2015/03/31 Tue
大阪市解体・府への吸収で国保・介護・生活保護はどうなるか  その① 国保-1
                          日下部雅喜

はじめに
 大阪市を廃止して5つの「特別区」に解体し、大阪府に統合する「特別区設置協定書」(以下「協定書」)が実施されると、基礎自治体のもっとも大切にしなければならない住民の「いのちとくらし」にとってどうなのしょうか。自治体のもっとも基本的な仕事である国民健康保険と介護保険、そして生活保護について見てみることにします。
 
1 国民健康保険
(1)基礎的自治体の呈をなさない「特別事務組合共同処理」
 国民健康保険は、被用者保険などの対象とならない人が加入する健康保険で「国民皆保険」の柱です。国民健康保険法では、その目的を「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与する」(国民健康保険法第1条)とし、「市町村及び特別区は、この法律の定めることにより、国民健康保険を行うものとする。」(同第2条)と定めています。
市町村が運営し、必要な財源を公費負担とともに、国民健康保険料として住民から集め、医療給付を行っています。これは健診事業などとあいまって住民の健康を守る重要な仕事です。したがって、一部の例外を除きほとんどすべての市町村は国民健康保険を自前で運営しています。
「協定書」では、大阪市を解体することで、国民健康保険の運営者(保険者)である大阪市も消滅します。そうなれば、「特別区」が国民健康保険の保険者となるはずです。ところが、特別区単独では運営せず「特別区を構成団体とする一部事務組合」(仮称「大阪特別事務組合」)で事務処理を行うとしています。特別区の区役所・支所では、申請・届出などの窓口業務を行うだけになり、国民健康保険運営には、各特別区は責任をもちません。協定書ではその理由を「専門性の確保、サービスの実施に係る公平性及び効率性の確保をはかるため」と説明しています。
しかし、住民の「いのちと健康」にかかわるもっとも基本的な仕事である国民健康保険も自前で運営できない「特別区」とは、いったい何なのでしょうか。「協定書」は、特別区について「中核市の要件を上回る35~70万人の人口」にしたとして、現行の中核市以上の権限を持たせるかのような説明を行い、「住民に身近な業務は特別区が担う」としていますが、国民健康保険のような市町村の基礎的な事務すら単独で担えないのが実態です。保健事業や住民健診事業を連動させながら住民のいのちを守る仕事を自前でできない特別区は、たとえ規模が70万人であっても、基礎的自治体の呈をなしていないと言わざるを得ません。東京都の23特別区は、国民健康保険はすべて単独で運営しています。大阪府内でも最小の自治体である千早赤阪村を含む全市町村が単独で国保を運営しています。このことからも、国保の「特別事務組合」運営がいかに異常なものかが分かります。この1点を見ても大阪市解体・特別区分割が住民のいのちや健康を守る役割を否定するものであることを物語っています。

(つづく)
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プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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