2013/12/23 Mon
 12月22日は、今年最後の講師活動は、障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協議会の「2013年末大学習会」。

 テーマは「どうなる介護保険~『改革」と障害者への影響」である。障害者と介護保険でお話をさせていただくのは今年4回目である。
 13埼玉障害者学習会1


 今回の「社会保障改革」は、8月に出された社会保障制度改革国民会議報告書でも、障害者施策については、全く「無視」してかかっているのが特徴である。

 2006年度施行された障害者自立支援法は、「応益負担」と称して介護保険と同様に「1割負担」を導入した。これは、介護保険との「統合」をめざしたものであったが、障害者団体の一致した運動によって、政府を大きく追い詰め、さらに全国的にたたかわれた「障害者自立支援法違憲訴訟」では、2010年1月に「基本合意」を持って政府と和解した。

 「応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。 」(基本合意文書)
 と明確に、1割負担について誤りを認め「反省」したのが政府・厚生労働省である。
 
 そして、障害者福祉サービスは、現在では「市民税非課税」の低所得者は「負担ゼロ」である。

 その政府・厚労省が、今回の介護保険見直しでは、「所得により2割負担化」を導入しようとしているのだ。医療保険との「整合性」がない、というのがその論拠でもあった。
 しかし、「整合性」を言うなら、低所得者無料の障害者福祉サービスとの整合性はどうなるのだ。当事者のたたかいにより「無料」を実現している障害者サービスを、意図的に「無視」することによって今回の介護保険改悪の議論は成り立っている。

 その障害者も「65歳」になると、「介護保険優先」原則により、障害者サービスが介護保険サービスに置き換えられ、「1割負担」を押し付けられる。

 「障害者総合支援法第7条  自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法による介護給付、健康保険法の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。」 

 しかし、厚労省は、通知(障企発第0328002号平成19年3月28日通知)で、
 「[2] 介護保険サービス優先の捉え方
ア サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的には、この介護保険サービスに係る保険給付を優先して受けることとなる。しかしながら、障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難であることから、障害福祉サービスの種類や利用者の状況に応じて当該サービスに相当する介護保険サービスを特定し、一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする。 したがって、市町村において、申請に係る障害福祉サービスの利用に関する具体的な内容(利用意向)を聴き取りにより把握した上で、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能か否かを適切に判断すること。  なお、その際には、従前のサービスに加え、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスについても、その実施の有無、当該障害者の利用の可否等について確認するよう留意する必要がある。
イ サービス内容や機能から、介護保険サービスには相当するものがない障害福祉サービス固有のものと認められるもの(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)については、当該障害福祉サービスに係る介護給付費等)を支給する。」
 
 としている。

 障害者サービスか介護保険サービスかの「選択」も個別の必要性によっては可能であり、また、介護保険にないサービスは障害者サービスで対応{「横出し」)できるし、さらに、限度額によって不足すれば、障害者サービスを追加できる(上乗せ)のである。

 しかし、多くの自治体では、事実上、一律に「介護保険優先」を適用する、法7条の機械的運用が横行している。障害者総合支援法に基づいて重度訪問介護を受けてきた浅田さんに対し、65歳になることを理由に、介護保険の申請がない限りは支援法に基づく給付も一切しない、との決定を行った岡山市の事件などはその典型である。
 厚労省は、自ら出した通知についても、「具体的な運用は市町村」とまともな指導を行わず、機械的介護保険優先を野放しで放置している。
 これらは、各自治体レベルでの徹底した是正要求の運動とともに厚労省にも指導責任を追及していく必要がある。
 

 今回の介護保険改悪による2割負担導入は、障害者にも大きな影響を与える。
 2割負担化により、「無償化論」は吹き飛び、障害者分野の「ガラパゴス島化」が進むことになる。そして、「65歳問題」はより深刻な事態になる。

 私たちは、介護保険における2割負担導入を阻止するたたかいとともに、障害者運動のかちとってきた「無料」という成果をしっかり守る必要がある。

 そして、政府が「無視」して、進めている障害者分野での到達点を、介護保険にもしっかり持ちこんでいくことも重要である。
 
「障害に伴う必要な支援は原則無償」と明記した、「骨格提言」(障害者制度改革推進会議総合福祉部会)の立場こそ、介護保険分野が学び、共有化するべき原則であろう。
  
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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