2014/06/06 Fri
  厚労省の「統計サギ」が破たんした。6月5日参議院厚生労働委員会で、介護保険利用者負担の1割⇒2割負担引上げで「年金280万円」で「負担可能」とした論拠を、田村厚生労働大臣が「撤回」と答弁した。

 厚労省は、年金280万円でも年間60万円も「金が余る」と説明してきた。
 
 貯蓄を取崩しながら、生活をしている高齢者が多い中で、厚労省は、逆に毎年60万円金が余って貯金が増えるという、あり得ない説明をしてきた。 

2013年9月25日 第49回社会保障審議会介護保険部会 議事録
 次に、夫婦世帯の場合どうなのだろうか。先ほど280万円+基礎年金79万円で夫婦の世帯が359万円の年金収入というモデルを申し上げました。15ページですけれども、こちらもその必要な税、お二人分の介護保険料と医療保険料を差し引きますと、可処分所得としては307万円となります。この夫婦世帯の場合の消費支出がどうなるのかということで16ページですけれども、基本的にこの世帯の場合には250万円から349万円という辺りの消費支出が近いだろうということで、この247万円を当てはめて考えますと、この可処分所得307万円から247万円を差し引き、約60万円というのが手元に残る部分だということになってくるかと思います。
 


 
 この図が実は、大ペテンであった。右の「年金収入359万円」(夫280万円妻79万円)の世帯が、あたかも左の「年247万円の消費支出」で、約60万円の余裕があるかのように、錯覚してしまう。

 しかし、この消費支出は、「平成24年家計調査」から、ひっぱてきたものである。下図の「無職高齢者二人以上世帯」の「収入250万円~349万円世帯」の数字である。


よく似た所得階層のように見えてしまうが、家計調査によると、この「収入250万円~349万円世帯」は、可処分所得は197万円しかなく、消費支出の247万円を賄うために年50万円も預貯金の取崩しなどで穴埋めしているのである。



 可処分所得197万円しかない世帯の消費支出と、可処分所得307万円のモデルを比較すれば、差額が出るのは当然である。
 このペテンを追求された厚労省は、6月3日の参議院厚生労働委員会では、答弁不能になり、5日の厚生労働委員会で、新しい資料を出してきた(下図)。

 図の左側に、「平均的な額の年金を受給している世帯の消費水準」と赤字で説明し、右側には「夫が合計所得金額160万円の年金、妻が国民年金のモデル」と赤字で説明書きを加えた。そして、上の蘭には、赤字で新たに説明書きを加え「消費支出を年間収入250万円~349万円の世帯の消費水準にやりくりしていただければ、モデル収入の可処分所得との差が約60万円となり・・・・・ご負担をお願いできる水準と考える」と書き加えてきた。

 これまでの「60万円余裕」から、一転して「やりくりしていただければ負担可能」という釈明をして言いぬけしようとしたが、議員の追及の前に、田村厚生労働大臣は「60万円余裕があるような見え方になってしまったが、この60万円は撤回する」と答弁せざるを得なくなった。

 だいたい、280万円程度の年金で毎年60万円も金が余って貯金ができるなどという、説明が通用しないことは、政府の家計調査でも、高齢者世帯全体でも、預貯金の取崩しで生活しており、毎月5万4千円もの「赤字」なのである。




 統計データを詐欺的に使って「年金280万円でも60万円余裕がある」として、2割負担を強行しようとし、そのペテンが暴露されると、今度は、 「やりくりしていただければ60万円が残ると詭弁を弄し、さらに追及されると、「60万円は撤回する」と答弁するなど、厚労省の論拠は完全に破たんした。
 いよいよ、この改悪法案は、廃案にする以外にない。

 
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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