2014/08/04 Mon
要支援者切捨てと「自助・互助」強制の仕組み
~「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」について~

その② 新総合事業の費用、利用料、財源的枠組み



2 サービス事業の単価と利用者負担
(1)サービス単価 「国の定める以下」ならば下限は底なし
 ガイドラインでは、「現行の介護予防訪問介護・通所介護に相当するサービス」(以下現行相当サービス)と「緩和基準サービス」(サービスA)、「住民主体支援」(サービスB)、「保健師などの短期集中予防サービス」(サービスC)に分けて単価を示している。
 ①現行相当サービス
国が定める額(予防給付の単価)を上限として市町村が定めるとされ、「単位」で表示され、1単位当たり単価も現行どおりとすることも可能である。月額包括単価か出来高単価とすることも可能。しかし、どんな場合でも「国が定める単価の上限額」を超過できない。逆に、国の定める単価によりも下げることは可能であり、「下限」なしである。
 ②緩和した基準の訪問型・通所型サービスA 
 指定事業者によるものは、国が定める額(予防給付の単価)を上限として市町村が定めることなどは①と同様とガイドライン案には記載されている。しかし、無資格者によるサービスとなることから、市町村では①に比べてかなり低い単価設定になる可能性がある。
 ③ボランティアなどの訪問型・通所型サービスB
 「委託または補助による単価設定」とされているだけで基準等は示されていないが、利用者一人当たりの費用が「国が定める上限単価を上回らないよう事業を計画して実施」とされており、上限だけは明確で、まさに、「底なし」の安上がり事業促進の内容となっている。
唯一、「保健師などによる従来の2次予防事業相当のサービスC」だけは、「この限りでない」と一人当たり費用に「上限」を付けていない。
(2)利用者負担(利用料) 下限は「介護給付と同様」で、あとは市町村まかせ
 ガイドライン案は、サービスの多様化を理由に、利用者負担については、市町村が「サービス内容や時間、基準等を踏まえつつ定める」とだけ述べ、さらに「住民主体の支援」については、「自主的に実施されるもの」との理由で「提供主体が定めることも考えられる」ときわめて無責任な態度である。
ただ、現行相当サービスについては、介護給付の利用者負担割合(原則1割、一定以上所得者は2割)を「下限」とすることを市町村に求めている。
3)「その他の生活支援サービス」は、限定だらけ
 総合事業の「その他の生活支援サービス」について、ガイドライン案では、「訪問型・通所型サービスと一体的に行われる場合に効果があると認められるもので厚生労働省令で定めるもの」という非常に限定されたサービスである。この規定では、「その他の生活支援サービス」だけを単独で利用することはできず、訪問・通所型サービスの利用者に限られる。
 また、そのメニューもガイドラインでは、①「配食」(栄養改善目的や一人暮らし高齢者の見守りとともに行う) ②「見守り(定期的な安否確認と緊急時対応)」(住民ボランティアなどの訪問) ③その他、自立した日常生活に資する支援(訪問・通所サービスと一体的提供等)という程度のものに限られている。
 ガイドライン案では、その他の生活支援サービスは、「市場におけるサービス提供の活用を補足するもの」と位置づけ、利用者には食材費など実費負担を求めている。また、市町村に対し、地域支援事業では「三位一体改革において一般財源化された事業は実施できない」「従来一般会計で行っていた事業を総合事業に振り替えるようなことは想定していない」と、釘をさしている。

3 地域支援事業の上限設定   上限管理で市町村を追い込み、指定サービス取り上げ、安上がりサービス移行を強要
 これまで地域支援事業費は、介護給付費の「3%以内」とされていたが、ガイドライン案では、「介護予防訪問介護等の移行分をまかなえるよう地域支援事業の上限を見直す」としている。しかし、総合事業の上限については、その市町村の「75歳以上高齢者数の伸び以下」の増加率しか認めないこと計算式を示しながら明記している。
総合事業の上限
=【①当該市町村の事業開始の前年度の(予防給付(介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防支援)+介護予防事業)の総額】  × 【②当該市町村の75歳以上高齢者の伸び】
 予防給付では、毎年5~6%の自然増予測がなされていたが、後期高齢者の伸び(3~4%)以下に抑え込まれ、市町村は、現行相当サービスから、より費用の低い「緩和基準」のサービスA、さらに安上がりな「住民主体」のサービスBへと利用者を移行させていくことになる。



 もし、事業実施後「結果として上限を超えた場合」どうなるのか。ガイドライン案では「一定の特殊事情を勘案して認める」としながら、「多様なサービスへの移行促進を図る等費用の効率化に向け政策努力したが、結果として上限以上となった場合で、その後住民主体の取組等が確実に促進され費用の伸びが低減していく見込みである場合」を一例にあげている。
 まさに、上限管理で、市町村を追い込み、指定事業者サービスから「住民主体サービス」への移行を強要する仕組みである。

(つづく)
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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