2014/04/30 Wed
 4月25日、大阪社保協が企画し、中央社保協も呼びかけて開かれた「介護保険見直し案に関する厚生労働省レクチャ―」は厚生労働省の老健局振興課、介護保険計画課、老健局高齢者支援課が事前の質問書に対する「回答」を行い、質疑応答を行った。

その⑤ 介護保険料 低所得者軽減への公費投入 法的縛りはないが、国の決めたこと以上は「望ましくない」の繰り返し

 今回の介護保険見直しに関連する法改正案の中で、唯一「改善」の側面もある低所得者の介護保険料軽減への公費投入。
 これまで、「高齢者の助け合い」として、第1号介護保険料については、低所得者層を軽減すればその分を他の高齢者の介護保険料負担を増やすという仕組みであった。そのため、国基準では、非課税世帯で年金が80万円以下しかない人(第2段階)でも、基準額の5割しか軽減されなかった。
 国民健康保険が、低所得者の法定軽減を公費で行い、最大7割軽減していることと比べても、大きな違いがあった。
 これを今回の見直しで、はじめて「公費による低所得者軽減」を制度化し、最大7割の軽減とし、これまでとの差について公費と投入する仕組みとした。ただし、これは消費税増税の低所得者対策の一環でもあり、財源も消費税増税分を活用という代物である。
 法改正案は、
介護保険法124条の2(新設) 第1項
(市町村の特別会計への繰り入れ等)
 市町村は、政令で定めるところにより、一般会計から、所得の少ない者について条例の定めるところにより行う保険料の減額賦課に基づき第1号被保険者に係る保険料につき減額した額の総額を基礎として政令で定めるところにより算定した額を介護保険に関する特別会計に繰り入れなければならない。

 と、市町村に対しても、その分を一般会計から介護保険特別会計へ繰り入れることを義務化するものであった。

 そこで厚労省への事前質問
①新法案142条の規定により、低所得者保険料軽減の財源を公費(一般財源)で補てんする仕組みが新たに導入されたが、従来の「減免3原則」の見直しは行わないのか

 厚労省老健局介護保険計画課の回答は
回答)今回の制度改正により、保険料軽減に必要な財源を一般会計から介護保険特別会計へ繰り入れることになるが、条文上繰り入れの範囲を低所得者の保険料を軽減するため基準に従って算定した額とされており、軽減の対象者や幅は政令で定めるとしており、いたずらに繰り入れを行うものではない。制度上予定されている繰り入れ以外は、今後も引き続き想定されていない旨を市町村に周知したいと考えている。

政令で定める基準による引き下げ幅や対象への繰り入れは義務化するが、それ以上は、「いたずらに」してほしくない、という勝手なものであった。

 質疑応答でさらに突っ込む。
質問)改正法案142条は国保法と同じ規定内容の条文となったが、減免3原則の趣旨からすると、3原則は「減免財源はあくまで高齢者の助け合いの中でおこなうべき」というものであるが、今回の改正法案はその助け合いの他に低所得者軽減の財源を一般会計から持ってくるということで一歩踏み出した規定になっている。それでも減免3原則の文章表現は一言一句変わらないのか。

しかし、回答は
回答)3原則は今後も守っていくべきもの。今回の法改正でも一般会計からの繰り入れいたずらに認めて行くというものでなく、あくまで軽減幅とか対象者は政令で定めることになるのでそれに限定した範囲内でやっていただくといこうこと。それ以外の独自で一般会計から繰り入れるというのは厚労省としては望ましくないと考えている。これについては改めて市町村に周知をしていきたいと考えている。
という勝手なものであった。

 従来の厚労省の「減免3原則」の三つめは
③ 「保険料財源」(保険料減免に対する一般財源の繰入を行わないこと)
 介護保険の費用は、高齢者の保険料が原則21%、市町村の一般財源が12.5%というように、それぞれ負担割合が決められている。このうち、高齢者の保険料は、高齢者の方にも助け合いに加わっていただくために、支払っていただいているものであり、それを減免し、その分を定められた負担割合を超えて他に転嫁することは、助け合いの精神を否定することになる。したがって、低所得者へ特に配慮する場合には、高齢者の保険料で負担すべきものと定められた枠の中で、被保険者の負担能力に応じた保険料額とすることにより、対応すべきである。

 というもので、軽減する場合は「高齢者の保険料で負担すべき」という表現である。今回の法改正案は、これを踏み越えて、低所得者軽減の財源の一部を「他に転嫁」するものである。
 この矛盾には一切答えないで、「これ以上は望ましくない」の1点張りである。状況が変わっているので、一つ覚えのように「望ましくない」を繰り返すだけであった。こういうのを、筋の通らないわがままという。

次の事前質問は、新たな国基準の7割軽減を自治体独自で9割軽減にして、低所得者の保険料を基準額の0.1にしてもよいか、というもの。 
②低所得者のさらなる軽減(例えば第1・2段階を基準額の0.1以下にする)等の措置を独自で行うことは可能か

これは、厚労省はあっさりと
回答) 独自で行うことは可能である。現行の制度でも低所得者層に配慮し市町村において各段階の割合を変更することは可能であり、今後も引き続き可能である。

 やりとりの中では、一時、その独自軽減分について公費を投入しても構わないと、応えたが、結局このようになった。【質疑応答】
質問)低所得者のさらなる軽減、0.1にしてその分の財源を保険料財源でなく、市町村の一般会計から繰り入れるということは可能ということでよいか。
回答)課税層と非課税層とのバランスをとっていただくのはあくまで保険料財源でと考えている。政令で定めた軽減幅については公費負担できるが、それを超えるのは望ましくないということである。

最後に一押しで質問
質問)地方自治法上も地方財政法上も一般財源を特別会計へ繰り入れることは禁止していないので法的には可能である。厚労省としては「望ましくない」という希望を言っているだけと解釈するがそれでよいか。

厚労省は
回答)法的なしばりはないが、厚労省としては趣旨を鑑みて対応して行きたい。

 結局、基準を超えての一般会計からの繰り入れによる保険料軽減は、「法的なしばりがない」ことは認めるが、厚労省としては「望ましくない」ので、それを周知したい、という、最後まで身勝手なものだった。

(つづく)

スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索