2014/12/22 Mon
 本日未明、書き上げた原稿の最後の締めくくり。 「2025年の介護保険制度の姿 」

 医療介護総合確保法は、社会保障改革の「短期改革」(消費税増税期)に対応したものである。今後「2025年」を目標に10年間に及ぶ「中長期改革」としてさらなる改革が予定されている。したがって、本章で見てきた医療介護総合確保法による介護保険制度改定もこれにとどまるものではない。今回の改定を足掛かりに、その対象範囲をさらに拡大した第2弾・第3弾の制度改定が狙われている。3年に一度の介護報酬改定はその機会となる。
 どのような姿の「2025年・介護保険制度」か。その方向性は、今回の制度改定の中に見ることができる。
 第1は、軽度者の保険給付からの除外である。今回の要支援1,2のサービスの一部の保険給付を廃止し、要介護1,2を特別養護老人ホーム入所から排除した。この延長線上には、さらに広範なサービスを要支援者から要介護1,2の「軽度者」を対象から除外していく制度改定である。最終目標は、「介護保険給付の対象を要介護3・4・5」に限定するというものであろう。これは、すでに2008年に財務省の財政制度等審議会(財政制度分科会財政構造改革部会)で財政効果試算がなされている[財務省(2008)]。軽度者の生活支援や介護は、自助(自費サービス、家族)、近隣や住民主体の「互助サービス」に委ねられていくことになる。今回の新総合事業の「住民主体のサービス」はその原型である。
 第2は、利用者負担のさらなる引上げである。今回の2割負担導入は、「負担可能な一定以上の所得」という線引きを可能とした。負担可能な根拠もペテン的なものであった。今回の「合計所得160万円」という基準が今後の改定で、引き下げられ、さらに多くの層が2割負担へと拡大していくことが狙われている。これも最終目標は、「負担は原則2割」であろう。医療の自己負担は2014年度からすでに70歳~74歳は2割の負担となったことを見ても、中長期的な狙いが浮かび上がってくる。
 第3は、低所得の施設利用者の補足給付(食費・部屋代補助)の廃止である。厚生労働省は、補足給付について「福祉的・経過的措置」であり、居住費(滞在費)と食費は「自己負担が原則」と強弁している。今回の要件厳格化を手始めにさらなる対象の縮小、そして最終的には、全廃へのすすんでいくことになる。介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)以外の「居住」サービスの全てが部屋代・食費が完全自己負担であること、サービス付き高齢者住宅も同様であることを考えればその方向性は明白である。
 まとめて表現すれば、①要介護3以上でないと介護保険サービスは利用できず、②利用すれば2割の自己負担 ③低所得者でも食費・部屋代は全額自己負担 という介護保険制度である。一方で、介護保険料は、少なくとも現在の1.6倍以上を徴収される。まさに、「保険料あって介護なし」である。 
2025年に向かって、介護保険制度を「持続可能」とするために、「給付の重点化・効率化」、「負担の適正化」を推し進めれば、介護保険の給付は制度的・経済的に利用が縮小し、介護の公費支出は削減することはできる。しかし、在宅サービスも施設サービスもその範囲を大きく縮小すれは、地域の介護基盤はまったく整備されない。地域状況からみても「住民主体の互助」がそれにとってかわることなど現実にはあり得ない。こうして、政府が目標とする「地域包括ケアシステム」はその基盤さえ確保できず絵空事に終わる。
高齢化率30%を超え、後期高齢者が多数となり、単身高齢者、老老世帯が半数以上を占めるような地域でそのような「介護保険制度」が維持されたとしても、意味がない。
そのような道を歩まないためにも、医療介護総合確保法に基づく医療・介護の「改革」は中止させなければならない。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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