2014/08/05 Tue
要支援者切捨てと「自助・互助」強制の仕組み
~「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」について~

その③ 要介護認定申請権侵害の仕組み導入



4 利用手続き 市町村窓口での申請抑制の水際作戦
(1)要介護認定申請権を侵害、窓口の非専門職が「振り分け」
 ガイドライン案は、総合事業を導入することによって、要介護者・要支援者の介護保険利用の「入口」である市町村窓口での、要介護認定申請を抑制するという巧妙な「水際作戦」の仕組みを持ち込もうとしている。
 これまで、市町村窓口では、高齢者や家族から相談があった場合は、要介護認定を受ければ介護保険サービスが利用できることを説明し、認定申請を受け付けてきた。ガイドライン案では、窓口担当者は、サービス事業などについて説明した上で、「明らかに要介護認定が必要な場合」は、要介護認定等の申請の手続につなぐが、そうでない場合は、「総合事業によるサービスのみ利用する場合は、要介護認定等を省略して基本チェックリストを用いて事業対象者とし、迅速なサービスの利用が可能」と説明し、誘導するよう図示している。さらに、基本チェックリスト活用し「利用者本人の状況やサービス利用の意向を聞き取った上で、振り分けを判断する」としている。そして、その窓口担当者は「専門職でなくてもよい」としているのである。
 これでは、専門職でない窓口職員が、介護保険利用希望者の要介護認定申請を封じ込めたまま、総合事業へ誘導し、介護保険サービスを使わせないという事態が引き起こされるのは明白である。ガイドライン案には、一応「必要な時は要介護認定申請ができることを説明」とは記載しているが、市町村窓口を訪れる多くの高齢者は、要介護認定が何かも知らないことがある。市町村窓口の態度一つで要介護認定という入口を封じ込められてしまう危険性があり、認定申請権の侵害である。
 また、要介護認定なしで総合事業のサービスが利用できるというと、サービス利用対象者の範囲が広がるかのような錯覚があるが、ガイドライン案は、明確に、「介護予防・生活支援サービス事業」の対象者について「改正前の要支援者に相当する者である」と明確にしており、現行以上の対象拡大はまったく否定している。現行の基本チェックリストで対象とされている2次予防対象者は、新しい「一般介護予防事業」しか利用することができない想定なのである。



(2)地域包括支援センターでの介護予防マネジメント受付 が利用者の要件
 基本チェックリストで事業対象者に該当しても、総合事業利用対象者になれるわけではない。市町村が、基本チェックリスト実施結果を地域包括支援センターに送付し、介護予防ケアマネジメントが開始され、届出が市町村に届いてはじめて「事業利用者」として、登録され、介護保険被保険者証(または介護予防手帳)が交付されるのである。
 ガイドライン案では、市町村窓口で、「介護予防・日常生活支援総合事業の趣旨」を説明するように求めている。その内容は「①効果的な介護予防ケアマネジメントと自立支援に向けたサービス展開による、要支援状態からの自立の促進や重症化予防の推進をはかる、②ケアマネジメントの中で、本人が目標を立て、その達成に向けてサービスを利用しながら一定期間取り組み、達成後は、より自立へ向けた次のステップに移っていく」というものである。単に「心身の状況」が該当したからといって、総合事業利用対象者になるわけでなく、「自立支援」に向けた介護予防ケアマネジメントに「同意」してはじめて事業利用対象者となる。ここが、介護保険給付の「受給権」を付与する要介護認定との決定的なちがいである。また、総合事業の各サービスも「継続的利用」でなく、「一定期間」の利用で、目標達成後は「卒業」し次のステップへの移行という、自立への「自己努力」を迫るものである。

(つづく)
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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