2014/08/06 Wed
要支援者切捨てと「自助・互助」強制の仕組み
~「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」について~

その④ 能力の維持向上とサービスからの「卒業」を迫る「介護予防ケアマネジメント」

5 介護予防ケアマネジメント 
(1)地域包括支援センターに全プラン関与を求める

 ガイドライン案は、介護予防ケアマネジメントについて、地域包括支援センターが実施するとしつつ、予防給付と同様に居宅介護支援事業者に委託も可能としている。また、利用者負担がないことも予防給付と同じである。ただ、「地域包括支援センターが全て実施」または「初回は地域包括支援センターが実施」が「望ましい」とし、地域ケア会議等を活用して全てのケアマネジメントに地域包括支援センターが関与することを求めている。
 また、利用者自身による「自己作成ケアプラン」によるサービス事業利用は「想定していない」と完全に否定されている。
(2)ケアマネジメントA・B・Cの3ランク分け
 ガイドライン案は、介護予防ケアマネジメントについて、「サービスの多様化」に対応して ①原則的なプロセス(ケアマネジメントA)、②簡略化したプロセス(ケアマネジメントB)、③初回のみのプロセス(ケアマネジメントC)の3ランクに分けた。
ケアマネジメントA(原則的プロセス)
 原則的なプロセスの「ケアマネジメントA」は、現行の予防給付のケアマネジメントと同様、アセスメントによってケアプラン原案を作成し、サービス担当者会議を経て決定、モニタリングは3ヶ月で、利用者の状況等に応じてサービスの変更も行う。これは指定事業者によるサービス(「現行相当サービス」及び「サービスA(緩和基準サービス)」のうち指定事業者によるものに対応したものである。毎月の給付管理が発生し、ケアマネジメントの「基本報酬」も毎月払われ、ガイドライン案では「予防給付の単価を踏まえて設定」としている。
 「サービスC」(保健師など医療専門職による短期集中型のサービスで従来の2次予防事業相当)も、このケアマネジメントAで行われる。
ケアマネジメントB(簡略化したプロセス)
サービス担当者会議を省略したケアプランの作成と、モニタリングは3ヶ月以上の間隔をあけるという簡略化したケアマネジメントである。この「手抜き」ケアマネジメントは、指定事業者以外の主体が市町村からの委託を受ける「サービスA」(緩和基準サービス)と、「サービスB」(住民ボランティア)など補助による事業に対応したものである。毎月の給付管理がなく、ケアマネジメントに対する「報酬」は基本報酬からサービス担当者会議とモニタリングの分を差し引いた金額になるとされている。
ケアマネジメントC(初回のみプロセス)
 初回のみ、簡略化したケアマネジメントを実施し、ケアマネジメントの結果(「本人の生活の目標」「維持・改善すべき課題」「その課題の解決への具体的対策」等を記載」)を利用者に説明し、理解してもらった上で、住民主体の支援等につなげるというものである。ケアプランもなし、その後のモニタリングも行わず放置するもので、おおよそケアマネジメントなどと呼べる代物ではない。「サービスB」(住民ボランティア)だけでなく、一般介護予防やまったくの民間事業者有償サービス(自費)しか利用しなかった場合でも初回だけは、「基本報酬」を支払うという。
 「訪問型・通所型サービスB」(住民ボランティアなど)になった利用者は、「ケアマネジメントC」となり、地域包括支援センターは初回のみアセスメントするが、予防ケアプランも作らず、その後もモニタリングもせず放置するのである。この「ケアマネジメント無し状態」は、提供されるサービスが非専門職・非雇用者のボランティアが中心である上に、実施状況把握やサービス調整には誰も責任を持たない状態を意味する。要支援者の「サービス外し」に加えて「ケアマネジメント外し」まで行い、住民主体のボランティアにすべてを委ねるという無謀なものである。
(3)介護予防ケアマネジメント 自立・「卒業」押し付け 
 ガイドライン案は、「一歩進んだケアマネジメントに向けたガイドライン」なるものを掲載し、現行の予防給付以上に、「自立支援」を一面的に強調したケアマネジメント手法を示している。
 その特徴は、第1に、高齢者は介護予防と能力の維持向上に努める義務があるとして、自己努力と自助(自己責任)を徹底して求めていることである。セルフケア・セルフマネジメントを推進し、「事業の利用が終了した後もセルフケアとして習慣化され継続する必要がある」として、セルフマネジメントのツールとして「介護予防手帳」(仮称)を提案している。
 第2には、ケアプランは「明確な目標設定と本人との意識の共有」が重要として、目標達成期間を徹底し、モニタリング・評価では、「順調に進行した場合には「事業を終了」し、セルフケアに移行できるようにするとしている。ガイドライン案で紹介されている「好事例」は、「短期集中的なアプローチにより自立につなげる方策」ばかりが並べられている。そこには、多くの要支援者が「わずかな支援」を介護保険で受けながら、自分流の生活を長年継続しているという現実を全く無視し、「能力向上」「参加」が一面的に強調され、短期間で総合事業サービスから「卒業」し、セルフケアへの移行や極端な場合は「ボランティアとして支え手に回る」ことをめざしている。
 第3に、「規範的統合」なるものをケアマネジメントと地域包括ケアにおいて求めていることである。「情報共有」「方針共有」を超えて、「価値観、文化、視点」まで共有を求めるという一種の「思想統合」である。ガイドライン案はどのような「規範的統合」(意識・考え方の共有)をめざしているのであろうか。それは、介護保険法が国民の義務とした、「加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努める」(介護保険法第4条)という、能力維持向上の「自己努力」を基本とするものである。


(つづく)

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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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