2013/12/21 Sat
社会保障税一体改革の一環として、介護保険見直しを検討してきた厚生労働省は、社会保障審議会介護保険部会で12月20日に「介護保険制度見直しに関する意見」(以下「見直し意見」)をまとめた。
 その内容は、介護保険制度始まって以来の大改悪というべきものである。
要支援者のサービス切捨て
第1に、要介護認定者の3分の1近い約150万人の要支援1、要支援2のホームヘルプ(訪問介護)とデイサービス(通所介護)の保険給付を廃止し、市町村事業(地域支援事業)にしてしまうことである。介護保険料を支払い、要支援1、2と認定されても被保険者の権利である保険給付が受けられないという介護保険制度の根幹にかかわる改悪だ。
厚労省は当初、要支援者サービスの保険給付を全面廃止する案を示していたが、関係者の反対の声の前に、ホームヘルプとデイサービスだけを廃止対象にした。しかし、この二つだけで要支援者のサービス費の6割を占め、その利用者はそれぞれ60万人に上る。市町村事業では、「訪問型サービス」「通所型サービス」とされ、全国統一基準はなくなり、住民ボランティアなどに肩代わりさせ安上がりにすることにされている。さらに、事業者への報酬は「現行単価以下」に下げられる一方、利用料は、要介護者の負担割合を「下回らない」としている。さらに利用者個人の「限度額管理」を行って利用を制限し、自治体の事業費に「上限額」を設けて費用を抑え込むという二重三重のサービス切り捨ての仕組みを作り上げようとしている。「見直し意見」では、「多種多様な事業主体」による重層的なサービスが地域で提供され「支援が必要な高齢者を支える社会を実現する」などとして、この仕組みを全市町村で2017年度末までに、要支援者のホームヘルプとデイサービスを廃止、すべて市町村事業にすると断言している。しかし、大多数の市町村は、住民ボランティアなどの育成の目処はまったく立っておらず、要支援者のサービスの切捨てだけが進行することは明らかである。
特養は要介護3以上に限定
 第2に、特別養護老人ホーム入所者を要介護3以上に限定して要介護1,2の人を入れなくすることである。要介護者は施設サービスを利用する資格(受給資格)があるが、特養ホームから要介護1,2の人を除外するこの改悪は、今後、軽度者を恣意的な線引きにより他の介護サービスから次々と排除していく第一歩になりかねない重大な意味を持っている。
これも、利用者団体などからの反対により、特養以外での生活が「著しく困難な場合」は特例的に入所を認めると「見直し意見」に書き加えたが、要介護2以下の排除の基本は変わっていない。特養入所待機者42万人の3分の1以上の13万人は要介護1.2である(厚労省09年12月資料)が、改悪により、これらの人は特養からシャットアウトされてしまう。政府の誘導により急増している「サービス付き高齢者向け住宅」は、入居一時金、居住費・食費は完全に自己責任の「住宅」であり、提供される「サービス」も格差が激しく、特養に替わることはできない。多くの高齢者が行き場を失い「介護難民」となってしまう結果になる。
少しばかりの所得で負担2倍に
第3に、これまで「1割」であった利用者負担を、所得によって「2割」へと引き上げることである。介護保険制度は「所得に関係なく1割負担」とされており、これも制度開始以来の大改悪である。社会保障制度改革国民会議の議論の中では「医療保険との整合性」を口実に、「一定の所得者は負担割合を引き上げるべき」としてきた。ところが、今回の「見直し意見」では、2割負担の対象となるのは「所得160万円以上(年金収入の場合280万円)」という、とても高所得とは言えない金額であった。高齢者医療の「現役並み所得」が、年収383万円以上であることと比べても、きわめて厳しい線引きだ。厚労省は、これについて、「平均的消費支出」や「モデル年金」を上回っていることを根拠に「負担可能」と決めつけている。このような手法でいけば、将来的には「全員2割負担、現役並み所得は3割負担」などということになりかねない。70歳~74歳の医療費負担が現在の1割から2割への引上げが狙われていることをみてもその危険性は現実のもの言えるだろう。
要介護高齢者は、利用料以外にもさまざまな金銭的負担がかかっており、今でも「介護貧乏」「介護破産」という言葉さえあるほどだ。少しばかり所得があるからといって2倍の負担増は、必要なサービスを削らざるを得ない人が続出することになり「経済的介護難民」を生み出すことになる。
