サービス事業対象者
 ※要支援者についてはその状態像によっては事業(訪問型サービスや通所型サービス)を利用しつつ、訪問看護などの給付でのサービスも利用可能
4)利用手続き:要支援認定を受けてケアマネジメントに基づきサービスを利用
 ※給付を利用せず、総合事業の生活支援・介護予防サービス事業のみ利用の場合は、基本チェックリスト該当で利用可
5) 事業費の単価: サービスの内容に応じた市町村による単価設定を可能とする。訪問型・通所型サービスについては、現在の訪問介護、通所介護(予防給付)の報酬以下の単価を市町村が設定する仕組みとする。
6) 利用料: 地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた利用料を市町村が設定する。
※従来の給付から移行するサービスの利用料については、要介護者に対する介護給付における利用者負担割合等を勘案しつつ、一定の枠組みのもと、市町村が設定する仕組みを検討。(利用料の下限については要介護者の利用者負担割合を下回らないような仕組みとすることが必要)
7) 事業者:市町村が事業者へ委託する方法に加え、あらかじめ事業者を認定等により特定し、当該市町村の一定のルールの下事業者が事業を実施した場合事後的に費用の支払いを行う枠組みを検討。
8) 限度額管理:利用者個人の限度額管理を実施。利用者が給付と事業を併用する場合には、給付と事業の総額で管理を行うことを可能とすることを検討。
9) ガイドライン:介護保険法に基づき厚生労働大臣が指針を策定し、市町村による事業の円滑な実施を推進。
10) 財源: 1号保険料、2号保険料、国、都道府県、市町村(予防給付と同じ)


(つづく)


 


 
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索