2014/09/14 Sun
9月1日午前、中央社保協の呼びかけで、改定介護保険問題についての厚生労働省老健局のレクチャーが行われた。
当方から事前質問を提出させていただき、その回答及び質疑応答を行った。
 改定介護保険の焦点についても厚労省担当課の「本音」を垣間見ることができた。


その⑨ 総合事業の利用手続き 市町村窓口での要介護認定申請の「水際作戦」の危険はないのか

 ガイドライン案は、総合事業を導入することによって、要介護者・要支援者の介護保険利用の「入口」である市町村窓口での相談のあり方を大きく変えようとしている。
 これまで、市町村窓口では、高齢者や家族から相談があった場合は、要介護認定を受ければ介護保険サービスが利用できることを説明し、認定申請を受け付けてきた。ガイドライン案では、窓口担当者は、サービス事業などについて説明した上で、「明らかに要介護認定が必要な場合」は、要介護認定等の申請の手続につなぐが、そうでない場合は、「総合事業によるサービスのみ利用する場合は、要介護認定等を省略して基本チェックリストを用いて事業対象者とし、迅速なサービスの利用が可能」と説明し、誘導するよう図示している。さらに、基本チェックリストを活用し「利用者本人の状況やサービス利用の意向を聞き取った上で、振り分けを判断する」としている。そして、その窓口担当者は「専門職でなくてもよい」としている。


専門職でない窓口職員が、介護保険利用希望者の要介護認定申請を封じ込めたまま、総合事業へ誘導し、介護保険サービスを使わせないという事態が引き起こされる危険性がある。
 私は、市町村窓口での非専門職による「基本チェックリスト」「振り分け」については、実施せず、これまで通り要介護認定申請を受け付けた上で、総合事業利用希望者は地域包括支援センターへつなぎ、基本チェックリストは地域包括支援センターの専門職が行う、という対応私案を示してきた。

 そこで、厚生労働省への事前質問
(3)利用手続きについて
 市町村窓口において、非専門職が「基本チェックリスト」を実施し、「判断」「振り分け」を行うことは不適切として、市町村窓口で基本チェックリストを一切取り扱わず、現行どおり要介護認定受付を行い、基本チェックリストは地域包括支援センターで一元的に行うことは差し支えないか


これに対し、厚労省の回答は、市町村窓口での基本チェックリスト実施にこだわるものであった。
回答)ガイドライン55頁に記載しているとおり。 チェックリスト を 市町村でやらなくていいかという質問だが、市町村窓口でちょっとした困りごとの相談の場合は、 その場でのチェックリストで対応可能であるし、総合事業を利用しながら要介護認定申請も可能である。厚労省としては、窓口でチェックリストをやらないというのはサービス利用者の利便を損なうので市町村窓口でもやっていただきたいと思う。

 そういう問題ではない。「利便」というが、総合事業サービスは、チェックリストだけでは利用できない。その後地域包括支援センターへ回され、介護予防マネジメントに同意し、ケアマネジメント依頼書を市町村に提出しないと利用できない。市町村窓口では、さっさと、要支援認定申請を受け付け、直ちに地域包括支援センターに回せば、そこで基本チェックリストも予防マネジメント説明も一度にできるではないか。
 
 厚労省の狙いは、市町村窓口での「振り分け」の実施にある。
 厚労省のガイドライン案でも

① 相 談
  ↓---------------------------↓-----------------↓    
② 基本チェックリスト/(明らかに)要介護認定等申請/(明らかに)一般介護予防


となっており、相談を受けた市町村窓口職員(非専門職)が、振り分けを行うことになっている。また、「基本チェックリストは、従来のような二次予防事業対象者の把握のためという活用方法ではなく、相談窓口において、必ずしも認定を受けなくても、必要なサービスを事業で利用できるよう本人の状況を確認するツールとして用いる。」とも明記されている。
 圧倒的な相談者は、市町村窓口に相談した段階で、「振り分け」対象になってしまう。
  
 そこで改めて質問。
「市町村窓口で実施」とあったが、法令で、実施場所まで国が縛ることができるのか

 厚労省の回答は
 チェックリストの実施方法は、告示で定めることを考えている。その中で「市町村が行うチェックリスト」というような表記になった場合は、市町村窓口でチェックリスト実施ということになる。

 市町村が行うにしても、市町村窓口職員が直接実施する方法のほか、市町村から委託を受けた地域包括支援センターが実施する方法もあるはずである。
 この点を厚生労働省にさらに突っ込むと
チェックリスト実施については、自治体から多数の質問がきている。チェックリストと要介護認定申請の関係など、整理して行きたい
 
 ときわめてあいまいな回答であった。

 また、非専門職が振り分けを行う問題について、レクチャー参加者からの質問。
質問)基本チェックリストは、客観的な物差しなので専門職でなくても判断できるというような説明があったが、具体的な基準などを示されるのか
厚労省の回答は
答)基本チェックリストは、内容、判断基準も含めて現行と全く同じである。ガイドラインには、その運用についても留意事項を記載している。
と、あっさりしたものであった。

 現実問題として、市町村窓口で、そのような「振り分け」に至るまで突っ込んだ面談ができるような職員は限られている。また、介護について知識を持たない職員や、非正規職員も窓口に多く配置されている中で、現実の問題として十分な相談体制をつくることは困難となっている。これまでも、介護の具体的な相談は「何でもケアマネへ」「何でも地域包括へ」と振ってきたの市町村窓口である。
 これを一転、「基本チェックリストで振り分けを」というのは、きわめて危険である。

(つづく)

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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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