介護保険と同じ1割の「応益負担」で2006年度に始まった障害者自立支援法のサービスは、障害者の一致したたたかいによって、低所得者は「無償」となっている。その障害者が65歳になると「介護保険優先」で、1割負担となり、全国各地で問題が噴出し裁判闘争に発展している。「見直し意見」は障害者サービスについては、まったく無視したまま、さらなる負担増を高齢者に押し付けようとしている。
低所得者でも貯金があれば施設の食費・部屋代補助打ち切り
 第4に、介護保険施設の入所者やショートステイ利用者の食費・部屋代補助制度の改悪である。
介護保険施設の食費・部屋代は、自己負担だが、低所得者(非課税世帯)は、介護保険から補助(補足給付)があるため低く抑えられている。たとえば、特養ホーム(個室)では、通常は食費・部屋代だけで月10数万円かかるが、非課税世帯で年金80万円以下の人なら月3万6千円程度で済む。
これを、世帯分離している夫婦でも、配偶者が住民税課税ならば対象外に、また、預金が一定以上(単身者1000万円)あれば対象外にするという改悪案である。もともと施設の食費・居住費は保険給付の対象だったのが、2005年改悪で自己負担とされ、今回の改悪では、老後の備えの貯金や別居の配偶者の所得まで口実にして、低所得者に対する救済措置まで奪い取るというきわめて悪質なものである。
要介護者を切り捨てて「制度持続」
これらの改悪について、「見直し意見」では、高齢化が進み公費・保険料が上昇するので、介護保険制度の「持続可能性を確保する」ためだと説明している。要支援者のサービス切り捨てで将来的に年間1670億円削減、利用者負担引上げで750億円、補足給付改悪で740億円を削減するという数値まで示している。
しかし、高齢者の「尊厳の保持」、「自立した日常生活のために必要な給付」という介護保険制度の「目的」を投げ捨て、要介護者に負担増とサービス削減を押し付けることによって「制度持続」をはかるという見直し方向は、まったく本末転倒な議論である。要介護者・高齢者に負担と犠牲を押し付けなければ「持続可能性」が確保できないような制度であれば、その制度を根本から見直し、つくり変えることこそ必要ではないか。
地域包括ケアは、「自助・互助」と費用抑制の「手段」
 「見直し意見」は、「介護保険制度の持続可能性の確保」とともに「地域包括ケアシステムの構築」も見直しの基本的考え方としている。しかし、その具体的内容は、「自助」と「互助」を基本とした「高齢者相互の助け合い」の地域ネットワークをつくることで、「生活支援サービス」の提供主体の確保を図るというものですある。「在宅医療・介護連携の推進」や「認知症施策の推進」なども挙げられてはいるが、公的責任と公費支出の裏付けがなく、主体となる市町村の力量や能力もきわめて心もとないのが実情である。「見直し意見」では、地域で現実に進行している貧困や孤立、「無縁社会」現象などを直視すらしていない。「地域包括ケアシステム」をいくら書きならべても、実現するものではない。
今こそ、政府と国会へ声を、そして世論に訴えよう
「見直し意見」では、上記の改悪メニューのすべてについて、「様々な個別意見はあったものの、次期制度改正で速やかに実行すべきであるというのが意見の大勢であった。」と、結論づけ、介護保険部会に参加している唯一の当事者団体(認知症の人と家族の会)の反対意見を切り捨ててしまった。
 「見直し意見」は取りまとめられたが、厚労省の審議会の意見にすぎない。たたかいはこれからが本番である。介護保険法改正案は、2014年1月下旬からの150日間の通常国会に提出、具体的な内容はさらにその後の政令・省令・告示、通知改定が必要で、さらに2015年度介護報酬改定の検討も控えている。
 9月から3ヶ月余りの議論の中でも、政府厚労省の改悪案が関係者に知らされるにつれ反対の声と運動が広がってきた。要支援外しと特養の重度者限定問題で、厚労省案の一部を修正させたこともその表れある。多くの自治体関係者からも「住民ボランティアなど2年やそこらでは育成できない」「利用者負担の変更に伴う事務が大変で対応できない」など、戸惑いの声も上がっている。
 当面は、政府・厚労省に改悪法案を出させないこと、そして、国会で改悪法案を通さないたたかいが重要である
 介護保険改悪問題は、その内容や狙いが国民に知らされていない。今、決定的に大切なことは、改悪内容と知らせること、そして世論に訴えながら、政府・国会で改悪にストップをかけることである。まさに、たたかいは今からである。



