2014/05/24 Sat
 今国会では、医療介護一括改悪法案とともに、介護職員の処遇改善に関する法案が審議されている。
 
 今年3月28日、民主・みんな・結い・共産・生活・社民の野党6党は、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を共同で衆院に提出した。
 同法案は、
① 介護・障害福祉従事者の賃金を引き上げる事業者に対して、助成金を都道府県知事が支給
② 助成金の支給に要する費用は全額国が都道府県に交付
③ 平均1カ月当たり1万円賃金を上昇させる
というものである。
 
【参考介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案要綱

 全産業平均に比べて、介護・福祉労働者の賃金が10万円も低く、2025年には、現在より約100万人の介護労働者が必要になることから、人材確保のために賃金・労働条件の大幅な改善は不可欠である。6野党共同提案は、政府の責任と財源負担での介護従事者等の処遇改善を明確にさせるためのものであった。
 しかし、その対象範囲が現行の処遇改善加算の対象事業所にとどまっていること、「一人あたり月1万円の賃上げ」という想定が、あまりにも低いことなど、不十分性をもっていた。この「1万円」という目標が、過去の介護報酬「プラス改定」で1万5千円、処遇改善交付金(処遇改善加算)で1万5千円、合計3万円の「賃金改善実績」という政府の評価と合わせて、旧民主党政権公約の「4万円賃上げ」にツジツマをあわせようというものである。
 
 衆議院厚生労働委員会の審議を通じて、「全会一致」をはかるとして、5月16日に同法案は提案者が「撤回」し、新たに「介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案」を委員会提出の法案とすることとなった。そしてこの法案は、5月20日に衆議院本会議で全会一致可決、参議院に送られている。

 【参考 介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案

 この法案は、具体的内容は一切なく、「平成27年4月1日まで」に、「介護・障害福祉従事者の賃金水準その他の事情を勘案」、「処遇の改善に資するための施策の在り方についてその財源の確保も含め検討」し、「必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」とだけの内容である。
 2008年の通常国会でも、当時の民主党が「2万円賃上げ」法案を提出し、衆議院の委員会で「撤回」し、今回とほとんど同じ内容の「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」となったという経過がある。具体的内容がなかったものの、「介護従事者処遇改善」が重点施策となり、2009年度介護報酬の初めての「プラス改定」、同年10月からの「介護職員処遇改善交付金」など、一連の処遇改善策に結び付いた。

 この「全会一致」の法案は、今国会で成立することになるが、まったく内容がないだけでなく、前回の法律にはなかった「財源の確保も含め検討」という表現も入っていることから、今後のたたかいが重要である。

 介護保険制度改悪に反対し、利用者サービスを守る運動とともに、介護労働者、福祉労働者の賃金・労働条件の大幅改善を政府に求める運動が急務である。



  介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案
 政府は、高齢者等並びに障害者及び障害児が安心して暮らすことができる社会を実現するためにこれらの者に対する介護又は障害福祉に関するサービスに従事する者(以下「介護・障害福祉従事者」という。)が重要な役割を担っていることに鑑み、これらのサービスを担う優れた人材の確保を図るため、平成二十七年四月一日までに、介護・障害福祉従事者の賃金水準その他の事情を勘案し、介護・障害福祉従事者の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方についてその財源の確保も含め検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
 (介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律の廃止)
2 介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律(平成二十年法律第四十四号)は、廃止する。

    
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索