2014/04/29 Tue
 4月25日、大阪社保協が企画し、中央社保協も呼びかけて開かれた「介護保険見直し案に関する厚生労働省レクチャ―」は厚生労働省の老健局振興課、介護保険計画課、老健局高齢者支援課が事前の質問書に対する「回答」を行い、質疑応答を行った。

その③ 補足給付の見直しについて 極悪非道な改悪

 非課税世帯の介護保険施設入所者(短期入所を含む)の部屋代・食事代を補助する「補足給付」は、低所得者にとっては「命の綱」のような制度である。これを今回の見直しでは、預貯金、配偶者、非課税年金など様々な要件を新たに持ち込み、切り縮めようとしている。

事前に出しておいた質問
(1)見直しに伴う新たな「要件」について
①金融機関への預貯金の照会は「必要に応じ」(同資料93頁)としているがどの程度を想定しているか



厚労省老健局介護保険計画課の回答は
回答)現在の市町村の介護保険担当課の体制を考えると補足給付の申請すべてについて預貯金照会は困難と考える。また、申請から支給決定まで相当な時間を要することにもなるので、金融機関への照会については、市町村が必要に応じて行う任意のものとする。サンプル調査とか不正受給が疑われる場合など特に必要が生じた場合にのみ調査を行うことがことで差し支えないと考えている。適正な申請へのインセンティブとしての効果を期待したものとして照会ができることを明確にしたものである。
 
 「預金1000万円以下」という新たな要件を持ち込んだものの、預貯金調査(金融機関への照会」は、サンプル程度で、やってもやらなくてもよい、との返答である。

 ここでも「市町村の事務負担」に配慮した厚生労働省であるが、もし、「不正申告」があった場合は、きわめて厳しい「2倍返し」のペナルティを課した。現行介護保険法では、事業者が不正請求した場合、4割の加算金が求められるが、2倍返しとはあまりにも低所得の利用者敵視ではないか。
 
事前質問
②不正受給の場合、給付額返還に加えて、「2倍の加算金」(法案22条)とされているが、他に例を見ない「2倍返し」とした理由はなぜか

厚労省老健局介護保険計画課の回答は
回答)今回の法改正では、有する預貯金が一定額を上回る場合は支給しないとしている。預貯金額については、現状では口座情報を一元的に把握する仕組みがないので、市町村は自己申告に基づいて預貯金を確認せざるをえない。 偽りの申告によって補足給付を受給するという不正が生じる可能性があるので、適正な申告を担保する仕組みを設ける必要がある。
このため不正受給に対するペナルティとして、給付した額に加えて最大2倍の加算金を貸すことができる仕組みとした。例を見ないとあるが、雇用保険法では2倍の加算金について規定されている。


 市町村が、預貯金額を確認できないので、もし、不正があったら、「2倍の加算金」という重罰を制度化することによって、低所得の施設入所者を脅しつけようという魂胆か。この発想が恐ろしい。しかも、「例を見ない『倍返し』」といっているのは介護保険制度の中での話をしているのに、「雇用保険」を持ち出す、厚かましさにはあきれるばかりである。 どうして不正事業者は「4割加算」で、低所得の施設入所者は「2倍の加算金」となるのか、全く説明がない。


 さらに今回、別世帯でも「配偶者」が住民税課税であれば対象外とされた。
 これについての事前質問は
③配偶者の有無及びその課税状況についての確認方法は具体的にどのように行うのか

厚労省老健局介護保険計画課の回答は
回答)同一世帯に配偶者が居て施設入所により世帯分離した場合は住民基本台帳を確認することで把握可能と考えるが、把握できない場合もあるので、受給申請の際に配偶者の有無についても記載いただくことが基本になると考えている。配偶者の所得の状況が給付の条件として追加されるので、必要に応じ戸籍情報の照会をかけて所得が把握できるように厚労省として、 法務省等とも調整して進めたいと考えている。
 
必要に応じ市町村が確認できるように、調整するという念の入れようである。

 ところで、別世帯の配偶者が、住民税課税というのは、年金では年間155万円超、月で12.9万円ほどのわずかな収入の人でも当てはまる。
 事前質問
④住民税が課税となるのは年金収入「155万円超」であるが、別居で生計も別な配偶者が、この程度の収入で、施設入所者の居住費・食費を負担できると考える根拠は何か

厚労省回答は
回答)現に世帯課税の人には補足給付は支給していない。それと同じと考えると 必ずしも負担できないとは考えていない。

 同一世帯ではない。生計も別で、世帯も別になっている人のことを聞いているのだ。そこで、質疑応答で突っ込んでみた。
※質問)生計も住居も別になっている配偶者がわずか月額13万円の収入の人が、施設入所している配偶者の食費部屋代まで全額負担することが可能か。在宅で夫婦二人で同居していて一人3食1380円という食費、一人の居室代が月6万円以上などというのはあり得ない。
厚労省は
回答)現段階でも住民票を移していなければ世帯課税で補足給付は支給されない。一方で世帯分離すると補足給付されるという不公平があるので、こうした扱いにした。
と開き直りの返答を繰り返すのみ。

 さらに、今回、補足給付の段階区分にあたって、他での問題にしない非課税年金(遺族年金・障害年金)も算入するという措置をとった、これについて事前質問
⑤非課税年金について、第2段階・第3段階判定の際に年金収入額に含めるために、「情報提供を可能とする仕組みを設ける」(同資料93頁)とあるが、この非課税年金額の扱いは、今後も補足給付に限定したものか(高額介護サービス費の限度額・介護保険料の所得段階には関係することはないか)

厚労省の回答は
回答)保険料につきましては禁止規定があり、勘案は禁じられているので、保険料はについては今後も適用することはない。
高額介護サービス費は給付なので、非課税年金勘案はできるとは思う。今回、補足給付について、非課税年金を勘案したのは、補足給付が、経過的・福祉的性格であることから、実質的に負担能力の低い人に重点化する必要があることから、第2段階と第3段階の区分に非課税年金を勘案したのである。したがって、高額介護サービス費について、即影響があるとは今の段階では考えていない。

 なんと、介護保険料については、今後、適用することはない、と明言したが、高額介護サービス費については、やろうと思えばできるが、現段階では考えていない、ということである。これも中長期には、対象になりかねない。

補足給付の問題は
 ①介護保険制度では例を見ない「倍返し」規定による低所得の施設利用者の脅迫
 ②世帯分離しても「夫婦」の扶助責任を問う
 ③非課税年金まで問題にする
 という、これまでにない、極悪非道な改悪内容が含まれていること、レクチャ―では、これについて、平然と答弁する厚労省担当者の態度に、危機感を覚えた。

(つづく)

 
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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