介護保険制度の見直しに関する意見 概要
平成2 5 年1 2 月2 0 日
社会保障審議会介護保険部会

今回の制度の見直しは、地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度の持続可能性の確保の2 点を基本的な考え方とする。

Ⅰ サービス提供体制の見直し

1.地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直し
地域支援事業について、地域包括ケアの一翼を担うにふさわしい良質で効率的な事業に重点化しつつ再構築するとともに、必要な財源を確保し、充実・強化を図る。
(1)在宅医療・介護連携の推進
○ 地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が中心となって、国と都道府県の支援の下、地域の医師会等と連携しつつ、取り組む(平成30 年度には全ての市町村で実施し、小規模市町村では共同実施を可能とする)。
(2)認知症施策の推進
○ 地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が「認知症初期集中支援チーム」や「認知症地域支援推進員」の設置などに取り組む(平成30 年度には全ての市町村で実施し、小規模市町村では共同実施を可能とする)。
(3)地域ケア会議の推進
○ 地域支援事業の包括的支援事業の一環として、地域ケア会議の実施を介護保険法に位置づけるとともに、介護支援専門員の協力や守秘義務の取扱い等について制度的な枠組みを設け、一層の推進を図る。
(4)生活支援サービスの充実・強化
○ 市町村が中心となって、NPO、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人等の生活支援サービスを担う事業主体の支援体制の充実・強化を図ることが必要であり、高齢者等の担い手としての養成や、地域のニーズとのマッチングなどを行うコーディネーターの配置等について、地域支援事業の包括的支援事業に位置づけて取組を進める。
(5)介護予防の推進
○ 居場所と出番づくりなど、高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた、バランスのとれたアプローチが重要である。介護予防事業を見直し、地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組を推進する。元気高齢者と二次予防事業対象者を分け隔てることなく、住民運営の通いの場を充実する。
(6)地域包括支援センターの機能強化
○ 地域包括支援センターの役割に応じた人員体制の強化とそのための財源確保を図る。また、センター間の役割分担・連携の強化、市町村の委託型センターに対するより具体的な委託方針の提示、センターの運営に対する評価・点検の取組の強化を図る。

2.地域支援事業の見直しに併せた予防給付の見直し
(見直しの背景・趣旨)
○ 要支援者は生活支援のニーズが高く、配食、見守り等の多様なニーズに応えるためには、介護サービス事業者以外にも、NPO、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人など、多種多様な事業主体の参加による重層的なサービスが地域で提供される体制の構築が重要である。併せて、高齢者が積極的に生活支援の担い手となって、支援が必要な高齢者を支える社会を実現することが求められている。
○ また、地域に多様な通いの場を作り、社会参加を促進していくことは、高齢者の介護予防にとって極めて重要であるが、地域の中で多様な主体により多様な場を確保していくことが重要である。
○ このため、地域支援事業の枠組みの中で介護予防・日常生活支援総合事業(総
合事業)を発展的に見直し、サービスの種類・内容・人員基準・運営基準・単価等が全国一律となっている予防給付のうち、訪問介護・通所介護について、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組を含めた多様な主体による柔軟な取組により、効果的かつ効率的にサービスを提供できるよう、地域支援事業の形式に見直す(市町村の円滑な移行期間を考慮して、平成29年4月までにはすべての市町村で実施し、平成29年度末にはすべて事業に移行する)。
○ 事業移行後も、既にサービスを受けている者については必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とし、新しくサービスを受ける者については多様なサービスの利用を促進するが、必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とすることが必要である。
○ 予防給付のうち、訪問介護・通所介護以外のサービス(訪問看護、福祉用具等)は、多様な形態でのサービス提供の余地が少ないことから、市町村の事務負担も考慮して、引き続き予防給付によるサービス提供を継続することが適当である。
(新しい総合事業の内容)
○ 新しい総合事業の事業構成は、「介護予防・生活支援サービス事業」と、すべての高齢者が利用する体操教室等の普及啓発等を内容とする「一般介護予防事業」とする。
○ 介護予防・生活支援サービス事業については、以下のとおりとする。
・ 利用手続は要支援認定を受けて地域包括支援センターによるケアマネジメントに基づきサービスを利用する。介護予防・生活支援サービス事業の利用のみの場合は、基本チェックリスト該当で利用可能とする。
・ 事業費の単価については、サービスの内容に応じた市町村による単価設定を可能とし、現在の訪問介護、通所介護(予防給付)の報酬以下の単価を市町村が設定する仕組みとする。
・ 利用料については、地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた利用料を市町村が設定する。既存サービスに相当するサービスの利用料については、要介護者に対する介護給付における利用者負担割合等を勘案しつつ、一定の枠組みの下、市町村が設定する仕組みを検討する。
・ 市町村が事業者へ委託する方法に加え、あらかじめ事業者を認定等により特定し、当該市町村の一定のルールの下、事業者が事業を実施した場合、事後的に費用の支払いを行う枠組みを検討する。
・ 利用者個人の限度額管理を実施し、利用者が給付と事業を併用する場合には、給付と事業の総額で管理を行うことを可能とすることを検討する。
○ 市町村による事業の円滑な実施を推進するため、介護保険法に基づく指針で、事業で対応する際の留意点等をガイドラインとして示す。
○ 市町村は介護保険事業計画の中で要支援者へのサービス提供の結果を3年度毎に検証することを法定化することを検討する。
(市町村の事務負担の軽減)
○ 審査・支払いに関して国民健康保険団体連合会を活用する。また、介護認定の有効期間の延長についても検討する。
(効率的な事業の実施)
○ 市町村は、サービス提供を効率的に行い、中長期的には総費用額の伸びが後期高齢者数の伸び程度となることを目安に努力するとともに、短期的には生活支援・介護予防の基盤整備の支援充実に併せ、より大きな費用の効率化を図る。
○ 総合事業の事業費の上限については、円滑な事業移行が図られ、保険料負担者の理解と納得感が得られる事業実施となるよう、費用の効率化の趣旨を踏まえ、
・ 予防給付から事業に移行する分を賄えるよう設定する。
・ 当該市町村の予防給付から移行する訪問介護、通所介護と予防事業の合計金額を基本にしつつ、当該市町村の後期高齢者数の伸び等を勘案して設定した額とする。
・ 仮に市町村の事業費が上限を超える場合の対応については、制度施行後の費用の状況等を見極める必要があること等を踏まえ、個別に判断する仕組みなどの必要性についても検討する。
(部会での議論)
○ 予防給付の見直し全般については、概ね意見の一致を見た。ただし、市町村支援や効率化に関する留意事項を挙げる意見、事業費・財源構成・サービスの質・労働者の処遇・地域差などに関する意見があった。見直しについて異論もあった。

