2015/04/01 Wed
大阪市解体・府への吸収で国保・介護・生活保護はどうなるか  その③ 介護保険
                             日下部雅喜

2 介護保険
 
(1)最高額の介護保険料、低所得者には国基準に上乗せした額を徴収
 大阪市の介護保険料(65歳以上の人の第1号保険料)は、大阪府内でも政令指定都市の中でも最高額でしたが、2015年度の改定では15%の引き上げで「基準月額6758円」と引き続き、最高額となりました。
 大阪市の高齢者は、低所得者が多く、住民税非課税世帯で年金収入が80万円以下の層が21.8%、生活保護受給者が10.7%と合わせて3割以上が、低収入・無収入の人です。ところが、大阪市は、非課税世帯・年金80万円以下の層の介護保険料を国基準では、基準額の0.5とすべきところをわざわざ0.56に設定してより多く保険料を徴収しています。
 そして、介護保険法改正で、低所得者の保険料がより軽減され、国基準で2015年~16年度は「基準額の0.5→0.45、2017年度からは基準額の0.3」となります。しかし大阪市は、軽減幅を圧縮し「0.5」(2015年~16年度)、「0.35」(2017年度)としました。もっとも所得の低い層から国基準に上乗せして保険料を課す大阪市の姿勢は到底許されるものではありません。
一方で、大阪市は、生活困窮者に対する独自減免を行い、単身の場合は年収150万円以下が対象となっています。
 
(2)要介護認定事務の民営化で大幅に遅れる認定
 介護保険では、要介護認定を受けない限り給付は1円も受けられません。そして市町村は要介護認定申請を受け付けてから「30日以内」に認定結果を通知しなければなりません。
 大阪市では、2012年から要介護認定事務を民間事業者に委託し、それまで各区で受け付けていた要介護認定申請を「認定事務センター」での郵送受け付けとし、認定事務をそこで一括して行うようにしました。そのため、要介護認定申請してから30日を過ぎても認定結果が出ず、50日以上も当たり前という状態となりました。市内の関係者からは「介護保険利用の入り口の要介護認定がこんなに遅いのは最悪の介護保険だ」と酷評される始末です。
 
(3)大阪市廃止で「特別事務組合」運営の介護保険に
 「協定書」では、大阪市消滅後は、国保と同様に介護保険も、「特別事務組合」運営で、各特別区は介護保険に責任を持たず、単なる「申請・届出」処理の出先となることになっています。大阪府内・全国政令市で最高額の介護保険料はそのまま引き継がれることになります。また、民営化され「最悪」と酷評される要介護認定の仕組みもそのままとなるでしょう。
 こうした悪いところは引き継ぎながら、大阪市が行っていた独自の保険料減免制度はどうなるでしょうか。大阪府内で唯一介護保険を自前で運営せず、「広域連合」で運営している「くすのき介護保険広域連合」(守口市・門真市・四条畷市)では、大阪府内で8割以上の市町村が独自減免を制度化し、近隣市も減免を実施しているにも関わらずかたくなに拒否しています。広域連合は議会はあるものの、住民から直接選挙されず、各市の議員の中から選ばれ、議会日程も1日ほどの会期で、住民の声がほとんど届かないためです。大阪市消滅と同時に大阪市の独自減免制度も消滅する危険性があります。
 
(4)維新・都構想と国保・介護保険の「単一化」
 大阪維新の会は、2011年の大阪府知事・大阪市長ダブル選挙で「保険制度の広域化 」なるものを「公約」していました。市町村でバラバラの国民健康保険や介護保険の保険料を大阪全体で「統一された保険料体系」にするという統一保険料構想です。
 大阪府は、国保については、国の「国保都道府県移管」を先取りした動きをしながら、介護保険については、独自の「広域化」構想を打ち上げました。2012年8月に大阪府は「介護保険広域化」研究会報告を公表。その内容は、現在市町村ごとの介護保険を「大阪府単一」の保険料とし、大多数の市町村は大幅引上げで、独自減免も全廃するというものでした。国に対しては法改正を求め、その中で「利用者負担3割」案まで示すという介護保険制度自体の改悪まで提言するものでした。これについては、反対運動と府内市町村の反発からいったん「撤回」されています。
 しかし、大阪市解体・特別区構想の今後の動向によっては、こうした維新の会の「国保・介護保険の単一化」なるものが再び浮上し、大阪市以外の府内市町村にも多大な害悪を与えかねません。

(つづく)
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プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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