2014/01/17 Fri
 1月15日、第98回社会保障審議会介護給付費分科会は、4月からの消費税増税による介護サービス事業者の負担増への対応として、介護報酬を0.63%引き上げる案を取りまとめた。
 引き上げは「基本単位」に上乗せする方法で、上乗せ率は、各サービスの課税割合に税率引上げ分を乗じて算出するとしており、具体的には、人件費等非課税費用を差し引いた委託費等課税費用の率に消費税引き上げ分を乗じて計算したとのことである。
 これにより、ホームヘルプ(訪問介護費)は、
 身体介護中心
   20分以上30分未満     254単位  ⇒  255単位
   30分以上1時間未満     402単位  ⇒  404単位
     1時間以上        584単位  ⇒  586単位
 生活援助中心
   20分以上45分未満     190単位  ⇒  191単位
     45分以上        235単位  ⇒  236単位
     
 デイサービス(通所介護費)は、
   通常規模(7時間以上9時間未満)
     要介護1         690単位  ⇒   695単位
     要介護2         811単位  ⇒   817単位
     要介護3         937単位  ⇒   944単位
     要介護4       1,063単位  ⇒ 1,071単位 
     要介護5       1,188単位  ⇒ 1,197単位

 と、それぞれ基本報酬が引き上げられる。

 問題は利用者負担である。1単位10円としても、ヘルパーやデイサービスを日常的に利用するたびに数十円~数百円負担増となる。
 利用者の衣食住にかかる消費税は4月から5%から8%へ引き上げられる。一方で受け取る年金は、昨年10月分から1%引き下げられ、さらに今年4月分から1%下げられることになっている。
 これに介護報酬改定、さらに、同様に消費税増税に対応して診療報酬も引き上げられれば、利用者はダブルパンチ、トリプルパンチの負担増となるではないか。

 政府・厚労省は「介護サービス利用者の負担増」は眼中にないのであろうか。
 
今回の措置について「消費税率8%引上げに伴い、介護サービス施設・事業所に実質的な負担が生じないよう、消費税対応分を補填する必要がある。」(社保審介護給付費分科会資料)と明記している。

 それならば、利用者の消費税引き上げによる負担増は、補てんどころか、介護報酬引き上げにより、さらに負担増をおしつけることになるのだが、これについては、どうしてくれるのか! 

 さすがに、要介護ごとの「区分支給限度基準額」については、制度はじまって以来の引き上げを行った。 厚生労働省は、「消費税引上げに伴う介護報酬への上乗せ対応を行うことにより、従前と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者が新たに生じること等から、引き上げる。」として、居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額を
要支援1 4,970単位 ⇒ 5,003単位
要支援2 10,400単位 ⇒ 10,473単位
要介護1 16,580単位 ⇒ 16,692単位
要介護2 19,480単位 ⇒ 19,616単位
要介護3 26,750単位 ⇒ 26,931単位
要介護4 30,600単位 ⇒ 30,806単位
要介護5 35,830単位 ⇒ 36,065単位

 しかし、この引き上げ派、上限まで利用していない人にとっては何の意味もない。

 介護サービス事業者の負担増を報酬改定で手当てするだけでなく、制度の「主人公」であり、「当事者」である、利用者の負担にどう対応するのか。これが政府厚労省にもっとも問われていることである。
 「利用者本位」を忘れた制度はもはや無意味である。





社保審-介護給付費分科会第98 回(H26.1.15) 資料

平成26年度介護報酬改定の概要
(介護保険サービスに関する消費税率8%への引上げ時の対応)

Ⅰ.改定率について
○ 平成26 年度の介護報酬改定は、本年4月1日に予定されている消費税率8%引上げに伴い、介護サービス施設・事業所に実質的な負担が生じないよう、消費税対応分を補填する必要がある。
このため、0.63%の介護報酬改定を行うものである。
Ⅱ.介護報酬における対応
○ 上乗せの方法としては、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算があれば、それらにも上乗せを行う。
○ 具体的な算出に当たっては、「平成25 年度介護事業経営概況調査」の結果等により施設・事業所の課税割合を適切に把握した上で、消費税率引上げに伴う影響分について必要な手当を行う。
○ 基本単位数への上乗せ率は、各サービスの課税割合に税率引上げ分を乗じて算出する。
○ 加算の取扱いについては、基本単位数に対する割合で設定されている加算、福祉用具貸与に係る加算の上乗せ対応は行わない。
○ その他の加算のうち、課税費用の割合が大きいものについては、基本単位数への上乗せ率と同様に課税費用に係る上乗せ対応を行う。
また、課税費用の割合が小さいものなど、個別に上乗せ分を算出して対応することが困難なものについては、基本単位数への上乗せに際し、これらの加算に係る消費税負担分も含めて上乗せ対応を行う。
Ⅲ.基準費用額、特定入所者介護サービス費(居住費・食費関係)、区分支給限度基準額
○ 基準費用額については、平均的な費用の額等を勘案して定められるものであり、食費、居住費の実態を調査した結果を踏まえて据え置く。
○ 利用者の負担限度額については、入所者の所得状況等を勘案して決めていることから見直さない。
○ 区分支給限度基準額については、消費税引上げに伴う介護報酬への上乗せ対応を行うことにより、従前と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者が新たに生じること等から、引き上げる。
○ なお、特定福祉用具販売と住宅改修に係る支給限度基準額については、当該サービス費は介護保険制度創設時から公定価格ではないこと等から、引き上げない。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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