3.在宅サービスの見直し
○ 在宅の限界点を高めるため、訪問介護、通所介護、訪問看護等の普及に加え、定期巡回・随時対応サービスや複合型サービス、小規模多機能型居宅介護などの更なる普及促進を図る。各サービスの見直しの中には、法改正のみならず、基準の見直しや介護報酬の改定で対応すべきものがあり、引き続き、社会保障審議会介護給付費分科会で議論を行っていく。
○ 小規模の通所介護については、少人数で生活圏域に密着したサービスであることから、地域との連携や運営の透明性を確保するため、市町村の事務負担の軽減を図りながら、市町村が指定・監督する地域密着型サービスに位置づける(施行時期は平成28年4月までの間とし、条例制定時期は施行日から1年間の経過措置を設ける)。
○ 住宅改修の質を確保する観点から、市町村が、あらかじめ事業者の登録を行った上で住宅改修費を支給する仕組みを導入できるようにする。
○ 保険者機能の強化という観点から、市町村の事務負担の軽減を図りながら、居宅介護支援事業者の指定権限を市町村に移譲する(施行時期は平成30 年4 月とし、条例制定時期は施行日から1 年間の経過措置を設ける)。

4.施設サービス等の見直し
○ 特養については、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化すべきであり、特養への入所を要介護3以上に限定することが適当である。他方、要介護1・2の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与の下、施設ごとに設置している入所検討委員会を経て、特例的に、特養への入所を認めることが適当であり、この点については、概ね意見の一致を見た。
○ サービス付き高齢者向け住宅が多く立地する保険者の保険料負担を考慮し、有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅についても、住所地特例の対象とする。また、住所地特例対象者については、住所地市町村の指定を受けた地域密着型サービスや住所地市町村の地域支援事業を利用できることとし、その費用についても事務負担に配慮しつつ市町村間で調整できるようにする。

5.介護人材の確保
○ ①参入の促進、②キャリアパスの確立、③職場環境の整備・改善、④処遇改善の4つの視点から、事業者等とも連携して、国・都道府県・市町村が役割分担しつつ、積極的に取り組む。必要となる介護人材の推計を行うなど都道府県が総合的な取組を推進する。

6.介護サービス情報公表制度の見直し
○ 地域包括支援センターと生活支援の情報を公表制度を活用し情報発信する。また、現行の従業者等に関する情報公表の仕組みについて、円滑に事業所が情報を公表できるよう見直す。
○ 通所介護の設備を利用して提供している法定外の宿泊サービスについての情報公表も行う。また、地域の高齢者ボランティア等を活用して、情報公表システムを用いて利用者や家族に分かりやすく情報提供するなどの工夫も重要である。

Ⅱ 費用負担の見直し

1.低所得者の1 号保険料の軽減強化等
○ 消費税率の引上げに伴う低所得者対策強化等を踏まえ、基準額に乗ずる割合を更に引き下げ、その引き下げた分について、現行の給付費の50%の公費負担に加えて、公費を投入する。
○ 保険料負担の応能性を高めるため、標準9段階とするとともに、調整交付金も標準9段階を用いた調整方法に改める。

2.一定以上所得者の利用者負担の見直し
○ 高齢者世代内において負担の公平化を図っていくため、一定以上の所得のある方に2割の利用者負担を求めるべきであるという点については、概ね意見の一致を見た。一定以上所得者の水準については、第1 号被保険者全体の上位20%に該当する水準という案を支持する意見があったほか、様々な意見があった。
○ 高額介護サービス費の負担限度額については2割負担となる方のうち、特に
所得が高い、高齢者医療制度における現役並み所得に相当する所得がある方については、医療保険の現役並み所得者の多数該当と同じ水準である44,400 円とすることが適当である。

3.補足給付の見直し(資産等の勘案)
○ 経過的かつ低所得者対策としての性格を持つ補足給付であるが、預貯金等の資産を保有していたり、入所して世帯は分かれても配偶者に負担能力があるようなときに、保険料を財源とした居住費等の補助が受けられることについては、在宅で暮らす方や保険料を負担する方との公平性の確保の観点から課題があるため、可能な限り是正していくことが必要である。
○ 預貯金等については、本人と配偶者の貯蓄等の合計額が一定額を上回る場合には、補足給付の対象外とすることで概ね意見の一致を見た。具体的な実施方法については、本人の自己申告を基本としつつ、補足給付の申請に際し金融機関への照会について同意を得ておき、必要に応じて介護保険法の規定を活用して金融機関への照会を行うこととするとともに、不正受給の際の加算金の規定を設けるなどして適切な申告を促す仕組みとする。
○ 預貯金等の基準としては、単身で1000 万円超、夫婦世帯で2000 万円超という基準は妥当である。
○ 不動産については、事業を実施する上での課題を更に整理するとともに、市町村が不動産担保貸付の業務を委託することができる外部の受託機関を確保することが必要であり、引き続き検討を続けていく。
○ 世帯分離をしても配偶者の所得を勘案する仕組みとし、配偶者が住民税課税者である場合は、補足給付の対象外とすることが適当である。
○ 補足給付の段階の判定に当たって、遺族年金や障害年金といった非課税年金も収入として勘案することが適当である。

4.介護納付金の総報酬割
○ 介護納付金の総報酬割については、導入に賛成する意見が多かったが、強い反対意見があった。後期高齢者医療制度における後期高齢者支援金の全面総報酬割の検討状況も踏まえつつ、引き続き、検討を行っていく。

Ⅲ 2025年を見据えた介護保険事業計画の策定

○ 第6期以後の介護保険事業計画は、第5期の取組を承継発展させるとともに、2025年のサービス水準、給付費や保険料水準も推計して記載し、中長期的な視点も含めた施策の実施に取り組むことが必要である。
○ 都道府県が策定する介護保険事業支援計画については、医療計画と一体性・整合性を確保して策定され、地域において、高度急性期から在宅医療・介護までの一連のサービス提供体制の確保が進められる必要がある。
○ 介護人材の確保には都道府県も重要な役割を担っており、必要となる介護人材の推計を介護保険事業支援計画に記載し、積極的に取り組むことが期待される。

今後に向けて

○ 第6期に向けて、法改正項目については、様々な個別意見はあったものの、次期制度改正で速やかに実行すべきであるというのが意見の大勢であった。
○ 制度改正の実施状況と効果を検証しつつ、引き続き、介護保険制度の持続可能性を確保すべく、給付の重点化・効率化に向けた制度見直しを不断に検討する。
○ 地方自治体の第6期介護保険事業(支援)計画の策定作業に合わせ、きめ細かな支援を行っていく必要がある。また、国民に対する丁寧で分かりやすい広報に計画的に取り組むことが必要である。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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